YouTubeに三時間溶かす二人の近況
冒頭は、二人が挑戦しているYouTubeの話から始まります。岡島さんは仕事のために消していたYouTubeアプリを入れ直したところ、ショート動画に3時間溶かしてしまったと明かします。
YouTubeやらないといけないので、仕事のためにアプリを入れたところ、ショート動画に3時間とか溶けたりしてるんで絶望してますね。
玉置さんも「隙間で見ようとするけど、うっかり見ちゃう」と共感します。番組ではYouTubeチャンネルの準備を進めていて、二回ほど収録したものの、不慣れさに苦戦していると話されています。
本当にYouTuberってすごいなと思いましたね。カメラに向かって一人でニコニコして喋るとかできなくって。
抽象化と具体化はセットで効く
本題は、前回の「抽象化」とセットになる「具体化」です。玉置さんは、抽象化だけを伝えるのは片手落ちだと考えたと切り出します。
抽象化と具体化ってセットなんですよ、って話をしないと、ちょっと片手落ちかなと思ったんですよね。
玉置さんによれば、抽象化は学習効率やインプット効率を上げます。しかし抽象化したままでは、現実の場面ではすごく使いづらいというのがポイントです。
たとえば「顧客満足度を上げよう」という抽象的な話をしても、具体的なアクションで手が止まってしまいます。だからこそ具体化も抽象化と同じくらい大事だと語られます。
具体と抽象は目盛りのグラデーション
ここで玉置さんは、前回うまく伝えきれなかった点を補足します。具体化と抽象化は、右と左を直線的に行き来する話ではないというのです。
どこまで抽象的か、どこまで具体的かっていう、これもグラデーションの話なんですね。
例に挙がるのは「動物」という概念です。ある物体を「ポチ」と名前で指せば、とても具体的な個体の話になります。
ポチは犬なので、犬のほうが抽象的でポチのほうが具体的です。ところが犬と動物を比べると、今度は犬のほうが具体的になります。
つまり、犬という言葉が具体的か抽象的かは相対的な話になります。具体か抽象かという二元論ではなく、度合いがあるという整理です。
岡島さんはこれを「マトリョーシカみたい」と表現します。動物を開けると犬が入っていて、その中にポチやビビちゃんといった個体がいる、というイメージです。
「いい感じにまとめといて」で困る理由
学習では自分の具体的な経験を抽象化したほうがインプット効率は上がります。一方で、仕事の場面では抽象のままだと動けません。
わかりやすい例が、上司の「この資料いい感じにまとめといて」という指示です。「いい感じ」はきわめて抽象的な言葉です。
自分なりに「いい感じ」を解釈して具体的な書類を作り、3時間後に見せると、「これじゃないんだよね」と抽象で返されてしまう。よくある困りごとです。
玉置さんの提案はシンプルです。「いい感じ」と言われた時点で、自分の中に浮かぶ具体像を先に確認してしまえばいい、というものです。
これいい感じっていうのは、つまり、10枚ほどのスライドでわかりやすくまとめるっていう作業で大丈夫ですか?って具体で確認しとけば後から困らないじゃないですか。
抽象を一度はさんで再具体化する伝え方
前回の職務経歴の例も登場します。「販売を10年やってました」は具体的ですが、募集職種が販売でなければそこで話が終わってしまいます。
そこで一度抽象化し、その仕事で学んだことを言語化してから、応募先の職務に合わせて再び具体化して伝えます。
クレーム対応を通じて、お客様のおっしゃっていることの裏にある本当の不満を特定するということが非常に得意です。なので、このスキルは営業職においても使えると思います。
具体で突破するのではなく、一度抽象化してもう一度具体化する。この往復によって、自分が持っているものがここに適切ですよという話が相手に伝わります。
日常にあふれる「基準が不明」な言葉
玉置さんは、抽象的なまま受け取って困る言葉が日常にあふれていると指摘します。「ざっくりでいいから」「たたき台作っといて」「それ進めといて」などが例に挙がります。
さらに「もっとわかりやすく」「もっと刺さる感じに」「パンチが足りない」といった、基準が不明な言葉も多いと語られます。
期限や優先度も曖昧になりがちです。「なる早で」「手が空いた時でいいから」、そして一番困るのが「急ぎじゃないけど早めに」だといいます。
急ぎとか早めとかって、めですからね。遅めとか早めのめは本当に個人的な感覚ですよね。
会議で出がちな、やった感だけ残る抽象的な言葉も挙がります。「持ち帰って検討します」「認識合わせていきましょう」「引き続きしっかりやっていきます」などです。
岡島さんは「めっちゃ言ってます」と自覚を口にします。抽象で「やった感」を出してしまう癖に気づいた、と振り返ります。
やった感をね、出そうとしちゃってますね、抽象で、僕。かなり自覚があります。
誰も反対できないから何も決まらない言葉
続いて、誰も反対できないために何も決まらない言葉が紹介されます。「スピード感を持って対応します」「顧客第一で考えます」「速やかにPDCAを回します」などです。
岡島さんは、いずれも悪いことではないと補足します。だからこそ厄介で、「顧客第一って、じゃあ具体的に何すんの?」が抜け落ちてしまいます。
反省の場面でも「確認不足でした」「認識不足でした」「周知徹底します」といった、原因を特定していない言葉が出やすいと語られます。
ほとんど今までふわっとしたやつって、その発言でふわっとして消えるやつなんですよ、アクションが。
岡島さんも、口癖で「徹底」と言いながら実際には徹底していない自分に気づいて反省した、と正直に明かします。
なぜ抽象論だとコミュニケーションがずれるのか
面接での「コミュニケーション能力あります」も抽象的です。仕事か営業か家族か友達か、対象や場面によって中身がまったく違うからです。
玉置さんは、面接の自己PRのほとんどが抽象論だと指摘します。「臨機応変に対応できます」「責任感が強いです」「チームワークを大切にします」なども同じです。
岡島さんは、抽象が最適な場面もあると補足します。いきなり具体すぎる話をされてもすり合わせが難しく、適切な抽象度でないと伝わらず齟齬が起きる、というバランスの話です。
玉置さんはコミュニケーションの目的に立ち返ります。互いの行動を連結し、ずれがないようにするためにコミュニケーションをしているのだと語ります。
だからこそ、必要以上に抽象度の高い話をはさむと、ずれの可能性が大きいまま物事を進めてしまうことになります。
抽象を具体に落とす確認の質問術
では、どう対処すればいいのか。まずは抽象で来たものを、自分の仮説で「こういうことですか」と確認していく作業が有効です。
仮説が思いつかない場合は、そのまま「具体的に言うとどういうことですか」と聞いてしまってもよいと語られます。
期限の曖昧さには、時間軸を確認します。「なる早」には必ず相手の中にイメージがあるので、それを言葉にしてもらうのが大事だといいます。
なる早っていうのは今日中ですか?今週中でもいいですか?って、あるんですよ、イメージが。
新人が全部「なる早」を抱えて絶望する場面にも触れます。仕事は横に並べず縦のスロットで、AとBのどちらが優先かを確認すべきだと整理されます。
「お客様目線で」を具体化する視点
「お客様目線で考えて」も曖昧な指示の代表です。お客様は広い場合があり、どの特性にスポットを当てるかで考え方が変わります。
お客様の困りごとにフォーカスして考えるのか、お客様の懐具合に合わせて考えるのかって全く別の考えじゃないですか。
だから「困りごとを解決する視点でいいですか」「経済状況に合わせるということでいいですか」と、視点を特定する質問が必要になります。
わからなければ「お客さんが一番困っていることは何ですか」と聞いてしまってよい、とも語られます。ずれても会話で修正できるからです。
5W1Hと反省の具体化
自分が言う側のときは、抽象で濁さず具体的に言うのがよいと語られます。「引き続き注視します」なら、何の数字を誰がいつ見るのかまで示すイメージです。
ここで過去回の5W1Hが役立ちます。いつ、誰が、何のために、どのように、を質問するか、自分の説明を具体に置き換えるかのどちらかです。
反省やトラブルの場面では、精神論ではなく「何を変えたらそれを防げたか」を考えてほしいと玉置さんは言います。
情報の流通経路が問題だったのか、情報を流通させるトリガーが不明瞭だったのか、何らかのコミュニケーションに不具合があったはずなんですよね。
具体的な改善例として、納期変更が制作サイドに伝わらなかったケースが挙がります。報告フォーマットに納期変更の有無を書く欄を設ければ、次回から防げます。
認識の齟齬がありました。今後はコミュニケーションを重視してまいります。
納期変更を制作に伝えていなかったので、報告フォーマットに納期変更の有無を書く欄を設けます。
「行動が大事」を行動に変える問い
「行動が大事」もビジネス書によく書かれる言葉です。ただ、口酸っぱく伝えても人はあまり変わらないと玉置さんは指摘します。
理由は、いい話は頭に滑らかに入ってきて、わかった気持ちで満足してしまうからです。わかってることとできてることは全く別物なのです。
そこで有効なのが質問です。「ずっとやろうと思っていて、まだできていないことはありますか」と聞くと、人は自分の具体を考え始めます。
ずっと運動しなきゃなと思ってたんだけど、できていない。そっちの方がより行動に近くなってるんですよ。抽象論を何回も言うよりも。
「行動が大事」と言う目的は、相手を行動させることです。だからこそ一歩具体化して話さないと、現実の行動にはつながりにくいと語られます。
自己PRを差別化する三つの整理
自己PRの抽象論への対処もまとまっています。「それが得意です」と言うなら、まずその力が一番発揮された過去の場面を思い出します。
次に、その時に自分が何を考え、具体的に何をやったのかを整理します。そして最後が「それは他の人がやったこととどう違ったか」です。
最後の「他の人と何が違いましたか」がなければ、割と普通のことだったりするんですよ。
玉置さんは、クレーム対応の具体例を示します。この三つを具体的に説明できれば、「コミュニケーション能力があります」と伝えるのと全く同じことになります。
「つまり」と「例えば」で目盛りを動かす
玉置さんは、抽象と具体の往復運動を言葉で操作する方法を示します。自分に対して、抽象化したい時は「つまり」、具体化したい時は「例えば」と問いかけるのです。
抽象化したい時は「つまり」って聞いて、具体化したい時は「例えば」って聞いてあげる。
相手を理解する時は、具体を一度抽象化して受け取ります。解決策を抽象で考えたら、それを具体に落として行動として提案する、というプロセスです。
岡島さんは、コンテンツ制作の例を挙げます。「ここが微妙」というフィードバックをその箇所だけで直そうとすると、うまくいかないことが多いといいます。
指摘された5分時点だけでなく、そこに至るまでのストレスや素材の欠陥まで含めて考える。前の部分を組み替えるとOKが出る、という経験が語られます。
夫婦の例も分かりやすく紹介されます。「家に帰ってこない」という不満を具体のまま受け取り早く帰っても、まだ怒っている。これが具体と具体で対応する失敗です。
一度抽象化すると、本当の不満は「感謝してくれないこと」だったりします。そうなれば、「いつも家事をやってくれてありがとう」の一言で片付くこともあります。
スライダーを上から見るメタ認知先輩
玉置さんは、抽象と具体は本当は左右のスライダーだと言い直します。これを左右に動かしながら思考すると、仕事ができる人感がぐんと上がると語ります。
さらにアドバンスとして、スライダーを上から見る「メタ認知先輩」がいるとベストだといいます。今どちらに動かすべきかを客観的に監督する視点です。
夫婦の例にも戻ります。「感謝が足りない」ではなく、ガチで物理的に帰ってこないことに困っているケースもある。だから、具体で解決するか一度抽象化するかを観察する必要があります。
最後は番組のお知らせです。二人はYouTubeに力を入れており、チャンネル登録での応援を呼びかけて回を締めくくります。
まとめ
具体化は抽象化とセットで効く思考法です。二元論ではなく目盛りのグラデーションとして捉え、「つまり」と「例えば」で往復させることで、抽象論のまま止まらず現実の行動につなげられます。
- 抽象化は学習に強く、具体化は現実の行動につながる。両方セットで使う
- 具体と抽象は二元論ではなく、どこまで具体か・抽象かというグラデーション
- 「いい感じ」「なる早」など曖昧な言葉は、仮説での確認か「具体的に言うと?」で埋める
- 抽象化したい時は「つまり」、具体化したい時は「例えば」と自分に問いかける
- どちらに目盛りを動かすべきかを客観的に見る、メタ認知の視点があるとなおよい







