人間の骨は何本?赤ちゃんのほうが多い理由
番組冒頭、レンさんはエマさんに「骨を何本持っているか」とクイズを出します。エマさんの答えは「200本ぐらい」で、正解の206本にほぼ近いものでした。
続く「赤ちゃんの骨は何本か」という問いでは、エマさんの150本という予想に対し、正解は300〜350本だといいます。赤ちゃんのほうが骨の本数が多く、成長につれて骨同士がつながっていくという話です。
正解206本です。
(赤ちゃんの骨は)正解は300から350本あると言われてます。
レンさんは、人は怪我をすると痕が残りやすい一方で、骨は比較的きれいに治ると言われている点に注目します。骨には血管も通っていて、「乾いた硬いもの」というイメージとは違う面が多いと話しています。
エマさんは、10年前の疲労骨折で腰のヒビが若干残っていると医師に言われた経験を明かします。ただ、ヒビのまま残っているというより、回復しようとしている状態のようだと受け止めています。
今回のきっかけは、阪神タイガースの近本選手が骨折し、その後復帰したことです。レンさんはそれに合わせて、骨とは何か、折れてもなぜ治るのかを掘り下げることにしたと語ります。
骨折が治る仕組みを「ガチで」説明するとどうなる?
骨折が治る現象は、折れた境目がくっつくだけのシンプルなものに見えます。しかしレンさんは、これを正確に説明しようとすると非常に難しくなると前置きし、専門的な解説文を読み上げます。
その内容は、骨折部でハバース管 ── 緻密骨の中を縦に走る細い管。血管や神経が通り、骨の細胞に栄養を届ける通り道になっていますの血管が切れて血腫ができ、マクロファージ ── 異物や壊れた組織を取り込んで処理する白血球の一種。炎症の合図となる物質を出す役割も持ちますが集まるところから始まります。
その後、間葉系幹細胞が軟骨細胞に分化して軟らかい仮骨で隙間を橋渡しし、骨芽細胞が硬い仮骨に置き換え、最後はリモデリングとウォルフの法則によって最適化されるという流れです。
なんかよくわかんないけど、修復してそうだったね。
エマさんが反応したのは、まず軟骨ができてから硬くなるという点でした。レンさんは、骨が何でできているかを一つずつ紐解けばこの説明も理解できるようになるとし、「今言ったことをなんとなくわかるようになる」ことを今回の目標に掲げます。
骨はガラスと縄でできている?成分の内訳
骨の成分について、エマさんは「石灰?」と答えます。レンさんによると、主成分はカルシウムとリン酸からなるハイドロキシアパタイト ── リン酸カルシウムの結晶の一種。骨や歯の硬さを担う成分で、人工骨や歯磨き粉の素材としても使われていますで、骨の約70%を占めます。
ハイドロキシアパタイトはガラスのように硬い素材ですが、それだけでは衝撃でポキッと折れてしまいます。そのため骨には柔らかい素材であるコラーゲンが約25%含まれ、残りは水です。
骨が乾いているイメージについて、エマさんは死体の骨を思い浮かべるからかもしれないと話します。レンさんは、生きた骨には血管が通っているので水分も十分に含まれていると補足しています。
ハイドロキシアパタイトは歯の硬い部分ともほぼ同じ成分です。またコラーゲンは体で最も多いタンパク質で、骨の話では「1型」と「2型」の2種類が重要になるといいます。
太い繊維がぎっちり詰まった縄のような構造。硬い骨を作る
まばらで細め、柔軟性のある糸のような構造。軟骨を作る
縄と糸だったら確かに縄の方が硬いし強いね。
緻密骨と海綿骨、硬い骨にも2種類ある
硬い骨の中にも種類があり、ぎっちり詰まった緻密骨と、スポンジのようにスカスカした海綿骨に分けられます。骨粗しょう症で「骨がスカスカになる」と言われるときのイメージにも関わる分類です。
レンさんは、漫画に出てくる「犬が好きな骨」で説明します。真ん中のまっすぐな部分が緻密骨、両端の膨らんだ部分が海綿骨です。エマさんは、フライドチキンの骨も両端が少し柔らかい気がすると重ねます。
骨の真ん中のまっすぐな部分。とても硬く、体の骨の約8割。体を支える役割
骨の両端の膨らんだ部分。スカスカで柔らかめ、約2割。関節などで衝撃を吸収する役割
海綿骨は関節のような、骨と骨が接続する部分に当たるため、衝撃を吸収する必要があるといいます。大人の骨は、この緻密骨と海綿骨でできていると整理されます。
丁寧な骨と突貫工事の骨、層板骨と線維骨
骨は作られ方によっても分類できます。コラーゲンがきれいに並んで作られる層板骨は、作られるのは遅いもののとても強く、大人の骨の基本です。緻密骨も海綿骨も、どちらも層板骨にあたります。
一方、コラーゲンがランダムに並ぶ突貫工事のような骨は線維骨と呼ばれ、赤ちゃんの骨がこれにあたります。分類が増えて混乱したエマさんの求めに応じて、レンさんは全体を整理し直しました。
| 分類の軸 | 種類 | 特徴 |
|---|---|---|
| 硬さ | 軟骨 | 柔らかい、骨未満のような存在 |
| 詰まり方 | 緻密骨/海綿骨 | ぎっちり硬い/スカスカで柔らかめ |
| 作られ方 | 層板骨 | コラーゲンがきれいに層状に並ぶ。遅いが強い大人の骨 |
| 作られ方 | 線維骨 | コラーゲンがランダムな突貫工事の骨。赤ちゃんの骨 |
レイヤーになってるんだね。
大人が骨折すると、そこだけ「赤ちゃんの骨」に戻る
線維骨は大人には普通はありませんが、例外的にできるタイミングがあります。それが骨が折れたときです。
エマさんは、近本選手の骨折後は「近本さんの赤ちゃんの骨」が頑張って再生していたのかと受け止めます。レンさんによると、骨折部は一度赤ちゃんの骨に戻り、そこから改めて融合して強くなるという過程をたどります。
レンさんは、この仕組みを「めちゃくちゃ頭いい」と評価します。昔の自分の骨の状態を引っ張り出して、わざわざ作り直しているという点に、システムとしての巧みさがあるという見方です。
骨の中は工事現場、大工と解体屋が同居している?
骨の種類だけでは骨折は説明しきれず、折れた部分にどんな細胞がいるかで、くっつくかどうかが決まります。登場人物が多いため、レンさんは骨の中を工事現場に例えて説明していきます。
骨を作る大工役は骨芽細胞 ── 骨を作る細胞。コラーゲンを分泌し、そこにカルシウムなどの結晶を沈着させて新しい骨を形成しますです。コラーゲンを土台として敷き、そこにレンガのように結晶を沈着させていく作業をしています。
骨芽細胞とセットで存在するのが、骨を溶かす解体屋役の破骨細胞です。骨は見た目は変わらなくても、常にこの2種類の細胞が作っては壊しを繰り返しています。
僕らの骨ってパッと見あんま変わってないんだけど、常にこの2種類の細胞が作って壊して作って壊してをやり続けてる。
エマさんは皮膚の新陳代謝に似ていると考えますが、レンさんは違いを指摘します。皮膚は垢として物理的に外れていくのに対し、骨は溶かす細胞が骨の中にいて、古い部分を新しい骨に置き換えているといいます。
このバランスが崩れ、壊す側が増えすぎれば骨は弱くなり、逆に成長期は作る側が活発なので骨が大きくなります。
現場監督「骨細胞」と、牛乳だけでは骨が強くならない理由
作る・壊すのバランスを指示するのが、現場監督役の骨細胞です。骨細胞は骨にどれだけ力がかかっているかを見て、どれだけ作り、どれだけ溶かすかの指令を出しています。
| 細胞 | 工事現場の役 | 役割 |
|---|---|---|
| 骨芽細胞 | 大工 | コラーゲンを敷き、結晶を沈着させて骨を作る |
| 破骨細胞 | 解体屋 | 骨を溶かして壊す |
| 骨細胞 | 現場監督 | 骨にかかる力を見て、作る量と壊す量を指示する |
| 間葉系幹細胞 | 大工見習い | 骨の膜と骨の間で待機し、信号を受けて大工などになる |
レンさんは、骨細胞が力のかかり具合を監視していることから、牛乳を飲むだけで骨が強くなるわけではないと説明します。素材は必要でも、力がかかっていない骨は「骨を作れ」という方向に向かわないからです。
骨にかかる力とは、筋トレだけでなく歩くときに足の骨にかかる力なども含みます。足を組む癖があるエマさんの質問には、片方の足をあまり使わない状態が続けば、そちらの骨が弱くなる可能性があるとレンさんは答えています。
わかりやすい例が宇宙飛行士です。無重力では骨に力がかかりにくく、何もしなければ骨が弱り、地球に帰ってきて骨折することが実際に起きるといいます。
よくさ、宇宙飛行士筋トレするみたいなのは有名かもしれないけど、あれって骨にちゃんと力をかけて骨を強い状態で保たなきゃいけないっていう、そういう目的もあるよね。
大人でも骨を作り替え続ける理由について、エマさんは「折れたときだけでいいのでは」と疑問を投げかけます。レンさんは、骨も劣化するため、古い部分を壊して新しくし続けることで強さを維持していると、家の柱の交換に例えて説明しました。
大工見習いとサイトカインの「お告げ」
大工の見習いにあたるのが、まだ役割が決まっていない間葉系幹細胞 ── 骨や軟骨、脂肪などさまざまな細胞に分化できる幹細胞。骨の修復では骨芽細胞や軟骨細胞の供給源になりますです。骨は内側も外側も薄い膜に包まれていて、見習いたちは膜と骨の間で待機しています。
膜と骨と細胞の位置関係で混乱したエマさんに、レンさんは家に例えて整理します。骨が家、膜と骨の間の庭に弟子たちがいて、さらに外側に塀のような膜があるというイメージです。
見習いが大工になるように、細胞が役割を得ることを分化と呼びます。分化は勝手に起きるのではなく、サイトカイン ── 細胞同士が情報をやりとりするための化学物質の総称。炎症や細胞の分化・増殖の合図として働きますという化学物質の信号を受け取って決まるといいます。
じゃあサイトカインのお告げによって、見習いたちが、なんかいろいろなものに分化していく。
破骨細胞が溶かした骨の行方についてエマさんが尋ねると、レンさんは結晶になる素材自体は再利用されることもあるものの、古くなったものは捨てられる場合もあると答えます。骨の中では、何も動いていないように見えて多くの細胞がせわしなく働いているという話で、エマさんはアニメ「はたらく細胞」を連想していました。
赤ちゃんの骨が大人になるのは20代半ば?
赤ちゃんの300本以上の骨も、この登場人物たちの働きで大人の骨へ変わっていきます。突貫工事でできた骨に大工が来てレンガで固め、近くの骨同士が融合して、徐々に206本になっていきます。
その完成時期は、個人差はあるものの20〜25歳頃だといいます。エマさんは、18歳で制度上は大人になっても骨はまだ全部大人ではないことに驚いていました。
背骨の一部が遅い理由について、レンさんは、背骨は姿勢に関わり体重もかかるため、成長が終わり姿勢が決まる最後のタイミングで完成するらしいと説明します。
赤ちゃんの頭蓋骨と、レンさんの平らな後頭部
エマさんは、レンさんの後頭部の一部が平らになっている話を持ち出します。赤ちゃんの頭の骨が柔らかい時期に床にそのまま寝かされ、その形のまま大工たちが固めてしまった結果だという見立てです。
そう、そのまま片寄りに置き換わった結果、僕の頭が平らになってしまったっていう。
生まれるときの頭蓋骨はパズルのように隙間だらけで、形を変えて細くなって出てくるといいます。そのままでは頭を守れないため、頭の骨は比較的早く硬くなります。レンさんは、赤ちゃん時代の頭蓋骨の扱いには注意したほうがいいと話します。
新生児の骨の柔らかさについて、レンさんは鼻の軟骨のような柔らかさが全身にあるイメージらしいと紹介しています。
一方でエマさんは、20歳を超えたら視力や姿勢の変化はもう諦めていたと振り返ります。背骨が20代半ばまで完成しないと知り、25歳ぐらいまでは姿勢を頑張って保てばよかったのかと考え、レンさんも「そうかもしれない」と応じました。
背筋伸ばしといた方がいい。
骨折から完治までの全プロセス
登場人物がそろったところで、レンさんは改めて骨折が治る流れを説明します。腕の骨が折れると、まず骨の中の血管から出血し、血の塊である血腫が折れた部分を覆います。エマさんはこれを「骨の中のかさぶた」と表現しました。
最初に駆けつけるのは掃除屋のマクロファージです。片付けるだけでなく、「ここやばいぞ」という合図の炎症性サイトカインを出し、折れてから24時間ほどは強い炎症が起きます。
その号令を受けた大工見習いが、硬い骨を作る大工や軟骨を作る大工へと分化して集まってきます。炎症が起きないと大工になることが起きないため、最初の炎症はとても重要だといいます。
まずは2型コラーゲンの柔らかい骨で、とにかく隙間をつなぎます。この段階はまた折れやすいので、ギプスで固定する必要があります。その後、骨芽細胞が柔らかい骨を1型コラーゲンの硬い骨へと置き換えていきます。
最後の仕上げは、新しい骨に力がかかるようになってからの最適化です。かかる力に応じて骨が作り替えられる現象はウォルフの法則 ── 19世紀ドイツの外科医ユリウス・ウォルフが提唱した、骨は加わる負荷に適応して形や強さを変えるという考え方と呼ばれます。
出血・血腫
骨の中の血管が切れ、血の塊が折れた部分を覆う
炎症と号令
マクロファージが片付けと同時にサイトカインを出す(約24時間)
柔らかい骨でつなぐ
見習いが大工に分化し、2型コラーゲンで隙間を埋める(数日〜数週間)
硬い骨に置き換え
骨芽細胞が1型コラーゲンの硬い骨に置き換える(数週間〜数か月)
最適化
力のかかり方に応じて作り替える(数か月、大きい骨では数年)
レンさんは、この流れは成長で赤ちゃんの骨が硬い骨に置き換わる過程を、折れた部分でもう一度やっているようなものだと説明します。うまく使っていけば、跡がわからないほど元通りになるらしいと話します。
これね、リハビリとかめっちゃ大事だと思うよね。
エマさんの質問から、破骨細胞はマクロファージから変わるのではなく、手前の共通の細胞から分かれる「兄弟」のような関係だと補足されます。破骨細胞は柔らかい骨を壊して硬い骨に作り替える段階でも働きますが、最も活躍するのは最後の仕上げとリモデリングの段階だといいます。
骨粗しょう症はなぜ起きる?加齢と骨の衰え
エマさんのリクエストで、話は年を取ると骨がどうなるかへ移ります。レンさんによると、骨粗しょう症 ── 骨の量が減って内部がスカスカになり、骨折しやすくなる病気。高齢の女性に多いことで知られていますなどは基本的に、骨を作ると壊すのバランスが崩れることで起きます。
その原因には、現場監督の指示がおかしくなることに加え、ホルモンも関係しているといいます。破骨細胞が暴走して必要以上に骨を壊すと、骨はどんどん脆くなります。
だからまあ自滅みたいなこと起きてるよね。
さらに、年を取って動かなくなると骨に力がかからず、転んですぐ骨折するようなことも起きます。特に両端の海綿骨はスカスカになりやすく、高齢になると関節付近が折れやすいといいます。栄養面では、カルシウムやビタミンDが大事だとされています。
骨折して動けなくなると他の骨も弱り、筋肉も衰えてさらに骨が弱るという悪循環が起きます。レンさんは、骨と筋肉はつながっているため一緒に衰えていくと話しています。
骨が弱る
作ると壊すのバランスが崩れ、動かないことで力もかからない
骨折する
転んだだけで折れやすくなる
動けなくなる
他の骨にも力がかからず、筋肉も衰える
さらに骨が弱る
筋肉と連動して骨も衰えていく
筋トレより「骨トレ」?運動を続ける大切さ
エマさんは、運動したいと言いながら実行していないレンさんを指摘します。そこからレンさんは、「筋トレしよう」より「骨を使おう」と考えるほうが大事かもしれないと言い出しました。
レンさんは、筋肉は鍛えればつきやすい一方、骨はある日突然強くなることはないと話します。エマさんは、骨も力をかければ強くなると返し、レンさんも元に戻せないわけではないが時間がかかると認めています。
レンさん自身は、会社でよく歩き、階段も意識的に上り下りしていると明かします。むしろあまり動いていないエマさんのほうが心配だといい、歩くだけでも骨や筋肉をかなり使うと強調しました。
締めくくりにエマさんは、小学生や25歳以下の人は成長途中であることを意識し、大人は骨トレを、新生児の親は頭の保護をと、世代ごとのメッセージを送ります。レンさんの平らな後頭部は、直径10〜15センチほどの平面があるという話で盛り上がっていました。
まとめ
骨は硬いだけの塊ではなく、ハイドロキシアパタイトとコラーゲンからなり、内部では骨芽細胞・破骨細胞・骨細胞が作っては壊しを続けています。骨折するとその部分が一度「赤ちゃんの骨」に戻って作り直され、力をかけることで元通りに最適化されていきます。
- 骨は約70%がハイドロキシアパタイト、約25%がコラーゲン、残りが水でできている
- 大人が骨折すると、その部分だけ赤ちゃんと同じ線維骨ができ、硬い骨へと作り直される
- 骨細胞は骨にかかる力を見て作る量を指示するため、サプリだけでは骨は強くならない
- 骨折の治癒は出血・炎症・柔らかい骨での接続・硬い骨への置き換え・最適化の順に進む
- 骨は強くなるのに時間がかかるため、歩く・階段を使うなど日頃から骨を使う「骨トレ」が大切



