学生4名と現場の薬剤師が囲んだ症例検討
たいぞーさんは冒頭で、以前から告知してきた学生向けオンラインイベント「Tricon」を前日に開催し、無事に終えられたと報告しています。
(今日は)その開催をしての所感といいますか、どんな感じの会だったのかなということを振り返りながら、お話ができたらなということを思っております。
Triconは、学生と現場の薬剤師が一緒に1つの症例を検討するイベントです。大学で学んでいる薬学の力が、現場の患者対応でどう活かされるのかを体感してもらうことを目的にしています。
今回のTriconには学生4名が参加しました。たいぞーさんによると、学生たちは積極的に意見を述べ、現場の薬剤師と肩を並べるように1人の症例患者について必死に検討していたそうです。
OSCEの評価軸だけでは見えない、薬学のもう一つの使い道
たいぞーさんは症例検討の導入で、薬学の専門性の活かし方について話をしています。問題意識として挙げたのが、薬学生が受けるOSCE ── 客観的臨床能力試験。模擬患者を相手に、医療面接や情報提供などの実技を評価する試験で、薬学部では実務実習の前に受験しますの評価のされ方です。
たいぞーさんの見立てでは、OSCEのチェック項目は患者から適切に情報収集できたか、どんな情報を伝えたかというやりとりが中心に評価されます。そのため、薬剤師の専門知識は「情報を集めて分かりやすく伝えるために使うもの」という印象がつきやすいのではないかと話しています。
一方でたいぞーさんは、薬学は本来、薬が人体にどう働いて体をどう変化させるのかという、人体のメカニズムに関わる学問だと強調します。
(体調不良が起きていないか、効果が出ているかを)評価判断するということ、これが薬剤師にできる専門性を活かしたもう一つの関わり方になるのかなというふうに思って。
薬学の知識を患者の評価に使う流れを、たいぞーさんの説明に沿って整理すると次のようになります。
薬が体に入る
薬がどう体を変化させ、効果が出るのかを考える
副作用を予測する
体のメカニズムの変化から、同時に起こりうる副作用のリスクを見通す
状態を確認する
患者さんの状態を確認し、情報を得る
評価・判断する
効果が出ているか、体調不良が起きていないかを判断する
コミュニケーションとしてのやりとりと、メカニズムに基づく評価は、どちらも専門知識の使い方です。ただ、今回のTriconで学生に体験してほしかったのは、薬学の知識で患者の体の中を読むという後者の関わり方でした。
必要な情報を収集し、患者さんに分かりやすく伝える。OSCEで評価されやすい
薬による体の変化から効果と副作用を予測し、患者さんの状態から判断する
2時間で見えた手応えと、進行役としての反省
導入のレクチャーのあと、学生たちは症例検討に臨みました。たいぞーさんは、レクチャーの効果か、学生の熱意か、ファシリテーターを務めた若手の現場薬剤師の熱心な関わりか、いろいろな要因が重なったと振り返ります。
その結果、学生たちが大学で学んだ知識を活かしながら患者を見るという姿を、症例検討の中で見ることができたと話しています。
一方でたいぞーさんは、時間が2時間と限られていたことを反省点に挙げています。もっとじっくり症例に向き合い、考えを整理しながら関われる時間を設けたかったというのが、進行役としての課題です。
全体を通して、あの症例を見る、患者を見るということを体験していただくということは、無事に達成できたのではないかなと思って一安心しております。
Triconは今回で終わりではなく、不定期ながら継続して開催する予定です。次回は、患者のことをしっかり考えられたという成功体験を生み出せるよう、セミナーの構成を改めて考えたいと語っています。
なぜ学生時代に現場の薬剤師と出会うべきなのか
たいぞーさんがファシリテーターに現場の薬剤師を入れている背景には、自身の学生時代の体験があります。就職活動で悩んでいた時期に、薬剤師が参加する勉強会に飛び込み、グループワークで症例検討を行ったそうです。
その勉強会でたいぞーさんが見たのは、どうすれば安全で最適な治療を届けられるかを、意見を出し合いながら真剣に模索する薬剤師たちの姿でした。
すごく、まあそれを生き生きとしている姿を見て、薬剤師の仕事ってすごくいいものなんだなというのを実感したのを覚えています。
たいぞーさんは、現場の薬剤師の働き方を学生時代に見たり知ったりすることが、将来のロールモデルを定めたり、薬剤師として働くイメージを固めたりするうえで重要だと考えています。
参加した学生4名の将来にどう生きるかはこれからの話としつつ、たいぞーさんは、より良い一歩を踏み出すきっかけになったなら開催した甲斐があると述べています。
学生と現場の薬剤師が一緒に薬剤師の仕事を見つめ直す機会が、医療の現場を良くするきっかけになる。たいぞーさんは、そのために自分たちに何ができるかを考えてほしいと呼びかけています。
バイタルサイン講習会、直談判で増えた参加枠
最後の告知は、10月25日に兵庫県姫路市で開催される日本在宅薬学会のバイタルサイン講習会です。講習会は一度満席で募集を終えていました。
ところが熱意ある若手薬剤師から「なんとかならないか」と直談判を受け、参加枠を2枠増やしたそうです。1枠はその本人が申し込んだため、残りは1枠となっています。
たいぞーさんは、大学で6年間学んだことが仕事に活かせていない、患者にもっと関われる気がするのに関わりきれていないといったモヤモヤを抱える薬剤師に、課題解決のヒントを届けられると話しています。申し込みリンクは概要欄に掲載されています。
まとめ
Triconの振り返りを通してたいぞーさんが伝えたのは、薬学の知識は情報のやりとりだけでなく、薬による体の変化から患者を評価するために使えるということと、学生時代に真剣な現場の薬剤師に触れる価値でした。
- Triconは学生と現場の薬剤師が1つの症例を一緒に検討する学生向けオンラインイベント
- OSCEで評価されやすいやりとりとは別に、メカニズムから効果と副作用を評価する関わり方がある
- 2時間では時間が足りず、次回はじっくり考えられる構成を検討している
- 現場の薬剤師をファシリテーターに入れるのは、学生がロールモデルや働くイメージを得るため


