Appleと2社だけ。波佐見焼マグの偏愛プロダクトたち
高須さんゲスト回の最終回では、まず店に並ぶアイテムの話から始まります。種市さんが手に取ったのは、長崎の波佐見焼で作られたマグカップでした。
このマグは、カリフォルニア・LAのデザイナー(日本人)が手がけ、波佐見で製造されたもの。表面には「アロハ」「グッドジョブ」といった、SUNSHINE+CLOUDのコンセプトを表す文字が入っています。
(このマグを別注しているのは)世界で2社。
その2社の内訳を聞いて、種市さんも小畑さんも驚きます。1社はSUNSHINE+CLOUD、もう1社はなんとAppleでした。小畑さんはAppleが使う、ざらっとした質感の同じマグをすでに愛用していたといいます。
(デザイナーが認めてくれるのは)スティーブ・ジョブズか俺か。
風呂敷広げて大丈夫ですか?この渋滞広げて大丈夫ですか?
冗談めかしたやり取りですが、世界でAppleと2社だけが別注する波佐見焼のマグという事実が、この店に並ぶプロダクトの偏愛ぶりを象徴しています。
ビーチサンダルの元祖と、手刺しの絨毯のストーリー
続いて話題は、店に並ぶビーチサンダルへ。種市さんが「これってビーチサンダルの元祖ですか」と尋ねると、高須さんが成り立ちを説明します。
ビーチサンダルって、米軍の人が日本の草履をアメリカに持って帰って開発したのがビーチサンダル。それを内外ゴムっていう神戸の会社に発注して作ったのがビーチサンダルの初め。
この元祖は「ブルーダイヤ」というブランドでした。時期は戦後の1950年代から60年代ごろで、雑誌「リラックス」のビーチ特集に載っていたと高須さんは話します。今はブランド名がなくなり、同じ会社が「ビーチウォーク」として作り続けているそうです。
米軍の人が草履を持ち帰る
日本の草履をアメリカへ持って帰る
内外ゴムに発注
神戸の会社に発注して製造
ブルーダイヤとして発売
これがビーチサンダルの元祖
現在はビーチウォーク
同じ会社が海外でも製造
次に小畑さんが「いつか欲しい」と話したのが、分厚い絨毯です。密度と高級感に3人が唸ります。これは山形のオリエンタルカーペットが手がけたもので、京都の帝国ホテルにも敷き詰められているといいます。
(オリエンタルカーペットは)うち(の仕事を)してくんないもん、今。忙しいって言われて。
その理由は、帝国ホテルの仕事が優先されているから。「Appleか俺か」と言っていた高須さんも、帝国ホテルには勝てないと笑います。
工場まで行ったけど、手で刺してるの。職人が横に並んで全部刺してる。
この絨毯は、汚れをはじくうえに、工場には洗う専用のプールまであるといいます。何年か経って汚れたら送れば洗ってくれる。オリジナルのこのサイズで8万円だと紹介されました。
3世代4世代で着る。ファンが愛し続けるシグネチャーTシャツ
蜂蜜、ビーチサンダル、波佐見焼のマグ、そしてオリジナルのシグネチャーTシャツ。種市さんは、この店の商品には一つひとつストーリーがあると振り返ります。
Tシャツはアメリカでボディを作り、日本で染めとプリントと刺繍をしているもの。1枚8000円で、着込むほどにくたっとして味が出てくるといいます。
これ、みんな家族で着てたりしてます。お客さんがもうみんな着て。
3世代、4世代。
葉山のローカルの人たちがボロボロになっても着続け、子どもの頃に着ていた人がこの会社に就職する。そんなエピソードも語られます。種市さんは、それをこの店の「マジック」だと表現します。
明るいピンク色のシャツは、あくまでリゾートの服。葉山で暗い色を着ていた人も、帰りには違う格好になって帰っていくといいます。東京へ着ていくと「海に行く格好ですね」と言われるのも、この店ならではの空気感です。
中目黒まで1時間。逗子・葉山移住の通勤リアル
後半は、都内在住の小畑さんが抱くリアルな移住相談へ。世田谷に住み、実家は横浜・戸塚で、葉山にも何度も来ているという小畑さんの気がかりは通勤でした。
小畑さんのオフィスは中目黒。毎日通うのは負担ではないか、でも余裕だという人もいる、と悩みを打ち明けます。子どもがいる家庭であることも前提として共有されました。
子供とか育ててくんだったらこっちかな。東京のギスギス感ってあまりよろしくないのかなっていう。
高須さんは、通勤について具体的なルートを挙げます。逗子からなら湘南新宿ラインで恵比寿まで行けて、始発だから絶対に座れる。横須賀線もあり、中目黒までは1時間以内で行けると話します。
海辺の普通の街。買い物ができ、OKストアやスズキヤ、魚屋もあり生活の利便性が高い
元々は別荘街で趣がある一方、店は少ない。東京と行き来するバランスが取りやすい
種市さん自身も、BEAMS時代の仲間やアパレルの知人が鎌倉や逗子に多く住んでいると話します。フレックス勤務であれば通勤時間帯も似ていて、十分に通えるという実感が語られました。
いきなり葉山は高いハードル。逗子でワンクッション
高須さんの勧めは、いきなり葉山ではなく、まず逗子に住むことです。葉山は賃貸がほとんど出ないのに対し、逗子には賃貸があるといいます。
一回突然葉山だったらハードル高いから。逗子で電車で恵比寿まで行って中目黒っていう。それはね、全然(大丈夫)。
種市さんは、さらに手前の試し方も提案します。安いアパートを借りたり、逗子のエアビーで週末だけ滞在したりして、町の雰囲気や学校を見て回るという方法です。
めっちゃ安いアパート借りて、週末だけ家族と子供たちで行ったりして、町の雰囲気とか学校とかプラプラ見ながらとか。
逗子の暮らしやすさは、子育て世帯の増加にも表れています。高須さんによると、逗子の小学校ではクラスが増えているそうです。
ステップワゴンから出てくるとね、5人ぐらい出てくる。この間話したお客さんも5人とか。
移住してくる家庭が増えているのは、それだけ生活しやすいからではないか、と種市さんは受け止めます。
逗子小はローカルで仲がいい。トーンが合う移住者の空気感
移住を考えるうえで、小畑さんが気にしていたのが小学校のタイミングです。子どもが来年小学1年生になるため、途中で転校するのは避けたいという事情がありました。
逗子小いいよ。
どういいんですか?
高須さんが挙げる良さは、親も子どももみんな仲がいいこと。元々住んでいる人もいれば、海が好きで逗子に来た親も多く、なんとなく似ているといいます。
もちろん元々住んでる方もいらっしゃるし、海が好きで逗子が好きだから来てる親御さんだから。
種市さんは、余計なノイズや見栄がなさそうだと受け止めつつ、その空気感が合わない人が来るとハレーションが起きるかもしれない、とも補足します。それでも育ちやすく、環境は良さそうだという印象が共有されました。
子供たちも仲良いもん。ずっと逗子町からその後も仲良い。ギスギスしてないからさ。
朝1時間の海散歩は「勝ち」。忙しい時ほど動く
話題は、逗子・葉山の暮らしがもたらすウェルネスへ移ります。小畑さんは、自分が家と会社の往復になりがちで、忙しい時ほど悪循環に陥ると打ち明けます。
結構パツパツになると夜遅くまで会社にいたり、早めに帰って家で仕事するとか繰り返してて。良くないなと思う時に予定を入れて行くと、逆にリフレッシュして仕事が良くなる。
そこで高須さんが語るのが、朝の海散歩です。走って汗をかき、海に飛び込んでシャワー代わりにする。上がってきた時の感覚を「勝ち」と表現します。
高須さんは、この時間の価値を「何も考えなくていいこと」だと言います。余計な情報が入らない時間を持たないと、整理整頓や優先順位づけができなくなるという実感です。
余計なインフォメーションが入んない時間持たないと整理整頓できてこないし、優先順位が決められなくなっちゃう。
種市さんは、引っ越す前に前日泊まって朝散歩を試してみればいいと勧めます。試すことを億劫にしていたら何も変わらない、という後押しでした。
家と会社の往復になり、夜遅くまで働く悪循環に陥る
朝の海散歩など予定を入れて動くことで、リフレッシュして仕事が良くなる
携帯を持たない商売哲学。つながらないから会いに行く
最後の話題は、高須さんの商売哲学です。種市さんが「先輩は携帯電話を持っていない」と明かします。
ちなみに電話は通じないから。なんでかっていうと持ってないから、携帯電話。
連絡はほぼメールで、待ち合わせに遅れる時も電車遅延のメールを見ないとわからないといいます。種市さんが高須さんに連絡したい時は、スタッフの関さんを経由するそうです。
携帯を持たないのは、単に不便なだけではありません。高須さんは、自分に直接連絡が来てしまうと、スタッフが何が起きているかわからなくなると説明します。
直接僕に電話かかってきちゃったら、スタッフ何が起こってるかわかんないじゃない。会社にかかってきて、こういう案件があるんだ、だけど捕まらない、どうしようみたいな。
つながらないからこそ、スタッフが自分で考える。全部を自分に回さない、という会社のあり方がそこにありました。繋がらないと、スタッフも考えりゃいいという言葉に、その哲学が表れています。
だけどスタッフもその気持ちで応えりゃいいじゃん。全部僕に回ってきてもしょうがないじゃないですか。
この姿勢は、店のファンとの関係にも通じます。種市さんは、SUNSHINE+CLOUDの客層が浮気せず世代を超えて通い続けることに触れ、その秘訣を尋ねます。
真摯に誠実にやってるってことですかね。
デジタルの顧客管理はこれからだといいます。種市さんは、仮想空間やAIで済ませようとしがちな自分たちに対し、高須さんの「とにかく通え、会って話せばいい」という姿勢を見習いたいと締めくくります。
繋がるよ。来りゃいいじゃん。会って話せばいいじゃん。
まとめ
ゲスト回最終回は、SUNSHINE+CLOUDの偏愛プロダクトから、逗子・葉山移住のリアル、朝の海散歩のウェルネス、そして携帯を持たない商売哲学までを、3人がゆるく語り合う回になりました。効率や合理化とは別の、豊かな暮らしと愛される商売のあり方が浮かび上がります。
- SUNSHINE+CLOUDの波佐見焼マグは、世界でAppleと2社だけが別注する偏愛プロダクト
- ビーチサンダルは米軍が持ち帰った草履から生まれ、絨毯は山形の職人が手刺しで仕立てるなど、商品ごとにストーリーがある
- 移住はいきなり葉山ではなく、生活しやすい逗子でワンクッション置くのが現実的
- 朝1時間の海散歩は、余計な情報を断ち、頭を整理する最高のウェルネス
- 携帯を持たないのは、スタッフが自分で考え、客と会って話すという商売哲学の表れ




