牛に名前をつけ、名前で呼ぶ牧場の管理
日曜日のこの回は、一週間に寄せられたコメントに答える「まったりゆったりコメント返し」の日です。
最初はYouTubeネームのメイプルさんから、牛の名前についてのコメントが届きました。
川上さんは、牛の管理は個体識別番号でしているものの、名前は覚えていて、話しかけるときは名前で呼ぶと話します。
名前を覚えてるんですね。すごいですね。名前で呼んで反応する。牛はちゃんと名前を覚えてるみたいな研究もありますから。
さらに、牛の名前を呼ぶところの搾乳量は多いという研究にも触れました。
ただし、名前を呼ぶから搾乳量が増えるわけではない、と川上さんは補足します。
名前を呼んでるから搾乳量が多いんじゃなくて、それぐらい愛情を持って一頭ごと個体管理をする目を持ってるから、搾乳量が増えるんだよ、みたいなね。
なお、このコメントで話題に出た自動給餌機は先週故障し、買い換えれば800万〜1000万円するところ、メーカーにモーターを探してもらい20万円で修理できたと語られています。
初乳と子牛に「飲む気力」をつくる工夫
続いてもメイプルさんから、母牛は冷凍できるのになぜ牛乳は冷凍しないのか、という以前の配信への感想が届きました。
川上さんは、母牛は赤ちゃんへの栄養が最優先、牛乳は美味しさをそのまま届けるのが最優先、と目的の違いを説明しています。
冷凍保存した初乳は味が落ちるため、飲まない子牛もいるという話から、川上さんは子牛に飲む気力をつくる工夫を紹介しました。
子牛の添加剤にオリゴ糖を使ってるんですけど、最初にオリゴ糖を指にまぶして砂糖で舐めさせて、甘いって思わせて、飲むきっかけをつくる。ベロの奥の方を刺激したり、上あごをマッサージして、飲ませる気力を作ってから飲ませたりしますね。
投薬で薬の団子を飲ませるときにも、こうした工夫をすることがあると話されています。
支援は「お金だけじゃない」という考え方
stand.fmネームのせいさんからは、川上さんに使う自動給餌機なら喜んで支援するというコメントが届きました。
川上さんは嬉しいコメントとしつつ、noteのメンバーシップでも自動給餌機への支援でも同じお金だと話します。
そのうえで、支援はお金だけではないと強調しました。
お金だけじゃないですからね。シェアとかいいねとか、川上牧場で聞いた話をいろんな人に話すとか、自分の生活に生かしていくとか、そういうのも本当にありがたいので。
いろいろな形での応援がありがたい、という姿勢が語られています。
補助金は「みんなの税金」 安く買うことのからくり
TikTokネームのカズさんからは、牛乳は安くなるのに農家は苦しい、国が補助金支援しない意味がわからない、というコメントが届きました。
これに対し川上さんは、実際には所得補償や直接支援、資材や導入費用の補助など、農家への補助はされていると答えます。
そのうえで、その補助金が皆さんの税金であることを指摘し、安く買う構造の問題を語りました。
結局皆さん農産物を高く買えば、その税金取られなくて回っていくんですよ。わざわざ安く買って、それを助けるために税金で取って、二度手間で時間もお金もかかることをやって、間に入ってる団体にお金が流れていく。無駄だと思いませんか?
川上さんは、安く買って税金で補助するより、応援したい農家の農産物を直接買うほうが健全ではないかと繰り返し話しています。
利益がないと続かない 担い手が減る悪循環
TikTokネームのまみさんからは、金儲けだけが生き方じゃない、食べ物に生かされていることに感謝している、というコメントが届きました。
川上さんは感謝に共感しつつ、金儲けだけじゃないと言ううちに農産物を作る人がどんどん辞めている現実を指摘します。
循環でき、再投資できる利益がなければ持続性がない、という考えです。
若い方が儲からないって言って入ってこなくなって、農家の担い手がいなくなる。担い手がいなくなるから税金で補助しましょうっていう、全く意味がわからない、僕には。
ユーザー339615さんからの「子供の頃は麦ご飯しか食えなかった」というコメントには、五人兄弟で食べ物を取り合った自身の生い立ちを重ね、経営者の大変さにも触れました。
世界情勢とか、自分で何も判断できないところが覆いかぶさってくる。そういうトラブルがいっぱいあるのがやっぱりきついですよね。
牛乳と熱中症対策 なぜラッシーがいいのか
TikTokネームのハチさんからは、熱中症予防のため朝のコップ一杯の牛乳をテレビでよく見る、というコメントが届きました。
川上さんは、牛乳はスポーツドリンクより水分保持力が強いことが科学的に証明されていると説明します。
ただし、牛乳だけでは水分補給として不十分だとも付け加えました。
牛乳だけじゃ水分補給にならないので、ミネラルも失いますから、塩が欲しいんですよね。あとクエン酸がちょっと欲しい。なのでラッシーがいいなと思ってます。
デマを解く 抗生物質と成長ホルモンの誤解
TikTokネームのメープルさんからは、嘘の情報を流されるのは勘弁だ、酪農家はしっかり守っているのに、というコメントが届きました。
川上さんは、過去に抗生物質の残留が問題になったニュースの記憶や、SNSで拡散される衝撃的な情報が誤解を生んでいると分析します。
そのうえで、事実を明確に伝えました。
抗生物質は入ってないですし、成長ホルモンは使えません。そもそも日本に輸入できないですから、使うことはできません。
川上さんは、こうしたデマや誤情報を一つずつ発信で解決していきたいと話しています。
続くみぞれさんからのコメントでは、関税や輸出の話題にも触れ、TPPで2030年に乳製品の関税がゼロに近づく取り組みがあることを紹介しました。
円安の影響で海外から買うと高いので、国内のもので回そうという流れも出てきたり。なんとか自国で回るような生産・消費ができたら、一番バランスがいいのかなと思ったりします。
「かわいそう」で終わらせない 命への向き合い方
記事後半では、生産価値の低い牛をめぐるコメントが続きます。
きっかけは、ホルスタインやジャージーの雄など、生産価値の低い牛がすぐ殺処分されているという衝撃的なニュースでした。
川上さんは、それに対して現実はどうかを伝えるスライドを投稿していました。
Instagramの宮崎の牛の仕事さんからは、機械ではなく生き物だからすぐに止められないという現実を言語化したことへの共感が寄せられました。
さらに、思想の落ち着け・押し付けさんからは、性判別精液や和牛交配といった技術で経済性と命の尊厳を両立させる努力への評価が届きました。
川上さんは、健康な子牛が片っ端から処分されるという雑なイメージを払拭したいと語り、技術の進化と情報のアップデートを呼びかけます。
そして、生産価値の低い牛の命にどう向き合うかを、消費者と農家が一緒に考えたいと締めくくりました。
かわいそうだなとか、なんでそんなことするんだで終わるんじゃなくて、じゃあそれをどうやったら助けることができるのかっていうのを、消費者と農家が一緒になって考えることができたらいいなと思っております。
まとめ
日曜のコメント返しを通じて、牛の名前や初乳の工夫といった日々の管理から、補助金と税金の関係、命の向き合い方まで、酪農のリアルが幅広く語られました。「かわいそう」や「仕方ない」で終わらせず、消費者と農家が一緒に考えることが持続性につながる、という川上さんの姿勢が一貫しています。
- 牛の管理は個体識別番号で行うが、名前も覚えて話しかけるときは名前で呼んでいる
- 農産物を安く買って税金で補助する構造より、応援したい農家から直接買うほうが健全だと川上さんは考えている
- 牛乳は水分保持力が高いが、塩やクエン酸も必要で、熱中症対策にはラッシーが向いている
- 牛乳に抗生物質は入っておらず、成長ホルモンは日本では使えない
- 生産価値の低い牛の命は「かわいそう」で終わらせず、どう助けるかを消費者と農家が共に考えたい
