10月の薬局がなぜ忙しいのか?
在宅医療に関わる患者さんが多い、たいぞーさんの勤める店舗薬局では、医療用麻薬を使って人生の最後に関わる機会がたくさんあるといいます。
そのため、たいぞーさんの薬局では医療用麻薬の取り扱い件数が非常に多くなります。10月は、その1年間の使用量を集計して年間届 ── 医療用麻薬を扱う薬局などが、1年間の譲受・譲渡・所有量などを都道府県に届け出る書類のことですを提出しなければいけない時期です。
年間届の作成では、1年間に使った医療用麻薬について、帳簿の記録の整合性が取れているか、取り扱いに間違いがなかったかを点検し、報告します。件数が多いぶん、集計作業は本当に大変だと語られています。
もう毎年この時期になると、あ、またちょっとこう頑張って数えなあかんなと思いながら、取り組むわけなんですけども。
患者さんに一度も関わらなかった土曜日の半日
たいぞーさんは、10月3日の土曜日に時間が取れたため、年間届の作成に早めに取り掛かりました。月初には、店舗の加算 ── 調剤報酬で、一定の体制や業務の実施に応じて基本の点数に上乗せされる評価のことですの算定状況や売上の状況を会社へ報告する作業も重なります。
こうした書類仕事を続けた結果、たいぞーさんはほとんど患者さんに関わることなく、土曜日の半日の仕事を終えました。やるべきことが片付いたのはある意味良かったと感じつつ、別の思いも湧いたといいます。
マネジメント職に就くことで、やっぱり自分の専門性を活かす、プロとしての仕事をする機会というのは、少なからず失われているというところが実際あるんだろうな。
たいぞーさんによれば、麻薬の年間届の集計や会社への実績報告は、薬学の専門性をめちゃくちゃ使う業務ではありません。マネジメントの役割が色濃くなるほど、限られた時間の中で薬剤師の専門性を使う機会は減ってくると話しています。
さらに、たいぞーさんが問題視するのは、昇進するのがどんな人かという点です。その流れを整理すると、次のようになります。
現場で実績
薬学の専門性を活かして患者さんに関わり、実績を上げる
ステップアップ
実績のあるスタッフほどマネジメント職へ進む
専門外の仕事
マネジメントという専門外の業務に手を奪われる
機会の減少
力を発揮できる人が患者さんに関わる機会が減る
マネジメント職は損か得か、一長一短の選択
たいぞーさんは、マネジメント職を一方的に否定しているわけではありません。マネジメント職に就くことで、スタッフも含めて専門的な能力を広げ、みんなで実践していくチャンスが巡ってくるとも語っています。
たいぞーさんの見方では、どちらがいいかは何とも言い難く、その人が仕事の中で何に取り組みたいかによります。人を統括して業務を運営したい人なら、専門的な能力が高くても、マネジメント職へのキャリアアップは非常にいいことだと話しています。
一方で、薬剤師が年収を上げようとすると、マネジメント職へ進む以外の選択肢がなかなか取りづらいのが現実だと、たいぞーさんは指摘します。
自分の専門性をもっと生かして患者さんに関わりたいと思っていても、キャリアアップとして、マネジメント職に就いていくということを選択している薬剤師も、現実少なからずいるんじゃないかな。
自分の生活や家族の暮らしを考えたとき、専門性を活かしたいという希望より収入を優先せざるを得ない薬剤師がいる、というのがたいぞーさんの問題意識です。
薬剤師がプロとして生きる道はつくれるか?
たいぞーさんによれば、薬局に限らず医療職は、キャリアアップの過程でマネジメント職へ進む道筋が定められているケースが多いといいます。一般的な会社勤めでも、キャリアアップといえばマネジメント職に就くことが一般的だろうと話しています。
それでも、患者さんの薬物治療に関わるプロとしての薬剤師の能力が、現場から少しずつ遠のいていくのは本当にもったいないと、たいぞーさんは語ります。
なんとか薬剤師がプロとして生きていく道って、なんとか、こう、作っていくことはできないのかなということを、模索している今日この頃というところです。
ただし、どうすればそれを達成できるかという答えには、たいぞーさん自身もまだたどり着いていないといいます。今回の放送は明確な答えや対策を示すものではなく、課題感を共有するためのものだと説明されています。
たいぞーさんは、マネジメント職以外にプロフェッショナルとして生きる道をつくれないか、リスナーにも考えてコメント欄で意見を寄せてほしいと呼びかけています。
このキャリアの話は、2月14日に兵庫県姫路市で開催予定の講演会でも扱いたいとのことです。薬剤師が専門性を活かして患者さんに関わる環境や道筋を自身で整理し、講演の中で示せるよう準備を進めていると語られています。
姫路市の講演会は、日付と開催地以外の時間や場所はまだ確保に動いている段階です。詳細は決まり次第、放送で伝えるとしています。
まとめ
医療用麻薬の年間届などの書類仕事で患者さんに関わらなかった半日をきっかけに、たいぞーさんはマネジメント職と専門職の両立の難しさを語りました。答えはまだないものの、薬剤師がプロとして生きる道を模索し続ける姿勢が示された回です。
- 10月は医療用麻薬の年間届の作成時期で、在宅医療が多い薬局では集計が大きな負担になる
- マネジメント業務が増えるほど、薬剤師の専門性を使う機会は限られた時間の中で減っていく
- 現場で実績のある人ほど昇進し、患者さんから遠のくことを、たいぞーさんは「もったいない」と感じている
- 収入を上げる道がマネジメント職に偏っている現実があり、専門職として生きる道をどうつくるかが課題として示された
- このテーマは、2月14日に兵庫県姫路市で開催予定の講演会でも扱う予定



