ChatGPT、Claude、Gemini、結局どれを使う?
小畑さんは「最近のAIの使い方」を話したいと切り出し、種市さんにAIを使っているかを尋ねます。種市さんはChatGPTに課金していて、ClaudeやGeminiも入れているものの、実際に使うのはほぼChatGPTだと答えます。
貧乏性だからさ、もう課金Chatty(ChatGPT)の元を取るために課金Chattyばっかり使ってる。
種市さんによると、Claudeは試したもののよくわからず、Geminiは「ちょっとムカついたこと」があって離れたそうです。小畑さんも使っているAIは基本的にこの3つだと話し、種市さんの使い方に同意します。
小畑さんが気にしているのは、AIの料金と使用量の上限です。最新の高性能なエンジンを選ぶと、裏側で使うトークン ── AIが文章を処理するときの単位。入力や出力が長いほど、また高性能なモデルほど多く消費し、利用上限や料金に関わりますを大量に消費し、すぐ上限に達してしまうといいます。
ChatGPTやClaudeのアプリには、チャットのほかに外部ツールと連携するモードもあります。小畑さんの説明では、ChatGPTの「ワーク」はGmailやGoogleスプレッドシート、Notionなどとつないで成果物を出せる機能で、ClaudeにもCoWorkやClaudeCodeがあります。
小畑さんは、エンジンは1か月から2週間単位で新しいものが出るほど進化が速いと話します。現時点ではGeminiはやや性能が劣り、ChatGPTとClaudeが切磋琢磨している、というのが小畑さんの見立てです。
では、種市さんのように文章の手直しや戦略づくりに使う人に、最新エンジンは必要なのでしょうか。小畑さんの答えは「いらない」です。
毎回、偏差値80の東大生に「今日野菜何買えばいい?」って質問もしてるみたいな感じなんで、それはさすがにうちの親に聞いてよみたいなのあるじゃないですか。
小畑さんによると、簡単な質問まで最高のモデルに投げると、裏側で電気とコンピューターのリソースを使うため、人類全体で見れば大きな無駄になります。今はモデルを自動で選んでくれないものの、種市さんの「作る側が選ばせるべき」という意見に、小畑さんも「だんだんそうなっていく」と応じます。
トークンを多く消費し、すぐ上限に達する。簡単な質問に使うと電気とリソースの無駄になる
文章の手直しなど日々の用途には十分。簡単な質問はこちらで済ませたほうがよい
AIへの指示は、なぜ手で打つより声のほうがいいのか
小畑さんがこの回で一番伝えたかったのは、エンジンの違いよりも入力の仕方です。OpenAIでもClaudeでも使いやすいほうでよく、それよりAIへの指示は音声でやるほうが絶対にいいというのが小畑さんの考えです。
種市さんも音声入力が気になっていたといいます。以前は運転の合間に使って失敗することが多かったものの、最近は精度がどんどん上がっていると感じているそうです。
小畑さんによると、AIに投げる指示、いわゆるプロンプト ── AIに入力する指示や質問の文章。目的や背景、条件などを具体的に書くほど、意図に沿った回答が得やすくなりますは、基本的に長いほうがよいといいます。たとえば「ポッドキャストのテーマを考えて」とだけ頼むより、最近ロンドンに行ったことや話したい内容まで伝えたほうが、よい答えが返ってきます。
(AIへの指示が)長ければ長いほど、やっぱりAI側が助かるんですよ。情報が多いから。
しかも、話す側の頭が整理されていなくても、AIが整理してくれます。小畑さんは、だからこそスマホで少しずつ文字を打つより、思いつくままベラベラ話すほうが向いていると説明します。
ただし、スマホ標準の音声入力は精度が上がったとはいえ、まだそれほど高くないといいます。そこで小畑さんが使っているのが、話した言葉を整理してくれるアプリのTypelessです。
Typelessは「えー」「うーん」といった言い淀みを除き、発音が悪くて誤変換された語もある程度直してくれます。小畑さんは、このアプリを使えば文字を打つ感覚より20倍ほど速いと話します。
思いつくまま話す
頭が整理されていなくても、背景や話したいことを長く話す
アプリで整える
Typelessが言い淀みや誤変換を整理し、きれいな文章にする
AIに渡す
情報量の多いプロンプトとしてAIに投げ、AIが内容を整理する
声色は伝わる? AirPods同時通訳と思わぬ偶然
種市さんは、音声入力の将来について質問します。種市さんはChatGPTと「喧嘩」することがあり、本気で怒っても軽く返されたり、冗談のつもりが重く受け取られたりする温度差が気になっているそうです。
これ(音声入力)がもし声色とかが今後わかってきて、本当に怒ってる時と同じ言葉でも違ったりするじゃん。そういうのがあったら、すごい面白いなって思うんだけど。
小畑さんは、声色まで伝わる仕組みは将来的にありうると答えます。一方で、音声はテキストより情報量が重くトークンを大量に使うため、どうなるかはわからないとも話しています。
ここから種市さんは、近く欧米への出張を控えるなかで体験した、AirPodsの同時通訳の話を始めます。Appleの知り合いから新しいAirPodsで同時通訳ができると聞いた帰り道、インスタグラムで外国人とアジア人が会話する動画を見かけたそうです。
種市さんがよく見ると、動画に映っていたのは友人でした。元BEAMSのディレクターだという中田さんで、Appleの発表会に招かれてサンフランシスコにいたといいます。
種市さんの話では、中田さんは現地で有名なインフルエンサーに話しかけられ、そのやり取りを同時通訳で行う映像が世界中でバズったそうです。中田さんから「全然同時通訳できますよ」と聞き、種市さんはすぐにAirPodsを購入しました。
種市さんはYouTubeの英語の動画で試し、少し遅いものの「結構すごい」と感じたといいます。日本語で話せばアプリが英語にしてくれるので、出張で使うつもりだそうです。
種市さんはさらに、AIグラスでも同じことができるようになると今後どうなるのかと友人と話したことにも触れます。その流れで、AIの進化で電力を使う仕組みが無効化されると人類が滅亡する可能性が1%ある、という説を友人から聞いたと余談を挟みます。
電話がイヤホンに変わったように、入力も声に変わる
小畑さんは、音声入力の広がりを電話の変化になぞらえます。かつて携帯電話は耳に当てて使うものでしたが、今はイヤホンをつけて話す人が多くなりました。
なんかすげえリアクション取りながらすげえ喋ってる人、何やってんだと思ったらイヤホンつけて話してました。あ、でも電話ってこういう風に変わるんだって当時思ったんですよ。
小畑さんは、入力も同じように音声へ移っていくと見ています。今はオフィスで画面を見ながら手で打っていても、口のほうが楽だからです。
小畑さん自身はPCで仕事をしていて、マイクを置き、Controlキーを2回押すと音声入力が始まるように設定しているそうです。さらに、Macの音声入力だけを使うより、アプリを1つ挟んだほうが正確に入力できるといいます。
画面を見ながらキーボードやフリック入力で文字を手で打つ
マイクやイヤホンに向かって話し、アプリで整えてAIに入力する
音声を記録する道具も増えています。小畑さんは、腕に付けて会話を記録し1日の日記のようにまとめるデバイスとして、マッチングアプリペアーズを作った起業家の新製品を挙げ、4、5万円ほどだと紹介します。
ほかにも、カード型で会議の議事録を起こすPlaudのような製品があるといいます。小畑さんは、5分かけて書いた文章より5分話したほうが、情報量は10倍ほどになると説明します。
小畑さんの会社のオフィスでも、隣の人が独り言のように音声入力している光景が生まれつつあるそうです。種市さんは「すごい世界になりそう」と応じます。
テスラの音声対話に驚いた理由
種市さんは、友人と一緒にテスラの最新モデルを見に行き、試乗したときの体験を語ります。驚いたのは、車の大きな画面を通じて、ほぼ普通の会話で音声操作ができたことでした。
じゃあちょっと福島に行きたいんだけどってパッと言った時に、じゃあ福島行ったら何時間でここに給油所があって、(と全部出してくる)。
種市さんが「途中でラーメンを食べたい」と言えば店の候補が出て、別の用件を話すとリマインドの時刻まで聞いてくる、という流れだったそうです。運転しながら話すだけで、すべて画面に表示されたといいます。
種市さんは、自身は雪山や海に行くのでハイブリッド車が最強だとしつつ、音声入力に特化したテスラの凄さには驚いたと話します。小畑さんは、エンジンは勝手に進化するので、入力の仕方を変えることが効率を上げる近道だと改めてまとめます。
AIで量産される「ゴミみたいなアウトプット」と紙のノート
話題はAIの使い方から、AIが生む弊害へ移ります。小畑さんによると、最近Xなどでは、誰もがAIを使うためアウトプットが出すぎて「ゴミみたいなもの」ばかりだと言われているそうです。
今までだったら10ページのなんかレポート作るのにものすごい時間かかったのに、もうそれ(レポート)1分とかで作れちゃうわけじゃないですか。それで内容何にも見ずに、じゃあこれできましたとかって送ってくるわけですよ。
小畑さんは、結局人間がレビューしなければならない点を問題視します。自社のインターンや新卒の社員にもAIを使ってほしいと伝えているものの、何も考えずに作ってくるケースがあり、危機感を覚えているといいます。
小畑さんは自分の子どものことも考え、考える力があるからこそAIを壁打ち相手として使えるのに、最初からAIがあると思考力が育たないのではと懸念しています。そこで最近、紙のノートとペンを買ったそうです。
種市さんは、書かないと覚えられないこともあると共感しつつ、書かなくても大丈夫な世の中になるのかもしれないと迷いも口にします。そして、ランニングやサーフィン、山登り、ウェルネスや瞑想のように、身体を使う人間らしさが注目されているのではと問いかけ、小畑さんも「絶対そうだと思う」と応じます。
AI時代に価値が上がるのは、考える人と英語を話せる人
小畑さんは、AIがすごくなるほど仕事がなくなるという見方にも一理あるとしたうえで、考える力を持つ人がより強くなると考えています。AIに指示を投げる側の人間が必ずいるからです。
結局やっぱAI側に投げないといけないこっち側の人がいるから。だからやっぱそこの思考力とかは逆に鍛えないとダメだなっていう気がしてて。
種市さんは、ITの最前線にいる小畑さんが「思考力はいらない」ではなく「鍛えるべき」と言ったことを好意的に受け止めます。会話の瞬発力で生きてきた種市さんにとって、心強い意見だったようです。
小畑さんは翻訳を例に挙げ、AIの翻訳の精度が上がるからこそ、英語を話せることの価値が上がると話します。AIでそれらしいものが作れるからこそ、本当に作る人の価値も上がるというのが小畑さんの考えです。
種市さんは同意しつつ、翻訳ツールの良さも強調します。アパレルの会話はなんとかなっても、政治など込み入った話になると踏み込めなかった領域に、翻訳ツールがあれば入っていけるからです。
一方で種市さんは、思考力のない人がツールに頼っても何にもならず、感情を込めて英語を話せる人のほうが強いという小畑さんの指摘にも納得します。小畑さんは「何が正解かわからない」としつつ、AIの進化と思考やフィジカルの大事さを語って回を締めくくります。
英語が話せる人だけが入れた込み入った会話に、翻訳ツールで踏み込める
思考力がなければツールを使っても何にもならず、自分の言葉で英語を話せる人のほうが強い
まとめ
この回では、AIは高性能なエンジンを追いかけるより、音声で多くの情報を伝えるほうが効率的だという実践的な話から、AI時代に人間の思考力と瞬発力の価値が上がるという話へと進みました。ツールを使いこなす側でいるために何を鍛えるべきかを考えさせる内容です。
- 日常的な用途なら最新の高性能モデルは不要で、使いすぎはトークンと電気の無駄になる
- AIへの指示は長いほどよく、Typelessなどを使った音声入力なら手で打つより速く情報を伝えられる
- AirPodsの同時通訳やテスラの音声対話など、デバイスとの会話は実用レベルに近づいている
- AIで中身のないアウトプットが増えるなか、小畑さんは思考力を保つために紙のノートとペンを使い始めた
- 翻訳やAIが進化するほど、考える力や英語を自分で話せる力の価値は上がると2人は考えている






