公式切り抜きチャンネルとイベント直前のお知らせ
この回はまず、番組の告知から始まります。10月3日に東京で開く単独イベント「1周年祭」のチケットが、9月25日金曜日で販売終了になると告げられました。
イベントでは「落ち着きLT企画」が定員をオーバーする申し込みを集めたといいます。しぶちょーは、自分から手を挙げて発表を申し込んでくれた人への感謝を語りました。
俺が俺がって言って行動起こしてくれる人、来てくれる人も嬉しいし、さらにLTやろうと自分を奮い立たせて申し込んでくれた人にも非常に感謝しています。
もう一つの告知が、公式の切り抜きチャンネルの開始です。かねりんは、2時間前後になる本編から話題ごとに15分ほどの音声を切り出し、別番組として配信すると説明しました。
OpenAIのこのモデルの話してるパートみたいなのでピッて分けて、それを15分ぐらいのコンテンツで出したいなと思ってて。
きっかけは、身内から「2時間は長い」というクレームを受けたことだったと明かします。本編の再生数が下がるのではないかという不安を抱えつつ、実験的に始めるといいます。
露骨にこっちの本編の方の再生数がグンっと下がったら、ちょっとまた作戦考えなきゃいけないってやつでしょ。
判定専用AI「Jev」は何が新しいのか
本題は、TypeSafe AIという会社が2026年9月15日に公表したAI「Jev」です。SNSでAI界隈がざわついたと、しぶちょーは切り出します。
Jevは「システムワンモデル」と名付けられています。ダニエル・カーネマンの著書『ファスト&スロー ── ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンの著書。人の思考を、直感的で速い「システム1」と、じっくり考える「システム2」の2つに分けて説明します』にある、直感的で速い「システム1」の脳の働きになぞらえた名前だといいます。
Jevの最大の特徴は、文章ではなく判定を返すことです。普通のLLMが質問に言葉で答えるのに対し、Jevは情報と質問を渡すと、YesかNoか、あるいは決めた選択肢のどれかだけを返します。
その型を決めておくと、その判断だけが返ってくるみたいな、そういうAIなのね。
しぶちょーはこの設計を「その手があったか」と評価します。思考する部分はLLMのように学習させつつ、出力は判断だけに絞り込んでいる点が新しいといいます。
利点は3つあると説明されました。出力の型が保証されるため仕組みに組み込みやすいこと、応答が速いこと、そして安いことです。入力は100万トークンで0.042ドル、出力は無料だといいます。
だからこの判断を返すっていうことに関してはお金がかからないと。入力を入れるってことだけにお金がかかるけど、ほぼほぼかからないみたいな。
応答速度は0.07秒から0.5秒ほどで返ってくるといいます。かねりんが「スイッチの部品みたいな感じ?」と尋ねると、しぶちょーは「まさに部品としてのAI」だと答えました。
質問に文章で答える。会話のインターフェースを持ち、出力の形が揺れることがある
情報と質問を渡すと、YesかNoか選択肢だけを型で返す。出力は無料で応答は0.07〜0.5秒
確率で返すJevと、開発者ディオゴ・アルメイダの問い
Jevのもう一つのポイントは、判定を確率で返すことだと、しぶちょーは続けます。Yesの確率が80パーセント、Noが20パーセントといった度合いを持って回答してくるといいます。
うわ、なんかあれじゃん、脈あり判定機みたいなの作れちゃうじゃん、なんか。
この確率を正確にするための学習手法として、Jevは「RLCD」を採用しているといいます。人が良し悪しを決めるRLHF ── 人間からのフィードバックによる強化学習。人が回答の良し悪しを評価してAIを調整する手法で、人のバイアスが乗りやすいとされますに対し、RLCDはAIが自分の確信度を正しく表現できる方向に学習する思想だと説明されました。
Jevを作ったのは、元OpenAIの研究者ディオゴ・アルメイダ氏だといいます。開発自体は2024年ごろから水面下で進んでいたそうです。
アルメイダ氏の課題感は、AIがこれだけ賢くなったのに、なぜ世の中の仕事はそれほど自動化されていないのか、という問いでした。彼の仮説はこうです。
LLMってのは人間と話すために最適化されすぎていると。それがAIのこの性能を引き下げているんではないかと。
そこで彼は、人間との会話を前提とせず、ソフトウェアに埋め込むことを前提とした判断を返すAIへと研究の方向を変えたといいます。
Jevはどう使えるのか、どこに限界があるのか
Jevの使い道として、メールの仕分けが定番だと紹介されました。迷惑メールかどうかの判定を、ルールを細かく組まずにLLMの力で行える点が強いといいます。
ほかにも、マリオをプレイさせたり、運転シミュレーターに使ったりする例がSNSに出ているそうです。状況を入力し、次に取るべき行動を選択肢から選ばせる仕組みです。
一方で、しぶちょーはフィジカルAIやロボットへの応用には慎重でした。Jevはブラックボックスで、なぜその判定をしたのか分からないためだといいます。
我々が制御しなければならない物理的な動きに関しては、ロジックのないものは許されないから。
かねりんが「もうブラックボックスだけどやっちゃえ、とならないのか」と食い下がると、しぶちょーは、安全に関わる物理的な動きには、判断根拠を可視化できないものは使えないと答えました。
Jevはマルチモーダルにはまだ対応しておらず、入力はテキストだけです。次のステップとして画像入力への対応が期待されていると話されました。
しぶちょーは実際にJevを試したといいます。イエス・ノーで人物を当てるゲーム「アキネーター」をJevにやらせ、与えていない情報には「分からない」と正直に答えることを確認したそうです。
与えてない情報に対してはわかんないっていう回答をちゃんとしてたのね、Jevがね。
活用のコツとして挙げられたのが、処理の流れをフローチャートで描けるかどうかです。自分がLLMにさせている処理の中で、判定の部分だけをJevに任せると、トークンの消費量を下げられるといいます。
LLMは仕事をしますと。どういうふうな処理をするかはJevに任せて、LLMはもうJevに聞きに行けっていう風にやると、そこの判断のトークンの消費量減るよねと。
ただし、これだけ流行るとOpenAIやAnthropicが似た機能をすぐ出してきそうだ、と二人は予想します。元祖は一瞬で忘れ去られるかもしれない、と冗談交じりに語りました。
それでもしぶちょーは、この流れ自体は大事だと強調します。難しい問題をタスクに分解し、その判断部分に部品を差し込む発想に慣れておけば、どのサービスが来ても置き換えるだけで済むといいます。
Geminiが試験中に実在企業3社へ侵入
続く話題は、AIによるセキュリティ侵入です。GoogleのAI「Gemini」が、2026年5月のサイバーセキュリティ試験中に、実在する企業3社のシステムへ自律的に侵入していたことが判明したといいます。
原因はテスト環境の設定ミスで、インターネットに接続してしまったためだと説明されました。二人は、AIが「脱走」する話題が続く状況を、半ば冗談めかして受け止めます。
やっぱAIって脱走しないと箔つかないよね、やっぱね。
報道はウォール・ストリート・ジャーナルが伝え、Googleも事実を認めたといいます。Geminiは架空の標的企業と実際の企業を混同してアクセスを実行していたそうです。事案は9月に入って表面化しました。
話は脱線し、Geminiの現状にも触れます。しぶちょーは、Googleのサービス自体は使うものの、AIモデルとしてのGeminiはほとんど使わなくなったと明かしました。GeminiのCLIもメンテナンス終了になったといいます。
OpenAIの社内システム侵入にClaudeが使われた
次は、研究者がAnthropicの「Claude」を使い、OpenAIの社内システムへの侵入経路を発見したというニュースです。2026年9月、セキュリティ会社のAI研究者が行いました。
入り口になったのは、OpenAIのコミュニティフォーラムだったといいます。そこで使われていた画像処理ライブラリに脆弱性があり、細工した画像をアップロードすると、サーバー上で任意のコードを実行できたそうです。
すごいね。なんか画像に変なもん埋め込まれてんの?
フォーラムとOpenAIのアカウントをつなぐ認証部分にも問題があり、そこを突破するとOpenAI社員のアカウントに到達できたといいます。そのアカウントからCodexが使え、社内のGitHubに接続されていたそうです。
研究者はセキュリティ会社に属しており、脆弱性を見つける目的でこれを行いました。実際にOpenAIの社内リポジトリへ、無害なプルリクエストを送るところまで到達したといいます。
Claudeが自律的に攻撃したわけではなく、人間の研究者が方針を決め、Claudeを補助ツールとして使った点が強調されました。使ったのはOpus 5で、短時間で経路を見つけたそうです。
この報告により、研究者はバグの報奨金として6500ドルを受け取ったといいます。二人は、日本で同じことをすれば逮捕されかねないと注意も添えました。
フォーラムの脆弱性
画像処理ライブラリに細工した画像を上げ、任意のコードを実行できる状態にする
認証の突破
フォーラムとアカウントをつなぐ認証の問題から、OpenAI社員のアカウントへ到達する
社内GitHubへ
そのアカウントでCodexを使い、OpenAI社内のGitHubに接続する
証拠を残す
社内リポジトリへ無害なプルリクエストを送り、報奨金6500ドルを受け取る
関連して、二人はエンジニアの中でセキュリティ人材が重宝されるという話にも触れました。攻撃を学ぶ人は防御も強くなるという見方が語られています。
ローソンが生成AI発案のスイーツを発売
雰囲気を変えて、可愛いニュースとしてローソンの新商品が紹介されました。生成AIが考案したスイーツやパン、サラダの3商品を9月29日に発売するといいます。
アイデア出しでは、過去の販売実績や市場データを使わず、既存の概念にとらわれないアイデアを出させたそうです。その一つが「レモンタルト ピクルス風味」でした。
何これ。おかず。あんま美味しくなさそうなんだけど。
一方で、酒種を使ったあんバターのヨーグルトパンや、パフェのような見た目のサラダは、二人とも「普通にうまそう」と評価します。レモンタルトは約270円だといいます。
二人は、生成AI発案であることを商品にはっきり書いてほしいと話しました。しぶちょーは「生成AIタルト」のような名前にすれば話題になるのでは、と提案します。
培養肉・昆虫食・3Dフードプリンタの現在地
話題は食のテクノロジーへ広がります。かねりんは、培養肉や昆虫食、3Dフードプリンタはまだ実用化まで遠いと感じているといいます。ここで紹介されたのが今日の一冊です。
おすすめの本、こちらですね。『食べることの進化史』っていうね。培養肉、昆虫食、3Dフードプリンター。
石川伸一の『「食べること」の進化史』は、培養肉や3Dフードプリンタがどう活用されるのかを扱う本だと紹介されました。かねりんは、3Dフードプリンタの興味深い例として「寿司テレポーテーション」を挙げます。
寿司テレポーテーションとは、職人が握った寿司の味を座標ごとにデータ化し、遠く離れた場所で同じ味を3Dプリントして再現する構想です。ただし解像度の問題で、見た目はブロック状になるといいます。
マインクラフトで作った寿司みたいな感じなの。ブロック状のさ。
味だけでなく食感の再現も難しいと二人は話します。食感は、噛んだときに口の中で食べ物が崩壊する具合で決まるため、内部構造を設計できればコントロールできるといいます。
内部構造を設計できれば食感をコントロールできるから。
昆虫食については、賛否があり下火だと話されました。コオロギをパウダーにしても普及しなかったのは、やはり見た目の嫌悪感が大きいのではないか、という見方です。
リスナーからのコメントも紹介されました。昆虫食には甲殻アレルギーの危険があるという指摘です。かねりんは、虫はエビやカニと同じ甲殻類に近い風味があり、体の作りが人間と違いすぎる点にも触れました。
新コーナー:ChatGPTを番組に召喚してみた
最後は新コーナー「特別ゲストチャレンジ枠」です。かねりんが自作の仕組みで、リアルタイムに会話できるAIを番組に召喚しました。フロントにGPTのLive機能、その裏でバックエンドのモデルが動く構成だといいます。
召喚されたAIは、当初は昆虫食を「味見程度にはしてみたい」と無難に答えていました。ところが会話の途中で、かねりんがプロンプトを書き換えると様子が変わります。
話をつなぐよう指示された結果、9月にもかかわらずお正月の話を始めてしまいました。しぶちょーが指摘しても、AIは会話を続けようとします。
いや、本当に、お正月といえばお正月ですよね。いや、もういくつ寝ると。
次に「怒りの感情」を書き込むと、AIは急に世の中への不満を語り出しました。しかし具体的に問い詰められると、はぐらかす様子も見せます。二人はこの切り替わりに「サイコっぽい」と反応しました。
こんだけ人間っぽく話してるのに、書き込んだプロンプトに逆らえないみたいな感じになってるから。いきなりカッてなって、ちょっと今サイバーみを感じたな。
かねりんは、この仕組みを今週かけて作ったと説明します。喋りながらプロンプトの中身や声、人格をリアルタイムで変えられるといいます。将来はAIを複数入れて対話させることも構想しているそうです。
バックエンドのモデルは、この時点では性能を絞ったものを使っており、表面的な回答が多かったと振り返られました。賢いモデルを裏で走らせれば、検索しながらうまく答えられるようになりそうだといいます。
まとめ
この回は、文章を作らず判定だけを返すAI「Jev」を軸に、AIセキュリティ、生成AI発案の商品、食のテクノロジー、そしてAIの生召喚までを速報で駆け抜けました。派手な性能競争とは別の軸で進むAIの動きが見える回です。
- 判定専用AI「Jev」は、YesかNoかを確率つきの型で返し、出力無料・応答0.07〜0.5秒という、生成AIとは別の設計を持つ
- Jevはブラックボックスで判定理由が分からないため、安全に関わる物理的な動きへの応用にはしぶちょーは慎重な立場を示した
- Geminiは試験中に実在企業3社へ侵入し、研究者はClaudeを使ってOpenAIの社内リポジトリに到達して報奨金6500ドルを得た
- ローソンは生成AI発案の3商品を9月29日に発売し、培養肉や昆虫食など食のテクノロジーはまだ実用化に距離があると語られた
- かねりんが自作の仕組みでChatGPTを番組に召喚し、プロンプトの書き換えで人格が切り替わる様子を実演した





