「何でもハラスメントと言う若者」は本当にいる?
SNSでは「最近の若者は何でもハラスメントだと言う」という言説をよく見かけます。蒼葉レイさんは若者の一人として、この言説に疑問を投げかけています。
個人の意見として、若者の一人として思うことは、そもそもそんなしょうもないことでハラスメントだって言う若者は、現実社会にそんなにいないっていうことを言いたいなっていうふうに思います。
蒼葉さんは、パワハラとセクハラは間違いなく問題だとしたうえで、最近は「不機嫌ハラスメント」や、匂いや言い方が不快だといったものにまで、いろいろなハラスメントの名前がついていると話します。
そうした不快感を「嫌だな」と感じる若者はいても、何でも口に出して訴えるところまでする若者は、ごく少数だというのが蒼葉さんの見立てです。
ではなぜ「何でもハラスメントと言う若者」というイメージが広がるのか。蒼葉さんは、SNSやメディアが世代間の対立、右派と左派、男女の話などを煽ることで、実際と乖離した若者像ができあがっていると指摘しています。
もともとそんな異常なやつ自体はめちゃくちゃごく少数なんだけど、あたかもみんなそんな感じに思ってるみたいな形で煽り立てるメディアによって、実際と乖離した若者像みたいになってるなって思うんですよね。
ハラスメント社会は、ここ数年で突然生まれたわけじゃない
一方で蒼葉さんは、ハラスメントが問題視されるようになった時代の風潮そのものは良い変化だと考えています。一部の変わったハラスメントを別にすれば、職場環境や生活環境は改善されているという受け止めです。
蒼葉さんによると、今パワハラと呼ばれているものは、もっと昔にさかのぼれば労働問題だったといいます。セクハラや女性の権利をめぐる話も含めて、長い歴史の中でさまざまな運動があり、少しずつ改善されてきました。
必ずしも直近のこの数年で突然ハラスメント社会になったわけではないっていう風に考えています。
ハラスメントは立場の弱い人が受けやすいもの、と蒼葉さんは話します。女性の社会進出が今よりはるかに進まず、女性に求められる立場が男性によって決められていた時代にも、女性や若者たちが裁判や社会活動を通じて理不尽を改善してきた。その経緯を踏まえて考えるべきだというのが蒼葉さんの考えです。
「昔は働きやすかった」は本当なのか?
蒼葉さんは、そもそも本当に昔が良かったのかを冷静に考えたほうがいい、と問いかけます。昭和のパワハラやセクハラは、若者だけでなく40代・50代の人にとっても、倫理観がまったく違うものに映るはずだといいます。
もう40代50代の人たちも、生まれたのは昭和でも、会社員としてとか、働いてきた現役世代を過ごした時間って主に平成以降だと思うんですが。
昭和の「超ヤバいハラスメント」がヤバすぎると認識され、少しずつ改善されてきた歴史がある。そのうえで、ここ10年・20年で特にハラスメントが問題になった背景として、蒼葉さんは若者の人口の少なさとSNSの影響を挙げています。
蒼葉さんが話す、ここ10〜20年でハラスメント対策が進んだ流れは次のとおりです。
若者の人口減少
そもそも若者の数が少なくなっている
SNSでの発信
企業の問題点がSNSで広く発信されるようになった
選ばれる企業へ
ホワイト企業化しないと優秀な若者に選ばれない時代になった
改善が進む
ハラスメント対策が企業の中で進んでいる
ただし蒼葉さんは、そこに至るまでにも、昭和の時代にも平成の時代にもハラスメント問題と闘ってきた人たちがいたことは踏まえておくべきだと強調しています。
「老害」連呼も別のハラスメント。問題は世代か、個人か
ハラスメントを受けるのは若者だけではありません。蒼葉さんは、高齢者に対するハラスメントも当然あると話します。特定の個人に「こいつは老害だ」「この上司は老害だ」と言うのは、人として良くないという立場です。
もちろんあまりにも理不尽な扱いされてた時に、それについて訴えることは当然認められる権利なんですけど。
ただ、気に入らないからあいつは老害だって若者が言いまくるの、それはそれで別のハラスメントなので。
SNSでは、現役世代が世代間の格差を感じて、高齢者に強い言葉で「老害だ」と言い過ぎている場面もある、と蒼葉さんは見ています。高齢者もSNSをたくさん使うようになった今、特定の世代や属性にヘイトを向けすぎると社会として反発が起きる、ということを若者としても意識しておくべきだと話しています。
では、ハラスメントの本質的な問題はどこにあるのか。蒼葉さんは、孤立しやすい人を孤立させたり、「仕事ができないのは性別のせいだ」と理由づけたり、身体的な特徴を持ち出したりする、問題を単純化する「認知の歪み」を挙げています。
蒼葉さんは、世代によるギャップはあるにしても、いつの時代も本当にハラスメントをしている人は全体の中で見れば一部だと考えています。そのため、世代の問題ではなく個人の問題として捉える見方を勧めています。
若者対高齢者のような対立になり、SNSやメディアの論争に巻き込まれやすい
ハラスメントをしている個々人が異常だと捉え、特定の世代や属性へのヘイトを避けられる
SNSやメディアは世代間対立を煽ったほうが論争が盛り上がり、PVも取りやすい。蒼葉さんは、そうした構造に利用されないよう、SNSのリテラシーを持っておくことも大事だと締めくくっています。
まとめ
蒼葉レイさんは、「何でもハラスメントと言う若者」像はSNSやメディアが煽って作った誇張だとしつつ、ハラスメント対策そのものは長い歴史の積み重ねで職場や生活を良くしてきたと話しています。大事なのは、世代で対立するのではなく、個人の問題として冷静に向き合うことかもしれません。
- 些細なことでハラスメントを訴える若者は現実にはごく少数で、若者像はSNSの煽りで誇張されている
- パワハラやセクハラへの対策は、労働問題や女性の権利をめぐる長い闘いの結果として進んできた
- ここ10〜20年の改善には、若者の人口減少とSNSでの企業の問題の可視化が背景にある
- 若者が高齢者を「老害」と言いまくるのも、別のハラスメントになりうる
- ハラスメントは世代ではなく個人の問題として捉え、世代間対立を煽るSNSに利用されないことが大切





