「ダブルゆうすけ」が語る、貸したくても貸せない理由
番組冒頭、若林さんはりそな銀行の小川悠介さんとFlex Capitalの菅井佑允さんを紹介し、今回のテーマ「銀行・ベンチャーデットレンダーが貸せない7つの理由」を掲げます。
起業のデットファイナンスplus。この番組は、デットファイナンスをもっと身近にをテーマに、起業家と金融の架け橋となる番組です。
皆さんこんにちは。INQの若林です。今回ですね、またまたスペシャルゲストをお招きいたしまして、対談していきたいというふうに思います。
まず、りそな銀行法人部スタートアップ戦略グループの小川悠介さんです。小川さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
はい、続きまして、株式会社FivotのFlex Capitalのですね、COOでいらっしゃいます、菅井佑允さんです。菅井さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
ダブルゆうすけ。
下の名前で呼び合いますか?
そうすると大混乱なんですけどww。テーマとしましては、銀行・ベンチャーデットレンダーが貸せない7つの理由ということですね。
貸したくても貸せない理由っていう残念なお話をしながらですね、裏返すと、ここをクリアしていただけると貸せるよ、ご支援できるよっていうポイントと理解して聞いていただければなと思います。
りそな銀行法人部スタートアップ戦略グループの小川です。私は約4年前に、スタートアップの方々をご支援するグループの立ち上げを行いまして。
で、3年前にベンチャーデットの商品企画を一定長く研究して、ローンチしました。その後、実際フロントにも立ちながら、商品に課題があればそれを改訂したりとか。
スタートアップのエコシステムに入らせていただくのに、ベンチャーキャピタルの方々との連携、イベントへの参加、企画、そんなようなことを通じて、スタートアップ全体の戦略を考えたり、支援を行うグループにおります。
今回、Fivotさんとのベンチャーデットファンドっていうところに引っ張ってこられたのも、小川さんという理解で合ってますか?
あ、そうですね。最初のきっかけとなった時も私がその場にいましたし、(Fivotと)一緒にできたらという会話も私の方でさせていただいて、社内での企画推進も、やらせてもらってます。
菅井です。この番組はいつも登場させていただいてますので、あまり細かい自己紹介はいらないかなと思ってますが、初めて聞かれる方のために簡単に申し上げますと。
私はもともと三菱UFJ銀行の出身で、2007年に新卒で入って、2024年の10月まで三菱UFJにいましたと。そこから2024年11月に、現在のFivotのCOOとしてジョインをしてまして。
Flex Capitalは、ノンバンクとしてベンチャーデットを誰よりも早く提供するということを、至上命題としてやらせていただいているプロダクトにはなります。
ただ、どうしてもノンバンクなので、どうやって貸すためのお金を集めてくるんだっけっていうのが常に課題となっている中で、私が入社してかなり直後ぐらいから、小川さんと色々お話をさせていただいて。
そこから1年ぐらいですかね。まさにベンチャーデットファンドの1号っていうのを作らせていただいたという関係になってまして。
毎週必ず一度はミーティングを持つというのをやっていて、日々まさに会話している相手ということになります。
シードは早すぎる? SaaSとディープテックで違うフェーズの壁
若林さんは、じっくりDDを行うりそな銀行と、データで2週間で判断するFlex Capitalの違いを確認したうえで、1つ目の理由「フェーズ」を小川さんに聞きます。
そんなもう週1の間柄のお二人に伺っていきたいのが、銀行・ベンチャーデットレンダーが貸せなかった7つの理由というところになります。
前回、りそな銀行さんのスタートアップ融資のスタンスを伺って、審査の段階でもかなり深くDDに入っていって、リードレンダーとなっていくっていうプロセスを聞きましたと。
一方では、Flex Capitalはもうデータをしっかり取って、スピード早く、2週間。
2週間ですね、はい。
で、結果をお伝えするところまでやってらっしゃるので、かなり(2社の間に)明確に対比があるのかなと思ってます。
ただ、共通点としては、スタートアップに対して資金供給されてるっていう点が近いのかなと。まず1つ目、フェーズがあかんかったというケースがあったと聞いてるんですけど、これ小川さんいかがでしょう。
まず、りそな銀行のベンチャーデットは、一般的なシリーズAからやることが多いですと。そのシリーズAの話と、あとディープテックの話もちょっとできたらなと思うんですけども。
SaaS系とか、要するに継続的に売上が上がるモデルがある程度はっきりしてる会社さんは、シリーズAでも我々全然普通にやってますと。
その場合でも、着実に売上が継続するっていうところは、過去の積み上がりがこういうスピードで来てるから、少なからずこれは続くだろうっていうことを見させていただいて。
そうすると、その積み上げがあまりなかったりすると、シリーズAでもなかなか(融資を)出せなかったなということはありますと。
で、ディープテックの会社さんについては、我々最近ざっくり言うと、1つステージが後ろにあるかなと。シリーズBぐらいで、SaaS系のシリーズAと近しいフェーズかなと思ってて。
3年前に始めた時は全部シリーズAみたいな感じで見てたんですけど、ディープテックの会社さんはシリーズAだと、まだ実証実験をしてて、そのPOCの答えもまだ出てないとか。
売り上げは何かしらの形で立ってるんですけど、継続性が見えないっていうのが、SaaS系の会社さんよりもやっぱりワンステージ遅いなぁというところも、最近分かってきたので。
市場への初期的導入だったり、量産の初期的段階みたいなところになってくるのかなということが、フェーズのところで見えてきたところかなと思います。
りそな銀行さんはリードレンダーの立場を取っていきたいし、深くDDに入っていくっていうところからしても、まだPMFしてないとか、不確実性の高すぎる段階だと、補助線が引けないってこともありますよね。
そういうことですね。
まずフェーズが早すぎると、ちょっと貸せないっていうお話が1つありました。ちなみにFlex Capitalさんだと、サクッとどのぐらいのフェーズからいけるんですか?
めちゃくちゃグッドクエスチョンだと思ってまして。僕らはフェーズでは全く切らないので、シードのステージであっても、売上のトラクションが一定見えていて、データをいただけるのであれば、融資は検討できます。
で、実は結構これが、私たちとりそな銀行さんとの間の、いい協業の形になってるのかなと思う部分もあって。
できないところを補完していくとか、ある機能を相互で強くしていくとかっていうことが、スタートアップマーケットを地続きで支援する上ですごく大事だと思っているので。
(Flex Capitalの)小回りの良さと、じっくり腰を据えてリードを取られるっていうところの、お互いの思惑と強みを生かせてるんじゃないかなって思う部分でもあるかなと思います。
早い段階でも売上は立ち始めてるよっていうところだったら、Flex Capitalさんに相談の余地がある。さらに成長してシリーズA、Bという段階になったら、りそな銀行さんに相談できるよって、そんな整理ができそうですね。
そうですね。
仕訳帳は嘘をつかない。経営者の言葉とデータの整合性
2つ目の理由は「経営者」です。大量のデータを受け取るFlex Capitalの菅井さんは、経営者の話とデータの整合性をどう見ているかを語ります。
では続きまして、貸せなかった理由2つ目、経営者が〇〇だったと。経営者軸ですね。これ菅井さん、なんかありますでしょうか。
いろいろあります。僕らも経営陣の事業適性っていうのを、定性的にはかなり評価しようとしてます。
DDのやり方に大きな違いがあるって若林さんおっしゃっていただいたと思うんですけど、ただ見ようとしていることは(りそな銀行と)一緒なんだろうなと思っていて。
りそな銀行さんは何回か面談を繰り返すことによって、この人信用できる人だよねっていうことを理解していくっていうことだと思います。
僕たちはそれをやってるとスピードを実現できないので、要は大量のデータをもらうので、もらっているデータと言っていることの整合性が担保されてるのか、みたいなところをすごく見るようにしてます。
成長戦略をヒアリングでお聞きするケースもあるんですけれども、広告をこういうふうに打っていって、ここにお金を投じて成長を取っていくんですっていうお話があった時に。
実際それを今までもやってるんだけど、実はCPAめちゃくちゃ良くないみたいな時に、その戦略で正しいんだっけ?みたいなことを、やっぱり疑問に思う部分があったりとか。
事業を伸ばすための打ち手をしっかり持っているのか、それがデータと照らし合わせた時に納得感があるかどうかを、僕たちはすごくよく見ているので、そこに齟齬があると、ちょっとむむっとなる部分はあるかなと思います。
もっと短絡的に貸せないなって思うのは、僕たち仕訳帳のデータを取ってるんですけど、エクイティ調達をしました、10億円調達しましたの後ぐらいから、急に金払いが良くなっちゃってる企業。
それが事業のための投資ならいいんですけど、ちょっとよくわからない、夜のお遊びに使われていたりとか、そんな車買う必要あるんですかみたいな車をご購入なられたりとか。
それを見ると、せっかく貴重な投資をいただいたにも関わらず、適切に使えてるのですかとかなり疑問に思って、ちょっと定性的な評価を下げるみたいなことはあるかなと思います。
仕訳データ怖いですね。西麻布のお店の名前とかね、出てきちゃうと。
もちろん、調達が終わった後にみんなでお疲れ会って言ってパーティーやりますとか、そういうのは全然許されると思うんですけど。
(そういう支出が)恒常的に発生してると、ちょっとさすがにそれはどうなのかなみたいなのはあるかなと思います。
定性面をウエットに見るというよりか、定量と定性を掛け合わせて、整合性が取れてるかどうかで見てらっしゃるということですね。
赤字でもOK、では特別損失の裏に何を見る?
3つ目の理由は「決算書」です。小川さんは銀行のプロパー融資とベンチャーデットを比べながら、決算書のどこに経営者の考え方が表れるのかを、実際の事例で語ります。
では続きまして3番目、貸せなかった理由のところで、決算書が赤かった。決算書は、銀行さんだと当然見ますよね。
見ます見ます。ベンチャーデットと、我々プロパーって言い方しますけど、ベンチャーデットじゃない銀行のプロパーの融資、両側面からお話できればなと思うんですけれども。
わかりやすい方で、プロパーの方から言うと、基本は赤字だったらやりたくないですっていうのが、プロパーの融資ですと。なおかつ債務超過だったらより、みたいなのが一般的なんですけども。
ベンチャーデットの場合は赤字はもう当たり前なので、債務超過であっても会社の兆しとかも見ながら全然できるので。
我々ベンチャーデットで決算書を見た時には、結構特別損失とか、さっきの仕訳帳と発想は似てるんですけど、固定資産売却損が出てた時に、それって何なんだっけと。
実は、移転した本社を大きく広げすぎて、あっという間に撤退するみたいになった時に、付属設備とかを華やかにしてしまったみたいなところがあって。
それを撤退する時に、固定資産売却損が出ているというところがあったりすると。その金額は別に大きすぎるものでも何でもなくて、それだけだとサラって終わっちゃいそうだったんですけども。
待てと。その本社の移転を大きくしすぎたって、その経営陣はどういう戦略を立てて移転したのかっていう方の議論に発展してですね。それは戦略が立てられないんじゃないかとかっていうところもあって。
けど実際そういうのを聞きに行くと、リアルにすいませんとか、若気の至りでしたみたいな。
エクイティファイナンスで何十億入って、ここから人をガンって取るんだって言ったら、社員のためとか、自分たちの働きやすさのためには重要だと思って動いたと。
けど、結局そんなにスムーズに人が取れなかったし、固定費の重さが合わなくて撤退したんだと。
我々は、そこの過程を聞くと、かっこよく言うとPDCAが回ってるし、今はその会社さんに合った規模でやってるので。
ちょっと偉そうかもしれないですけど、その会社さんがちゃんと学んで、そういったことを通じて成長してんなって見れて、結局ご融資したんですけども。
赤字か黒字かではなく、決算書であっても、その会社さんの考え方が表れてる場所ってのは、まあまああるなというところですね。
全国の各支店単位ですと、ベンチャーデットよりも決算書のウエイトが大きそうで、赤字とか債務超過だとスタートラインで難しさがありそうだと。
ベンチャーデットだと、赤字・黒字や債務超過だけでは判断しないが、そこに表れている数字と、経営者の経営に対する姿勢の整合性みたいなところは、やっぱり見てるよねと。
そうですね。はい。
「ランウェイ1ヶ月」の駆け込みは、なぜ救えないのか
4つ目の理由は、スタートアップ特有の概念であるランウェイ ── 手元の現預金で、今の支出ペースのまま事業を何ヶ月続けられるかを示す期間です。「資金が尽きるまでの滑走路」という意味で使われますです。まず菅井さんが、Flex Capitalの融資ポリシーを説明します。
続きまして、これスタートアップ特有の概念だと思うんですけど、ランウェイが難しかったというところで、これは菅井さんいかがでしょう。
ランウェイについては、我々とりそな銀行さんで、融資する時のスタンスに多分大きな違いがあるのかなと思ってます。ちょっと後ほど小川さんのお話も聞ければと思いますけど。
僕らは明確に、ランウェイを超える融資をするということを、融資ポリシーとしてやってます。
僕らはそんなに長期の融資をするわけではないので、ランウェイ10ヶ月ある先に3ヶ月5億円の融資をしても、多分誰も嬉しくない。なぜなら3ヶ月後に5億円返さないといけないから。
なので、金額を大きく出すことよりも、とにかく長く出してあげる。で、ランウェイを伸ばしてあげるということを意識してやってるというのが、僕らのポリシーです。
なので、僕らはそういう意味では、ランウェイの短い先に対しても一生懸命融資はします。
なんですけど、もうランウェイ1ヶ月しかないですって駆け込まれると、その1ヶ月後まで資金が続くのかの糸口がつかめないケースが、やっぱりとても多いです。
例えばランウェイが1ヶ月しかないけど、出資契約は決まっていて何日に着金予定です、とにかくこの2週間だけつないでくださいみたいなものは、契約書のエビデンスがあれば融資できるっていう個別事例はあるんですけど。
まだエクイティも交渉中でっていう状況で、見た目のランウェイが1ヶ月しかなくて融資をお願いされると、僕らの社内の与信システム上のスコアも、やっぱり高いスコアは出ないですし。
審査の糸口をつかめないっていう部分はあるので、そういう企業でも、あと3、4ヶ月前に相談いただいたら色々考えられたのになって思うケースは、結構歯がゆいケースとして多いと感じますね。
そうすると今のお話でいうと、(ランウェイは)3ヶ月は少なくとも欲しいか。
そうですね。ランウェイが短い局面って、基本的にはエクイティの調達交渉が進んでいるはずの局面だと思っていまして。それがどこまで進んでいるかにもよるかなと思います。
3ヶ月でまだエクイティプレイヤーと全く交渉してませんだと、ちょっとさすがに厳しいんですけど、6ヶ月前ぐらいだったら、ギリギリそれだったら検討できるかなみたいな話だと思うんです。
そこら辺は、要は他の資金調達手段の交渉状況によって、どれぐらいを目処にするかって若干変わってくるかなと思います。
続いて若林さんは、審査に時間をかけるりそな銀行の立場から、ランウェイをどう見ているのかを小川さんに聞きます。
これ是非小川さんにも聞いてみたいんですけど、以前、りそな銀行はしっかり審査していくがゆえに、3、4ヶ月は最低でも見てほしいっていうことを、起業家に対しておっしゃってたかなと。
そうすると、少なくとも3、4ヶ月のランウェイだと検討はできないんですよね。
そうですね。最近我々は、ランウェイ何ヶ月持ってる間に来てくださいっていう場面が少なくなってて。それは多分、Flex Capitalと一緒に動いてるからだと思うんですけど。
そういう場合は、もうFlex Capitalに、Fivotさんにっていうようなところもあって。それじゃないと2週間で判断ができないことが明確なので。
我々も最近3、4ヶ月かかるということをお伝えし始めてるので、その前提で持ってきていただき始めたので、ギリギリ持ち込みはやめてくださいねっていう場面って、明らかに減ったなと。
ベンチャーデットプレーヤーのポジショニングとか、ちゃんと補完ができてきてる。それでも(ランウェイ)1ヶ月とかは誰も出せませんよねって話だと思いますと。
我々のランウェイの議論で言うと、我々は3年から5年のご融資をすることの方が多いんですね。じゃあなんでできるんだろうっていうと。
エクイティファイナンスをしても、大体は1年半とか2年しか持たないことが前提にあると思うんですけども、事業がうまくいけば3年も5年も、要するに黒字化するかもしれない。
それを含めると、もうランウェイが尽きないっていう計画も結構いただくんですけども、じゃあそこからが我々のかなり出番だと思ってて。
現預金がどんどん増えていく計画で出してくるから大丈夫です、ランウェイはって言ってるんですけど、だったらそれってデットいらないじゃないですかっていう話にもなるし。
じゃあ次、将来エクイティも考えてるんですよというと、それってもう一回赤(字)を掘るからなんでしょ?とか、投資するからでしょってことだと思うんですけど。
そういった情報を掛け合わせながら、ずっとランウェイが尽きない計画にストレスをかけるのが、我々の仕事だと思ってるんですけど。それをワーストにすると、当然もう1年半すら持たないと。
そこから我々は、彼らの描いている理想のシナリオと、我々が見ているワーストの間に、もう一本線を引く仕事があると思うんですけども。
事業性だったり、先ほどのパイプライン、トラックレコードを見ていくと、ここまでは伸びるんじゃないかと。そうすると、3年を超えて融資をしてもしっかり返していただける。
あるいはギリギリになっても、そこまで行けば新たな事業が始まってたり、VCから何十億入ってくる蓋然性なんて全くわかんないんですけど、資金調達は何かしらできるよねとか。
そういったところを含めると、3年から5年の合意ができることもあるなというようなところですね。
一番ポジティブな線と、一番ワーストで保守的な線との間に線を作ったら、と。ベンチャーデットのスタンスを、非常にわかりやすく説明してますよね。
「とりあえずお金があればいい」はなぜNGなのか
5つ目の理由は「資金使途」です。小川さんは、費用性の資金も歓迎すると前置きしたうえで、使い道を語れないことの問題を指摘します。
では続きまして、資金使途、使い道ですね。これがあかんかったケースっていうところで言うと、いかがでしょう。小川さんから教えてください。
銀行の従来型のご融資だと、いわゆる赤字融資、費用性の融資ってなかなか難しくて、売掛と買掛の間を埋めるような、運転資金が一般的なんですけども。
我々(のベンチャーデット)は費用性でも全然ご融資出しますと。人件費でも宣伝広告費でも、そういう資金使途はもうウェルカムですっていうのが前提ではあるんですけども。
やはりその資金を使って何をするのかっていうことが語れないと、ご融資が難しいってこともありますと。要するに、それって会社の戦略を説明するのと一緒だと思うので。
とりあえずお金があればいいんですっていう人って、どうやって返していくかを考えてませんって言ってるのとちょっと近いかなと思ってるので、資金使途がないって言われるとちょっと困ると。
余剰資金なんだからいくらでも借りときたいので貸してくださいって言うと、一瞬なんか安心のように聞こえるんですよね。お金がいっぱいあるから。それはそれで大事で、安心にはなるんですけど。
だけど、それをどう使ってこの会社をどう伸ばしていこうとしてるのか。必然的に大体人件費とか宣伝広告費になってくんですけれども、そういったところをご説明いただくと。
なおかつエクイティが入ってきた時に、資本コストと銀行の金利の実払いのコストで、期待リターンが違うと思うので。
資本コストいくらですかなんてことは聞かないんですけども、ざっくりイメージができてるんだなってなると、より安心感が出てくるかなというとこですね。
全国のりそな銀行さんの支店でやってらっしゃるようなご融資ですと、一般的には運転資金とか設備資金っていうものが使い道になってきて。
一方でベンチャーデットになりますと、成長資金というか、赤字資金、費用性資金とかって言いますけど、運転資金とは言えない広告宣伝費とか、人件費とか開発費なんかも入りますかね。
入ります、入ります。
こういったものは、支店の方で運転資金として見るのは難しかったりするけど、そこを長いスパンで見れるっていうのがベンチャーデットだったりするって感じですか。
ああ、そうですね、おっしゃる通りですね。
それ(資金)がちゃんと成長に資するもので、将来の返済につながるかどうかの説明ができるかどうか、っていうところにつながるところですね。
その点、結構Flex Capitalは資金使途に関しては自由度高いですか?
そうですね。今小川さんが説明していただいたものそのものだと思っていて。この間のセッションでも、赤字資金は資金使途じゃないっていう話をさせていただいたんですけど。
まさに赤字であっても融資をするのがベンチャー向けの融資なので、じゃあその使い道は何ですかということが極めて重要で。
使い道に戦略性があるかどうかっていうことを、やっぱり見ていくっていうことに他ならないかなと思います。
その赤字は適切か。ユニットエコノミクスで見る事業
6つ目の理由は「事業」です。菅井さんは、スタートアップの赤字が適切かどうかを、ユニットエコノミクス ── 顧客1人(1単位)あたりの採算を見る考え方です。顧客獲得コストと、その顧客から得られる生涯収益が見合っているかで、事業の収益性を判断しますで見ていると話します。
先ほどの経営者の定性面みたいなところにも、ちょっとつながってきそうな話ですね。続きまして、事業が難しかった、赤かったっていうことで貸せなかったケース。
全然面白くない話をすると、公序良俗に反する事業はダメですっていうことが第一にはあるんですけど、これは銀行であっても、いかなる融資事業者も基本的には同じかなと思ってますと。
事業が〇〇だったということに関して言うと、スタートアップって赤字を掘って将来の成長を取りに行く生き物なので、赤字であることは普通ですよねって皆思うんですし、実際そうなんですけど。
その赤字は適切なのかどうかっていうことが、極めて大事でして。それはもうまさに、ユニットエコノミクスという世界だと思ってます。
顧客獲得効率がある程度正当化されていて、その顧客から生まれる収益が単価ベースでいくらなのか、それがどれぐらいの継続率で、生涯収益に換算するといくらになるのか。
で、それが顧客獲得コストと見合っているのか。そのユニットエコノミクスが合っていないと、赤字の角度と成長の角度が見合ってない事業になってしまうので。
いつまでたっても黒字化しませんよねっていうことになっちゃうんだと思います。そういう事業に融資をしていくのはかなり厳しいし、結局融資を受けた側もする側も、お互い不幸なんじゃないかなと思ってます。
なので、僕らは融資するときに必ず、ユニットエコノミクスを我々が見られる範囲で見るようにしていて、そこでちゃんと適切なユニットが出てるのかどうか。
もちろん、事業のフェーズによって、ユニットエコノミクスが今後改善していくかもしれないけど、今は悪いみたいな状況も当然あるわけなので。
会社が置かれているフェーズと、現在のユニットエコノミクスの状況を見ながら、事業がある程度リーズナブルな収益性の下でビジネスを行えているのかを、すごくよく見るようにはしてます。
計算式のない「ベタ打ち」の事業計画はなぜ評価されないのか
最後の7つ目の理由は「事業計画」です。小川さんは、融資期間に見合わない計画と、計算式の入っていない計画を問題として挙げます。
最後の貸せなかった理由になるんですけど、事業計画ですね。前の回でも、決算書だけじゃなくて事業計画をよく掘り下げて見てますっていう話を、小川さんから伺ったかなと思ってますと。
どんな事業計画だと貸せない、逆に貸せるってことになりますか?
シンプルに、事業計画の形式的なところで言うと、希望していただいている融資期間に見合う期間の計画でないことと、計算式が入っておらずベタ打ちであること。
この2つは結構重要だと思ってて。我々は比較的期間を長く出せる金融機関だと思ってるので、5年のご融資って実際結構してるし、ご要望もいただくんですけど、事業計画が2年間しかないと。
4年ぐらいでもう黒字化してて、どう考えても持つからって説明ができる会社さんは、(計画期間が)足りなくてもご融資したことはあるんですけれども。
今借りたいと言っていただいている会社さんは必ずスタートアップなんで、今すごい赤字ですと。2年後もまだその計画では赤字ですと。だけど5年のご融資っていうと、その後どうなんねんっていうところは見たいと。
それを見るって、未来を正解しろっていうことではなくて、どういう計画を考えていて、なんで返せるお話になるのかをしっかりご説明いただかないと。わからないまま融資をするっていうことが、すごく嫌かなと。
実際は、1年、2年経っただけでも、事業計画ってもうずれてるんですよ。
十中八九どころか十中十九ぐらい、事業計画の未達幅はあるとは思うんですけども。むしろ10社に1社、それを上回ってたら、この間あったんですけど、もう拍手をして差し上げたいぐらい素晴らしいなと思ったんですけど。
先ほどの計算式も、全部に入ってる必要はないんですけども、その裏側の根拠を知りたいってなった時に、ベタ打ちで、ラウンドの百万ゼロゼロゼロみたいな、すべて横置きですとかだと、考えがないんじゃないかって見えるので。
我々は計算式を見た時に、計算式が合ってるかをチェックしてるのではなく、考え方が知りたいということなので、さっきの期間の話と多分一緒だと思うんですけども。
事業計画の正しさを別にチェックしてるわけではなくて、そこに経営者の方々の思いとか考え方が乗ってると、私たちは思ってるので。
融資期間5年で3年たった時に全然未達だったとしても、振り返らなければ我々いけないですし、その時に追加のご融資のご相談をいただくかもしれないので。
そこで振り返れなければ、今果たして成長しているのか、正しい評価ができないんじゃないかなというところで、事業計画は結構そういったところも見てますっていうところです。
先ほどの、Excelのスプレッドシートに計算式が入ってないって話は、まさに菅井さんがさっきおっしゃってたユニットエコノミクスの話につながってくるっていうか。
エコノミクスって、まさに経済性の計算式ですよね。せめてその方程式そのものが見えないことには、測りようがないってことですよね。
そうですよね。もう本当に、そのExcelシートに込められた思いとか、作った時の汗がうかがえるようなスプレッドシートであることが、多分すごく大事なんじゃないかなと思ってて。
小川さんがおっしゃる通り、僕らもスタートアップなんで事業計画を作るんですけど、かなりアグレッシブに計画を作ってくることが一般的なので。
当然、融資事業者としては、そこに対していろんなストレスシナリオを立てて、ストレスをかけていくっていうことなんだと思います。
ただ、そのストレスケース自体も本当に発生するのか誰もわからないわけなので、すごくドライな言い方をすると、(ケースを作るのは)ペーパーワークしてるだけなんだと思います。
なんですけど、経営者の思いがあって、それを理解した担当者が引くストレスケースだからこそ、銀行の中でも多分それで案件が通っていくっていう話だと思っているので。
やっぱり、数字の裏側にあるコンテクストを理解できるような事業計画っていうのが大事かなと思います。
「共感することがマスト」借り手へのメッセージ
若林さんは7つの理由に共通するのは「経営者の思いや戦略と数字の整合性」だとまとめ、最後にお二人へ、スタートアップへのメッセージを求めます。
ここまで、銀行・ベンチャーデットレンダーが貸せなかった7つの理由を伺ってきたんですけど、共通して見えることって。
経営者の思いとか哲学とか戦略みたいなものと、実際の数字が整合してるかどうか。そこから補助線を引いて、未来ちゃんと返してくれるかを見てるのかな、そんなことを感じたりしました。
ありがとうございます。
とはいえ、貸したくても貸せないっていうことがほとんどなのかなと思うので、最後にですね、ぜひ貸したいスタートアップの皆さんに一言いただいてもいいですか?
難しいですね。あんまり選別するつもりはないんですけど、とにかくちゃんと事業と向き合って、事業を成長させたいということに対して挑戦をしようとしている方に対しては。
ご評価もっていうと上からになっちゃうんですけど、可能な範囲で資金を提供したいという思いは変わらないので、僕らからすると、いつでもご相談くださいということではあります。
ただ、途中にもありましたけど、ご相談するタイミングっていうのは、財務あるいは資金計画のテクニカルな部分としては重要になってくるので。
我々はこんな感じ、りそな銀行さんはこんな感じですよっていうのを今日お話ししましたけど、それも銀行やプレイヤーによってニュアンスがまちまちなので、そこをしっかりと理解をする。
スムーズの鈴木さんの回でありましたけど、そこを細かく突き詰めていくことを怠らないことっていうのが、結構重要だと思っているので。
財務戦略、資金計画に少し頭を割いていただくとか、頭を割ける人を取っていただくとか。そういうのは融資取引を円滑に行う上で重要なのかなと、ちょっとしたアドバイスとして受け取ってもらえればと思います。
ありがとうございます。小川さんいかがでしょう。
先ほど、経営者の方々の思いとか戦略を知りたいってお伝えしたんですけども、それって我々銀行員も人なので、かなり感情で変わることが多いんだなっていう場面は、結構ありますと。
おそらくFlex Capitalよりは、多くの人の目が通った時に、全然異なる判断をする視差があるんですけども、共通するのは、共感することがマストで必要だなっていうことがあって。
ビジネスとして成長性があるからご融資したいっていう共感でもいいし、このサービスはこの世の中に必要だっていう共感でもいいし。
言い方あれだけど、この経営者の方々って支えてあげたいよねってなると、事業計画が多少欠けてても、なんかいいよねっていう場面って必ずあるなと思ってますので。
我々も一生懸命向き合ってるつもりです。ビジネスをしっかり語っていただくことも大事なんですけど、その裏側の思いとか共感みたいなのも、ぜひ教えていただけるとありがたいです。
我々銀行員からすると、しっかりそれをくみ取る努力をしたいなと思うので、そういったことを思って、ぜひご相談していただけるとありがたいなと思います。
ありがとうございます。今日はお二人から非常にいい話が聞けました。りそな銀行法人部スタートアップ戦略グループの小川さん、Flex Capital COOの菅井さんにお話を伺いました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
お聞きいただきましてありがとうございました。ベンチャーデットのFlex Capitalと、デットファイナンス支援のINQがお送りしております。
起業のデットファイナンスplus、毎週水曜日朝8時に配信しております。ぜひフォローをお願いいたします。それでは本日はこの辺で。ご機嫌よう。
まとめ
りそな銀行の小川さんとFlex Capitalの菅井さんは、フェーズ、経営者、決算書、ランウェイ、資金使途、事業、事業計画という7つの観点から「貸せなかった理由」を語りました。審査の手法は違っても、どちらも経営者の考え方と数字の整合性を見ている点は共通しています。最後には、相談のタイミングを理解することや、数字の裏にある思いを伝えることの大切さも話されました。
- りそな銀行は継続売上が見えるシリーズAから、Flex Capitalはシードでもトラクションとデータがあれば検討する
- 仕訳帳や決算書の特別損失から、経営者の戦略や学びの姿勢が見られている
- ランウェイ1ヶ月の駆け込みは厳しく、数ヶ月前の相談が望ましい
- 資金使途は戦略そのもの。ユニットエコノミクスで赤字が適切かも問われる
- 計算式のないベタ打ちの事業計画では、経営者の考え方が伝わらない




