一人称で話者分離はできるのか?
この回の冒頭は、ケージくんが前回の配信に寄せられた感想を紹介するところから始まります。前回の第67回は、ケージくんが一人称「僕」を使わずに話す「一人称チャレンジ」の回でした。
Sottさんからは、ポッドキャストの特殊な一人称は発明かもしれず、AIの話者分割にも役立ちそうだという感想が届きました。Sottさんのおすすめの一人称は「あっし」だそうです。
ケージくんはこの感想を受けて、別番組で試した実験を報告します。9人でダンジョンズドラゴンズ ── ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)。参加者が会話を通じて物語を進めるテーブルトークRPGの代表的な作品ですを遊び、その様子を無編集で配信している「D&D部」で、全員が冒頭で自分の一人称を名乗ってから録音したといいます。
一人称をそれぞれの話者が分けたら、AIがそれを元に正確に話者分離してくれるかなと思って実験したら、LISTENの今のところ書き起こしでは全然ダメだったという。
ケージくんの実験の結果、少なくともLISTENの書き起こしでは、一人称を分けても話者分離の精度は上がらなかったということです。
山村達也さんからは、前回のケージくんが訂正していない文で12回「僕」と言っていた、という指摘が届きました。ケージくんは一人称チャレンジの失敗を認めつつ、定期的に挑戦する価値のある実験かもしれないと話しています。
シュウさんからは「今週のシャオちゃん」にかぶせた「今週のシュウちゃん」をやろうかなという感想と、前々回で紹介したカードゲームのリブレを「リアルでやりてえ」という一言も届きました。
店長との接点は「ギチの完全人間ランド」と同じ番組への協賛賞
ゲストの店長とケージくんは、この収録が初対面です。ケージくんが店長を知ったのは、大好きなポッドキャスト「ギチの完全人間ランド」のリスナー活動を通じてでした。
リスナーがゲストに呼ばれる企画「目安箱」に店長が出演した回で、ケージくんは初めて店長の声を聞いたといいます。店長によると、それは半年ほど前のことです。
ケージくんが店長と話したいと強く思ったきっかけは、5月の「おぼわんグランプリ」でした。2人はそれぞれ協賛賞を出し、どちらもホナエモンさんの番組「暇だもんで」を選んでいました。
(「暇だもんで」は)『オールナイトニッポン』で乃木坂とかのアイドルグループさんの方がやってる番組あるじゃないですか。あの雰囲気にすごい近いなみたいなことを感じたんですけど。
いつオールナイトに行ってもおかしくないみたいなことをちょっと大げさめに書きました。
ケージくんは店長の感想を読み、自分と感性が近いかもしれないと感じたそうです。年齢も近そうだと思っていたものの、店長は樋口さんたちの1つ下の世代だと明かします。
ケージくんは、10歳前後はほぼ同世代、35歳以上60歳未満はおおむね「おじさん」というくくりだと考えていると笑いながら話しています。
「幸せの総量を増やしたい」という同じ言葉
店長の側にも、ケージくんの価値観に惹かれた理由がありました。ケージくんが周さんとの対話で口にした「幸せの総量を増やしたい」という言葉を、店長も以前、全く同じ言葉で書いていたのです。
できるだけ参加者全員がちょっとずつでもいいからハッピーになって、誰かが優勝して他の負けの人たちみたいになるよりは、全体の幸せの総量が増えるみたいなことの方がいいじゃんって。
ケージくんも競争や争いが苦手だといいます。ケージくんの「幸せの総量」は、全員を幸せにするのは無理でも、自分の行動で全体の幸せが少しでも増えれば満足しよう、という意味だそうです。
ケージくんは大学時代、自分をよく知る友人から「リングに決して上がらない男」と言われ、確かにと思った記憶があると振り返ります。
競争や奪い合いが苦手。誰かが優勝して他が負けるより、参加者全員が少しずつハッピーになるほうがいい
全員を幸せにするのは無理でも、自分の行動で全体の幸せが少しでも増えれば満足とする
ケージくんの友だちの定義と、男女の友情への違和感
番組のテーマである友だちの定義について、ケージくんはまず自分の考えを示します。キーワードは「幸せ」です。
相手に幸せな出来事が起こった時に、その相手の幸せが自分の幸せのように感じることができて、なおかつ相手も同じように感じることができる、そういう相互の関係を僕は友達と定義してます。
ケージくんのこの定義では、兄弟や親も友だちに含まれます。店長が恋人や異性・同性も関係ないのかと聞くと、ケージくんはそうだと答えています。
ケージくんはここから「男女間に友情は成立するか」という話題に触れます。論理的には1組でも成立すれば成立するので答えは明らかだとしたうえで、気になるのは「セックスした相手はもう友達じゃない」という見方だといいます。
僕セックスしようがしてなかろうが、友達だったら別に友達でしょ?って僕は。
ケージくんにとっては、相手の幸せを喜び合えるかどうかが友だちの基準なので、セックスの有無は関係ないということです。
LINEのリストから考えた店長の定義は「2人でご飯」
店長は出演の話を受けて、自分のLINEに入っている人を順に見ていき、どこからが友だちかを考えたといいます。定義から考えるのではなく、データからさかのぼったわけです。
やっぱり先輩後輩とかで関わり合い始めた人は、僕の中では友達っていう感じには思えない。
店長には、アルバイト時代の後輩で今もたまに飲む相手がいるものの、意識の中では「後輩のあいつ」のままだそうです。元上司・元部下から友だちになる人もいるが、自分はそうなれないと気づいたといいます。
では、知人と友だちを分けるものは何か。店長の答えは、ケージくんのように相手の幸せを喜べるかまでは考えず、もっと単純なものでした。
店長は、Zoomで話すようなオンラインのつながりは、ギチの完全人間ランド関連でこの半年から1年に初めて経験したといいます。
オンライン友達っていうのは僕の中でまだ、新しい概念すぎて処理しきれてない感じが。
相手の幸せを自分のことのように喜べて、相手も同じように喜んでくれる相互の関係
2人だけで会ってご飯を食べに行くなど、行動を共にするかどうか
友だちとは少し違う「仲間」という概念
ケージくんは、店長の「2人でご飯に行けるか」という線引きはわかりやすいと受け止めます。そのうえで、友だちとは重なりつつも少し違う「仲間」という概念を持ち出します。
先輩とか後輩とか、あと仕事の同僚とかって友達ではないけど、なんか仲間意識はあるなとか。
ケージくんによると、学生時代の同級生や部活の仲間も、友だちとは言い切れなくても仲間意識はあるといいます。店長はそれを「連帯感」と表現しました。
ケージくんは、目的意識や何かを共有した人たちを括る仲間意識は、まだ言葉として定義できていないものの、感覚としてはあると話しています。
友だちになれる・なれないは何で決まるのか?
ケージくんは、まだ対面で会っていない相手とも将来友だちになれる予感があるかを店長に尋ねます。店長は「全然あります」と答えました。
では、友だちになれそうな相手と、なれそうにない相手の違いはどこから来るのか。店長が最初に挙げたのは、自ら「一番しょうもない」と断ったうえでの見た目、特に人相でした。
その人が何を語ってるかとか、どんな性質の人かとかを置いといて、すでにちょっと影響というか、こうフィルタリングされてしまってる、無意識の中で。
店長は、これは美しい・醜いの話ではないと補足しています。芸能人や芸人を見ても、もともと苦手なタイプの人相があるそうです。
ケージくんは、仕事で多くの人を見てきたからかと尋ねます。店長は、パターンから防衛本能が蓄積されているのかもしれず、意識的に剥がしていかないと増えてしまうかもしれないと答えました。
ケージくんは、喫茶店を経営していた両親が人を見る目に長けていたことを思い出します。店長は、ある程度は決めつけや偏見でもあると認め、ケージくんは自分にとってどうかを判断するフィルターなら決めつけでもいいのでは、と返しています。
会話のテンポと、予想外のことを言う人
店長が人相の次に挙げたのは、話しているときの間合いやテンポです。
この時間がどんだけ長く続いてもつらくないと思える人っていうのは、その聞いたことに答えてくれるとか。
一方で店長は、予想外のことを言ってくれる人も好きだといいます。その例が、2人が協賛賞を贈った「暇だもんで」のホナエモンさんです。
ケージくんも、映画『オデュッセイア』を扱った「暇だもんで」の最新回を楽しんだと話します。ケージくん自身は、小学生の頃に聖闘士星矢とビックリマンシールからギリシャ神話にハマり、図書館の本を全部読んでノートにまとめたほどでした。
ギリシャ神話が当たり前だったケージくんには、知らない人の目から見た映画の感想が新鮮だったそうです。店長は、知らないことをみんな隠したがるなかで、それを開けっ広げに言ってくれるのがありがたいと評しています。
先輩後輩のフィルターが先にかかる理由
ケージくんは、先輩や後輩を友だちと思えない店長の感覚を、さらに掘り下げます。ケージくん自身は、先輩というタグと友だちというタグが両方つくタイプで、すぐ友だち認定してしまうといいます。
大げさに言えば、芸人さんの世界だと先輩が後輩に奢るものっていう、鉄則みたいなのあるじゃないですか。結構そういう文化で育ってきてしまったのもあるんで。
その友達という輪に入れるかどうかっていうよりは、後輩先輩っていうフィルタリングの方が先にかかっちゃう仕様になっている。
店長にとって、立場や役割の枠組みが先に固定されてしまうことが、先輩後輩を友だちと思えない理由のようです。
ケージくんは、店長とコンカフェの女の子たちの関係についても尋ねます。店長は、全員女子で娘ほどの年齢なので友だちという感覚ではないと答え、ケージくんが塾で教えていた生徒との関係に近いのではと話しました。
店長の店が塾と違うのは、店長が採用段階でフィルタリングしている点です。応募から面接、継続勤務まで含めると、採用率は2〜3%ほどだといいます。
申し込んでお金を払えば入ってくる
店長が採用するかを判断し、コミュニケーションが難しそうな人は採用しない。継続勤務まで含めると2〜3%ほど
聴くと行きたくなる、コンカフェのポッドキャスト
ケージくんは、店長の店で働くちぃさんの「ちぃらじお」と、ミクさんとテンさんの「ミクとテン」を聴いているといいます。お酒が一滴も飲めず、接客をしてもらう店に行ったことがないケージくんでも、聴くと行ってみたくなったそうです。
YouTubeとかより全然声しか聞けてないから、その行ってみたいって思えるっていうところもすごいような気がして。
店長は、採用率3%以下の中から、さらに人柄がよくポッドキャストに向きそうな子を厳選していると補足します。一方で、ほかのコンカフェでは行かなければよかったと思うこともあるだろう、とも話しています。
小学生の頃からヘビーなラジオリスナーだったケージくんは、中学時代に地元ラジオ局のイベントへ通った経験から、音声メディアは特定の層に強い集客力があると感じてきたといいます。
ポッドキャストから来る客は「100%いい人」
店長によると、番組を聴いて遠方から来てくれた、ポッドキャスト仲間でもない人がいたそうです。もともと宣伝はほとんど目的ではなかったのに、ここまで効果が出るのはすごいと話しています。
店長の店はTikTokもやっていますが、そこから来る客とポッドキャストから来る客には違いがあるといいます。
一回来て終わりのことがある。「可愛い、会ってみたい」など下心のある人も混じっていると店長は感じている
声を何時間も聴いたうえで、いい心の状態で来てくれる
ケージくんは、映像と声では脳を刺激する箇所が全然違うからではないかと応じ、店長もそんな気がすると同意しています。
友だちは多いほうがいいのか?
ケージくんは、いろいろな人に聞いている「友だちは多いほうがいいか」という問いを店長にも投げかけます。ケージくんは、相手の幸せを喜べる関係が友だちなので、多いほど幸せを感じる機会が増えると考えています。
僕は全然友達、増やしたいなって思うことは人生で一回もなかったですね。
店長は、友だちに限らず人間関係そのものを増やしたくないといいます。取引先や営業マンとの関係も同じで、意識があちこちに分散すると処理しきれないからだそうです。
店長はストレングスファインダー ── 米ギャラップ社が開発した、質問への回答から自分の強みとなる資質を34の項目から割り出す診断ツールですで、一番上の資質が「親密性」だったと明かします。親密性が高い人は、狭い人間関係を深くしていきたい傾向があるといいます。
少数の仲のいい人とより仲良くしたいみたいなタイプ。
店長は自分で診断を受けたあと、結果をTwitterに出したところ、資格を持つもやりすさんから声がかかり、詳しい解説のセッションを受けたそうです。親密性の意味をそこで改めて知ったといいます。
友だちの友だちとすぐ仲良くなれるか
店長は、親密性の傾向を自覚的に実践していたわけではなく、新しい友だちを増やす行動を避けていただけだといいます。友だちの友だちとすぐ仲良くなることも、店長には全くないそうです。
例えば友達と二人で遊ぶ約束してたのに、そこに「こいつも呼んでいい?」とか言われると、全然嫌なんですよ。
ケージくんは反対で、好奇心が勝ってしまうタイプだといいます。自分が面白いと思う友だちが面白いと思っている人なら、ぜひ会ってみたくなるそうです。
この意識を向ける相手っていうのが友達だと思ってるところに、もう一人知らない人が来られちゃうと、なんかリソースが足りないみたいな感覚なのかもしれないです。
ケージくんも、処理する情報量が増えるのが嫌なときはあると共感しています。
嘘が許せないのはコミュニケーションコストが上がるから
ケージくんは、店長が営業の人などが増えると処理しきれないと話したことに、自分との共通点を見出します。ケージくんも常に情報処理のコストを考えてしまうといいます。
人を好きになりやすいケージくんが唯一許せないのは、嘘をつくことです。その理由を考えた結果、嘘をつく人だとわかった瞬間に、その人とのコミュニケーションコストが倍以上になるからだと気づいたそうです。
ケージくんは遅刻を例に説明します。時間を守る人と2時に約束すれば考えることはありませんが、遅刻しがちな人なら、2時に来た場合、10分遅れた場合、30分遅れた場合と、考えることが増えます。
相手の傾向がわかる
遅刻しやすい人、嘘をつく人だとわかる
想定が増える
遅刻なら何分遅れるか、嘘なら発言一つ一つが本当か嘘かを考える必要が出る
コストが上がる
コミュニケーションコストが倍以上になり、関わるのが面倒になる
店長はこの待ち合わせの話に強く共感します。収録当日の朝、店長はケージくんに「もう起きてますよ」と連絡を入れていました。初対面で、Zoomが始まるまで誰も来なかったらどうしようと考えてしまうからです。
ケージくんも、その連絡の気持ちがよくわかったといいます。ケージくん自身、ZoomのURLは直前に送るかもしれないと事前に伝えていました。
相手から見たらこうだろうなっていうのがわかる人同士だと楽ですよね。
前編はここで終わり、次回の後編では店長の人生年表インタビューが予告されています。
まとめ
店長の友だちの定義は「2人でご飯に行けるか」というシンプルなものでした。先輩後輩を友だちと思えない感覚や、人間関係を増やしたくない姿勢は、限られた意識を少数の相手に向けたいという考えにつながっています。ケージくんとは友だちの増やし方こそ対照的ですが、競争が苦手なこと、コミュニケーションのコストを気にすることには、はっきりとした共通点がありました。
- ケージくんの定義は相手の幸せを喜び合える相互の関係、店長の定義は2人だけでご飯に行けるかどうか
- 店長は先輩後輩の関係では立場のフィルターが先にかかり、友だちとは思えないという
- 店長の店のポッドキャストから来る客は「100%いい人」で、宣伝目的でなかったのに集客効果が出ている
- 店長はストレングスファインダーの「親密性」が最上位で、少数の人と深く付き合いたいタイプ
- 嘘や遅刻は想定すべきことを増やし、コミュニケーションコストを上げるという点で2人は一致した







