人に勧めながら自分にできていなかったこと
前回、田中さんは「現在地をちゃんと把握して、目標に向けて何が足りないかを見た方がいい」と話していました。ゲストのヤマトさんも、数字の目標を作ってやった方がいいと話していたそうです。
ところが、けんすうさんはそれに気づきます。番組のKPIもゴールも決まっていない上に、現在地すら知らないままだったのです。
言ったことが何もできてない大人って、一番やばすぎますよね。やれとか言っといて、ゴールをしろ、現在地を知れって言ってるのに、どっちもないですよね今。
目的もない、数字も見ていない、どうしたいかもない。30回続けてきて、そのすべてが空欄でした。
そこで今回は「数字を見ようのコーナー」として、けんすうさんもほぼ初めて見る手元の数字を確認していくことになります。
初公開の数字。でも良いのか悪いのかわからない
まず挙がったのはYouTubeの数字です。直近28日間のリーチが42万再生、登録者数は約6,000人増えていました。
ただ、田中さんはこの数字をどう捉えればいいのか見当がつきません。ポッドキャストは現在4本ほど、YouTubeチャンネルもある中で、6,000や42万という数字の意味がつかめないのです。
なんかいい気もするし、そうでもない気もする。全然わかんないです。
けんすうさんの見立てでは、チャンネルを作ってまだ一ヶ月ほどの数字であれば、悪くないのではないかとのことです。
さらに驚いたのは完了率でした。最新回の完了率は56%。田中さんは思わず声を上げます。
YouTubeって最初の7秒とか20秒で離脱しちゃうって聞きますけど、56パー?え?
ただしこれはSpotifyの数字でした。視聴時間の中央値が25分の番組で、その25分近くまで聞かれているということは、多くの人が最後まで聞いてくれている計算になります。
一方で田中さんは、この数字は裏を返せば「認知ができていない証拠」ではないかと指摘します。
だから僕らが告知や認知してもらう活動があまりにもできてなさすぎて、もうみんな最初からこの番組を聴きに来てくれて、チャンネル登録して最後まで聞いてくれてるっていうだけで、それ以外の人に全くリーチできてないんですよ。
つまり、すでに知っている人だけが聞きに来ている状態だという解釈です。けんすうさんも「本当に告知はした方がいい」とヤマトさんの言葉を思い返します。
視聴者層とショート動画から見えたこと
数字を見ていくと、視聴者層も見えてきました。男性が65%、35〜44歳が38%を占めており、比較的同年代の男性が中心のようです。
一方で、このコンテンツが若い人や女性に広がるかというと、二人とも判断に迷います。話しているテーマとして思い当たるのは、家電やポイ活くらいだと話されています。
そこから、主婦向けのコンテンツや婚活の戦い方など、幅を広げる余地があるかもしれないというアイデアも出ました。
個別の回で見ると、SpotifyではAI田中渓会が、YouTubeでは勝間さんの一日二時間労働の回が最も伸びているそうです。プラットフォームごとに伸びる回が違う点は興味深い発見でした。
明るい材料もあります。切り抜きをやってくれている会社がプレスリリースを出し、この番組ともう一つの番組のショート動画が、一ヶ月で約100万再生に達したそうです。
すごいって僕も投稿したんですけど、それがすごいかどうかもよくわかってないです。でも100万って言ってるからすごそう。
結局、良し悪しの評価は自分たちには判断できないという結論になります。田中さんは、以前受けた腸内環境の検査になぞらえました。
我々が腸を測ってもらった時に、二人とも持久力だけがギャーンっていってて、他が雑魚すぎたじゃないですか。あれと同じような批評をしてもらわないと。
つまり、評価の物差しを持つ専門家に見てもらって初めて、強みと弱みが比較でわかるということです。数字は自分たちで眺めても「ふーん」で終わってしまうのです。
どこを目指すか。ポッドキャストで一番になる
評価の前に、まず自分たちがどうしたいかを決める必要がある、という話に進みます。焦点は、YouTubeとSpotifyのどちらに力点を置くかです。
けんすうさんは、事実としてポッドキャスト系プラットフォームの数字が良いことから、そちらを軸にするのが良さそうだと考えます。作り方も、YouTubeなら正面を向いて話す、ポッドキャストなら向き合う方がいい、といった違いがあるためです。
具体的な目標として、ポッドキャストアワード大賞を狙うことになりました。けんすうさんは、その審査プロセスをかなり具体的に理解していました。
まずユーザー投票で上位20作品ほどがピックアップされ、その後に審査員が評価する仕組みです。審査員は女流作家など多種多様で、ビジネスや起業の話が響かない人もいます。
さらに、審査員は候補作を一作品につき二本ずつ聞く程度が現実的です。だからこそ、審査が行われる9月から12月ごろに、番組らしい回と面白そうな回を用意して置いておく必要がある、と話されています。
じゃあちゃんとその審査員とか審査方法とか時期まで意識して、もう狙って取りに行かないといけない。それはやりましょう。
コンテンツ案としては、片付けのような幅広い層に刺さるテーマを、限界突破感を持って扱うのが良いのではという方向でまとまりました。
数字の目標と、Xで10万人を積み上げた方法
数字の目標としては、SpotifyもYouTubeも登録者10万人を目指す案が挙がりました。10万人はプロフィールに書いていい数字であり、YouTubeなら銀の盾ももらえます。
ここで話は、田中さんがXでフォロワー10万人を積み上げた経験に移ります。けんすうさんはTwitter時代から長く使っていますが、数字目標を立てて追い込むタイプではないと話します。
数字の目標があって伸ばそうと思うと、なんか追い詰めてつらくなっちゃうんですよ。
一方の田中さんは対照的でした。ラジオへの流入を狙い、去年5月から12月までの7ヶ月で10万人を目標に、意図的に数字を追ったそうです。
一日3〜400人ずつ増やさなきゃいけないから、本当に狂気のように、真面目なコンテンツもそうじゃないものもすごく織り交ぜながら、一日一個投稿してやってたんですよね。
その工夫は、似たテーマを連日出さないことでした。運動、英語、金融、くだらない話、音楽とぐるぐる回すことで、アルゴリズム上のポジションをキープできていたと振り返ります。
この7ヶ月の思想を編集者のタネさんに全部渡したところ、「これだけでビジネス書10冊いける」と言われたそうです。やることが見えていれば筋トレのように続けられる、というのが田中さんのスタイルです。
他人の力を借りる。アルゴリズムに効く「信頼」
やるべきことは何か、という整理に進みます。まず、聞いてくれている人に登録をお願いすること。そしてショートからリーチを取り、それをXなどに投げて他のフォロワーに届けることです。
さらに話は、アルゴリズムへのぶつけ方に及びます。田中さんは、Xでは自分のコンテンツは伸びにくいと指摘しました。
要は僕、今Xのアルゴリズムでマリオのスターみたいになってるんですけど、人の本を紹介するととにかく伸びるんですよ。でも多分、自分の本を出しましたって言っても伸びないと思うんですよね。
なぜ他人の紹介が伸びるのか。田中さんの分析はこうです。案件をやたらと受けず、本当に良いと思ったものだけを勧め続けている。だから「この人が紹介するものは本物だ」という信頼が、アルゴリズムに組み込まれているのです。
だからこそ、自分たちも誰かの力を借りる必要がある、という結論になります。ゲストに来てもらい、勝間さんがシェアしてくれると大きく伸びた、という実感も語られました。
他にも、出演した相手のチャンネルの概要欄に告知を入れてもらう、コラボとして相手も招く、といった相互の取り組みが挙がります。二人はこれまで、人のチャンネルに出ても何も告知せず帰っていたと反省します。
無償であまりにもなんか消費されて終わってる感が強すぎるんで。一つくらい置いてかせろよって話ですね。
さらに、YouTubeの面白いコメントをスクリーンショットしてXで広める案も出ました。田中さんは、肩書きより「僕もこうで」というマニアックな共感コメントが嬉しいと話します。
インスタのリールも課題です。けんすうさんは自分がリール世代でないと苦笑しますが、田中さんはここに配信ロジックの違いを指摘しました。
フィードはフォロワー対ノンフォロワーで9対1ぐらいでフォロワーにしか届かないんですけど、リールは逆なんです。ノンフォロワーの方に9割ぐらい届いてくれる。
つまり、新規リーチを取るならリールが向いている、という整理です。
フォロワー対ノンフォロワーが約9対1。既存のフォロワーに主に届く
比率が逆で、約9割がノンフォロワーに届く。新規リーチに向く
ビデオポッドキャストの伸ばし方と、出し続けることの意味
難所として残ったのが、YouTubeの関連動画対策です。二人ともYouTube側のアルゴリズムはよくわからないと正直に話します。
ここでけんすうさんが視点を整理し直します。SpotifyかYouTubeかという話ではなく、ビデオポッドキャストとして適切に伸ばす方法を考えるべきだ、というのです。
YouTuber兼ポッドキャスターっていうのを両方追ってすごい中途半端になるリスクがあるから、しばらくは両方やった方がいいと思うんですよね。どっちつかずじゃないみたいにする。
ただし、ビデオポッドキャストをうまくハックできている人は日本にまだ少ない、という認識も共有されました。名前が挙がったのは、ゆる言語学ラジオやコテンラジオくらいです。
続いて、収録の2〜3日前に見たという海外ポッドキャスターの話が出ます。田中さんによれば、アレックス・ホルモジという人物がビデオポッドキャスト的なもので大きな収益を生み出したそうです。
一週間に250コンテンツ出してたらしいですよ。60点でいいから出し続けろと。バズるも再生が回るも予期できないから、もう打席数しかないって。
バズは予測できないので、ハズレ回を許容してとにかく打席数を増やす。二人は、コムドットの毎日投稿を例に「たくさん出すはやっぱり正義」と確認します。
一方で、ポッドキャストには別の難しさがあります。コンテンツが溜まりすぎると、完読率や完了率に影響する可能性があるのです。
田中さん自身、コテンラジオを一時オンタイムで追えていたのに、忙しくなって離脱した経験を語ります。60本ほど溜まると「ついていけない」と感じて脱落してしまったそうです。
つまり、配信頻度には適正があり、追いつけなくなった瞬間にリスナーは離れる、と考えられます。現実的な線として、週2本を頑張る案が挙がりました。
さらに、狙いを一つの番組に集中させない発想も出ます。同じメンバーで別番組をやれば、この番組では10万が限界でも、別テーマなら簡単に100万いく可能性が確率論的にはある、というのです。これはゆる言語学ラジオがやっているパターンだと話されています。
今年の目標をどこに置くか
最後は目標の期限設定です。けんすうさんが「期限を決めないとダメ」と促すと、田中さんはまず今年中を挙げますが、すでに6月が終わろうとしており、半年しかありません。
そこで、大賞と10万人は2027年を目途にしつつ、年内の目標は現実的に下げて決める方が正しい、という話になります。
最初に出たのは「あと2万積んで3万登録」という案でしたが、二人とも「弱気」「限界突破感がない」と苦笑します。
順行速度、中期経営計画みたいなやつですね。株主に怒られるやつ。
最終的に、今年の目標は登録者5万人に落ち着きました。10万人とポッドキャストアワード大賞、そして銀の盾は来年に向けて狙っていく形です。
来年の10万じゃなくて、今年5万。頑張るよという感じでした。
まとめ
KPIも目標もないまま続けてきた番組が、初めて数字を直視した回でした。良し悪しは専門家に見てもらわないとわからないと認めつつ、認知拡大とアルゴリズムへの働きかけ、そして無理のない年内目標へと着地しています。
- 人に勧めていることを、まず自分たちに適用して現在地を直視した
- 数字は評価の物差しを持つ専門家に見てもらって初めて改善点が見える
- 自分のコンテンツより、信頼に基づく他者の紹介やゲストがアルゴリズムに効く
- リールは9割がノンフォロワーに届くため、新規リーチに向く
- 60点でいいから打席数を増やしつつ、溜まりすぎない配信頻度を保つ
