試食会と配信リレー、二つの「秋の餃子」の話
食欲の秋、秋は餃子の季節ということで、この回は「秋のかぼちゃの餃子」がテーマになっています。番組を進めるのは、焼き餃子協会代表理事で「餃子ジョッキー」を名乗る小野寺力さんです。
きっかけは、宇都宮のお店の新商品発表会に招かれたことです。そこで秋の季節限定商品「パンプキン餃子」を試食してきた話が、この回の中心になります。
もう一つの話題が、今週土曜日21時45分から配信される、日本ポッドキャスト協会の「ポッドキャスト配信リレー2026」です。聴く餃子も参加するため、この試食会の話とうまくリンクさせたい、という狙いで今回のテーマが選ばれています。
かぼちゃは、なぜ採れたてだと甘くないのか
秋を代表する食材といえばかぼちゃ。甘いイメージがありますが、小野寺さんによると、採れたてのかぼちゃは甘くないそうです。
そもそもかぼちゃは果物ではなく、緑黄色野菜 ── にんじんやかぼちゃなど、中身まで色の濃い野菜。ベータカロテンを多く含み、体内でビタミンAとして働きますです。ベータカロテンやビタミンE、食物繊維が豊富な野菜だと紹介されます。
採れたてのかぼちゃはでんぷんと水分が多く、甘みがあまりありません。甘くなるのは、収穫後に寝かせる追熟 ── 収穫した果実や野菜を一定期間置いて、味や食感を食べごろに変化させること。かぼちゃではでんぷんが糖分に変わり甘くなりますという工程を経てからです。
風通しのよいところに2週間ほど置くと、でんぷんが糖分に変わって甘みになります。見た目の目安は、ヘタの部分が完全に乾燥したとき。そのタイミングが食べごろで、いつも食べているあの甘いかぼちゃは、待って甘くなったものだといいます。
採れたて
でんぷんと水分が多く、甘みは少ない
追熟(約2週間)
風通しのよい場所に置き、でんぷんが糖分に変わる
食べごろ
ヘタが完全に乾燥し、甘みのある状態になる
健太餃子の「パンプキン餃子」はどんな餃子か
試食したのは、スタミナ健太の宇都宮餃子館・健太餃子の「パンプキン餃子」です。9月15日から10月末頃までの期間限定販売で、なくなり次第終了。宇都宮餃子館の5店舗で食べられるそうです。
健太餃子ではこれまでも季節限定の野菜餃子シリーズを展開してきました。パンプキン餃子はその第4弾にあたります。
試食会は発売開始日の9月15日、7月にオープンしたばかりの番場通り店で行われました。食べてみると、健太餃子の特徴である薄皮に、キャベツと一緒に北海道産のかぼちゃが入っていたそうです。
皮に包まれた状態では分かりにくいものの、割ると中からかぼちゃがゴロッと出てきます。かぼちゃの餃子は変わり種に思われがちですが、かぼちゃは野菜なので、これはスイーツではなく野菜の餃子だと小野寺さんは強調します。
かぼちゃの緑色の硬い皮の部分は切り落とされ、優しくしっとりとした黄色い中の部分だけが包まれていました。でんぷん質が残った食感がありつつ、甘さもある。バランスのいいところを使っていると感じたそうです。
このパンプキン餃子は通販では販売されず、お店でしか食べられません。宇都宮に行く人はぜひ足を運んでほしいと呼びかけています。
甘さだけではだめ。決め手は「大きめカット」
パンプキン餃子でかぼちゃの存在感があるのは、かぼちゃが大きめにカットされていたからだと小野寺さんは掘り下げます。カットの仕方によって、餃子の表情は大きく変わるといいます。
かぼちゃに限らず、秋の食材は食感に特徴があるものが多いそうです。長芋や里芋を使った餃子も、ホクホクとした食感を感じるものが美味しい餃子になっていると話します。
このホクホク感を作っているのがでんぷんです。でんぷんは品種によっても熟成具合によっても違うため、ホクホク感を感じるかぼちゃを選ぶことそのものが一つの技だといいます。
面白いのが、北海道かぼちゃでサラダを作って評価した研究の話です。固形感があって甘みが強いものが好まれ、逆に甘みがあっても固形感がないと評価が低かったそうです。
つまり、甘ければいいわけではありません。かぼちゃを細かく刻んで餡に混ぜると甘みは出ますが、食感が残らずホクホク感が出ない。だから大きめに切らなければいけない、というのが小野寺さんの見立てです。
甘みは出るが、食感・ホクホク感が残らない
ホクホクの食感が残り甘さが活きるが、皮に包むのが難しくなる
ただし、大きめに切ろうとすると餃子の皮に包むのが難しくなります。食感と包みやすさの折り合い、つまりかぼちゃの大きさのバランスがすごく難しいといわれています。
大きな具は「餃子成形機」の敵
かぼちゃを大きく切ればいいと思いがちですが、その大きさのバランスを一番左右する指標が餃子成形機 ── 餡を皮で包み、ひだをつけて餃子の形に仕上げる機械。多くの店で使われ、通せる具材の大きさに制約がありますだと小野寺さんは説明します。
餡の素材感が大きすぎると、成形機を通らなくなったり、通っても皮を破ってしまったりします。食感を残したいなら大きく切りたいけれど、大きすぎると機械が具材を通さない。この大きさや形の折り合いをどうつけるかが、餃子職人の腕の見せ所だといいます。
今回のパンプキン餃子も機械で作っているそうです。健太餃子の営業部・吉成さんの説明を受け、小野寺さんは「よくこんなサイズが通りましたね」と感想を伝えたといいます。
季節限定商品は作る期間も売る期間も限られるため、本来は試行錯誤の時間がもっと欲しいという声もあります。それでも手を抜かないところが、宇都宮の、そして健太餃子のレベルの高さだと小野寺さんは受け止めています。
わがままから生まれた揚げ餃子のパリパリとホクホク
健太餃子の皮は0.5mmの薄皮です。そのため、大きなかぼちゃで皮を突き破ってしまわないよう、形をいろいろ工夫したとのこと。職人の試行錯誤が大変だったことがうかがえます。
試食会では、小野寺さんが一つわがままを言いました。パンプキン餃子は焼き餃子で提供されていましたが、食べて「これは揚げた方がうまいのでは」と感じたのです。
(パンプキン餃子を)揚げても美味しいんじゃないですかね。
営業部の吉成さんにそう伝えると、早速厨房で実験的に揚げてくれたそうです。そして、この揚げたパンプキン餃子がまた美味しかったといいます。
かぼちゃや芋のようにホクホクさせて美味しいものは、焼くより揚げた方が美味しいことが多いそうです。焼き餃子の皮はモチモチとパリパリですが、揚げ餃子だと全体がパリパリになるからです。
特に薄皮だと、パリパリの食感がフレイキーになって美味しくなります。皮のパリパリと、水分を閉じ込めたかぼちゃのホクホクのコントラストが、非常に魅力的な食感になるといいます。
皮はモチモチとパリパリ。かぼちゃはホクホク
皮は全体がパリパリでフレイキー。ホクホク感がより広がる
お弁当のおかずにしても美味しそうで、塩を振っても合いそうだと小野寺さんは話します。実験的に作ってもらったこの揚げ餃子は、その後、健太餃子のInstagramで裏メニューとして紹介されているそうです。
宇都宮に行った際は、パンプキン餃子の焼きと揚げの両方を頼んでみてほしい、味が変わるので試してほしいと呼びかけています。
今週のお取り寄せ:食べくらべ8色餃子セット
パンプキン餃子はお取り寄せできませんが、健太餃子の餃子自体はお取り寄せできます。今週のお取り寄せ餃子は、宇都宮餃子館の「食べくらべ8色餃子セット」です。
8色といっても皮に色がついているわけではなく、8種類の餃子が8個ずつ入っている、という意味です。健太餃子、ニンニク餃子、ニラ餃子、お肉餃子、しそ餃子、海老餃子、スタミナ餃子、チーズ餃子の8種類が、それぞれ8個ずつ、合計64粒。タレも付いて4670円(税込・送料別)です。
看板の健太餃子は、野菜と肉が7対3の野菜多めで、0.75mmの薄皮。餡は一昼夜低温で熟成させています。小野寺さんは、健太餃子は餃子を作る技術力が非常に高いと評価します。
その技術力が表れているのが餡の詰まり方です。薄皮の餃子は破れやすいため、餡を少なめにして安全に作ることが多いのですが、健太餃子は薄皮なのに餡がしっかり詰まっているといいます。
(薄皮なのに餡がしっかり入っていて)多分、職人も押し切られたんでしょうね。
機械で作る場合、餡を少なくした方が確実に詰められるため、作る側は餡を少なめにしたがるもの。それでも餡がいっぱい入っていて食べ応えがある、と小野寺さんは話します。
薄いけれどしっかりした皮なので焼きやすそうで、冷凍餃子は御用蔵式で焼く際に、茹で蒸しの時間を5分から6分ほど入れても大丈夫なくらいだといいます。しっかり茹で蒸しして食べるのがおすすめだそうです。
季節限定の餃子は、なぜ作るのも売るのも難しいのか
今回のパンプキン餃子を通して、小野寺さんは季節限定の餃子の難しさを語ります。まず、食材を仕入れられる期間が短いことが挙げられます。
その期間中に作らなければならず、作る時期も決まってしまいます。季節によって食材のコンディションも変わるため、仕入れの量も読めず、作る時間も定まりません。だからみんな、季節限定商品を作るのに苦労しているといいます。
そのため多くの通販業者は、販売予告をして予約を先に取り、できたら送るという形で、売る量だけを固定してしまうことが多いそうです。その際、季節限定餃子だけでなくレギュラーメニューも一緒にしたセットで販売することが多いといいます。
季節限定はイレギュラーメニューであり、包むのも大変です。いつものキャベツですら季節で水分量が変わるのに、季節の食材はいつもと違う切り方も必要になるため、非常に難しいとされます。
さらに、季節限定は「変わり種」扱いされがちです。世の中的に変わり種はあまり売れず、目は引くものの、実際に売れるのは王道の餃子。そのため、変わり種をフックにして王道の餃子を売るやり方が多いといいます。
仕入れ
食材を仕入れられる期間が短く、量も読めない
製造
作る時期が決まり、いつもと違う切り方で包むのが難しい
販売
変わり種扱いで売れにくく、売れ残ることもある
結局、季節の餃子はなかなか売れにくく、売れ残ってしまうこともあると小野寺さんは聞くそうです。あまりやりたがらない作り手が多いなかで、それでも苦労して季節限定の餃子を作るのは、餃子への愛着、執着に近い気持ちからだといいます。
そんな作り手の気持ちを思いながら食べると、季節限定の餃子はより美味しくなるのではないか、と小野寺さんは締めくくります。
今週土曜、ポッドキャスト配信リレー2026に参加
そんな秋の限定餃子を立て続けに紹介する番組が、今週土曜日に配信されます。2026年9月26日・27日に、日本ポッドキャスト協会が主催する「ポッドキャスト配信リレー2026」が開催されます。
いろいろな番組が15分または30分ずつ、リレーのように配信するイベントです。今回のテーマは「ポッドキャスト」「秋」「ペラペラ」の3つから選ぶ形で、聴く餃子は「秋」をテーマに収録し、納品済みだといいます。
聴く餃子の配信予定は今週土曜日、9月26日の夜9時45分から。日本ポッドキャスト協会のYouTubeで配信されるそうです。どこの誰がどんな秋の食材を餃子にしたのか、秋を感じる餃子が次々と紹介されるとのことです。
今回話した内容は配信リレーでは具体的に取り上げていないものの、話はつながっているため、一緒に聴くとより面白いと呼びかけています。
一言本音:宇都宮駅の「餃子モウモウ」
最後の「一言本音」では、宇都宮に行ったついでに宇都宮駅構内のスイーツ屋さん「ジャージーモウモウ」で買った、餃子型スイーツ「餃子モウモウ」が紹介されます。
これは求肥 ── もち粉に砂糖や水あめを加えて練った、やわらかく弾力のある和菓子の生地。大福などの外側に使われますを餃子の皮代わりにして、ティラミスクリームを包んだものです。丁寧にひだまでついていて、見た目は完全に白い餃子だといいます。
そのまま食べられ、雪見だいふくのような皮ですが、少し厚みがあります。餡はティラミスクリームで冷凍ではなく、雪見だいふくほど甘くないそうです。
餃子モウモウには小瓶が2つ付いています。茶色いエスプレッソソースと、ラー油のように赤いイチゴソースです。このタレをつけると甘味や苦味が加わって、より美味しくなるといいます。
こうした餃子レベルの高いお土産が生まれてくるところに、餃子の文化レベルはやっぱり宇都宮がすごい進んでいると小野寺さんは感じています。宇都宮駅に行った際は、餃子モウモウを買ってみてほしいと締めくくっています。
まとめ
この回は、宇都宮餃子館・健太餃子のパンプキン餃子を入り口に、かぼちゃの甘さと食感の両立、そして季節限定餃子を作る難しさを掘り下げる内容でした。作り手の試行錯誤や愛着を知ると、一皿の餃子の見え方が変わってきます。
- かぼちゃは採れたてより追熟させたほうが甘くなり、健太餃子のパンプキン餃子は北海道産かぼちゃを大きめにカットして食感を活かしている
- 甘さだけでなくホクホクした食感が残ってこそ美味しく、大きな具は餃子成形機を通りにくいため、大きさの折り合いが職人の腕の見せ所
- 試食会で頼んで作ってもらった揚げ餃子は、皮のパリパリとかぼちゃのホクホクのコントラストが魅力で、現在は裏メニューになっている
- 季節限定の餃子は仕入れ・製造・販売のどれも難しく、それでも作るのは作り手の餃子への愛着による
- 今週のお取り寄せは宇都宮餃子館「食べくらべ8色餃子セット」、9月26日には「ポッドキャスト配信リレー2026」に「秋」テーマで参加する


