読む・書く・聞く・話すで一番簡単なのはどれか
番組ではだいきさんとソビアさんが、前回に続いて日本語について話しています。今回のテーマは、日本語の難しいところです。
だいきさんは、言語の「読む・書く・聞く・話す」を、簡単なものと難しいものに分けるとどうかとソビアさんに尋ねます。
一番簡単は聞く。
ソビアさんは、聞くことが一番簡単だと答えます。これは日本語に限らず、言語を学ぶ人にとって共通だと考えているといいます。
自分がその言語をちょっとわかるようになったら、まず聞くことできるじゃん。でも相手が言ってることはわかるけど、ここから返事できない。
だいきさんは、それは勉強方法によるのではないかと指摘します。何のインプット量が一番多いかで変わるのではないか、ソビアさんはアニメから入っているからではないか、という見方です。
ソビアさんは、それだけではないと反論します。日本語能力試験 ── 日本語を母語としない人向けの検定試験。N1が最上位で、N5が最も易しい。読解・聴解などを測りますでも、多くの人が点を取りやすいのは聴解のテストだといいます。
聴解で点数取れるって結構話あるよ。
英語ではリスニングが簡単。言語ごとに変わる難易度
だいきさんは、自分は英語では一番リスニングが簡単だと感じると話します。ネパール語も同様だといいます。
ソビアさんは、英語で読むのが簡単なのはアルファベットがわかれば読めるからだと説明します。一方、日本語や中国語は漢字が入るため、漢字を覚えなければならない点が違うと指摘します。
だいきさんは、つまり言語によって難易度が違うということだとまとめます。英語はアルファベットが単純で覚えやすいのに対し、日本語はひらがな・カタカナ・漢字があるため、読む・書くのハードルが上がるという整理です。
その結果、日本語では読む・書くのハードルが上がるぶん、聴解のほうがハードルが低くなるという見方を、だいきさんは示します。
アルファベットがわかれば読める。文字の種類が少なく覚えやすい
ひらがな・カタカナ・漢字があり、漢字を覚える必要がある
ソビアさんの四技能ランキングと「書く」の壁
ソビアさんにとって一番簡単なのは聴解、次がスピーキングだといいます。残るのは読むと書くです。
読むか書く。それはね、一緒だよ。どっちも難しすぎる。
ソビアさんは、漢字は全然書けないし、読むこともできないと話します。ただ、今の自分のレベルでは、読む・書くのなかでは書くが一番難しいのではないかといいます。
その漢字が読めても、それを自分で書くとしたらできない。
だいきさんは、それは日本人も同じだと応じます。読めるけれど書けない漢字はたくさんあるという点で、母語話者にも通じる悩みです。
日本人の英語と逆?話す・聞くと読む・書くの得意不得意
だいきさんは、日本人の英語では読み書きはできるが話す・聞くが苦手な人が多いと切り出し、ネパールの人は英語でどうかと尋ねます。
ソビアさんは、英語だと逆に話すのが得意ではないと認めます。話す機会がないため、読んだり書いたりはできても、話すのは練習しないと難しいといいます。
話すのは練習しないとできない。自然に出てこない、口から出てこないんじゃない。
ソビアさん自身、日本に来て日本語ばかり話していた時期は、英語がどんどん離れていったと振り返ります。今は仕事で英語も使うため自然にできるようになってきたものの、以前は英語を自然に話せないと感じたそうです。
今も日本語の方が自然に出ると思うけど。英語より、そう。
意味はわからなくても聞き取れる。リスニングの正体
だいきさんは、日本にいて日本語に触れる機会が多いのに、リスニングは英語のほうができるのではないかと問いかけます。YouTubeなど英語のコンテンツに多く触れているからです。
ソビアさんは、日本語のリスニングができるといっても、聞いたことを全部わかるわけではないと説明します。意味がわからなくても、その人が言っている言葉を聞き取れる、ということだといいます。
ソビアさんは、日本語はまだ知らない言葉が多いと話します。英語のほうが単語を多く知っているため、リスニングで聞き取れても中身の理解度は英語のほうが高い、という違いがあるといいます。
単語・漢字・敬語。何がつまずきやすいか
日本語で難しいことは何かという話になり、ソビアさんはまず単語と漢字を挙げます。
ソビアさんは、仕事で会う人たちが丁寧語が難しいと言うことに触れつつ、敬語も難しいのは確かだと話します。ただし自分にとっては敬語が一番難しいわけではないといいます。
その理由として、以前住んでいた三重県で敬語を使っていたため、当時よりできるようになったことを挙げます。難しくはあっても、一番の壁ではないという実感です。
敬語はね、その三重県にいた時、すごい勉強したっていうか、使ってたから。
だいきさんは、敬語でつまずく人が多いのはよく聞くと応じ、話題を助詞へと移します。
助詞で意味が変わる。「誰に」と「誰が」の壁
だいきさんは「てにをは」や「はをが」といった助詞を難しさの例に挙げます。ソビアさんは、助詞は難しいけれど、間違えても伝わると答えます。
それは難しいけど、でも別に間違えてもわかるじゃん。
そのうえでソビアさんは、助詞のなかでも「誰に」「誰が」の使い分けが一番難しいといいます。「誰にもらった」と「誰がもらった」で意味が変わるためです。
ソビアさんは、ネパール人としては「誰に」より「誰から」のほうがしっくりくると話します。ネパール語では「から」にあたる言い方をするため、なぜ「から」ではないのかと感じてしまうそうです。
だいきさんが例を出し合ううちに、ネパール語でもどちらの言い方も使うことが確認されます。それでもソビアさんは、学び始めのころは「誰に」をよく間違えたと振り返ります。
「誰にもらった」は、「誰がもらった」って意味だと思ってて。
使役・受身の難しさと、文法の広さ
ソビアさんは、「教える・教えられる」のような形も難しかったといいます。だいきさんは、使役動詞や受動態のことだと受けます。
だいきさんは、日本語とネパール語の文法は基本的に一緒ではないかと尋ねます。ソビアさんは、自分の言語だから難しいと思わないだけだと答えます。
だいきさんは、語順の観点から違いを整理します。日本語は「私はご飯を食べます」のようにSOV ── 主語・目的語・動詞の順に並ぶ語順。日本語やネパール語がこの型ですで、英語は「I eat rice」のようにSVO ── 主語・動詞・目的語の順に並ぶ語順。英語がこの型ですです。
だいきさんは、ネパール語は「マ、カナ、カンチュ(私、ご飯、食べる)」のように日本語と同じ語順だと説明します。その意味で文法は基本的に一緒だといいます。
ソビアさんは、それはただの語順であって、文法はもっと広いと指摘します。だいきさんも、文法という言葉が指す範囲はもっと広いと認めます。
「していただきます」は自分のこと言ってるのか、相手のこと言ってるのかとか、そういうの難しかった。
ソビアさんは、「させる」のような使役の形はまだ弱いといいます。「する」を「させる」、「行く」を「行かせる」にはできても、ほかの言葉だと自然に出てこないそうです。
だいきさんは、英語ならletをつけるだけで済むと応じます。一方でネパール語は動詞そのものが変化していく点で日本語と近いと二人は確認します。
主語・目的語・動詞の順(SOV)。「私はご飯を食べます」「マ、カナ、カンチュ」
主語・動詞・目的語の順(SVO)。「I eat rice」
数え方と単位。外国人がつまずく最後の関門
だいきさんが、数え方や単位を外国人がつまずくものとして挙げると、ソビアさんは「全部難しい」と即答します。
全部一個か一つか。大きいものとかは「台」じゃない?
ソビアさんは、大きいものは「台」ではないかと言い、荷物によって単位が違うのかと尋ねます。だいきさんは、すべてがそうではないと答え、家は「一台二台」とは言わないと説明します。
家の数え方を尋ねられただいきさんは「一棟二棟」ではないかと答え、これがN2のレベルだと冗談めかします。ソビアさんは「もういらないよそんな数え方」と応じます。
二人は、ネパール語では数え方がシンプルだと確認します。ネパール語では「オタ」で終わるか、人か人以外かで分かれる「ジャナ」があるくらいで、それで終わりだといいます。
さらにソビアさんは、英語ならただ数字を付けるだけだと指摘します。「one house, two house」のように単位が変わらないぶん簡単だといいます。
だいきさんは、それを日本語に当てはめると「一家、二家」「一車、二車」になると冗談で返します。ソビアさんは、そのほうがいいと笑います。
ものによって単位が変わる。車は「台」、家は「棟」など
ネパール語は「オタ」「ジャナ」程度。英語は数字を付けるだけで単位が変わらない
数字の音の変化と、ネイティブを目指さないという着地
話題は数字の読み方に移ります。ソビアさんは、英語は「twenty, thirty」と規則的だが、日本語は数の音が変わると指摘します。
日本語では百・二百・三百のように音が変わり、八百では発音が「ハッピャク」に変わります。ネパール語も同じように読みが変わっていくのに対し、英語はそのままだと二人は確認します。
そっか、気づいてなかった。日本語はでももっと難しいよ。
だいきさんは、こうした点をクリアしていかないとN1は難しいだろうと話します。ソビアさんは、N1を取れる人はほぼ日本人のように話せる人たちだと応じます。
だいきさんは、N1保持者と話すと日本語が上手いと感じる一方、発音や、日本人がしないような日本語のミスから、ネイティブではないとわかることもあると話します。
ソビアさんは、言語とはそういうものだと受け止めます。どれぐらい頑張ってもネイティブのレベルにはならないという前提を、二人は共有します。
二人は、仕事や日常で問題なくコミュニケーションが取れればいいという着地に至ります。ソビアさんは、その国の言葉を頑張って学ぶ姿勢自体が、その国への尊敬として受け取られるといい、いいことだと締めくくります。
まとめ
日本語を学んだソビアさんの実感では、聞く・話すより読む・書くが難しく、なかでも書くが最大の壁です。単語量、漢字、助詞、使役・受身、数え方など、つまずきどころは多岐にわたりますが、二人はネイティブを目指すより、コミュニケーションが取れることを大切にするという結論に落ち着きました。
- ソビアさんにとって日本語は「聞く→話す→読む→書く」の順に難しく、書くが最も難しい
- 聴解は日本語能力試験でも点を取りやすい技能で、意味はわからなくても聞き取れることが基礎になる
- 漢字・単語・助詞・使役や受身の活用・数え方が、外国人にとってのつまずきどころとして挙がった
- 日本語は語順がネパール語と同じSOVだが、単位や数字の音の変化など細かい難しさが多い
- ネイティブを目指すのではなく、仕事や日常で通じることを大切にするという姿勢で二人は一致した




