仕事選びの3択、はりまとやーまんはどちらを選ぶか
この回のはりまさんは、起業でも就職でも仕事をどう選ぶかの答えを、大きく3つに分けて提示します。
- やりたいことをやればいい
- 向いていることをやったほうがいい
- 儲かることをしたほうがいい
はりまさんはこの3つを、斜陽産業ではなくこれから需要がありそうなことを選ぶ、という広い意味も含めて整理します。そのうえで、自分は向いていることを選ぶ派だと先に結論を述べます。
一方でやーまんさんは、3番目の儲かることを選ぶ派だと答えます。二人の立場が分かれたところから、勝ち負けを競うためではなく、それぞれの意見を言い合う会として話が始まります。
(3択のうち)個人的には向いていることかなという。
正直、3番目かなって思った。儲かること。
やーまんさんは、好きなことと向いてることは微妙に違うと指摘します。ピアノを弾くのは好きだけど上手ではない人もいれば、好きではないのにとても上手な人もいる、という具体例で線引きの難しさを語ります。
めっちゃピアノ弾くの好きなんだけど、ピアノ全然上手じゃないとか、そういうことだよね。
「ファウンダー・マーケット・フィット」で見る適性
はりまさんは向いてること派の根拠として、スタートアップ用語のPMF ── プロダクト・マーケット・フィットの略。作っている製品やサービスが、正しい課題に正しい解決策を提供できていて、市場とうまく噛み合っている状態を指しますを挙げます。まずこの状態を目指すのが、スタートアップのセオリーだと説明します。
はりまさんによれば、この「◯◯フィット」という言葉にはPMF以外の種類もあり、その一つがファウンダー・マーケット・フィット ── ファウンダーは創業者の意味。創業者がこれからやろうとしていることに、スキル・人脈・課題への深い知識などの面でどれだけ合っているかを見る適性の指標ですだといいます。
たとえば医療系のウェブサービスを作るとき、病院で働いた経験がない人だと不安が残る、とはりまさんは例を挙げます。逆に長く病院で働き、そこで見つけた課題を解決するものを作るなら、話が通りやすいという対比です。
はりまさん自身も、AさんとBさんのどちらと組むかで自分のやることが変わると話します。相手ごとに適性が違うから、自分とその人なら何をやると一番いいかを考える。だからこそ人の特性が大事だと結びます。
儲かることを推すやーまん、鍵は「商流」と「継続力」
やーまんさんが儲かることを推すのは、儲かるとは顧客がお金を払ってでもしてほしいと強く欲しがっている、ということだからです。あくどく金さえ手に入ればいいという話ではなく、市場のニーズを掴んで実証するビジネスが一番いい、という感覚だと語ります。
僕はやっぱりニーズのあること、需要のあることっていう考えにフォーカスして、まずはニーズっていうところを探していくのが鉄板じゃないかな。
やーまんさんは最近「商流」がとても大事だと感じているといいます。自分でゼロから商流を作るのは大変で、すでに商売の流れがあるところに飛び込むほうが再現性が圧倒的に高い、という考えです。
ただしやーまんさんは、これがスタートアップ的にどうなのかという迷いも口にします。スタートアップはゼロイチで新しい商流を生み出す発想が多いが、自分は既存の商流に飛び込む感覚のほうが参考になる、と整理します。
さらにやーまんさんは、継続力の観点も持ち出します。好きなことは続けるエネルギーが他の二つより強く、向いてることは他人より少ない労力で成果を出せる。だからどちらもアドバンテージになると認めます。
他の人が5時間で再現できるところ、例えば1時間で僕だったらできる。これは圧倒的なアドバンテージになります。
そのうえでやーまんさんが出した最適解は、儲かることの中に、自分が向いていて好きになれるものを探すというものです。全く儲からないのに好きなことをやるのはただの趣味だ、と付け加えます。
続けるエネルギーが強く、ライフワークのように継続しやすい
他人より少ない労力で成果を出せ、時間の面で圧倒的なアドバンテージになる
デザイン学校で言われた「アーティストとクリエイターの違い」
はりまさんは、やりたいことをやればいいという選択肢だけリスクの差が大きいと指摘します。向いてることや儲かることは仕事になりそうだが、やりたいことがうまくいっても、それが仕事になるかは別だ、という論点です。
たとえば絵がとても上手でも、その絵が高く売れるかは全然別の話だ、とはりまさんは言います。これに対してやーまんさんは、自身のデザイン学校時代の経験を語り始めます。
やーまんさんは小さい頃から絵が得意で、美術はずっと5、デッサンで賞も取っていたといいます。しかしデザイン学校で「なぜグラフィックデザイナーになりたいのか」と問われ、「絵が得意で好きだから」と答えたところ、思わぬ言葉を返されます。
アーティストとクリエイターは全然違うよと。自分の作品で食っていくの大変だよって言われて。
やーまんさんによれば、クリエイターになるなら絵を描く力を使って問題解決していかなければならない、と言われたそうです。当時は夢見る少年で「何言ってんだこいつ」と思っていたが、今その意味がわかると振り返ります。
この話をはりまさんは、絵が好きというスタート地点から絵描きになるルートとデザイナーになるルートがあるなら、儲かりそうなのはデザイナーのほうだ、とまとめます。
「Why You」——なぜ他人ではなく、あなたが解決できるのか
はりまさんは、デザイナーやライターといった職種名は、実は仕事内容をほとんど表していないと指摘します。デザイナーはデザインだけすればいいと思っていたが、実際はコミュニケーション力が要り、デザインを論理的に説明する必要もある、という具体例を挙げます。
コミュニケーションじゃんと思って、デザイナーって。
だからこそはりまさんは、デザイン以外の部分の適性が合っていないと、いい仕事が取れず、作ったものも認めてもらえない、と考えます。人の適性・能力・スキルが、長く続ける上で大事だという主張です。
そのうえではりまさんは、ファウンダー・マーケット・フィットを、投資家がよく使う問いに言い換えて説明します。「なぜあなたなら、この問題を解決できるのか」という問いです。
より正確には、この問題をなぜ他の人は解決できず、あなたなら解決できるのか、という問いだ、とはりまさんは補足します。突然聞かれると戸惑うが、そこにちゃんと答えられる準備をするのが普通だと語ります。
この問題を、なぜ他の人は解決できなくて、あなただったら解決できるんですか、っていう話ですね。
このWhy You ── 「なぜあなたなのか」を問う考え方。同じ課題に取り組む他人ではなく、自分だからこそ解ける理由を説明できるかを問われますに答えるには、他の人には難しいが自分には簡単なことを探すことになる、とはりまさんは言います。努力で解決しようとすると消耗するので、努力しなくても勝てるゲームを見つけることが勝利条件を下げてくれる、という結論です。
一流アスリートに見る「才能×努力」と勝てるポジション
向いてることの重要さを、二人は一流アスリートに重ねて語ります。やーまんさんは、イチロー選手はもう小学校の時点で周りより飛び抜けて野球が上手かった、だからイチローになれたと述べ、松井秀喜選手や大谷翔平選手も同様だと例を挙げます。
はりまさんは、彼らはやりたいからやっていた面もありそうだと返します。二人は、スポーツ選手は好きなことと向いてることが重なる領域ではないか、と整理します。
一方で身長の話も出ます。はりまさんは、バスケットボールで身長160センチ台の選手はかなり不利だと指摘します。プロにはいるが数は少なく、いろいろな適性が重なって続けられているが、それでも不利ではある、という結論に落ち着きます。
やーまんさんは、一流選手はフィジカルやDNAといった持って生まれたアドバンテージのある人が、とんでもない努力を積み重ねて超一流になっていると語り、「才能かける努力」だと表現します。
これを受けてはりまさんは、自分の式では「その人の特性 × 市場 × 運」だと返します。努力を掛け算に入れられないと言いつつ、努力できる人のほうがストーリーがあっていい、と補足します。
ただしやーまんさんは、努力は絶対にいると強調します。はりまさんも自分も、世の中の人間もみんな努力している。その量や質に差はあるが、努力そのものは前提だ、という認識で二人は一致します。
向いてることと儲かること、ここの掛け算が一番なんか良さそうだね。やりたいことから考えなくていい、むしろ。
やーまんさんは、やりたいことから始めると危ないと指摘します。事業は走らせる中で必ず軌道修正が入り、その途端にやりたくないことに変わる可能性がある。好きだった気持ちが崩れると馬力が下がるので、好きという感情を入れないほうがうまくいくかもしれないと語ります。
『RANGE』と『ダメならさっさとやめなさい』に学ぶ撤退の技術
はりまさんは、この話を調べる中で読んだ『RANGE(レンジ)』という本を挙げます。副題は「知識の『幅』が最強の武器になる」です。
その本にはマッチクオリティ ── 人の能力や性質と、仕事との相性のこと。相性が合っているほうが仕事はうまくいきやすい、という考え方ですという言葉があり、能力や性質と仕事の相性が合っているほうがうまくいきやすい、という話だとはりまさんは紹介します。
以前は、やりきる力であるグリット ── 最後までやり抜く力、粘り強さのこと。目標に向けて諦めずに努力し続ける姿勢が成功につながる、とされてきましたがとても大事だとされ、諦めずにやるほうがいいという時代があった、とはりまさんは振り返ります。
ところが最近は風潮が変わり、諦めないのはリスクが高いという意見が勢力を増し、データ的にもそうなってきているといいます。会社ならピボットして別の事業をすること、スポーツなら背が低いなら勝ちやすい別の競技に行くこと。そうした撤退やピボットの提案が増えている、という流れです。
グリット(やりきる力)を重視。諦めずにやり抜くほうがいいとされた
諦めないのはリスクが高いという見方が強まり、ピボットや撤退が提案される
やーまんさんは、儲かることだけを考えるとライバルが多く、結局そこで競合と戦う羽目になると指摘します。だからいかに自分の得意なジャンルに引き込むかという話になり、結局は向いてることに寄っていく、と語ります。
関連してやーまんさんは、セス・ゴーディン著・神田昌典訳の『ダメならさっさとやめなさい』という古い本を挙げます。勝算のないところに這いつくばってもナンバーワンにはなれない、という内容だったと紹介します。
いかに競合を負かすかよりも、いかに自分の優位性を発揮できる場所を探すか。それが結果的に競合に打ち勝つ一番手っ取り早い方法。
スキルもコネもない若手は、ハイリスク・ハイリターンでいい
はりまさんは、では今スキルもコネも社会経験もない人はどうすればいいか、と問いを立てます。学生のように何も持っていない場合の戦略です。
はりまさんの答えは、若い人は時間はあるが失うものもないので、最大のハイリスク・ハイリターン案を選んでいい、というものです。実家暮らしで、うまくいかなくても大丈夫な人ならなおさらだと補足します。
さらにはりまさんは、リスクとリターンが大きく、フィードバックが一番大きいものを得られるのがいいと語ります。仮にうまくいかなくても、経験値や情報はお金では買えない。他ではやれない最新技術を使った何かをするのも勝ち筋だ、と結びます。
一方でやーまんさんは、何をするにしても楽な道はないと話します。ソファでYouTubeを見る代わりに本屋で一冊買って読むか、二時間で仕事を片付けて残りの時間で客に会いに行くか、といった日々の選択の積み重ねを挙げます。
なぜ私たちはヘトヘトになるまで働くのか
話は二人の働き方に移ります。やーまんさんは、最近毎日ヘトヘトで体力が落ちたのかと気になり、休会していたフィールサイクルのジムに久しぶりに行ってみたといいます。すると余裕でこげてしまいました。
つまり体力は落ちておらず、単に毎日めちゃくちゃ働いていただけだった、とやーまんさんは打ち明けます。家に帰ると疲れすぎて一言も喋れないほどだと話し、褒めてほしいと言います。
これに対してはりまさんは、それはむしろ働き方を見直したほうがいいのではないか、と返します。疲れるほど頑張っている人は、あまり褒めないほうがいいかもしれない、という視点です。
はりまさんは、ヒカキンさんが昔アニメのオープニングを再現する企画で何十人ものキャラクターを詰め込みすぎ、うつ病になりかけた話を挙げます。「頑張って撮影したから見てね」という状況こそ、むしろ見ないほうがいいのではないかと語ります。
誰に頼まれたわけでもないのに、そんな死にそうな思いをして作ったものを見ないほうがいい。
はりまさんは、それより楽しくゲームや変な料理をしているほうが面白い、と続けます。頑張っている人を見たら「頑張るな」と言ってあげたほうがいいのではないか、という提案です。
はりまさんは、頑張るは本来手段だと整理します。高い山に登りたいから頑張るはずが、頑張ること自体が目的になり、手段と目的が入れ替わってしまう状況があると指摘します。やーまんさんは「俺、今入れ替わってもうてんかな」と応じます。
一日30分睡眠の人と、立ち上げ期に「頑張ってもいい」タイミング
二人は、頑張るのが好きな人の例として堀大輔さんの名前を挙げます。はりまさんによれば、堀さんは一日30分睡眠で、7日間の企画をやったばかりだといいます。
はりまさんは、それがうまくいってしまったからこそ危険だと言います。味を占めて次は二週間だとやり出すと大変だ、という懸念です。
そのうえではりまさんは、寝ずに頑張ることを一概に否定はしません。特に何かを始める立ち上げ時期は、作業時間に比例して成果が出るターンがあると語ります。
はりまさんによれば、そのターンはやればやるほど結果が出る。ただし軌道に乗るとグラフが緩やかになり割に合わなくなるので、頑張っていいのは最初の数ヶ月だ、という整理です。普通は寝たほうがいいと前置きしつつ話します。
立ち上げ期
作業時間に比例して成果が出る。やればやるほど結果につながる
軌道に乗る
成果のグラフが緩やかになり、頑張りが割に合わなくなってくる
結論
最初の数ヶ月なら寝ずに頑張ってもいい時期があってもいい
やーまんさんは、その頑張りが自信につながることもあると話します。20代の頃、睡眠3〜4時間で始発から終電まで毎日やっていた、あの時に比べれば今はまだ大丈夫だ、という感覚です。
40代は「今頑張らないと本気を出すところがない」
はりまさんは、ここで手を抜いてそこそこの結果で終わったとき、振り返って後悔しないか、という基準を持ち出します。「もっと頑張っていたらできたのでは」という思いが残るなら、頑張ったほうがいい、という考えです。
やーまんさんは、それを自分の年齢に引きつけて語ります。今41歳で、早生まれのため周りは43歳の年。今本気を出さないと本気を出すところがない、という感覚が毎日しゃかりきに働く理由かもしれない、と打ち明けます。
今本気出さないと、もうあなた本気出すとこないですよっていう感覚。それがあって、毎日しゃかりきにやってるのかもしれない。
やーまんさんは、体は退化していくが、脳の知識は積み上がっていくと語ります。だから知識の積み上げは手を抜かずやっておいたほうがいい、という感覚です。
その理由をやーまんさんは、50代60代になったとき「仕事人として頭の中がスッカスカだ」と言われるのが嫌だから、と説明します。だから40代に密度の濃い時間を過ごしておきたい、サボれないということだ、とまとめます。
五十代、六十代になったときに、仕事人として頭の中スッカスカなんやんけって言われるの嫌やから。
二人は、頑張るのはもはやデフォルトだという認識で一致します。みんな頑張っているし、頑張らなきゃいけない環境にいる。だからこそ、頑張っている人をわざわざ褒める必要はない、という結論です。
頑張らなきゃいけない環境に我々はいるが、頑張ってる人は別に褒めなくていい。そういう道を選んだんだから。
やーまんさんは、30代に比べて40代は働いている時間が1.5倍くらいに増えているかもしれない、と振り返ります。30代もサボっていた感覚はないが、40代になって「30代もっとできたな」と思う、その後悔があるといいます。だから今、時をかける少女のようにタイムリープしたいと冗談めかします。
もっとも、やーまんさんがタイムリープしてやりたいのはAppleやテスラ、NVIDIAの株とビットコインを買って遊び呆けることでした。はりまさんは「もっと頑張れよ」とツッコみ、二人はやはり頑張ろうと締めます。
まとめ
この回は、はりまさんが向いてること派、やーまんさんが儲かること派として仕事選びを語り合い、最終的に「向いてること × 儲かること」の掛け算に落ち着きました。後半は、勝てる場所を選ぶ撤退の技術や、頑張りすぎる二人自身の働き方まで話が広がりました。
- 仕事選びの3択は「やりたいこと」「向いてること」「儲かること」。やりたいことだけは仕事になるかのリスクが大きい
- 向いてること(適性)と儲かること(市場ニーズ)の掛け算が、二人の暫定的な最適解
- 競合を負かすより、自分の優位性を発揮できる場所を探すほうが、結果的に勝ちやすい
- 諦めずやり抜くグリットより、勝てる場所へ移るピボット・撤退が見直されている
- 頑張りは本来手段。目的とすり替わりやすく、立ち上げ期以外は割に合わなくなることもある





