撤退が相次ぎ、残ったのはどの3社か?
この回のきっかけは、ネットインフルエンサーの田端信太郎さんが出前館の1%株主に浮上したというニュースです。CEOセオさんはこれを入り口に、フードデリバリー業界で今何が起きていて、出前館を含めて今後どうなるのかを深掘りしていきます。
CEOセオさんによると、フードデリバリー業界はこの1年で大手2社が撤退し、3社に絞られました。撤退したのはWolt ── フィンランド発のフードデリバリーサービス。2014年に創業し、のちに米国のデリバリー大手DoorDashに買収されましたとKDDIのmenuで、撤退時期は2026年3月と2026年9月と紹介されています。
残った3社は、Uberが展開するUberEats、LINEヤフーが筆頭株主の出前館、そして韓国のクーパンを親会社とするロケットナウです。
| サービス | 背景にある会社 | 番組で語られた位置づけ |
|---|---|---|
| UberEats | Uber(アメリカ) | 単独で首位を独走 |
| 出前館 | LINEヤフー(筆頭株主) | 日本勢として残るが決算は厳しい |
| ロケットナウ | クーパン(韓国) | 2025年に開始し急成長 |
アメリカと韓国と、まあ日本、まあLINEヤフーはまあ日本と言っていいのか韓国と言っていいのか、こう微妙なところありますけども、まあこの3社が牽引をしているということですね。
日本のデリバリー市場はコロナ禍で一気に拡大し、多くの会社が参入しました。しかしコロナが一段落すると撤退が続き、Woltは「持続可能な規模への確かな道を優先する」こと、menuは「競争環境の変化」を撤退の理由に挙げています。
ロケットナウは2025年1月にパイロット版を始め、正式なサービス提供は2025年4月です。CEOセオさんは、まだ1年半ほどの会社でありながら、韓国での展開ノウハウを背景に急成長していると説明します。
出前館の決算は売上390億円で、前期比1.7%減です。それでも売上の伸びや黒字化の兆しがニュースになっており、CEOセオさんは、田端さんがそうした点をポジティブに見て株主になったのかもしれないと推測しています。
出前館の利用者数については、レポートでは月間のMAUが620万人とされる一方、公式には第4四半期で3カ月に1回以上買った人が272万人という発表です。正確な数は公式にはわからないものの、数百万人単位で利用されているとCEOセオさんは見ています。
「店と同じ価格」の裏で誰が泣いているのか
フードデリバリーのお金の流れは、お店、ユーザー、アプリ、配達員の4者で分け合う構造です。CEOセオさんは、少し前までフードデリバリーには「高い」というイメージがあったと振り返ります。
フードデリバリーが割高だったのは、お店が手数料分を上代に上乗せしていたからです。店で売っても、デリバリーで売っても、お店の収益が変わらないようにするための工夫でした。
出前館の加盟店手数料は、サービス手数料10%、配達代行手数料25%、決済手数料が最大3%です。自社配達ならサービス手数料10%に決済手数料が加わる形で、UberEatsもロケットナウもおおむね35%前後だといいます。
まあ価格の3分の1がアプリに取られちゃうと。まあいろいろ配達員とかアプリに取られちゃうと。
お店としては120〜130%ほどの価格で売りたいものの、それでは高すぎて使われず、結果的に売上が減ってしまいます。そこで最近は、アプリとお店が連携して「お店と同じ価格」で出す動きが広がっています。
UberEatsは2026年3月20日から1.8万店舗で「お店と同じ価格」を始め、現在は2万4000店舗以上に拡大しています。出前館も2万5000店舗、ロケットナウも1万店舗を超えて同じ値段での展開を進めています。
一方で送料やサービス料は別にかかる見せ方になっており、アプリ側が送料無料キャンペーンなどで負担しています。出前館の売上原価は351億円から384億円へと増えており、CEOセオさんは、その増加分が送料無料などでユーザーを取りに行くためのコストだと見ています。
割高な価格
お店が約35%の手数料分を上代に上乗せしていた
利用離れ
高いと感じたユーザーに使われず、売上が減る
同価格化
アプリとお店が連携し、店と同じ価格で提供
アプリが負担
送料無料キャンペーンなどのコストをアプリ側がかぶる
利益の圧縮
出前館の売上総利益は約1年で45億円から6.4億円に
CEOセオさんは、PayPayの100億円キャンペーンのように、まず市場を取ってから値上げなどに進む戦略があると説明します。ただし今は、3社の中でまず勝たないといけない価格競争の局面にあり、利益はかなり圧縮されています。
配達員コストと自動運転がUberEatsを有利にする?
CEOセオさんは、「お店と同じ価格」はお店、アプリ、会員サービスを組み合わせたエコシステムで回収するモデルだと説明します。たとえばUberOneのような会員サービスに入れば、手数料が安くなったり無料になったりする仕組みです。
配達員をめぐっては、海外ではストライキや値段の交渉が起き、ニューヨーク市では規制も入っています。ロケットナウは配達員の基本料金をリアルタイムで変えており、雨の日やランチ・夕飯時のように注文が重なる時間帯は報酬を上げる、ダイナミックプライシング ── 需要と供給の状況に応じて価格をリアルタイムに変える仕組み。航空券やホテル、ライブチケットなどで広く使われていますに近い運用をしています。
UberEatsの配達パートナーは10万人いるとされ、CEOセオさんは、アプリ側の本音は最終的に配達員のコストを下げたいところにあると見ています。
CEOセオさんが注目するのは、自動運転や配達ロボットの登場です。配達員のコストは大きなマージンになっているため、ここが技術で置き換われば業界の構造が大きく変わる可能性があります。
小さめのやつで自動運転みたいなのが始まりだすと、まあ結構脅威ですよね。
UberEatsについて、CEOセオさんは、Uberが自動運転の会社と幅広く提携・投資しており、他の2社より一歩先にいると評価します。出前館やロケットナウは次のテクノロジーにも投資しなければならず、厳しい部分もあるのではないかと話しています。
ロケットナウは韓国での手法を日本でも使っており、初回70%オフや週替わりの「ロケ割」などで利用者を集めています。
3社の決算から見える資金体力の差
外食のデリバリー市場は8200億円で、2025年は前年比2%増、2019年と比べると97%増です。大きく伸びてきた市場ですが、CEOセオさんは今は横ばいの状況だと説明します。
出前館は2026年8月期の営業損失が82億8800万円で、前年の49億円の赤字から拡大しています。一方で最新の四半期ではGMVがわずかに伸び、営業損失も大きく縮小しており、決算短信では次の第1四半期に営業黒字になる見通しが示されているといいます。
UberEatsは日本単体の数字を出していませんが、日本での累計注文は10億件を超え、加盟店は14万件です。グローバルのデリバリー事業では流通取扱高が4兆3300億円、売上が8200億円で28%増、セグメントの営業利益は1600億円に上ります。
CEOセオさんは、UberEatsは海外で稼いだお金を日本での首位確保に投資できるため、資金はかなり潤沢だと見ています。日本単体が仮にマイナスでも、世界で大きなマーケットを取っている点が日本勢との違いです。
ロケットナウの親会社クーパンは、売上全体が1兆5700億円で、営業損失は700億円の赤字です。ただし日本と韓国は損益がトントンだとコメントしており、資金体力にはまだ調整の余地があるのかもしれません。
出前館の背後にもLINEヤフーという大手株主がいます。CEOセオさんは、赤字でも攻め続けるのかどうかが、3社の勝負の分かれ目になると見ています。
出前館に勝ち目はあるか?規制・データ・多角化の行方
規制の動きについて、CEOセオさんは、ニューヨーク市が2020年に手数料の上限を15%と定め、相場が落ち着いてきた例を紹介します。日本では公正取引委員会などの調査はまだ確認できていないものの、今後は規制が入る可能性もあると話しています。
今後の勝敗を分ける要素として、CEOセオさんはテクノロジーに加えて配達網とデータを挙げます。Uberはその点でも先行しており、配車だけでなく食べ物の注文もできるスーパーアプリ ── 1つのアプリの中で決済、配車、買い物、食事の注文など複数のサービスを使えるようにしたアプリのことになっていると説明します。
フードデリバリー単体では儲からなくても、会員制でエコシステムを作れば、配車などほかの事業で利益を調整できます。CEOセオさんは、フードデリバリーだけでなく事業の多角化が必要だと強調します。
もう1つの柱が広告モデルです。Netflixをはじめ多くのサービスが広告モデルを増やしており、広告を見てもらう代わりに価格を下げるといったやり方もできるといいます。
もしかしたら田端さんとかは割とそういうね、広告とかそういうのに強い方ですから、そういうのも見てるのかもしれないですね。
出前館が生き残る道について、CEOセオさんは広告や会員ビジネスへのモデル転換に可能性を見ています。3社のうちどこかがさらに撤退すれば様相が変わるため、引き続き注視していきたいと締めくくりました。
まとめ
フードデリバリー業界は大手2社の撤退で3社に絞られ、「お店と同じ価格」を軸にした価格競争で各社の利益が削られています。資金力と自動運転への投資で先行するUberEatsに対し、出前館やロケットナウには会員・広告などへの多角化が求められていると、CEOセオさんは見ています。
- Woltとmenuが撤退し、UberEats・出前館・ロケットナウの3社に絞られた
- 約35%の手数料をアプリ側が負担する「お店と同じ価格」が広がり、利益が大きく圧縮している
- 配達員コストが大きく、自動運転に投資するUberEatsが将来的に有利になりうる
- UberEatsは海外の利益を日本市場に投資でき、資金体力で日本勢に差がある
- 出前館の勝ち目は、会員・広告ビジネスへの多角化にあるかもしれない





