二人の就活の対照的な戦績
今回のお題は「就活生に戻ったとして、どの会社を受け、自分をどう伝え、どう通すか」。まず二人の就活の戦績が対照的でした。
田中さんは外資のコンサルと外銀を中心に約15社を受け、辞退した会社以外はすべて内定したといいます。
一応受けた会社は、自分が辞退した以外は全部もらいました。
え、全部?めちゃくちゃ上手ってことですよね。
一方のけんすうさんは、2年かけて10社ほど受け、リクルート以外は内定をもらえなかったと話します。
ただしそれは狙い撃ちの結果でもありました。リクルートに一番行きたく、それ以外はどうでもよかったといいます。
リクルートに受かる人って、結構よそに受からなかったりするし、その逆もしかりで。就活無双してた僕でも、今考えたら受からなかったかもしれない。
「今日どうやって来ましたか?」の正解
面接冒頭のアイスブレイクにも正解があります。「今日どうやって来ましたか?」への答え方です。
田中さんは交通手段だけでなく、道中の小話や気づきまで話すと答えます。ただし大事なのは「蛇口の開け具合」だといいます。
相手の顔色を見て、この話題はやばいな、長くなりすぎたらさっさと手仕舞おうという技術があるかどうかを見てるんで。
つまり面接官は、雑談をどこまで膨らませ、どこで引っ込めるかという呼吸を見ているというわけです。マニュアル通りに全部説明すると、かえって嫌がられることもあります。
けんすうさんはこれを営業の場面に重ねます。「今日暑いですね」と言われたときに、営業相手が返しそうな雑談ができるかを見られている、という解釈です。
どんな質問も自己PRか志望動機につなげる
外資は日系のように人事部が質問の型を決めておらず、各部署が好き勝手に採用するため、決まった型がないと田中さんは言います。
それでも共通する攻略法があります。聞かれたことは、すべて自己PRか志望動機のどちらかにつなげることです。
エピソードトークとか知識ものは全く弱くてもいいんで、僕はもうコンビニの夜勤で、ブルーベリーシュークリームを売りまくったって話しかしてないよって、よく言ってます。
その中身は、発注ミスで66個も届いたシュークリームを、前日に見た番組の「ブルーベリーは目に優しい」という話からポップを作って売り切った、という体験でした。
それをきっかけにオーナーに発注を任され、店舗の経営戦略にも関わるようになった、という流れまでをパッケージで語ったといいます。
バイト何やってるの、コンビニです、あーってなったら終わりじゃないですか。トラブル対応、そこで得た能力、それが受けている会社のどこに役立つかまで全部パッケージで答えに出せるかがコツ。
トラブル・体験
コンビニの夜勤やバイトなど、内容は弱くてよい
トラブル対応
その場でどう工夫し、乗り越えたか
得た能力
その経験から何を学んだか
志望先での活用
その能力が受ける会社のどこで役立つか
SNSは面接力の筋トレになる
想定問答集を丸暗記するより効果的だと田中さんが挙げるのが、SNSでのやり取りです。
コメントすると、ジョークでやってるのに真面目に受け止める人とか、いろんなパターンがいる。それを全部想像して対応する。このパターンが来た時はこいつだな、とやりながらSNSをやると、めちゃくちゃ面接力がつく。
意地悪な質問や変化球のパターンを見分ける力が鍛えられる、という考え方です。誰が答えても同じになる定番の想定問答より、返し方の瞬発力が身につくといいます。
関連して、けんすうさんは「面接官より詳しい話をするとミスる」と指摘します。出版社で「本が好き」と言っても、相手のほうが読んでいるからです。
その会社のIRを読み込んで、外ではまだ言われてないが、おそらく社員もチェックしてないだろうという一文を膨らませると、調べてる感がすごく出る。
田中さんも金融で似た失敗を見ています。案件名を挙げても、二言目の「バリュエーションはいくらだった?」で詰まる人が多いといいます。相手が詳しくない領域を突くのが得策です。
フェーズと数字で見せ方を変える
外資の面接は、若手から始まり進むほど上の役職に上がっていく傾向があると田中さんは言います。それに合わせて見せ方を変えるのがポイントです。
序盤は論理的思考力や数字の処理能力を、上に上がるほど人情味のある話にシフトさせるといいます。けんすうさんも、現場は一緒に働けるか、経営者は会社を変えてくれそうかで見ていると補足します。
もう一つの武器が数字です。数字が出てこない話は説得力を欠きます。
数字を言わない人で特に多いのが、バックパッカーをやってたっていう話。あれ全然頭に入らない。全部情緒の話になるので。
さらに、数字は端数まで言うのが効くといいます。この番組の「面接53回」も、その実例です。
大体50回じゃないんですよね。しっかり細かい数字を言うと、めちゃくちゃちゃんと覚えてる感がある。端数をちゃんと言う。
田中さんは受ける会社の売上、営業利益、前年比、PERなど重要な数字を10個ほど、一の位まで言えるようにしていたそうです。ラインヤフーの川辺さんも単語カードで自社業績を暗記していたと、けんすうさんは紹介します。
逆質問と矢継ぎ早の質問の落とし穴
最後の逆質問も勝負どころです。「特にありません」は即アウトだと田中さんは断言します。
一方で、自分の聞きたいことをただ聞くのもよくないといいます。田中さんが最もダメだと感じるのは、矢継ぎ早に浅い質問を連発するパターンです。
この「え」って言いながら、次のなんでもない質問をどんどん聞いていく。あれを繰り出されると、もうこっそりバツって。
代わりに勧めるのは、一つの質問を深掘りすることです。相手の答えを消化し、さらにクリティカルな質問を返せるかが見られるといいます。
その質問の答えのイエスかノーかによって、あなたの志望度が変わるのか。変わらない質問をするのは意味がないと思う。
けんすうさんは、面接官が「話したかったけど話せなかったこと」を引き出す直球も有効だと言います。
これ僕が知っといた方がいいけど、今日まだ話に出てない話は何かありますか、と聞くと。多分あると思うので。
グループ面接のバトルロイヤルを生き抜く
話はグループ面接に移ります。けんすうさんはサイバーエージェントで、その場の全員が「一緒に働きたい人」に自分を選んだのに落ちた経験を語ります。
面接官含めて僕が一番わかってたんですよ。めっちゃ落ちましたね。活躍して意味なかった。
理由は後日、面接官から聞かされました。求められていたのは営業職で、ウェブサービスの知識ではなかったのです。場が何を求めているかを見誤ると、実力があっても通りません。
田中さんは、外資のグループ面接で経験者同士が事前に組み、特定の一人を集団で蹴落とす場面に何度も遭ったといいます。
まず弱そうなあいつから蹴落とそう、というのを相当食らって。でも絶対落ちないようにしてたんで。
対策として田中さんは、議論の冒頭で「ゴールとKPIをどうするか」を発言して主導権を握りつつ、発言していない人に話を振っていたといいます。
周りを輝かせようとした方が、グループ面接は通り続けてたイメージがある。スポットライトの当たってない人に発言を促すだけで、ポイントが3点ぐらい上がる。
ピンチのリカバリーショットと名刺ハック
田中さんは、ピンチのときこそ切り返すことの大切さを、自身の失敗談で語ります。グループ面接で「30秒で自己紹介」と言われ、終わると「40秒、時間オーバー」と指摘されたときのことです。
その場では反撃できませんでしたが、最後の質問の時間に手を挙げ、逆に面接官へ切り返しました。
僕の手元の時計だと28秒でした。だから40秒じゃないと思いたい。ちなみに面接官の皆さんも30秒で自己紹介していただいてもいいですか、と返す刀でやってみたら。
すると自分に「時間オーバー」と言った面接官が38秒かかり、その面接は通ったといいます。何もしなければ終わりだと考え、手を打つ価値があると判断した結果でした。
何もしなかったら終わりだなと思ったんで、手を打つ価値はあるかなと思って。
もう一つが名刺とお礼メールのハックです。面接官に名刺をねだり、お礼メールに答えられなかったことのフォローを添える方法です。
社会人は名刺を求められると出してしまうバグがあり、名刺にメールを送ると返信をする習性があり、そうすると覚えてもらえる。
田中さんも面接官として就活生のメールは無視できなかったと認め、リカバリーショット感が出れば目に留まると話します。
面接は茶番と認識せよ
三次面接あたりで田中さんが使っていたのが、志望先を「サービス業」と位置づける切り口です。
ロジカルシンキングの本も大前研一さんの本も読んだけど、最後この仕事はサービス業だと思いました、と。だったら一緒に働きたい人ベースで見なきゃいけない、と言ってた。
けんすうさんはこれを「茶番」と呼びつつ、面接を茶番だと認識することこそ重要だと言います。面接はビジネスコミュニケーションの場であり、そのプロトコルを守れるかが見られているからです。
茶番だとお互い分かってても、営業の場ではこう言う、というプロトコルが決まっている。そこから外れたことをされると嫌悪感が出てしまう。
田中さんは、学生と会社であっても雇用契約はビジネスの関係だと整理します。だから会社に多少合わせるのは当然で、盛るのもよいが伏線は自分で回収せよ、といいます。
会社選びはオンリーワン感と人
最後に会社選びの基準です。田中さんは、業界内で違いがわかりにくい会社より、オンリーワン感のある会社を選んだといいます。
リクルートはリクルートしかなかった。ナンバーワンでもあるけど、すごいオンリーワン感がある会社じゃないと嫌だなと思ってた。
けんすうさんは逆に、グローバル企業でない方がよく、インターネット出自ではないがネットで儲かっている会社としてリクルートを選んだと話します。決め手は人でした。
いろんな会社を受けたときに、圧倒的に人が合うのがリクルートだった。働く人が全員気が合う人だったら、仕事内容は何でも大丈夫だと思って。
社風は受付の段階でも見えるといいます。田中さんは楽天を辞退した際に強く食い下がられ、「そういうとこだよ」と感じたと振り返ります。
けんすうさんは、リクルートが社員から学生に会いに行くスタイルであることに、自分たちが学生を口説くという姿勢が表れていると指摘します。
まとめ
外資ほぼ全内定の田中さんとリクルート一択のけんすうさんの経験は、面接がビジネスコミュニケーションの場であり、その作法を踏まえた見せ方が鍵になることを示しています。エピソードの強さよりも、話の組み立て方と場の読み方が問われるという内容でした。
- どんな質問も、トラブル対応から得た能力、志望先での活用までをパッケージにして自己PRか志望動機につなげる
- 数字は端数まで言い、逆質問はイエス・ノーで志望度が変わる問いを一つ深掘りする
- グループ面接では主導権を取りつつ発言していない人に話を振り、周りを輝かせる側に回る
- 面接は茶番だと認識し、ビジネスのプロトコルを守った上で見せ方を変える
- 会社選びはオンリーワン感と、受付段階から見える「人」の相性で判断する
