衛生委員会のテーマは「機械的に決めない」が基本
3月の年度末が近づくと、来年度の計画、とくに衛生委員会の年間テーマについて質問が増えると小橋さんは話します。
テーマの決め方は基本があります。中高年男性が多い現場系の職場と、若めの女性が多いオフィス系の職場では、優先すべき課題が変わるためです。
4月だからこれ、5月だからこれって一律に機械的に取り上げるんじゃなくて、あくまでリスクアセスメントとか既存のデータに基づいてテーマを決めていくのが(産業医として)お勧めです。
一方で、正論だけでは運営が進みにくいのも事実です。月に1回の衛生委員会をやると決めているなら、メンバーが興味を持って盛り上がる旬のテーマを相場観として知っておくことも役に立つと小橋さんは補足します。
その相場観として、大体この月にはこういうテーマを取り上げることが多いという月別の定番を、今回は4月から順に紹介していきます。
4月と5月は何を取り上げる?年度始まりとメンタル・熱中症
4月は多くの会社にとって年度始まりのため、衛生委員会とは何か、なぜ企業の健康管理が必要かといった根本的な話をすることが多いそうです。
あわせて4月は、安全衛生の方針や目標の発表、健康診断・ストレスチェック・健康イベントなど1年間のスケジュール共有を行う印象があると小橋さんは語ります。
さらに4月は入社・異動・昇進など環境の変化が多い時期のため、メンタルヘルスのセルフケアに触れることもあります。
5月は、正式な病名ではないものの有名な五月病にちなみ、引き続きメンタルヘルスの話題が出やすい月です。
また5月は、厚生労働省の熱中症のクールワークキャンペーンが始まる時期でもあります。最近は梅雨前から暑い日が続くため、5月から熱中症を取り上げるのが当たり前になってきたといいます。
そのほか5月は、17日が世界高血圧デー、31日が世界禁煙デーにあたるため、循環器系の話題を取り上げることも多い月です。
6月と7月のテーマは?禁煙・オーラルケアから熱中症の本番へ
6月は、5月末の世界禁煙デーに続いて厚生労働省が翌週を禁煙週間と定めているため、禁煙対策や分煙対策の話題が続きやすい月です。熱中症も引き続き扱われます。
さらに6月4日から10日の歯と口の健康週間にあわせて、オーラルケアや歯周病を取り上げることもあると小橋さんは紹介します。
7月は夏本番で、多くの都道府県で梅雨が明けるため、熱中症を本格的に話すことがほとんどです。あわせて夏の食中毒を取り上げることも多いといいます。
意外と知られていないテーマとして、7月28日の世界肝炎デーにちなんだ肝臓周りの話題も挙げられました。
また7月は全国安全週間があるため、労働災害の防止も扱われます。安全と衛生はセットで考えることが多く、7月はマストで安全も取り上げる印象だと小橋さんは話します。
労災に関連して、過労死等の労災補償状況が6月末ごろに公表されるため、翌7月の衛生委員会で脳・心臓疾患や精神障害の労災認定のトレンドを共有するのが通例になってきているそうです。
8月と9月は?食中毒・健康経営、そして労働衛生週間の準備
8月も真夏日が続くため、熱中症や食中毒が続きます。8月は食品衛生月間でもあるため、7月は熱中症、8月は食中毒と分けて扱うケースもあると小橋さんは説明します。
さらに8月は健康経営の認証を考える企業にとって申請期間が始まる月でもあり、健康経営の認定制度を取り上げることも多いといいます。
夏休みシーズンでもあることから、セルフケアの中でも休み方、いわゆるレスト・リラックス・レクリエーションを扱うケースもあります。海外渡航に伴う健康管理と紐づけることもあるそうです。
9月は健康増進普及月間、結核・呼吸器感染症予防週間、9月10日の世界自殺予防デーなど、記念日や週間が非常に多い月です。
そのなかでも企業の健康管理とリンクしやすいのが、10月の労働衛生週間に向けた準備です。9月はその準備月間にあたるため、この段階から労働衛生週間を取り上げるのが当たり前になってきていると小橋さんは語ります。
あわせて9月は職場の健康診断強化月間にも制定されているため、健康診断のテーマをがっつり持ってくることもあるそうです。
さらに9月は防災の日や救急の日があることから、胸骨圧迫やAEDといった一次救命処置のレクチャーや訓練を、消防を呼んで衛生委員会と合わせて実施することもあると紹介されました。
次回は10〜3月へ、聴き手からの情報も募集
今回は衛生委員会の年間テーマを4月から9月まで取り上げました。次回は10月から3月までを扱う予定だと小橋さんは話します。
WHOや厚生労働省をはじめ、さまざまな団体が「世界なんとかデー」「なんとか週間」「なんとか月間」を定めており、種類は非常に多いといいます。小橋さんたちもそれらを調べながらテーマ案を作っているそうです。
この月は他にもこういう日があるよとか、こういう週間があるよみたいな、そういう情報がありましたら、皆さんの職場が毎月どんなことをやってるのかも合わせて教えていただけると嬉しいです。
まとめ
衛生委員会の年間テーマは、本来は職場のデータやリスクに基づいて決めるのが基本です。そのうえで、月ごとの記念日や国の週間・月間を相場観として押さえておくと、4月から9月の運営がぐっとやりやすくなります。
- テーマは機械的にではなく、職場のデータやリスクに基づいて決めるのが基本
- 4〜5月は年度始まりとメンタル、熱中症キャンペーンの開始が軸になる
- 6〜7月は禁煙・オーラルケアから熱中症本番へ、7月は安全や労災統計も扱う
- 8〜9月は食中毒・健康経営に加え、10月の労働衛生週間に向けた準備が中心になる
- 次回は10月から3月までのテーマを紹介予定


