リスナーから届いた素朴な疑問
今回の配信は、noteに寄せられた質問がテーマです。質問者はヨシダマさん。子育ての中でふと感じた疑問だといいます。
母乳は冷凍することが多く、湯煎解凍して赤ちゃんに飲ませます。確かに牛乳はしないところが不思議ですね。美味しさに関係するのもさることながら、コスト面でも余計にかかってしまうからかなと思いました。
母乳は凍らせて解凍しても赤ちゃんが問題なく飲んでくれることが多いといいます。それなら牛乳も同じようにできそうに思えます。川上さんはこの疑問について、自分でも知らなかったので調べてきたと話します。
以前の配信では、牛乳を冷凍すると脂肪分が分離してシャバシャバになり風味が悪くなると伝えていました。ただし、凍らせた牛乳をアイスコーヒーの氷代わりに入れると、冷たさを保ちつつ溶けていく牛乳を楽しめるという飲み方も紹介したそうです。
まず結論、母乳も牛乳も冷凍すると品質は変わる
川上さんはまず結論から話します。母乳も牛乳も、冷凍するとどちらも品質は変化するということです。
母乳は冷凍しても全く変わらないわけではありません。脂肪が分離し、ビタミンCなど一部の栄養素が少し減り、免疫成分も長期保存では低下すると説明されています。
さらにリパーゼという脂肪分解酵素の働きで、石鹸のような香りや金属っぽい風味になることもあるといいます。海外では、冷凍した母乳を赤ちゃんが飲まなくなったという相談も少なくないそうです。
なぜ母乳は冷凍するのか
では、味が変わるのになぜ母乳は冷凍するのでしょうか。川上さんはその理由をシンプルに説明します。
赤ちゃんにとって母乳は栄養だけでなく、免疫物質や成長因子などを含む、とても重要な食品だからです。多少風味が変わっても、母乳を保存して届けられるメリットの方が圧倒的に大きいと話されています。
つまり母乳の冷凍は、味を守るためではなく、赤ちゃんに母乳そのものを届けるための手段だと位置づけられています。だからこそ世界中で冷凍保存が推奨されているそうです。
牛乳は「商品」だから冷蔵で届ける
一方で市販の牛乳は事情が違うといいます。牛乳は商品であり、いつ飲んでも同じ美味しさが求められるからです。
冷凍すると乳脂肪が分離し、タンパク質の構造も変わります。解凍後はざらつきや舌触りの変化が起き、味や香りもいつもの牛乳とは違うものになってしまうと説明されています。
もちろん飲めなくなるわけではありません。料理やシチューには使えます。ただ、そのまま飲む牛乳としては品質が落ちるため、日本では冷蔵流通が選ばれているそうです。
理由はもう一つあります。日本の物流が非常に発達している点です。牧場で絞られた牛乳は殺菌され、低温のまま全国へ運ばれ、数日以内には店頭に並びます。冷凍しなくても品質を保てる仕組みが完成しているといいます。
もし冷凍流通にすると、冷凍設備や倉庫、解凍設備、エネルギーコストなどが追加で必要になります。しかも品質は下がります。だから冷蔵で届ける方が美味しく、コストも抑えられる。今の日本ではこれが最も合理的だとまとめられています。
品質より、赤ちゃんに栄養や免疫成分を届けることを優先する。味の変化があっても冷凍保存が推奨される
いつ飲んでも同じ美味しさを届けることを優先する。冷凍で品質が落ちるため冷蔵流通が選ばれている
目的の違いが保存方法を決める
川上さんは、この疑問が食品を考えるうえでとても面白いテーマだったと振り返ります。余っているなら冷凍すればいい、と単純には言えない理由がここにあるからです。
賞味期限が近い牛乳を冷凍すると、口当たりがざらついて美味しくないと川上さんも話します。そんな牛乳はシチューに使ったり、味噌汁に凍らせた牛乳を少し入れて乳和食にしたりと、活用の道はあるそうです。
そのうえで、味が変わっているかもしれない冷凍母乳を、赤ちゃんが問題なく飲んでくれることはすごいことだと話します。今日は飲みが悪いなという時は、冷凍したからかもしれない、と受け止めてほしいと呼びかけています。
まとめ
母乳が冷凍できるなら牛乳もできるのでは、という素朴な疑問への答えは「どちらも冷凍すれば品質は変わる」でした。違うのは何を優先するかで、母乳は赤ちゃんに栄養を届けること、牛乳は美味しさをそのまま届けることが最優先になっています。
- 母乳も牛乳も、冷凍すると脂肪分離や風味の変化など品質は変わる
- 母乳は品質より、赤ちゃんへ栄養や免疫成分を届けることを優先するため冷凍が推奨される
- 牛乳は同じ美味しさを届けることが優先で、冷凍だと品質が落ちるため冷蔵流通が選ばれている
- 日本は低温物流が発達し、冷凍しなくても数日で店頭に並ぶため冷蔵が合理的
- 食品はできる・できないではなく、何を優先するかで最適な保存方法が決まる
