リスナーが問う「ガバナンスと現場改善」の摩擦
この回のテーマは「シャドーAI」です。しぶちょーさんによると、番組の公式ツール「おちつきAI RAG」の目安箱に届いたメッセージがきっかけで、目安箱をもとに1話を作ってみたといいます。
かねりんさんは「シャドーAI」という言葉自体を聞いたことがなく、「新しいワード」と反応します。しぶちょーさん自身も、ちらっと聞く程度の概念だったと話しています。
しぶちょーさんが読み上げたお便りは、大企業の現場で起きているジレンマを具体的に描いたものでした。
いつも楽しく拝聴しております。最近私の中でシャドーAIが熱いテーマです。DX系のライトニングトークイベント等でも、JTCの現場が組織のスピード感に危機感を抱き、個人レベルで奮闘する姿をよく目にします。
先日聞いた、重厚長大産業インフラ安全保障レベルのAI導入事例がこのジレンマの印象でした。現場はクラウドAIで効率化したいが、情報漏洩の壁で行き詰まる。結果、データが出ないローカルLLM、RAGに移行するも、高度なGPU投資ができず、技術の壁に直面してしまうという内容です。
ここに、今すぐ効率化したいという現場の熱意と、情報安全を保守するという組織のガバナンスの衝突を見ました。ただ、現場の方も黙っておらず、機密生データを入力せずに現場の文脈を抽象化してAIに打ち込むなど、ルールの中で効率化する模索をしています。
しぶちょーさんは会社員、個人活動の両面でコンプライアンスや機密保持を誰よりも注意払われているとお見受けします。この組織の厳格なガバナンスと現場改善の渇望の間に生まれる摩擦に対して、どのように向き合い、折り合いをつけて最適解を出されていますか。過渡期の現場がどう振る舞うべきか、ぜひご見解をお聞きしたいです。
お便りにあるJTC ── Japanese Traditional Companyの略。歴史が長く、年功序列や終身雇用など伝統的な慣行を残す日本の大企業を指す、やや皮肉を込めたネット上の呼び方ですの現場の悩みについて、かねりんさんは「すごくちゃんとした文章」と感心します。そのうえで内容を一言で言い換えました。
簡単に言うと、企業で(AIを)使えせんのだけどどうしてくれるの?っていうことだよね。
ホワイトカラーの多くが「ダマAI」状態?
しぶちょーさんの定義では、シャドーAIとは、会社に許可を取らずに社員が勝手に業務でAIを使っている状態のことです。会社のルールでは禁止なのに、個人で契約したChatGPTなどを仕事に持ち込むケースを指します。
しぶちょーさんが紹介した数字では、ホワイトカラーの75%が業務でAIを使っており、そのうち78%が会社に内緒で個人のAIを持ち込んでいるといいます。これは日本独自ではなく、世界全体のデータとして話されています。
かねりんさんは、シャドーAIを「内緒で使ってますAI」、つまり「ダマAI」だと言い換え、シャドーAIという響きはかっこよすぎると笑います。しぶちょーさんも、闇のAIのような響きがあると同意します。
一方で、抽象化して入力すれば使えるという感覚は、かねりんさんにも実感があるようです。元警察官としての経験から、事件の例で説明しました。
具体的な地名とか名前入れずにさ、AさんとBさんがこうなってこうなってこうなりましたけど、これ何罪でしょうかみたいなさ。
ただ、しぶちょーさんは線引きが曖昧であることを問題にします。会社からChatGPTやClaude、Geminiにアクセスできない環境だと、自分のスマホで使ってしまう人が出てくるからです。会社のパソコンならログが残りますが、個人のスマホでは会社から見えません。
日本だけのデータについては統計がないとしつつ、二人とも「日本人は真面目だから世界より低いのではないか」という感触を話しています。しぶちょーさんは、新しいツールを個人で契約して試すアーリーアダプターの比率くらいは使っていそうだと推測しています。
便利さを知らなければ別に今までの延長線上で働ける気がするんだけど。
知ってる人からするとイライラするよね。
かねりんさんは、ちゃんと仕事で結果を出したい人ほど、使わせてもらえないなら自分で勝手に使おうという気持ちになるのではないかと話し、しぶちょーさんも同意します。
歴史は繰り返す、1980年代の「シャドーIT」
しぶちょーさんによると、シャドーAIという言葉には元になった「シャドーIT」という言葉があります。1980年ぐらいから言われていたらしく、パソコンが会社に入り込んできた頃から存在する概念だといいます。
当時のシャドーITは、CDやフロッピーで売られていたPCソフトを買ってきて、IT部門の目を盗んで業務用のパソコンに勝手にインストールする行為でした。それが2023年にChatGPTが世に出てきたことで、シャドーAIという名前で問題になっているといいます。
かねりんさんがシャドーITはどう解決されたのかと尋ねると、しぶちょーさんは「リスクがそんなに大きくなかった」と答えます。市販のソフトをインストールするだけなので外部にデータが出るわけではなく、見つけたら削除や回収をすれば対応が終わったからです。
シャドーITで問題になったのは、むしろ海賊版でした。しぶちょーさんは製造業の例として、高価な設計ソフトであるCADの不正コピーが中国で安く売られ、それを会社で使うことが問題になっていたと話しています。
しぶちょーさんが強調するのは、シャドーITとシャドーAIの違いです。シャドーAIの一番の肝は、データの流出にあるといいます。
市販ソフトを勝手にインストールする行為。漏洩リスクはほぼなく、削除や回収で対応が終わった。問題は主に海賊版
業務データをAIに入力してしまう行為。気づかないうちにデータを渡し、一度渡すと取り戻せない
かねりんさんは、情報漏洩で問題になったWinny ── 2000年代初頭に広まったP2P型のファイル共有ソフト。ウイルス感染によって官公庁や企業の機密情報が流出する事件が相次ぎ、社会問題になりましたの問題と似ていると指摘します。しぶちょーさんは、Winnyはファイル交換なので渡している自覚がある点が違うと答えています。
AIはさ、なんか入力してもなんか渡してる感がないんだよね。
一回食べさせちゃったらもう永久にこう戻せない。
ChatGPTで社外秘が流出、サムスン事件の教訓
シャドーAIが問題視されるきっかけとして、しぶちょーさんが挙げたのがサムスンの情報漏洩問題です。ChatGPTが出てきたばかりの2023年に、韓国のサムスンで社内のプログラムがChatGPT経由で流出したとされる事件です。
しぶちょーさんによると、サムスンの半導体部門では当初ChatGPTの利用が許可されていました。エンジニアたちは喜んで使い始めましたが、ルールがなかったため横着をし始め、20日間で3件の漏洩が起きたといいます。
かねりんさんは、議事録の要約は「よくある使い方じゃない?」と反応します。しぶちょーさんは、機密情報がゴリゴリに入った議事録をチャット欄に入れてしまったことが問題だと説明しています。
かねりんさんが「OpenAIのサーバーから外には出ていないのでは」と尋ねると、しぶちょーさんは、入力内容が学習に使われる前提があり、OpenAIに情報を提供してしまっている以上は漏洩として扱われると答えます。どこまでOpenAIを信じるかという話もある、としています。
この事件を受けてサムスンはChatGPTの利用を禁止し、その波及効果で多くの企業がChatGPTを禁止しました。しぶちょーさんは、ここからシャドーAIの問題が加速していったと見ています。
ルールなき利用許可
サムスンの半導体部門でChatGPTの利用が許可される
漏洩
ソースコードや議事録が入力され、20日間で3件の漏洩が起きる
利用禁止の波及
サムスンが禁止し、多くの企業もChatGPTを禁止する
シャドーAIの加速
会社で使えないため、個人で使いたい人が増える
禁止するとAI業務が自宅や土日に追いやられる
サムスン事件の後、企業の対応は両極端に分かれたとしぶちょーさんは話します。AIを完全にブロックする会社と、使ってよい範囲や使い方のルールを決めて使わせる会社です。
しぶちょーさんが紹介した統計の結果では、シャドーAI対策として禁止はあまり効果がないといいます。禁止された会社の社員は、土日に仕事を家に持ち帰り、自宅でAIを使って処理するらしいのです。
これ、AIでやったら10分で終わるやつ、なんで俺が手作業で1日やらなあかんなみたいな。
しぶちょーさんは、禁止の副作用をこう整理します。禁止は社内での利用を見えなくするだけで、AIを使うタスクを土日や自宅、個人のデバイスに追いやってしまい、結果として統制ができなくなるというものです。
社内でAI利用が行われ、会社がログなどで把握できる
利用が土日・自宅・個人デバイスに移り、会社から見えず統制不能になる
かねりんさんが「むしろバンバン使ってくださいと言った方がいいのか」と尋ねると、しぶちょーさんはそこまでは言い切らず、リテラシー教育と環境整備が大事になると答えています。
日本の生成AI利用率55%、なぜ導入に後ろ向きなのか
しぶちょーさんは、2025年7月の情報通信白書 ── 総務省が毎年公表している、日本の情報通信分野の現状や課題、政策動向などをまとめた公式の報告書ですのデータを紹介します。生成AIを会社で使っていると公表している企業の割合を国ごとに比べたものだと説明しています。
かねりんさんが「50パーセント」と予想すると、答えは55%でした。しぶちょーさんは「日本をよく理解している」と笑います。
| 国 | 利用率 | 番組での反応 |
|---|---|---|
| 日本 | 55% | すごく低い |
| アメリカ | 90% | 高い |
| ドイツ | 90% | ドイツも高い |
| 中国 | 95% | すごい |
かねりんさんは、漏洩することのデメリットより、AIを使わないデメリットの方が大きいのではないかと問いかけます。しぶちょーさんは「その通り」と認めつつ、立場によって判断が変わると説明しました。
あと5年会社で平和に暮らせればいいやっていう人に対しては、5年後の生産性とかってクソほどどうでもいいわけじゃん。
しぶちょーさんによると、決裁権を持つステークホルダーにとっては、いかにリスクを5年間負わないかが重要になります。そのため、AIを使おうと舵を切りにくい構造になっているといいます。
しぶちょーさんは、この状態を年功序列と永年勤続がベースにある組織に特有のものだとし、メンバーシップ型採用の弊害だと話しています。
メンバーシップ型雇用と「逃げ切りおじさん」
しぶちょーさんは、雇用の形を2つに分けて説明します。アメリカに多いジョブ型採用は職種に対して人が入る形で、日本のメンバーシップ型採用は「この会社の一員」として入る形です。
しぶちょーさんの説明では、メンバーシップ型の日本企業ではいろいろな部署を回って出世するのが定番のコースです。かねりんさんは公務員も同じだと応じます。こうした育成が可能なのは、永年勤続が約束されているからだといいます。
一方のジョブ型では、簡単にクビを切れる代わりに、転職でジャンプアップしていくことが前提になっています。日本はよほどのことがない限りクビにできない代わりに、残業時間を増減させて雇用を調整していると、しぶちょーさんは説明します。
職種に対して採用。割り振られた仕事以外はやらない。解雇しやすく、転職でキャリアアップするのが前提
会社の一員として採用。異動しながら育成され、解雇しにくい代わりに残業で労働力を調整する
しぶちょーさんは、メンバーシップ型では若い頃は仕事量に対して給料が少なく、年を重ねると労働の対価より給料が明らかに高くなると話します。若い時の苦労を後で回収する仕組みだという説明です。
そのフィーバータイムを維持したいっていうバイアスがすごく強くかかってくると。
かねりんさんは、いかにミスをせずにそのポジションに座り続けるかが大事になる、と受け止めます。しぶちょーさんは、この構造が前のセクションで話した「逃げ切り」の意思決定を生みやすいと説明しています。
ただし、しぶちょーさんはメンバーシップ型を一方的に否定してはいません。一致団結できるため意思決定が早く、部署間でいちいちコンセンサスを取らなくても柔軟に動けるという良さがあるといいます。
しぶちょーさんによると、日本企業のすり合わせ技術や、きめ細かく物やサービスを作る力はこの形から生まれたと言われているそうです。高度経済成長期の強さもそこにあったという話を読んだことがある、としつつ、今はそのメリットをあまり発揮できていないと見ています。
年功序列が崩れてもジョブ型に移れない日本
日本はジョブ型に移行していくのかというかねりんさんの問いに、しぶちょーさんは「非常に微妙な状態が続いている」と答えます。永年勤続も年功序列も、ほぼ崩壊しているというのです。
しぶちょーさんが挙げる理由は、少子高齢化で上のポストが空いていないことです。長くいれば上に上がるはずの仕組みなのに、上の人数が多すぎて若い人は上がれず、働いていない人の分まで働かなければならないといいます。
もう老人ホームじゃん。
しぶちょーさんによると、大企業では「ネクストなんとか制度」のような美化された名前の早期退職制度が多く見られます。退職金を多く出す代わりに次のキャリアを早めに見つけてもらう制度で、それだけ上が詰まっている証拠だと話しています。
それでも採用はほぼ新卒採用のままで、転職でジャンプアップしていく人も日本ではまだ珍しいといいます。しぶちょーさんは、ジョブ型とメンバーシップ型の「あまり良くないとこどり」になっているのが今の日本の労働環境だと表現します。
しぶちょーさんが挙げた具体例は、自分の年齢での転職です。36歳で転職すると、大手企業では能力に関係なく、その会社の36歳ベースの基本給からプラスマイナス少しの範囲で決まるといいます。
やっぱ年齢で見るよね。
スタートアップや中小企業なら給料を一気に上げることもできますが、大手から中小に移ると基本的に給料は下がる方向になるとしぶちょーさんは話します。やりがいを取って給料が下がってもいいと決めて移る人もいる、という整理です。
しぶちょーさんは、こうした体系が全体にあるため、新しいことに腰が重い日本企業が多いのだろうと、生成AI利用率の話に戻しています。
Microsoftなら安心?企業が作る独自AIインフラ
一部には、AIを積極的に取り入れる企業もあります。しぶちょーさんが例に挙げたのがDeNAで、AIエージェントのDevin ── アメリカのCognition社が開発した、自律的にコードを書いて開発作業を進めるAIエージェントを社内で使いつつ、自社の商材としても扱っていると話します。
かねりんさんが「Devinに入力したデータも外に出るのでは」と尋ねると、しぶちょーさんは、契約の中身はわからないが、大丈夫だという前提のもとでやっているのだろうと答えています。
多くの会社がとっている対策は、社内で使えるChatGPTのような独自のAIサービスを作ることだと、しぶちょーさんは説明します。かねりんさんはこれを「車輪の再発明」「劣化版」と評します。
しぶちょーさんによると、OpenAIはMicrosoftと関係が深く、Microsoftのクラウド上に企業向けのオンプレに近い環境を作れるサービスがあります。多くの企業がそこで社内の生成AIサービスを動かし、そこなら入力してよいというルールで社員に使わせているといいます。
OpenAIに渡すかMicrosoftに渡すかの話だから。
いや、それは感覚の話なのよ。
しぶちょーさんの説明では、仕事のパソコンがMicrosoftのOSで動いている以上、企業はMicrosoftを否定できません。「Microsoftです」と言えば通りやすく、かねりんさんは「言い訳ができそう」と応じています。
AIエージェントの登場と「仕事のための仕事」
ところが、しぶちょーさんはAIの発展が会社のインフラ構築よりずっと速いと指摘します。今さら社内でChatGPTが使えると言われても、社員は自律的に動くAIエージェントやClaude Code ── Anthropic社が提供する、ターミナル上で動作しコードの作成や修正を自律的に進めるAIエージェント型の開発ツールを使いたくなるといいます。
一方で、AIエージェントは会社のデータを誤って消してしまうような事故もニュースになっており、怖さもあると二人は話します。しぶちょーさんは、AIエージェントをいかに社員に使わせるかが日本企業の「次の踏ん張りどころ」だと見ています。
しぶちょーさん自身は、家庭の時間も家事の時間もある中で開発や発信を並行して進めるのに、AIエージェントが欠かせないといいます。そのうえで、偉い人と部下の関係をAIエージェントにたとえました。
偉い人って部下をさ、AIエージェント的に使ってるんだよね。
しぶちょーさんの描写では、偉い人は「いい感じにしといて」と部下に会議資料を作らせ、「なんか違うな」と何度も出し直させ、最後に自分で少し直して発表します。これはAIエージェントでできる仕事であり、そうした「虚無みたいな仕事」はAIに任せられるといいます。
かねりんさんが「仕事のための仕事」と言い換えると、しぶちょーさんは会議が無限に生まれる構造を説明します。
大きい会議のためにこういう資料を作るんだ会議があります。こういう資料を作るんだ会議のためにどういう提案をしようか会議みたいなやつがちっちゃくいっぱいあります。
しぶちょーさんは、資料作りを担う「パワポエンジニア」と呼ばれる人たちの仕事もAIエージェントが担えるようになり、人間は創造的な仕事に時間を使えるようになると話します。かねりんさんは、会社の外ではAIエージェントでいろいろできるのに、会社に来ると昔に戻る状態を「怖い」と表現しました。
なんか俺もタイムスリップしてんの毎日。
シャドーAIに最適解はある?トップダウンと成功事例
お便りの「どう折り合いをつけているか」という問いに対し、しぶちょーさんの答えは率直に「折り合いはつかない」でした。そうなるとシャドーで使うしかなくなる、と半ば冗談交じりに話しています。
かねりんさんが「マスキングして使えばいい」と言うと、しぶちょーさんは考え直して否定します。線引きを個人に任せると、線引きが下手な人が必ず出てくるからです。
結局線引きっていうものをね、個人にやらせてしまうと、線引き下手なやつがやっぱいるんだわ。
組織としては、遅くてもステップバイステップで進めるしかないとしぶちょーさんは話します。まず社内でChatGPTのようなものが使えるようになり、次にちょっとしたエージェントが使えるようになる、という一段ずつの進め方です。
しぶちょーさんは、Codex ── OpenAIが提供するコーディング向けAIエージェントを企業向けに使う仕組みは出てくるだろうとしつつ、最近の法人向けプランの動向までは追えていないと断っています。そのうえで、結局はトップダウンで進めないと難しいと話します。
しぶちょーさんは、DeNAのような大きい会社がAIを積極的に使う先例を示すことが、日本に良い影響を与えていると評価します。かねりんさんがトヨタを挙げると、しぶちょーさんは「トヨタだからできた」と言い訳にされるとして、IT企業ではない会社の事例がよいと答えています。
しぶちょーさんが示した方向性は2つです。成功事例を集めて上の人にアピールし、ステークホルダーをその気にさせること。そして国からのプッシュです。
成功事例の収集
IT企業以外も含め、他社がAIを活用している事例を集める
上へのアピール
事例を示してステークホルダーをその気にさせる
トップダウンで段階導入
社内チャットAIから小さなエージェントへと一段ずつ進める
国のプッシュについて、しぶちょーさんは生成AI活用に予算がついていることを挙げます。3月ごろのセミナーで東京大学の松尾先生が、日本企業の利用率を一定以上に上げる必要があると話していたとも紹介しています。
最後にしぶちょーさんは、立場上シャドーAIは良くないと考えていると述べます。かねりんさんは「翻訳すると、やっちゃえということ。自己責任で」と茶化し、しぶちょーさんは本音と建前があると応じました。
ルールを変えるか、環境を変えるか
かねりんさんは、議論をキャリアの問題に広げます。ブレーキを踏み続ける会社に見切りをつけ、ベンチャーに行くのも選択肢ではないかという提案です。しぶちょーさんも、ちょうどその話をしようと思っていたと応じます。
しぶちょーさんは、AIをどれだけ使わせるかが会社のアピールになり、企業選びの基準に入ってくると見ています。AIを使わせないと人が採れない、という力が働いていくだろうという見立てです。
でも優秀な人やめてくよね、さらに。
しぶちょーさんは、会議は増えてしまった重役の仕事を作るために行われている感じがするとも話します。かねりんさんは「そんなところにあなたの人生を使っていいか」という問いだと受け止め、コロナに続く第2のショックとして生き方を考える機会かもしれないと言います。
しぶちょーさんは、その違和感に気づくためにも、まず個人でAIを使ってみることが必要だと話します。会社とのギャップに絶望するフェーズがあっても、気づいて行動するかどうかで人生はだいぶ変わるという考えです。
一組織のルールを変えるには一人の人生がかかるほど時間がかかり、偉くないとまずできない
転職などで環境ごと移るほうが圧倒的に早い
かねりんさんは、職場の環境を変えようと奮闘するのは不毛だと感じると話し、しぶちょーさんも「それ派」だと同意します。
だから自分の居場所を変えた方が圧倒的に早いよね。
会社を辞めた側のかねりんさんは強く共感します。一方、辞めていない側のしぶちょーさんは、会社以外に自分の居場所を自分で作っていると話しています。
しぶちょーさんは、結論は出ないが今日の話から何かヒントを得てもらえればと締めくくりました。エンディングでは、目安箱への投稿の呼びかけと、月額980円の実践型コミュニティ「おちつきAIのROOM」の告知が行われています。
まとめ
シャドーAIは、AIを禁止しても消えず、むしろ見えない場所に移ってしまう問題です。二人の議論は、その背景にある日本の雇用構造を経て、組織のルールを変えるのか、自分の居場所を変えるのかという個人の選択へとつながりました。
- シャドーAIとは会社の許可なく業務で生成AIを使うことで、1980年代のシャドーITと違い、データ流出が最大のリスクになる
- サムスン事件以降、多くの企業がAIを禁止したが、禁止は利用を自宅や土日に追いやり統制不能にするという
- 日本企業の生成AI利用率は55%で、逃げ切りを優先しやすい年功序列・メンバーシップ型の構造が導入の腰を重くしていると語られた
- 組織としては、成功事例を集めてトップを動かし、段階的に導入するしかないというのがしぶちょーさんの考え
- 一組織のルールを変えるには一人の人生がかかるため、自分の居場所を変えるほうが早いという点で二人は一致した





