処方は医師の領域、では薬剤師の役割は?
今回のテーマは、薬剤師が医師に対して「処方内容をこうしたらいいのでは」と提案する処方提案 ── 薬剤師が薬学的な視点から、薬の種類・量・飲み方の変更などを医師に提案すること。最終的に処方を決めるのは医師ですです。
たいぞーさんは、処方は医師の絶対的行為 ── 医行為のうち、医師が自ら行わなければならないとされる行為。処方もこれに含まれるとされていますに含まれ、薬剤師が処方することは現状法律上認められていないと説明します。
たいぞーさん自身も、処方は医学の専門知識を持つ医師が行うほうが効果的な仕事になると考えています。薬剤師が処方すること自体には、あまりこだわりはないといいます。
医師と共に処方決定をするということは、患者さんの薬物治療をより良くする上でも非常に重要な取り組みになるのかなと思っていて。
最終決定は、体全体の状態や仕組み、構造を理解して患者を見ている医師が行うのが合理的だとたいぞーさんは考えます。そのうえで、決定に至るまでの過程で薬剤師と医師が一緒に検討することに大きな意義があり、それが処方提案という取り組みだと位置づけています。
「通す・通さない」という言い方への違和感
処方提案をめぐっては、提案内容を「通す」「通さない」と表現するのをよく耳にするといいます。たいぞーさんは言葉のあやかもしれないとしつつも、この表現には疑問を感じています。
薬剤師が行う提案というのは、あくまで患者さんの薬物治療がより良くなるかもしれないということに対する一案であって。
「通す・通さない」と言うと、通れば良し、通らなければダメという良し悪しの評価が生まれてしまう、というのがたいぞーさんの見立てです。
実際に、処方提案が通らずに悩む薬剤師もいます。特に若手の薬剤師は、提案が通るとめちゃくちゃ喜び、通らないと残念そうにする場面も見かけるといいます。
処方提案の本質は、最適解を探るディスカッション
たいぞーさんは処方提案を、医師と薬剤師がそれぞれ医学的な知見・薬学的な知見を持ち寄り、患者にとって最適な選択肢を探っていく検討の過程だと捉えています。
たいぞーさんによれば、議論を経て最適な選択肢が見出せたなら、提案が承認されて実行されるかどうかは正直あまりどちらでもいいことだといいます。
検討を通じて薬物治療を最適化することこそが、薬剤師が薬物治療に関わるうえで一番大事な点だとたいぞーさんは話します。承認の有無にかかわらず、治療が最適になれば、より良い介入ができたと言えるという考えです。
提案が通れば成功、通らなければ失敗と良し悪しで評価する
医師と議論し、薬物治療が最適化されたかどうかで介入の意義を見る
「通す・通さない」へのこだわりを手放すことで、薬学の知見から医師に意見を述べ、きちんとディスカッションするという、薬物治療の質を上げる本来の取り組みに向き合える、とたいぞーさんは述べています。
訪問診療同行の現場で感じたこと
たいぞーさんは仕事の中で、医師の診療に同行して在宅訪問を回る訪問診療同行を行っており、そこで処方提案をする場面がいくつもあるといいます。
(処方提案が)医師に承認されることもあれば、されないこともいろいろあって。されなかったからといって何ということはなく。
むしろ、提案が薬物治療の質の向上につながっているかに着目することで、医師への対応が本当に意義あるものだったかを、患者により良い薬物治療を届けるという観点から見直せる。たいぞーさんは最近もそのことを強く感じたそうです。
薬剤師が処方提案を行うのは何のためなのかを、改めて考え直し、思考を深める機会にしてほしいと呼びかけています。
姫路のバイタルサイン講習会の告知
最後に告知として、10月25日(日)に兵庫県姫路市で日本在宅薬学会のバイタルサイン講習会が開催されることが紹介されました。
この講習会は一度満席になった後に増席したものの、再び満席となり、今年の一般募集は打ち止めになっています。初めて受講する人には、他地域での開催や来年の開催を検討してほしいとのことです。
一方で、受講済みで学び直したい人向けのインストラクター講習会が同時開催され、収録時点で残り3枠あると案内されました。
二度目の学びは一度目の学びよりもさらに深い学びを得ることができると、僕自身、バイタルサイン講習会複数回受講している中でも感じています。
日々の実践があるからこそ、再受講で新たな気づきが得られるとして、たいぞーさんはかなり燃えて準備していると話しています。
まとめ
処方は医師の領域だとしたうえで、たいぞーさんは処方提案を、医師と薬剤師が知見を持ち寄って薬物治療の最適解を探る検討の過程と捉えています。通るかどうかではなく、治療の質が上がったかで提案を振り返ることが、薬剤師の本来の仕事に向き合う道だという内容でした。
- 処方の最終決定は、体全体を理解して患者を見る医師が行うのが合理的とたいぞーさんは考えている
- 「通す・通さない」という言い方は、提案に良し悪しの評価を生みやすい
- 処方提案の本質は、医学と薬学の知見を持ち寄るディスカッションにある
- 承認の有無にかかわらず、薬物治療が最適化されれば良い介入と言える
- 提案が治療の質向上につながったかに着目すると、自分の仕事を見直せる


