毎年恒例、アイデアソン報告会の始まり
番組のタイトルコールと挨拶のあと、お知らせを経て、波子さんが今年も参加したインクルーシブデザインアイデアソンの報告が始まります。
波子と。
やまめの。
水辺でおしゃべり。
こんばんは、波子です。
こんばんは、やまめです。この番組は、お互い水に関わる名前を持つ車椅子ライター波子と、文具と当事者デザインの研究家やまめが、文具や道具、インクルーシブデザインについておしゃべりするポッドキャストです。
Spotify、Apple Podcast、YouTube、Amazon Musicで配信しています。ぜひ番組のフォロー、高評価をよろしくお願いします。
まず定期、毎回のお知らせ。このポッドキャスト、スタートから約2年の配信からハイライトをまとめて記事にした本を販売しています。WEBショップ、文具王工作室から購入できますので、ぜひご覧ください。
はい、ご覧ください。今回、私からもちょっと告知がございまして、これを配信している本日、OKB48総選挙の握手会in今井文庫、絶賛開催中でございます。
奈良での開催、今井文庫さんでの開催は、今回3回目となっておりまして、11月3日から始まって11月8日の日曜日まで開催しております。
場所は奈良県橿原市今井町のコミュニティアンドブックカフェ今井文庫さんにて、12時から17時まで、日曜日のみ16時までとなっております。ぜひお近くの方、お運びくださいますようよろしくお願いします。
ちなみにこの今井文庫さんにも、同人誌の方も置いていただいてますので、お買い求めいただけます。よろしくお願いいたします。
今頑張ってますっていうやつなので、ぜひ。
はい、そんなわけで。
今回は波子さんの(報告の)感じですね。
今回はですね、もう4回目かな、参加しました。毎年秋、9月に参加しております、インクルーシブデザインアイデアソンっていうのを、また今年も参加してまいりましたので、そのご報告をね。
毎年してるよね、とりあえずね。
毎年してるから、結構ほら、(報告が)溜まってきてる感じするじゃないですか。
なんていうか、データが積もってきてる感じがするね。
企業の社会人と学生、リードユーザーで挑む「恐ろしい3日間」
アイデアソンは、障害当事者が「リードユーザー」として、企業の社会人や学生と一緒にチームを組む実践型のワークショップです。波子さんが仕組みを説明します。
このインクルーシブデザインアイデアソンは、特定非営利活動法人インクルーシブデザインネットワークっていうところが開催してるんですけれども、今年も9月17日から9月19日まで3日間で。
私たち障害当事者がリードユーザーで参加するんですけど、そのグループの中に、企業から参加されている新人さんぐらいの社会人の方と、ちょっと中堅ぐらいの方がいて。
会場が芝浦工業大学の豊洲キャンパスで、すごい綺麗なところで開催されるんですけど、そこの学生さんが今回も参加してくださって、リードユーザーとメンターさんとで8人から9人ぐらいのメンバーで今回も開催ということになりました。
社会人の方が入るのって、企業研修的な意味合いもちょっとあるみたいな感じってことですよね。
そうなんです。リードユーザーと一緒にフィールドリサーチ実践型のワークショップです、と。企業向けの説明としては、インクルーシブデザインの基本と具体的なプロセスが学べると。
同じ会社からのメンバーは、基本的に同じグループに入らないので。そのチームで3日目にプレゼンをするっていうね、そういう恐ろしい3日間なんですけど。
初日に初めて出会って、私のことをみんなで観察してもらって、フィールドワークで一緒に外に出かけて、一緒にご飯も食べて、私のニーズを積み上げていただいて、3日目のプレゼンに持っていく。
そういう恐ろしい駆け足の。それぞれの企業から、偉い人が来はるからね。
あ、(偉い人が来るのは)最終日?
うん、そうそう、最終日プレゼンって。
そういうピリッと感があるのはいいですね。
今年のテーマは防災。全員で池袋の防災館へ
例年はグループごとにフィールドワーク先を選びますが、今年はテーマが「防災」と決まっていて、行き先も全員一緒でした。
そうなんです。毎年大体テーマが決まってるわけなんですけど、身につけるものとか、いろんなテーマが毎年あるんですけど、今年は防災って初めからもうテーマががっちり決まっていて。
いつもだとフィールドワークは、設定された3つぐらいのコースから選んで、それぞれ行きたいところに行くみたいなところがあったんですけど、今回は全員で池袋にある防災館に行くっていうのも、もう決まっていて。
おー。
池袋の防災館は、ちょっと年季の入った建物だったんですけど、(リードユーザーは)車椅子ユーザーが3人かな。あと盲導犬を連れてらっしゃる視覚障害者の方がお一人。
あと歩いてらっしゃるのと同時に、記憶にちょっと障害がある高次脳機能障害の方が一人いらっしゃったり、聴覚障害の方が一人いらっしゃったりって、そういう感じの今回の構成だったんですけど。
全員で一緒のところに行くのは初めてだったんで。向かう時はバラバラで近くでご飯食べて、そこから各自で向かうっていう感じだったんですけど、大集合するのがちょっと結構なことでした。
大所帯ですよね。
大集合。8人ぐらいのグループが6つあるので、結構な。それに加えて、スタッフの方も一緒に行かれるので、結構なことだったんです。
2時間かかった宿題「障害者の災害対策チェックキット」
防災がテーマのため、リードユーザーには事前に、Webでも公開されている「障害者の災害対策チェックキット」を作ってくる宿題が出ていました。
障害者の災害対策チェックキットっていうのが、ちょっとWEBでも公開されてるんですけど、国立障害者リハビリテーションセンター研究所の福祉機器開発室福祉デザインワークショップっていうところから出てるやつで。
災害が来る前に、障害者である自分の体がどういう状態か、自分はどんな生活を送ってるかっていうのを書き出すことによって、自分の状況を振り返ったりとか。
今家に何を備えているか、何が足りないから準備せなあかんなっていう備えを、バッテリー、電池とか医療機関との連携とか、ちっさいカードに切り取れるような感じで(キットの)中にあって。
小冊子を埋めるみたいな感じでもありますよね。
枠が書かれていて、空白の枠に切り取ったそれぞれの紙を、のりで自分で貼るみたいな。
今の自分は何を常備していて、何が災害に備えるには足らんかもなっていうのが、ひと目で把握できるようになっておりまして。それを自分で事前に作って持ってきてね、今回。
あ、宿題があったんだ。
事前の宿題が、結構作るのに2時間ぐらいかかって。
めっちゃ大変じゃないですか。見た感じだと10年前ぐらいのツールなので、それ(チェックキット)自体も更新してもいいかもなって感じがします。
アイデアソンに参加するために宿題として出されたものではあったけど、やることによって、自分の防災に対する心構えというか、ちょっとピリッとするというかね。
防災に関する意識が高まった状態で、生まれて初めて防災館に行ったわけよ、私ね。
「下がっちゃダメです」と言われても下がらな開けられへん
防災館では、地震の揺れや、火事の煙が充満した建物から逃げる体験ができます。波子さんは、車椅子ならではの発見を語ります。
防災館って、地震の体験ができたりとか、火事の後の煙が充満した建物の中から逃げる体験とか、そういうのができるとこなんですけど。
地震は、やっぱ車椅子が揺れた時の姿勢が怖かったので、揺れは体験しなかったんですけど、煙のところのは一応やってみたんですよ。
煙が一旦上にぐわっと上がったやつが、降りてくるのが意外に早いことが分かったりとか。降りてきた煙を吸うとダメなので、なるべく低い姿勢にして皆移動するわけなんだけども。
途中にドアが何枚もあるから、ドアを開けながら廊下を進むわけね。ビルの中にいるっていう状態を設定してあるんだけど、車椅子で頭を屈めるのはすごく難しいこととか。
どんなに低くしたって、座った人の屈まない状態ぐらいにしかならないので。結局、煙たかったら終わりなんですけど、煙たかったわと思って。私はあかんわっていう話。
(屈めた)姿勢を、波子さんとか、前にしてキープするのって難しくないんですか?
かがめた状態はそんなにしんどくはないけど、かがめたとてさ。
とて(笑)
かがめたとて、車椅子に座ってる腿の上に上体を倒すだけやから、膝の前に顔があるぐらいの感じ。せいぜいね。
いけんことはない。私のは電動だから全然大丈夫だったんだけど、手でこぐ人はその姿勢は多分結構しんどいと思うし、前見ながらしんどいと思うし。
ドアを開けるのが難しくて。途中までは前の方に押し開けるタイプの開きドアだったの。最後の3枚目のドアだけ、手前に開くタイプの開きドアだったの。そこでうわってなって。
私開けられへんから開けてってなって、開けてもらったりとか。でも開けるためにも、ドアを手前に開けるから、いっぺん下がらなあかんやんか。
それを外から見てた係の人が「後ろ下がっちゃダメ、下がっちゃダメです」って言ってくれてんけど、いやいや、下がらな開けられへんからと思って。
実際ね、引くタイプのドアで、後ろに下がるにしても、もういっぱい人が来てるから開けられなくてっていうのは実際ある話ですから、結構怖いかもな。
本当に、外に出るドアは少なくとも絶対外に開くべきやと、ほんまに思った、あれは。屋上に出るドアとか。
多分作る時の想定だと、例えば強盗が入った時に外に出させないためにっていうとこで、(開く向きが)逆になってるとこもあるじゃないですか。
だから、どっちを取るかとか、何を優先するかみたいなところで、やっぱ変わるんだろうなとは思いますね。
まあね。屋上へのドアは、基本逃げる時に使う方が多分多いやん。
そうね、屋上にはそう。
泥棒が入るより。だから屋上のドアは絶対、外に向けて開くドアにしといた方がいいんじゃないかってすごく思った。
今、やまめさんも同じ火災の事件を思い浮かべてると思いますけど、ただでさえ鍵が開かなくてっていうのもあるけど、開いたとしても、手前に開くドアは(人が)殺到してると絶対開けにくいよね。
防災館では消火器を使う訓練もあり、波子さんには意外な発見がありました。
あとそれとか、消火器を自分で使う訓練もあって。消火器は、意外に置いたままだったら私使えたので、それはちょっと大きな発見だった。
消火器を自分で使うのは無理だと思ってて。結構力いるかなと思ってたんだけど、ピンを引くのも(狙いを)定めるのも割と大丈夫だったので。
ただ重たいから、本体は多分運べないね、私。だから家に置く(消火器の)ものをどうするかっていうのは、結構課題かなっていうのはちょっと思った。
家にいたい。情報が来ない不安をどう埋めるか
防災館の往復で初日はほとんど時間がなくなりましたが、テーマがはっきりしていたため、波子さんのグループは話を絞っていけたそうです。
みんなも防災館に初めて行く人はきっと多かったと思うので、それはすごく良かったんじゃないかなと思いましたですね。
ただ行き帰りも含めて3時間ぐらいかかったので、初日に何かをするっていうことがほとんどできなくって。
普段は、初日にフィールドワークで見た気づきをもとに、こういう感じのことにしようかなと思いますみたいなところまで、一旦まとめて発表するのもあんのよ、初日に。
なんだけど、そこまでちょっと持っていけなかったので、今年はすごい大変かもって思ったのが初日の最後だった。でも、テーマが最初からはっきりしてるので、そういう意味ではあんまり迷わず。
うちの(グループの)方は、避難をするかどうかっていうところに絞ったんだけど。被災した後、避難所にいるのか自宅にいるのかっていうところから始めて、どっちかに滞在した時にどう過ごすかに絞って話を持っていって。
でも基本的にはやっぱ家にいたいって話をして、動かれへんからって話をして。家にいる時に何が不安なのかっていうところを突き詰めていって。
情報が来ないのが不安よねって(なって)、避難所にいる人と同じレベルで情報が入ってくるようなツールを考えましょうかっていう話に、今回は持っていけたので、流れとしては結構スムーズにいってすごいよかったなと思って。
例年に比べると(グループが)6つって結構少なめな印象だったんですけど、少なかったから余計に少数精鋭な感じで、全員が一つのところにみたいな感じは、もしかしたらあったかもなと思って。
でも(防災が)テーマで設定されてないと、普段だとなかなか選びづらいところかもしれないですし、今っていうのもそうですけど、割といいテーマだったのかなとか、一回やっておいた方がいいテーマというか。
ハード、ものの面で、こういう開きやすいドアにしましょうみたいな話ではなくて、心理面のところにアプローチするっていうのは、アイデアソンだからできることみたいな。
発見して発表までできることっていうようなものなのかなと思うので、そっち(心理面)に行ったのはすごい良かったように聞こえます。
うんうん、本当に。他のグループだと、避難所に行くっていう形で考えた人とか、避難所に行く行かないは別として、車中泊を多分するだろうっていう人の、車中泊で不足するものをプラスするとか。
あとトイレが多分難しいからっていうので、トイレをどういうふうにするかっていうのを考えたところ。防災ってすごくテーマを絞ったにしては、結構様々なものがちゃんと出ていたので。
あんまり絞りすぎてもさ、同じようなことになる可能性もあるわけやんか。(でも)ちゃんと提案がプレゼンになっているっていう感じだったので。
防災っていうのが、それぞれに対して思うポイントが違って、表には出てない不安なこと、気がかりなことっていうのが、実際はいっぱいあるっていうのがわかったってことでもあると思うんですよね。
そう、そうだと思う。そうだと思う。
(避難所に)行った時の配慮とか、簡易トイレをどうするかとか、そういう部分でばらけたってことは、それぞれのところにもっといろんな隠れたものがあるので、そこに気づけるのはすごい大事なことだったんじゃないかなって思いますね。
ポジティブな人たちが口にした「迷惑をかけたくない」
プレゼンにはインクルーシブデザインネットワークの名誉顧問である瑶子女王殿下がご臨席されます。今年のコメントは、リードユーザーの意外な一面に向けられたものでした。
参加するリードユーザーも、自分が本当に生きるか死ぬかっていう極限の状態の時に、どういう選択をするのかっていうのを普段からイメージしてるとは思うけども、それをすごく深掘りできた回ではあったかなと思ってて。
名誉顧問に、皇室から瑶子女王殿下がインクルーシブデザインネットワークの顧問になってらっしゃるので、いつもプレゼンの時にご臨席賜るんですけど、全部のプレゼンをご覧になった後に、いつもコメントをすごくいただくのね。
(殿下は)よく来るメンバーもいるっていうのも把握されていて、リードユーザーとして参加するメンバーにポジティブな人が多いっていうのはすごくわかってらっしゃる。まあ、活動に参加する時点でポジティブな障害者のわけですけど。
ポジティブでアクティブなね。みんなそうなのにも関わらず、今回、自分のことで誰かに迷惑をかけたくないとか、そういうネガティブなことをみんなが言っていて。
いつもポジティブでアクティブな人が、それでもこういうことになるとネガティブな発言をするっていうことに対して、(殿下は)すごく驚かれてて。
誰もが助けられるのが当たり前なのに、そういうふうに思うっていうのは、やっぱりすごく印象に残られたみたいで。でもそれは確かに、本当にそうだなと思って。
私も普段、割とポジティブな方だと思ってるし、アクティブな方だとも思ってるんだけども、全員が生き死にに関わる状態になった時に、自分が他人に迷惑をかけるって意識がやっぱりすごく強いのね。
リードユーザー6人いたけども、ほぼそういう意識がやっぱあって。だから、できれば自宅にいたいと、そういう意識がすごくあったんだけども。
ただ今回、私の中ですごく大きな意識改革だなと思ったのは、いろんな話を聞くにつれて、頼ることをあまり恐れないようにした方が、結果的にスムーズになることもきっとあるなっていうのは。
前々からなんとなく思ってはいたけど、今回改めて強くそう思ったっていうのが、こういう言い方あんま好きじゃないけど、大きな気づきでした。あんまり好きな言い方じゃないけど。
自治会と近所の人がいるからこそ、一緒に逃げる
波子さんは自分の発表後のコメントで、住んでいる地域の自治会の取り組みに触れました。
私が今住んでるところは、自治会がすごく活動的なところなので、防災の時に避難する時の要支援者のリストアップを、七ヶ市の方で多分自治体に言ってると思うんだけど、それをちゃんと実行してて。
私は毎年自治会長さんと面談をして、私の家の近所の人2人を支援してくれる人っていうことで設定してもらって、何かあった時に、そのお二人が「波子さん逃げたかな」っていうのを意識してくれる。
そういうのをちゃんとリストアップできてて、毎年更新してるようなところで、ご近所との交流も結構あって。ゴミ出しに行く時も「行ってあげるで」みたいな感じで持ってもらったりとかするようなところなのね。
そういう感じのところなので、何かあった時に、私が家にいるって言い出しにくいと思うねん、きっと。逃げようって、多分きっと言ってもらうから。
そうなった時に、一緒にやっぱ逃げた方がいいなっていうのを、今回やってて、すごく強く思った。
うーん、なるほど。「どうしたいですか?」っていうのが聞かれるし、そこで選択するけど、その選択に自分は納得がいってるかもしれないけど、周りの気にかける担当の人がどう思うのか。
全体として一番救える命が多いのはどういう選択なのかとか、自分一人でこの選択にしますって決めたのが最善なのかみたいなところから、考えさせられますよね。
そうだね。それは障害者だけじゃなくて、小さいお子さんがいるとか、家にペットがいるとか、いろんな人も同じだと思うんだけど。
ペットを飼ってらっしゃる方は、なかなか避難所には行きにくかったりとかして、車中泊にされたりとか、家に戻られたりとか、そういうのも結構あるわけですよね。
実際データとして、半数近くの人は実は避難所に行かないっていうデータもあったらしくて、意外に全員が行くわけじゃないよねっていうのから、うちのグループは自宅にいる方向に行ったんやけど。
今現在の時点で情報共有のツールがないんだったら、多分(避難所に)行った方が、きっと結果的に周りにもご迷惑にならず(済むん)だろうなっていうのは、すごい思ったけど。できればやっぱり家にいたいなっていうのは、ちょっとあるかな。
そうですね。でも判断基準は、周りのご迷惑になるかどうかなんですね。
そう、だって家に一人いることによってさ、支援物資が来た時に、誰かがわざわざうちの家まで運んでくれなあかんわけやん。個別には来ないわけだから。
ご近所さんがみんな家にいるんやったら、それはそれでいいかもしれないけど、そうじゃなかったら、一人だけっていうのはちょっとしにくいよねっていうのは、やっぱり思いますわね。
それが手間みたいなところと、やっぱ安全かどうかっていうところ。地震だったら余震があるかもしれないし、大雨とかだったら道がどうなってるかっていうのもわからないし。
自分の判断より、結構広い視点を持たなきゃいけないっていうのが、緊急時のイレギュラーなことに対峙してるメンタルの時にできるかどうかって、誰しも迫るものがあるところ。
あるよね。あるね。うちの家の周りの状況からすると、避難せなあかん状態って、多分地震の時なのよね。
地震が起こった時、いろんなものが倒れたりしてる外を、多分車椅子で移動できひんやん、きっと。そうなった時、誰かにおぶってもらうわけってなるやんか。その時点でもう、いやいやみたいなことになるわけ。
(防災館で揺れを)どうなるかわかんないからって体験されなかったのが、(実際に)来るかもしれないってことじゃないですか、言ってしまえば。
そうそうそうそう。みたいなのはちょっとございますよね、やっぱりな。実際どうなるかわからへんけど。
でも改めて思ったのは、何かあった時に人に頼ることを、「いやいややめときます」って必要以上に固辞しない方がいいだろうし、そういう気持ちにも持っていこうっていうふうには思ったりしましたですね。
だって私が逆の立場やったらさ、置いていかれへんやん。そんな、見捨ててはいけませんからね、多分。
そういうことが起こらないことを祈るばかりでございますけれども、何かあった時には、頼ることに対して自分が必要以上に病まないように、メンタルを頼ろ、頼ろっていう方向に持っていけるようにした方が、きっといいかなって。
今回、防災っていう差し迫った、エマージェンシーなことに対するイメージが、いろいろ具体的にできたっていうのはすごい良かったかなと思って。
「俺もう諦めるわ」から「もうちょっと生きるわ」へ
別のグループでは、防災館の体験でリードユーザーが口にした一言から、プレゼンが大きく動いたそうです。
他のグループでも、リードユーザーが防災館で体験した時に、「もう俺諦めるわ」っていうこと言ったんだって。
その諦めるわっていうのは、そのグループのメンバーにとってはすごくショックな一言だったと思うのよね。諦めるってこともイコール、そこで俺はもう死んでもいいってことやから。
そういうことを言う人間が目の前にいるっていうのは結構ショックだったと思うので。でも、そこからいろいろ話し合って、「俺もうちょっと生きるわ」っていうふうになったので、すごい良かったんですけど。
すごいドラマのようなプレゼンだった。それ良かったんですけど。
今回、本当に障害者のネガティブな一面が、すごく表に出やすいテーマだったので、人のネガティブな状態を目の当たりにしてどう解決するかっていうのは、なかなかできない体験だと思うので、良かったんじゃないかなと思っておりますね。
いつもよりもすごくシビアな感じの。すごい良かったんちゃうかなと思って。
成果物より「間に何を思ったか」が大事な回
やまめさんは、これまでの報告と比べて、今年はプロセスそのものに価値があったのではないかと語ります。
前回も前々回もいろいろお話してくださいましたけど、多分過去2回とかよりも、プロセスが重要というか、このアイデアソンの間にみんなが何を思ったかみたいなことが、すごく重要な回だったのかなって思いますし。
最終のプレゼンで発表した「こういうものが作りたいです」っていうものも重要だし、次のものづくりの発想に活かすのに大事なパーツではあると思うんですけど、間に何を思ったかみたいなのが、より大事なんだろうなと思いましたし。
そういうイベントの開催報告みたいなのって、ウェブの記事に上がったりとかするじゃないですか。そういうのって、こういう成果物が発表されましたみたいな話に、やっぱり持ってかれがちなところがあるので。
拾えるものがワンポイントに絞られてるみたいなところが、ちょっともったいないぐらいだなというふうに、今聞いてて思いました。
確かにね、まあね。
どう表現するかとかは、ちょっとわかんないところはありますけど、いつもよりも、今のお話がすごく良かったなと思いました。
普段ポジティブでアクティブな人から、あんまネガティブなこと引き出すのって難しいことやから。それを全員が一言二言はネガティブなことを言うっていう、そういう感じのところが今回はあって。
それだけショッキングというか、そういうところはあったかもしれないけれども、結果的には良かったんじゃないかなと。
波子さんのグループが情報共有ツールを発表したとき、避難所へ行く選択をしていた別のリードユーザーの反応が印象に残ったそうです。
私たちが、情報共有ができるようなツールを作ってっていう話をプレゼンした時に、盲導犬を連れてらした視覚障害の方は、避難所に行くっていう選択をした上で、避難所でトイレに行って戻る時に元の場所がわかりやすいようなツールをプレゼンしたんやけど。
うちのグループのプレゼンが終わった時には、「それがもし実現するんだったら、私も家にいたい」っていうふうに言ってくださって。
おー。
「それがあったら私も家にいる」って言ってくださって。プレゼンした商品が実際に形になるかどうかは別として、そうなったことをイメージして、「あれがあるんやったら、私もこれができるわ」って思えるのも、すごい良かったなと思って。
テーマが一つ決まってたので、6種のプレゼン全てが結構自分事のように感じられるプレゼンだったというか、今回、真剣に聞き取っておりました。
大きな地震を経験していない世代の、想像しきれない怖さ
やまめさんは、防災というテーマから自分自身の話を切り出します。
今回、防災だったじゃないですか。ちょっと自分の話をしちゃうんですけど。
私、94年生まれで、何度か言ってましたけど、徳島生まれなので、過去30年ぐらいの間にあった地震で、例えば95年1月の阪神淡路大震災であったりとか、3.11の東日本大震災であったりとか。
熊本地震であったりとか、能登半島地震であったりとか、いろんなタイミングで大きな地震って起こってるんですけど、(私は)体験したことがないんですよね、大きな地震を。
それは幸いなことなんですけど。なので、自分の身に迫った感じっていうのが、いまいち現実味を持たないっていうのが、ちょっと気が引ける部分であったりして。
想像しきれてないんだろうなって思うし、実際来た時どうなるんだろうっていうのがすごい怖いし。
私も、自分自身が体験した一番でかい地震は3.11なんだけど、その時、私東京にいたので。私が体験した一番でかい地震だけども、一番きつい震度ではなかったわけだからね。
家が壊れたとか流されたとか、そういう体験はしてないけども、家のものが全て倒れた、その中にいたっていう体験は一応しておりますので。
その時は、ほっそいマンションの8階に住んでたから、揺れが結構激しかったんだけど。物はめっちゃ倒れて本棚全滅したし、冷蔵庫とかもドアがバンって開いて、中身がビャーっと飛び散ったりとかしたんだけど。
ただ、その家の中では過ごせたわけ。だから避難はしたことがないねん、私も。家の中を片付ければ全然OKだったし。
避難をしなければいけない状態っていうのは、すごいことやんか。家に帰れへんわけやから。イメージするのはなかなか難しいわね。
難しいけど、地震はどこに起こるかわからへんから、明日自分の家が崩れる可能性もあってっていうのは、いつも意識するのは難しいけど、想像するのも難しいけども、頭の中に置いとくっていうのは大事かなっていうのは思う。シミュレーションというかね。
排泄まで書き出す宿題と、「割り切り」の難しさ
やまめさんは、テーマが決まっていたこと自体に、もうひとつの意味があったと話します。
私が今回、今の話を聞いて、このテーマが良かったなって思うところがもう一個あって。(防災が)こういうテーマになってるから、考えるきっかけになるじゃないですか。
タブーまではいかないですけど、ちょっと気が引けて話題にできないことって、生活の中でいくつかあると思うんです。そういうのを引き出せるのって、会のテーマであったりとか。
真剣に話せるからね。
そうそう、真剣に話せるの大事。
地震があったっていうニュースがあった時に、「怖いよね」とか「備蓄してる?」とか、それぐらいの話をしたとしてもさ。
真剣に突き詰めて、どういう行動をとるのかっていうのを、こういう話し合いのテーマとして何かあると、みんな参加しやすいというか、話しやすいというか。いつにも増してすごいさらけ出した気がしたわ、ほんまに。
それこそでも、大事でできてよかったんじゃないですか?
まあね、それはそうだけどね。
まあ、さらけ出す側としては、ちょっとパワーはいると思うんですけど。
そうそうそう。冒頭で、宿題として自分の体のことや生活のことを書き出せって話をしたけど、どういうところに介助がいるかみたいなのも書くためやと思うねんけど。
就寝、食事、排泄、入浴、外出、その他っていう項目があって、それを1日24時間のどこでどういうふうにするか、何が必要かを書き込むところがあって。排泄をオープンにするのって結構なことやでと思って。
これ書くとしたらどういうこと?って。人によっては、オストメイトの人とか、自分で決めた時間に使いますみたいなことを多分書くんやと思うねん、きっとね。
だから、そういう項目も、自分が関係ない時点だったら気が引けるとか、ちょっと恥ずかしいとか思うけど、その紙には一応用意しとかなきゃいけない項目っていう、それも難しい。
私はそう思って、なおかつ自分でできるから、書かないっていう選択肢が取れるけど、介助が必要で書いた方がいいんだろうなっていう人でも、それを書くのを良しとしない気持ちになる可能性あるやんか。
ありそう。
書かないといけないかもしれないけど、書くの?ってなる人も絶対いると思うから、難しいよね。その辺の割り切りがなかなかね。
私もいずれ通る道やから、年いってるから開き直れるけどさ、若い人やとしんどいよ、きっと。トイレのこととか言うの。多分そうやと思う。
さっき出た割り切りですよね。そこで割り切って、自分のことを誰かに頼る、頼ろうと思う。いつ腹がくくれるかみたいな。
そうね、そうね、本当にね。
そういうのがあるかもしれないと思うだけでもちょっと違うなとも思いますし、実際なった時に割り切れるように持っていくっていうのが一つ。
自分の気持ちをね。そうなった時は、いろんな人にいろいろ手をお借りすることがあるけれども、それはもうお言葉に甘えようみたいな割り切り方をしたりとか。
なかなか難しいことではあるんですけど、介助が必要な人が、それを全然恥ずかしく思ってないわけじゃないっていうことを、皆さんにはお伝えしたいと思いますね。
だからって言って、できないわけだから仕方がないんだけど、難しいところでございますけどね。
毎年参加して報告するからこそ見える変化
最後に、やまめさんが毎年の報告会の意味を振り返り、波子さんが告知で締めくくります。
毎年違った発見であったりとか、波子さんが思ってることっていうのが、ちょっとずつ変わるじゃないですか。慣れも絶対あると思う。
それがわかってくるのは、何回か参加してる良さの一つかなと思うので、ここで報告会して整理するみたいな、その良さもあるなとも思いつつ。今年もお話がすごく充実していた感じがします。
充実していた。
ありがとうございます。
本当に。今回もそんな感じで、濃密な3日間でございました、今回も。
またね、そういうことをご報告いただければと思います。もう一回告知しときます?
そう、もう一回告知しておきます。OKB48総選挙の握手会in今井文庫が絶賛開催中でございます。3日から始まっておりまして、11月8日の日曜日まで、奈良県橿原市今井町コミュニティアンドブックカフェ、今井文庫さんにて開催中です。
時間はお昼12時から夕方17時まで。最終日8日は16時までとなっております。最寄り駅は、近鉄橿原線の八木西口駅から徒歩10分ぐらいかなっていう感じでございます。
いやでも、その(握手会の)報告会もしましょうね、またね。
そうそう、それもね、またね。(今井文庫での開催は)3回目ですからね。この番組をいいなと思ってくださった方は、ぜひ番組のフォロー、高評価をよろしくお願いいたします。今回もお聞きいただきましてありがとうございました。
ありがとうございました。
波子と。
やまめの。
水辺でおしゃべり。
まとめ
今年のインクルーシブデザインアイデアソンは防災がテーマで、防災館での体験や事前のチェックキットを通して、リードユーザーそれぞれの不安が具体的に出てきた回でした。普段はポジティブな参加者からも「迷惑をかけたくない」という声が出て、波子さんは頼ることを恐れすぎないほうがいいと改めて感じたそうです。やまめさんは、成果物よりも「間に何を思ったか」というプロセスにこそ価値があったと話されています。
- 車椅子では煙の中で十分に屈めず、手前に開くドアは下がらないと開けられないことを防災館で実感
- 波子さんのグループは「家にいる人にも避難所と同じ情報が届くツール」を提案した
- ポジティブなリードユーザーほど、災害時には「迷惑をかけたくない」という気持ちが強く出た
- 波子さんは、人に頼ることを必要以上に固辞しない気持ちの持ち方を大きな気づきとして挙げた
- やまめさんは、成果物だけでなくアイデアソン中のプロセスに価値があると指摘した




