社会保険とは結局なにを指すのか
今回のテーマは「そもそも社会保険って何?」という、これまでの回では触れてこなかった基礎の話です。吉田さんは、退屈に思う人もいるかもしれないと前置きしつつ、必ず知っておいた方がいい内容だと話しています。
社会保険とは何かと聞かれたときの答えとして、吉田さんは健康保険と厚生年金のセットを社会保険と言うと説明します。
場合によっては労災保険や雇用保険を含めて社会保険と解釈することもあると触れつつ、今回は狭い意味での社会保険、つまり健康保険と厚生年金保険にしぼって話が進みます。
健康保険は「国がやっている医療保険」
健康保険とは何かについて、吉田さんは端的に、国がやっている医療保険だと説明します。テレビCMで見かけるがん保険や医療保険の国版というイメージです。
具体的な効果として挙げるのが、病院や歯医者での窓口負担です。治療が終わって健康保険証を出して支払う金額は、治療費全体の3割にあたります。
吉田さんは、治療費が全体で1万円だった場合、窓口で払うのは3000円だと例を示します。残りの7割はどこから出ているのかというと、この健康保険から出ています。
もし健康保険に入っていない状態だとどうなるか。本来3000円で済む1万円の治療について、1万円全額を負担しなければならなくなります。
健康保険っていうのは入って当たり前なので、なかなか効果を実感できないかもしれないんですけれども、そういう効果があると。7割を国が補填してくれる。
窓口負担の軽減以外にも、健康保険には給付があります。労働者が病気や怪我で働けなくなったときには、傷病手当金という所得補償の給付金が国から出ます。
入院して費用が総額100万円、200万円といった重い病気の場合でも、国から補助が出て、月額の費用が10万円以下になるような制度もあると吉田さんは説明します。
まとめると、健康保険とは公的な医療保険を指すものだ、というのが吉田さんの整理です。
年収130万円未満なら使える「扶養」の制度
吉田さんは、健康保険について使っておいた方がいい仕組みとして「扶養」を挙げます。
これは、被保険者本人から見た一定の家族で、年収が130万円未満の人について、無料で健康保険証が持て、健康保険の給付が受けられるという制度です。
家族で扶養に入れられそうだっていう人がいたら、ぜひうまく活用して、健康保険の給付を受けてほしい。
厚生年金は老後の資金を国が支援する仕組み
社会保険のもう一つ、厚生年金保険について吉田さんが説明します。厚生年金は、日本に住んでいる人の老後の資金の準備を、国が支援するための制度です。
人は誰しもいつか老いて働けなくなったり、引退したりする時が来ます。貯金も財産も不労所得もないと、収入がなく生活していけなくなる、という問題を国がサポートするのが厚生年金の役割だと吉田さんは話します。
具体的には、20歳や22歳ごろから厚生年金保険に入り、掛金を積んでいって、65歳になったら年金を受け取るというパターンが多いと説明されます。
厚生年金には、老後の資金の支援以外にも、亡くなったときの保障や、障害を持ったときの保障があります。
老後は必ず来るが、死亡や障害はアクシデント
本題に入る前に、吉田さんは個人的な見解として、老後の資金準備と、死亡・障害の保障を厚生年金で一緒にする意味があるのか疑問だと述べます。
老後って必ず来るものじゃないですか。(それを)国としてバックアップしていくのはいいと思うんですけれども、亡くなったり、障害になったりするっていうのは、どちらかというとアクシデント的なもので、なるかならないかわからない。
そのうえで、厚生年金に入っている状態で一定の要件に該当して亡くなった場合、遺族年金という形で遺族に一定の給付が出ると説明します。
例として吉田さんが挙げるのは、専業主婦の妻がいる家庭で夫が突然亡くなったケースです。残された妻は収入がなく、子どもがいればさらに生活が困難になることが予想されます。そうしたアクシデントを救済するのが遺族年金です。
もう一つが障害年金です。被保険者本人が病気で一命は取り留めたものの、働けない健康状態になってしまうことがあります。
重い障害で働けなくなると収入がなくなり生活していけなくなるため、それを救済するために障害年金があると吉田さんは説明します。
65歳などから受け取る老後の資金。加入者の多くが想定する中心的な給付
要件に該当して被保険者が亡くなったとき、遺族に一定額が支給される
病気や怪我で働けない障害状態になったとき、本人に一定額が支給される
厚生年金だけでは老後の生活はかなり厳しい
吉田さんが絶対に覚えておいてほしいこととして強調するのが、厚生年金だけでは老後の生活はかなり厳しい、という点です。
根拠として挙げるのが、国が試算しているモデル年金です。平均年収ほどの会社員と専業主婦の妻という家庭を想定したケースで、共働きが増えている今それが平均かという議論はあると断りつつ話が進みます。
吉田さんによると、このモデル年金のケースで、夫婦合わせた月額の年金はおよそ20万円ほどです。
月20万円もらえれば、憲法が定めるような最低限度の生活はできるものの、現実的にはかなり厳しいのではないかと吉田さんは話します。
老後は体力が落ちてタクシーや家事代行を使いたくなるかもしれないが、それを潤沢に使える生活水準ではなく、旅行に行きたくても月20万円ではなかなか厳しいという具体例が挙げられます。
老後に困らないために厚生年金以外で備える
老後に豊かな暮らしをしたいと考えるなら、厚生年金保険以外の備えが重要だと吉田さんは話します。
具体的な手段として、貯蓄での準備、投資での準備が挙げられ、吉田さん自身がおすすめしているのは選択型確定拠出年金だと述べられます。
厚生年金以外にも老後に困らない体制を作っていくことが重要だ、というのがこの回の締めくくりの主張です。
まとめ
社会保険は健康保険と厚生年金のセットであり、それぞれが医療費の負担軽減と老後・万一の保障を担っています。ただし厚生年金だけでは老後の生活は厳しく、別の備えが必要だというのが吉田さんの結論です。
- 社会保険とは、狭い意味では健康保険と厚生年金のセットを指す
- 健康保険は国の医療保険で、窓口負担は治療費の3割、残り7割を国が補填する
- 年収130万円未満の一定の家族は、扶養として無料で健康保険の給付を受けられる
- 厚生年金には老齢年金のほか、遺族年金と障害年金の保障が含まれる
- モデル年金は夫婦で月約20万円で、豊かな老後には貯蓄・投資・確定拠出年金などの備えが重要






