世界最大級の卵かけご飯イベントに餃子で出店
小野寺力さんは先週末、卵かけご飯のイベント「卵フェス」に焼き餃子を販売しに出店しました。売上は苦戦したものの、多くの学びがあったといいます。
卵フェスは、一般社団法人日本卵かけご飯研究所が主催する世界最大級の卵かけご飯イベントです。代表の上野さんとの縁から、卵かけご飯に合う餃子を提供しないかと声をかけられ、出店が実現しました。
会場の片隅で、小野寺さんは鶏肉を使った餃子4種類を用意して提供しました。
提供した鶏肉餃子4種
1つ目は北海道千歳市の天のびろく「十勝マッシュ」。北海道の鶏肉に十勝平野のブラウンマッシュルームを加え、醤油で味付けした、キノコの香りがジューシーな餃子です。
主催の上野さんにはこの十勝マッシュが一番刺さり、いろいろな場所で「美味しいから食べてみて」と紹介してくれたそうです。
2つ目は京都の餃子花伝「ソルティーチキン餃子」。生姜とペッパーが効いた、正統派で手間暇のかかった高級感のある味わいです。
3つ目は宮崎県高鍋町の一本気「羽ばたけ鶏餃子」。今月リニューアルし、同じ高鍋町の老舗餃子・間谷さんの製造になりました。もっちりした皮がジューシーな鶏皮を包み、噛むほど旨みが溢れる食べ応えのある餃子です。
4つ目は宮崎市のまる金「鶏餃子」。グループ会社で養鶏を手がけており、鶏肉をパリッとした薄皮で包んでいます。4種の中では一番プレーンで、他が個性的な分、あえてこれを求める人も多く、今回はよく売れたそうです。
いずれも鶏肉餃子ですが、それぞれ個性的な味付けで、どれを卵かけご飯に合わせると美味しいか考えるだけでもワクワクしたと小野寺さんは話します。
販売価格は原価に多少の差はあるものの、手間を省いてすべて6粒600円に揃えました。
売上見込みと準備したコスト
焼き餃子協会は200Vの業務用餃子焼き機を所有しており、これを会場に持ち込みました。時速360粒を焼き上げられ、1日約11時間で4000粒ほど焼ける計算です。
容器はデンカポリマー社のパックを2000パック用意し、コストは約3万円。4種類を見分けられるよう、40面取れるシールを購入し、手作業でプリントして貼りました。
会場設備は200Vと100Vの電源、共同水道を使用。冷凍オープンケース、調理台、テーブル、冷凍ストッカーなどの設備コストは約20万円で、そのうち半分ほどが電気代でした。
冷凍餃子は各社から1〜3回に分けて分納する予定でしたが、結果的には1回分で足りました。
売上は3日間で1万2000粒を焼き、最大120万円、加えて冷凍餃子74パックで11万円、合計約130万円を見込んで臨みました。
スポットバイトで挑んだスタッフ募集
小野寺さんが終日餃子を焼き続ける前提で、販売スタッフはタイミーで募集しました。
条件は時給1500円で1人6時間休憩なし、交通費1000円を加えて1人あたり1万円。これにタイミーの手数料30%がかかり、1人あたり約1万3000円のコストになります。
開催3日間は早番・遅番で2人ずつ、加えて準備日にも半日お願いし、合計7人で約9万円かかりました。
催事に慣れたマネキンさんなら1日1万5000円ほどで雇えますが、今回はあえて実験的にスポットバイトを試したといいます。
まあでもこれがちょっとね、実際運命の分かれ道でもありました。でもいい学びにもなりました。
売上見込み130万円に対し、原価・コスト・出店料を合わせて約100万円。固定費だけで80万円ほどかかる、かなりのハイコストな挑戦になりました。
試食が生んだ売上の差
いざ開幕すると、来場者は卵かけご飯でお腹がいっぱいで「餃子はもう入らない」という人が多く、販売は厳しい状況でした。
ただ、隣のから揚げやカレーパンはそれなりに売れており、焼き餃子だから売れないという理由にはならないと小野寺さんは考えます。
実際に試食してもらうと「今まで食べたことがない美味しい餃子だ」という声が多く、試食した人の約5割が焼き餃子を購入。冷凍餃子を買う人も100人に1人ほどいました。
そこで4種類すべて試食できることを打ち出し、試食に振り切りました。初日前半は試食なしで売上が立たず、試食を出し始めてからは焼き機を回し続けられるほど売れたそうです。
試食なしでは売上がなかなか立たなかった
4種類全部試食できると打ち出し、焼き機を回し続けるほど売れた
スタッフの動かし方で売上は2倍変わる
小野寺さんは焼きに専念するため、接客はスタッフに任せる必要がありました。ここで人によって売り方に大きな差が出たといいます。
声のかけ方は距離で変わります。遠くの客には大きな声で「餃子4種類試食できる」とシンプルなワードを投げ続け、これは小野寺さん自身が担当しました。
近くの客にはスタッフが担当。ただ「試食を促して」と伝えるだけでは、皿を置いたまま声を出すだけで終わってしまいがちでした。
そこで、試食の皿を目の前に出す、声をかけて目線を向けてもらう、「試食やってます」と書いた紙を見せるなど、具体的なやり方を指示しました。
試食させること自体が目的化してしまうスタッフも多く、小野寺さんは「熱々でしょ、触ってみて」と客の手に乗せるところまで意識してほしいと伝えました。
客が迷っている二択の場面では、小野寺さん自身が「あなたならこっちが好きだと思う、なぜなら」と差し込みに行く役を担いました。
これはできる方とできない方がもう大きく極端に分かれるなと。考えながら動く人か、考えないで動く人か、もうほんと二極に分かれている状態だなと思いました。
言われたことだけやる人もいれば、「こっちの方がいいですかね」と相談しながらやりやすい形を作るスタッフもいて、人によって様々だったといいます。
反省として、募集要項が甘かったとも振り返ります。今後は「大きな声を出せる方」など具体的な条件を書き、良かった人をお気に入り登録して回数を重ねれば、売れる体制が作れると考えています。
展示とPOPが売上を左右する
POPの準備が追いつかなかったことも大きな反省点でした。遠くから通りすがりの客の目に入り「おっ」と思わせる大きな文字のPOPがあれば、スタッフの能力に関係なくもう少し売れたはずだといいます。
前回の出店では人の顔が目を引くと感じたため、POPに顔を入れる工夫も次回試したいと考えています。
POPは割り箸や棒では倒れてしまうため、板を後ろの支えにしてしっかり立たせることが必要だと学びました。
餃子をテーブルにそのまま置くと冷めて美味しくなく見えるため、黄色い布の上に銀色の網目を敷いて餃子を置きました。高級そうに、かつ温かそうに見せて買いたくなる工夫です。
さらにテーブルより一段高くして客の目線に近づけると買いやすくなり、高さを上げればPOPを置く場所も作れると振り返ります。
展示やスタッフの動かし方で売れ方は2倍以上変わり、実際に今回も手を打つ前後で2倍近く変化しました。朝と夕方で客の動きも違うため、朝は説明にとどめ、夕方は積極的に売るなど臨機応変さが必要だといいます。
大赤字でも次は黒字にできる自信
最終的に3日間で約5000粒を焼き、冷凍餃子は完売。売上は約50万円で、結論としては大赤字でした。
最大の敗因は売上予測が高すぎたことです。3日間で120万円は1日平均40万円になり、金曜は抑えられるため現実的ではなかったと分析します。
現状では金曜10万円、週末20万円ずつの合計80万円あたりが限界で、単価の高い商品を置くことも必要だと考えています。
売上予測が過大だったため仕入れも設備も過剰になり、コストが膨らみました。現実的な見込みが立てばコストは最適化され、利益も確保できるといいます。
結論を言えば大赤字ですよ。だけど、学びを生かして次回は黒字にできるという自信は、逆にできましたね。
利益を確保したうえで、次はスタッフを増やしてどこまで売上を伸ばせるかに挑戦したいと話します。
次回は11月15日から17日、サンシャインシティ展示ホールで開催される「ニッポン全国物産展」に出店予定。隣にはシュウマイ協会が出るそうです。
前回シュウマイ協会が出店しているのを見て、焼き餃子協会も出たいと仕掛けたといい、胸を借りて熱い戦いをしたいと意気込んでいます。
まとめ
卵フェスの出店は大赤字に終わりましたが、試食の効果、スタッフの動かし方、展示の工夫、そして何より現実的な売上予測の大切さという学びが残りました。小野寺さんはこれらを次回に生かし、黒字化への自信を語っています。
- 卵かけご飯目当ての来場者は満腹で、餃子販売は苦戦した
- 試食を全種類打ち出すと、試食客の約5割が購入し売上が伸びた
- 試食は手段で、購入までつなげることがゴールだとスタッフに伝えた
- POPや展示の見せ方、スタッフ運営で売上は2倍以上変わる
- 最大の敗因は売上予測の過大さで、次回は現実的な見込みで黒字化を狙う


