新しい収録セットにウキウキ、すがけんさんの冒頭トーク
厚利少売ラジオは、薄利多売のビジネスモデルから抜け出すための考え方や行動のヒントを、すがけんさんと川原卓巳さんが語り合うビジネス対談型ポッドキャストです。
この回の冒頭、川原さんは、すがけんさんが自己紹介の「企業の」で少し噛んでいたことを指摘します。すがけんさんによれば、旅をしながら暮らしているため、収録のたびにマイクなどのセットが変わるそうです。
すがけんさんはこの日、数ヶ月ぶりに自宅で川原さんと同じShureのマイクを使い、モニターで自分の声を聞きながら収録していました。その環境がうれしくて舞い上がってしまったといいます。
すごい嬉しくなっちゃって。この声が返ってきてるとか、このビジュアルとかが。「うわぁ、どうしよう、ポッドキャスト楽しい」ってなってました。
ちゃんと可愛いな、理由が。
川原さんは、番組が1年を超えて続いていることに触れ、続けていけること自体がありがたいと話します。
なぜ「価値の言語化」が厚利少売の鍵になるのか
川原さんが提示したこの回のテーマは「価値の言語化だけで月収が変わる言葉の設計図を大公開」です。
川原さんは、厚利少売プロデュースオーディションやお悩み相談を受ける中で、薄利多売から厚利少売に変わるときの重要なポイントは、自分の価値が何かを見つけることだと感じているといいます。
さらに言うと、それ(価値)がきちんと相手に伝わる形で言語化できてるかっていうとこだと思うんです。
価値の言語化が難しいというお便りも多く届いていたため、川原さんは、言語化する意味と具体的な方法をすがけんさんに聞くことにしました。
すがけんさんは話したいテーマを2つ挙げます。1つは「自分はなぜ例えがうまいのか」がついに言語化できたという話、もう1つは経営者向けのClaude講座が大きな反響を呼んだ話です。
あれ(Claude講座)も結局価値の言語化ができたから、一晩で無料の講座に来たい人が400、500人弱来て、その中から有料になった人が1割の50人来たのは、やっぱ価値が言語化できたからだと思っていて。
20年近いモヤモヤ、例え話がうまい理由は「相手の言葉」だけではなかった
すがけんさんは20代の頃から、例え話がうまいと褒められることが多かったといいます。理由を聞かれると、「自分が話したいことではなく、みんなが聞きたいことや、みんなが知っている言葉を使うからです」と答えてきました。
ただ、すがけんさん本人は、その答えがあまりしっくりきていなかったそうです。相手の知っている言葉を使うことは正しいものの、それは理由の半分くらいなのだろうとモヤモヤが続いていました。
もう片方の半分を見つけないと、なんか相手が知ってる言葉を使ったら、じゃあみんながうまくなるのかっていうと、全然そんなことないだろうから。
川原さんとの以前の収録をきっかけに、すがけんさんは改めて理由を考え、答えにたどり着きます。ただし、聞いてすぐにできるようになるものではなく、知っておけばそのうちうまくなる、という前置き付きです。
答えはエンジニア時代の「オブジェクト指向」にあった
すがけんさんはもともとプログラマーでした。C言語、BASIC、JAVA、Python、Goなど多くのプログラミング言語がある中で、すがけんさんの時代はJAVAが主流で、オブジェクト指向 ── プログラムを「もの(オブジェクト)」の集まりとして設計する考え方。ものが持つ性質や振る舞いをまとめて定義し、共通点のあるもの同士を整理しやすくしますを使うよう求められていたといいます。
すがけんさんの説明によれば、オブジェクト指向では、たとえば猫を動かしたいなら、まず「猫とは何か」を定義します。小さな尻尾がある、耳が2つ、ニャーと鳴く、といった具合です。
犬を定義すると、小さいものから大きいものまでいて、耳が2つ、目が2つ、尻尾があり、ワンと鳴く、となります。すがけんさんは、猫と犬を並べると「およそ似ている」ことが見えてくると話します。
小さい尻尾がある、耳が2つ、ニャーと鳴く、四足歩行
大きさはさまざま、耳と目が2つ、尻尾がある、ワンと鳴く、四足歩行
猫と犬の定義を並べた図のように、違いは鳴き声くらいだと整理できます。だから見たことのない生き物を見ても、尻尾と2つの耳があって鳴くなら「犬や猫みたいな動物だった」と言えば、誰にでも伝わります。
で、この何を見てもオブジェクトに一回僕は作っちゃってるんですよね。
すがけんさんは、何を見ても「どういうものと似ているか」「何を持っていて何を持っていないか」を自然に整理しているといいます。例え話のうまさの残り半分は、物事を分解して定義する習慣だったということです。
川原さんが「頭の中では文字で定義しているのか」と尋ねると、すがけんさんは一瞬のことなのでそこまで意識していないとしつつ、プログラミングで文字を打っていたので文字かもしれないと答えます。
だからなんとなく似てるんだけどなって言ったら打てないんですよ、まだ。
「打てるほど気づく」センサーは食レポにも通じる
すがけんさんは、物を見たときに、コードとして打てるほど細かく気づくことが重要かもしれないと話します。例として挙げたのが食レポです。
すがけんさんによれば、「美味しい」の中身にも、味、香り、温度、器、お店の雰囲気、サービスなど、どの観点で気づくかがあります。まず観点を決めて、それがどうだったかを言うのが言語化だといいます。
その下半身を見て尻尾が生えているとか、足が何本あって、四足か二本なのか、四つん這いなのか立ってんのかで気づくとかってことじゃないですか。気づくって。
すがけんさんは、物を見たときに振り分ける分類があらかじめ決まっている状態を「レーダーチャートみたいなもの」と表現します。料理なら、味、香り、しつらえ、サービス、ワインとのペアリングといった軸です。
分類の軸を持つ
料理なら味・香り・しつらえ・サービスなど、見る観点が決まっている
観点ごとに気づく
何を持っていて何を持っていないかを整理する
似ているものを見つける
「あの店と違うけれど、引き算料理だから近い」などと結びつく
例えとして言葉にする
相手の知っている言葉で伝える
この流れで、「あの店とは全然違うけれど、ちょっと近いのは引き算料理だから」といった気づきが自然に出てくる、とすがけんさんは説明します。
「なんか好き」がない人は、答えを出すために悩む
川原さんは、すがけんさんのオブジェクト化は例え話のためにしている行為ではなく、仕事で身についた癖だと確認します。そのうえで、食事の話には「自分はなぜこれをうれしいと思うのか」を知るためのセンサーとしての面もあるのではないかと問いかけます。
すがけんさんはそれに同意し、そこからは例え話ではなく言語化の話だと続けます。
「わーなんか好き、なんか好き、なんでなんだろう、うわぁモヤモヤする」が僕あんまないんですよ。
そう、なぜかが全部言えちゃうから。
すがけんさんによれば、「なんでなんだろうね」と口にしたときには、頭の中ではすでに考え始めていて、すぐに「それはこれだからです」と自分で答えてしまうそうです。
川原さんも、すがけんさんとやりとりする中でそれを強く感じると話します。すがけんさんは一瞬悩むものの、すぐに自分の中で答えを出しているといいます。
すがけんさんの言う「なんでだろうね」は、わからないことを相手に伝える言葉ではなく、「今考え始めました」という合図に近いものです。「なんとなく好き」で止めずに理由まで言い切ることが、価値の言語化につながっていきます。
エンジニア経験が20年ぶりに回収された、AIとの相性
すがけんさんの考え方を聞いた川原さんは「めちゃくちゃAIみたい」と反応し、AIを触ったときの習熟度の進みが異常に早い理由もそこにあるのかもしれないと話します。
僕AIなんすよ。
そう。あ、そうそう、ダチっていうか、分かり合えたんですよ、あいつ(AI)と。
川原さんは、すがけんさんを「AI時代の申し子」と呼びます。すがけんさん自身も、エンジニア経験がここで役に立つとは思っていなかったといいます。
川原さんは、エンジニア時代はすがけんさんにとって「一番最初のドット」であり、それが回収されたと表現します。すがけんさんにとっては20年ぶりのカムバックだそうです。
あれ(エンジニアの仕事)が嫌で辞めた僕が、まさかその手をまた使うようになるとはみたいなことじゃないですか。
厚利少売が嫌いなFacebookの友達に、どう役立つか
話はもう1つのテーマ、経営者向けのClaude講座に移ります。すがけんさんはまず、Facebookの友達にいつも役に立てていないと感じていた、というところから話し始めます。
すがけんさんのFacebookの友達は約5000人で、多くは30代の頃、広告業界のカンファレンスで登壇していた時期に名刺交換などでつながった人たちです。すがけんさんは現在49歳で、つながりはおよそ10年以上前のものだといいます。
はっきり言っちゃうけど、もうなんかFacebookの僕の友達は厚利少売が大嫌いなんですよ。
マーケターって基本的には薄利多売の権化なんで。
すがけんさんにとってFacebookは、つながってはいるものの緊張感のある場所です。最近も設定を間違えて、Instagramに載せたダイエット成功のストーリーがFacebookにも流れてしまい、慌てて消したそうです。
僕にとってFacebookってちょっと実家に帰った時のお父さん感がある、扱いにくい存在なわけですよ。
川原さんはこの表現を「わかりやすいな、例え」と受け止めます。すがけんさんは、それでもFacebookの友達が好きで役に立ちたいと思いながら、この1年ほどは厚利少売の本の話もほとんど書かずにきたといいます。
Claudeでノート100部、500万円を売るまで
すがけんさんは3月17日からClaudeにハマり、3月中にClaudeにノートの売り方やマーケティングを任せました。その結果、5万円の厚利少売ノートが2週間弱で100人に買われ、500万円を売り上げたといいます。
すがけんさんは、いいねしてくれた人が誰で、どんな人で、どんな言葉なら届くのかを、Claudeを使ってCRM ── 顧客関係管理(Customer Relationship Management)の略。顧客一人ひとりの情報や接点を管理し、関係を深めるための考え方や仕組みのことですのように、個別レターのように分析してノートを書いていました。
で、もうこれぞマーケティングじゃないですか。
川原さんが「サラッと言っているけれど、えげつない」と驚くと、すがけんさんは「AIがやるので、自分はそうやってと言っているだけ」と返します。
「Claude教えます」の投稿に、24時間で400コメント
すがけんさんは、Facebookの友達はどうせClaudeを使っていないだろうから、Claudeを教えると言えば役に立てるのではないかと考えました。投稿はスマホの1画面に収まるくらいの短い文章だったといいます。
投稿の内容は、3月17日からClaudeを覚えて、自分はほとんどClaudeに任せ、ああだこうだ言うだけになり暇になった、というものです。そのうえで、有料講座の練習として無料講座をギブで開くので来たい人はいますか、と呼びかけました。
すがけんさんのFacebookは、普段はいいねが100以下で、コメントが5つも付けば多いほうでした。今回も5コメントくらいだろうと思っていたそうです。
普段はいいね100以下、コメント5件で「すごい、どうしたの今日?」という状態
Claude講座の投稿は24時間以内に400コメント、いいね308
すがけんさんのFacebook投稿は、いいねよりコメントが多いという珍しい状態になりました。川原さんも、この数のコメントなら普通は1500いいねくらいあるはずだと驚きます。
もうそんな暇もなく、「ください」、「参加したいです」みたいにみんながなっちゃって。
無料400人から、10万円の有料講座に50人が集まった理由
400人を無料で受け入れるにはホテルの大広間のような会場が必要で、無料でやれば大赤字です。そこですがけんさんは友人の三浦ミウラさんに頼み、GOGOの場所を借りて勉強会を開くことにしました。
すがけんさんは無料1回と、昼夜で10回ほどの有料回の日程を400人に送り、有料と無料のどちらがよいかを尋ねました。有料でもいいと申し込んだのは約50人で、1人10万円なので、こちらも500万円になりました。
ただし、すがけんさんは稼ぎたいタイプではなく、どうすれば役に立てるかをずっと考えていると話します。それでもお金を受け取りたいのは、受け取った額以上の価値を返すためだといいます。
ゼロ円だと5円でも返したことになっちゃうから、価値が。だからもうそういうのが嫌だし、それってお互いの2時間の時間が無駄じゃないですか。
そのうえで、すがけんさんは講座を経営者限定にしました。すがけんさんは、対象を経営者に絞ったことこそが価値の言語化だったと考えています。
無料と有料で、参加者の質はこれほど違う
すがけんさんは400人に、ChatGPTやClaudeをどこまで使ったかのアンケートを取り、Claudeで分析しました。その結果、無料と有料では経営者の比率も、AIへの向き合い方も違っていたといいます。
GPTもClaudeも結構使ったが、役に立たないと感じている。質問タイムより情報がほしい
GPTはダメだったがClaudeはまだ触っていない。経営者仲間がいいと言うならきちんと学びたい
もう本当に役に立つんですか?こいつら。AI全然ダメっすよ、まだ。みたいな人たちなんですよ。
すがけんさんは、有料参加者へのリンク送付をあえてAIに任せず、メールアドレスがあるのにMessengerで送りました。やりとりの様子や返事の速さを通知で1つずつ見ていたそうです。
すると、50人中10人ほどは、すがけんさんより「すごい経営者」でした。講座は、30人までの回は1人10万円、20人までは15万円、15人なら20万円と、少人数ほど個別指導に近くなるため高く設定されていましたが、その10人は「いくらでもいいから早くやって」と言ったといいます。
あーだからやっぱこの緊張感あるんだな、経営者には。もう全然乗り遅れてるけど、どっから手つけていいかわかんなくて。
すがけんさんの見立てでは、無料希望者にとっては2時間中1時間の質問タイムは邪魔で、とにかく情報を教えてほしいという姿勢でした。すがけんさんは、有料と無料では参加者の質も考えていることも違うと感じたと話します。
AIは厚利少売への「ノアの箱舟」
話は次回に続くことになり、番組の最後に川原さんが文脈を補足します。厚利少売や言語化の番組でAIの話をしていることに違和感を持つ人もいるかもしれないが、どのビジネスでも厚利少売に近づくキーポイントはAIであり、すがけんさんが扱うClaudeのようなエージェントだといいます。
すがけんさんは、AIを月3万円で雇えば、月収30万円から100万円ほどの人を雇ったような働きをさせられると話します。挑戦する人や薄利多売に悩む人が時間を浮かせ、価値を上げるうえで最適な選択肢だという考えです。
すがけんさんは「Claudeからお金は一切もらってません」と付け加えます。川原さんも、異常事態であり異常なチャンスであることは間違いないと応じ、プログラマー出身でインターネットや広告の世界にいたすがけんさんが、この革命をどれほどのものと見ているのかを別の回で聞きたいと話しました。
まとめ
この回では、すがけんさんの例え話のうまさが、エンジニア時代のオブジェクト指向に由来する「分解して定義する習慣」にあることが語られました。後半では、その言語化の力をClaude講座に生かし、経営者限定・有料という形で価値を伝えたことが大きな反響と売上につながった経緯が紹介されています。
- 例え話のうまさは「相手の知っている言葉」だけでなく、物事を観点ごとに分解し、何を持ち何を持たないかを定義する習慣から生まれる
- 「なんとなく好き」で止めず、味・香り・サービスのような観点を決めて理由を言い切ることが価値の言語化になる
- すがけんさんのClaude講座は、Facebook投稿に24時間で400コメントが集まり、10万円の有料講座に約50人が参加した
- 無料希望者と有料参加者では、AIへの期待も講座に求めるものも違い、対象を経営者に絞ったことが価値の言語化だった
- すがけんさんと川原さんは、AI、とくにClaudeを厚利少売に近づくための最重要の武器と位置づけている



