この番組のルールと「安定VS成長」のご神託
番組の仕組みはシンプルです。相談に対してChatGPTが出した答えを「ご神託」として受け取り、MCの2人はその答えに沿って話していきます。
最初の相談は、20代で転職を考えている人から。安定した職場と、成長のチャンスが多い職場、どちらを選ぶか悩んでいるという内容でした。
ChatGPTの答えは「成長のチャンスを優先しなさい」。この番組では、この答えに反論はできません。
ご神託なので、反論は許されないんです。成長のチャンスを優先するという答えに合わせて、僕らが喋らないといけないという感じですね。
箕輪さんは、若いうちに安定した職場にいることこそ、実はいちばん不安定だと話します。
仕事力みたいなのがあったら、会社が潰れても転職してもどうにでもなる。でも安定した職場だと、本当の土壇場でどうにかする力はあんまり手に入らないから。
「成長のチャンスが多い職場」って結局どんな場所?
では、成長のチャンスが多い職場とは、具体的にどんな場所なのでしょうか。話はけんすうさんの新卒時代、リクルートの経験に及びます。
一日ずっと「お前どうしたいんだ?」って言われるんですけど、どうしたいとかあんまないじゃないですか、新卒に。でも答えなきゃいけない。
じゃあそれやれって言われて、どうやるんですかって聞くと「そんなの自分で考えろよ」と。全部自分でなんとかしなきゃいけない職場でした。
箕輪さんも、週刊大衆の広告営業時代に「何をしてもいい」という自由さの中で成長できたと振り返ります。
そこから2人は、2つの職場の違いを「ルール」という軸で整理していきます。安定した職場はルールが決まっていて、成長のチャンスが多い職場はルールがなく目標だけがある、というわけです。
これ何のためにあるんですか?って口癖のように言っちゃうんです。ルールが決まってる以上、均一的な仕事しかなくなって、均一的な能力しか身につかず、代替可能な人間になってしまう。
けんすうさんは、安定した職場がなぜ安定しているのかを、別の角度から言い切ります。
さらに2人は「安定=大企業」ではない点にも注意します。小さい会社でも同じことだけを求められる場所はあるし、大企業でも早い会社と遅い会社がある、と。
スピードで言うと、めっちゃ危険なのは、そのスピードが普通だと思っちゃうこと。遅いところで当たり前だと思うと死ですね。
ルールが決まっていて、仕事が均一。人の替えが利くから安定するが、土壇場で自力でどうにかする力は身につきにくい
ルールがなく目標だけがある。自分でなんとかする経験を積める分、幅の広い力や土壇場力が身につく
結論として、ご神託どおり「成長のチャンスを優先しなさい」で2人の意見も一致しました。
給料が高い仕事VSワークライフバランス
次の相談は、給料が高い仕事と、ワークライフバランスが良い仕事、どちらを選ぶかという悩みです。ご神託の答えは「ワークライフバランスが良い仕事」でした。
ただし2人は、この「ワークライフバランス」という言葉の受け取り方に注意を促します。仕事と遊びをきっちり分けて考えると、かえって無駄が増えるというのです。
一番やっちゃいけないのが、遊びが仕事につながってないこと。無駄が多いんですよ。
けんすうさんは、堀江貴文さんを例に、1つのことから多くの成果を出す動き方が効率的だと話します。ライフが仕事につながっていないのがまずい、というわけです。
さらに「ワークライフバランス」は、必ずしも半々を意味しないという指摘も出ます。
ワークライフバランスってバランスよくとは言ってない。5対5にしろとは言ってないから、自分にとっての最良のバランスにしなさいってことだから、めっちゃいいと思う。
箕輪さん自身は、そもそも「仕事だと思う仕事が1つもない」と言います。朝の子供との時間も、収録も、話したい人と話しているだけで、すべてライフだという感覚です。
ただ2人は、ただ会って話すだけだと続かない関係も、「YouTube撮りましょう」といった形にすると成立する、という現実的な工夫にも触れます。
ミノワさんと喋りたいなと思った時に「お茶しましょう」だとお茶で終わるけど、「YouTube撮りましょう」だと、これがなんか続くんですよね。
話は「会社をどう使い切るか」にも広がります。撮影を企画している人が、個人の趣味のTikTokと会社の知見を行き来させている例が紹介されました。
会社っていいんですよ。人を雇わなくても採用コストゼロで使えるし、本を出すのに500万かかっても余裕でできる。どれだけ利用するかみたいな発想があった方がいい。
遊びと仕事、個人と会社を分断せず、ぐるぐる回した方がいい。そんな結論とともに、ここでも「ワークライフバランスが良い仕事」というご神託に沿って話は着地しました。
目の前のチャンスを生かすVS長期的なキャリア計画
続く相談は、長期的なキャリア計画を立てるか、目の前のチャンスを生かすか。ご神託は「目の前のチャンスを優先する」でした。理由は、チャンスは常に訪れるわけではないからです。
箕輪さんはこの答えに全面的に同意しつつ、若手を見ていて気になる点を挙げます。
僕なんてメッシみたいなもんでずっと歩いてるのに、点取れるってわかった瞬間だけ猛烈にダッシュするんです。でも他の子はずっと走ってるんだけど、明らかにチャンスなのに7割ぐらいなんですよ。
けんすうさんは、そもそも長期的なキャリアを上手に立てられている人をあまり見たことがない、と付け加えます。人生は突然変わるからです。
箕輪さんは自分を「器」だと表現します。オファーを受け続けることで、自分では選べない仕事が入ってくると言うのです。
今僕ほど幅広いオファー来るやついなくて。昨日なんてK1に出てくださいって。器だけ用意しとくと、逆にキャリアって面白くなる気がして。自分で選ぶと狭まる。
ここで2人の考え方の違いも見えてきます。飛びつく力の源泉を、箕輪さんは「自己効力感」だと分析します。
絶対にどうにかなるって思う習性なんですよ。失敗しても、まあこれはこれでって思える。だからチャンスに、日本トップクラスに「あ、やります」って言えるんですよ。
一方けんすうさんは、自己肯定感が低くても飛び込めるやり方として「確率論」を挙げます。
確率論的に10パーぐらいだろうと見積もるんですよ。10回やって1個成功したら得じゃんって。低く見積もってるから、結果30パー当たってたらより嬉しい。
どうにかなると思う習性。うまくいってもいかなくてもどっちでもいいと考え、期待値を100で捉える
成功率を低めに見積もり、10回やって1回当たれば得と考える。当たれば嬉しい、で行動のハードルを下げる
2人が共通して警告するのは「またチャンスは来る」という考え方です。
箕輪さんは、起業家と普通の会社員のいちばんの違いは「初体験系の謎案件が来た時に、周りの起業家は全員基本やること」だと話します。堀江貴文さんの「何でもやる感」も例に挙がりました。
この目まぐるしく変わる時代は、とりあえずやる人間が強いですよ。
さらに話は箕輪さんの内面へと踏み込みます。殺害予告や文春への出演依頼すら「来たな」と捉えてしまう感覚があると言います。
ざわつきたいんですよね、常に。刺激が欲しい。破滅したい。根っこは破滅願望がありますね。
綺麗に積み上げたものを一度壊して作り直したくなる。予定調和が嫌で、レゴのように自由度が減っていくと壊したくなる、という感覚が語られました。
チームVS個人、そしてAI時代の「身軽さ」
次の相談は、チームで働くか、一人で働くか。ご神託は「チームで働きたい」でした。AI時代こそ人との掛け算が生む価値が大きくなる、という理由です。
箕輪さんは、この答えを逆手にとって面白い解釈を示します。
チームで働くことが意味があるが故に、一人でいることが大事だと思う。プロジェクトごとにあらゆる個人とチームを作れるから、個人の方が逆にチームで働きやすい。
箕輪さんは、自分は常時30ほどのチームをプロジェクトごとに作っては消している、と話します。上場企業の社長では、ここまでの身軽さは難しいというわけです。
ここで登場するのが、この回のキーワードです。
その背景には、AIによってプロダクトが一夜で無価値になりかねない怖さがあります。ChatGPTの登場で「絶滅するか、生かせるか、本当に100か0」という起業家の言葉も紹介されました。
これ出た時に投資先に言ったら「むしろチャンスです」って言われたんですけど、全然逆で、やっぱりすっげえ使われなくなったんですよ。
けんすうさんは、Googleアナリティクスの例も挙げます。月20万でやっていたサービスの5倍高性能なものが無料で出てきて、多くの会社が消えたという話です。
2人はここで、心のどこかで「これChatGPTでよくない?」と思ってしまった時、起業家はどうするのか、という難しい問いにも向き合います。
自分がとんでもなく調達して採用もしているプロダクトを信じているのに、心のどこかで「これChatGPTでよくね?」と思った時、どうするんですか?
箕輪厚介 さんからの質問
多くの場合はまず「組み込めないか」「活かせないか」を考えるものの、うまくいかずにダラダラと数字が悪くなり、閉じていくのが定番のパターンになりやすい、とけんすうさんは答えます。ドライに言えば、ほぼ全員をリストラしてAIで実現し、ビジョンだけを変わらず追う、という選択もありうる、と2人は語り合いました。
結論として、ご神託の「チームで働く」に沿いつつ、そのチームの形は旧来型の会社組織ではない、という着地になりました。
専門性か幅広さか、そして「社会資本」の時代
最後の相談は、専門性を極めるか、幅広いスキルを身につけるか。ご神託は「幅広いスキルを身につけるべき」でした。
けんすうさんは、みんな不安だから手に職を欲しがるが、今はゼネラリストが超強い、と話します。デザインから完成までAIを使ってやれる人は、それだけで強い人材になっているというのです。
専門知識は確かに価値があるが、価値がなくなる瞬間は読めないと思ってて。
箕輪さんも編集の仕事を例に、ChatGPTの登場で「自分の仕事ないな」と思う一方、それに指示を出す人間としてはむしろ仕事が来る、と語ります。
お願いしてる人たちの仕事はAIが代替しそうだけど、お願いする人間としての僕はいるじゃないですか。
ここから話は、この回のもう1つの核心へと進みます。能力がコモディティ化すると、最後に価値が残るのは何か、という問いです。
2人は、山口周さんの資本の考え方を引きながら整理します。時間資本を人的資本(スキル)に投資しても、それ自体はお金を生まない。そこから社会資本(評判・知名度・ブランド)を得て、はじめて金融資本になる、という流れです。
時間資本
自分の得意で市場があるところに時間を注ぎ込む
人的資本
スキルや能力が得られる。ただしAIや他人に代替されやすくコモディティ化する
社会資本
評判・知名度・ブランド。人がやらない挑戦などで積み上げる
金融資本
社会資本があってはじめてお金につながる
さらに箕輪さんは、社会資本は金融資本と同じで膨らみ続ける、と指摘します。強い人がより強くなり、周りにコミュニティができて巨大化していく、というのです。
では、これから社会資本を作るにはどうすればいいのか。箕輪さんの答えは「宗教家になる」でした。
なぜ「ダイアリー」が強いのか
話は具体的な世界観の作り方へと移ります。箕輪さんは、自分のYouTubeの再生数が伸びた理由を、意外なほどシンプルに説明します。自分が出る前後に10秒ほど風景を流すといった、トンマナの工夫だけでだいぶ変わったというのです。
ここで2人は、けんすうさんが提唱する情報発信の3段階に触れます。
箕輪さんのYouTubeは、オピニオンを言いそうなタイトルで引き寄せ、実際には日常的な話に「外す」ことで、ダイアリーのファンに切り替える狙いがあると言います。
タイトルはすごいオピニオン言いそうなのに、ダイアリーで終わる。Xでカッとなってる人を、はってさせるみたいな場所。
キングコング西野さんのライブ配信も同じ構造だと2人は分析します。タイトルはフジテレビや吉本を思わせるのに、本人はそのことをほとんど喋らない、というわけです。
ダイアリー不足なんですよ。オピニオンでみんな殴り合って戦争みたいになってる時、ダイアリーが流れてくると「よかった、普通の日常を送ってる人がいる」みたいな。
さらにけんすうさんは、オピニオンを想像できる人ほど、あえて言わなくても伝わると付け加えます。文春に触れなくても、箕輪さんの気持ちは読者に伝わるからこそ成立する、という指摘です。
興味深いのは、これが完全な戦略ではないという点です。箕輪さんは、YouTubeだと言おうと思っていた怒りが薄れ、「もういいや」と外したくなる、という人間の心理を明かします。
意見はAIに決めてもらった方が楽?
最後に話題は、意見をめぐる争いそのものに向かいます。けんすうさんは、去年、落合陽一さんと言い合いになった時のことを振り返ります。
そのとき、どちらが正しいかをAIに判定してもらったところ「落合陽一が100パー正しい」という答えが出ました。けんすうさんは、それでかえってすっきりしたと言います。
落合さんは社会全体の幸福をやってるけど、けんすうさんは自分の中だけのことを言ってるので説得力ありません、って言われて。
この経験から、2人はこの番組そのものの意味を見出します。意見は考えても一生終わらないから、決めてもらった方が楽だ、というのです。
意見なんて考えたら一生終わんない。決めてもらった方がいいんだ。文春が悪い、フジテレビが悪いって折り合わないなら、AIから「100パーセントこうです」って言ってくれた方が楽だわ。
箕輪さんは、テレビタックルでのビートたけしさんを例に挙げます。誰も止めないのに、たけしさんが喋り出した瞬間だけ場が静まる。それを「ご神託」だと表現しました。
そこから2人は、圧倒的な社会資本を持つ存在が「決める」役割を担うことの安心感に行き着きます。それがAIであっても、納得感があればいい、というわけです。
言い争いに負けたけんすうさん自身が、AIの判定に納得している。その事実が、この番組の説得力を静かに支えています。
まとめ
AI時代のキャリアをめぐる相談に、ご神託(AI)の答えを起点として答えていったこの回。話は転職の悩みから始まり、身軽さや社会資本といった、これからの働き方のキーワードへと広がりました。答えが割れがちなテーマだからこそ、一度「決めてもらう」という発想が心を軽くしてくれるかもしれませんね。
- 安定した職場は人の替えが利くから安定する。若いうちはルールのない、成長のチャンスが多い場所の方が力がつく
- ワークライフバランスは半々ではなく、自分にとっての最良のバランス。遊びと仕事、個人と会社を分けずに回す発想が効く
- チャンスは二度と来ないと考えて飛びつく。飛び込み方には自己効力感タイプと確率論タイプがある
- AI時代のキーワードは「身軽さ×実力」。身軽な個人がプロジェクトごとにチームを作っては解散する形が合う
- 能力がコモディティ化する時代、最後に残る価値は社会資本(名前・評判・世界観)。オピニオンで引き寄せダイアリーで惹きつける






