日曜も牧場は通常運転?
配信日は11月8日の日曜日。最高気温16度の曇りで、肌寒い日ですが、川上さんはまだ半袖の上にヤッケを羽織って仕事をしているそうです。
この日の川上牧場の作業は、育成舎の掃除、分娩が近い牛を育成舎から親牛舎へ移すこと、導入する牛を動かしてワクチンを打つことなど。堆肥の注文が一段落したので、堆肥の切り返しもする予定と話しています。
前日は久しぶりの休みで、川上さんは映画『ゴジラ』を観てきたとのこと。「本当に面白いんで見てほしい」と勧めつつ、ゆっくりした休日を過ごせたようです。
あの皆さんもぜひね、いろんなところへ行って、牛乳、乳製品、はい、しっかり飲んでもらえたら嬉しいなと思います。
乾杯の前には、配信を文字起こしして記事にしているnote、子ども食堂への牛乳支援などに充てる「#ミライの牛乳」、週1回まとめが届く公式LINEなどのお知らせがありました。この日は勧誘した牛がいるため、BGMの牛の声が多めになっているそうです。
なぜ肉牛ではなく乳牛を選んだのか
最初のコメントは、研修生との配信「どうして肉牛じゃなくて乳牛を選んだんですか?」に届いたものです。
私もはっきりとした理由はなくて、牛さん飼ってみたいなと漠然と思った時、酪農ヘルパー全国協会が募集していた住み込みの体験実習を見つけたって感じです。実習が終わった後、ハローワークに行ったら牧場従業員の方が緊急募集してて、結局酪農ヘルパーはやらなかったですね。
メイプル さんから
川上さん自身も、学生時代に肉牛と乳牛の両方を経験し、酪農のほうが面白いと感じてそのまま進んだといいます。
肉牛がその時面白いなって言ったら肉牛行ってますし、ちょっと馬とか面白いなと思ったら馬に行ってるかもしれないし。
結局そんな感じです。なのでいろんなことをやってみるのがいいんじゃないかなって思ったりしますね。
続いては「牛の繁殖は今、大半が人工授精 ── 雄牛の精液を人の手で雌牛の子宮に注入する繁殖方法。発情のタイミングを人が見極めて実施する必要がありますです」という配信へのコメントです。畜産農家の方から届きました。
コムテックの牛歩を入れてからは、発情は牛歩が見つけてくれるので、牛舎に常時人がいなくても大丈夫です。
マンタロー さんから
コムテック社の「牛歩」は牛の足につけて歩数を数えるデバイスで、発情や体調不良の発見に使われます。川上さんは、昔は糞が固まってデバイスの周りに付いてしまうのが悩みだったと振り返っています。
研修生との配信では、人が発情を見つける精度によって発情発見率や受胎率が変わる、という話をしていました。この課題に向けて川上牧場が開発したのが「みはるAI」で、市販のカメラにAIを載せると分娩や発情を見つけてくれる仕組みだそうです。
人の目で発情を探す
見つける人の精度で発情発見率が変わる
受胎率に影響
発見の精度しだいで受胎率も変わってしまう
デバイスやAIで補う
牛歩の歩数計測や、カメラ映像を使うみはるAIが発情を見つける
霜降りは「脂が多い」と言われる時代?
次は「昔は霜降りが美味しいと言われ、生産者は霜降りの多い牛を作ってきました」という配信へのコメントです。
赤身の方が好きです。
メイプル さんから
川上さんは、生産者が良い肉を目指して霜降りを増やしたのに、今は「脂が多い」と言われてしまう状況に触れます。配信の中では、イチゴやスイカでも同じことが起きていると話しています。
| 品目 | 生産者が目指したもの | 消費者の声 |
|---|---|---|
| 牛肉 | 美味しい霜降り | 脂が多い |
| イチゴ | 甘い品種 | 甘すぎる、酸味も欲しい |
| スイカ | 大きな実 | 食べきれない |
もう消費者って勝手だなって思いますけど、まあ自分も消費者の立場になると、まあそういう気持ちはわからんでもないですけども。
川上さんも赤身がおいしいと感じる一方で、先日いただいた黒毛和牛 ── 日本の肉用牛の代表品種。霜降りが入りやすいことで知られ、肉質の格付けではA5が最高ランクですのA5を、しゃぶしゃぶとすき焼きで食べてとても美味しかったそうです。「量は食えないかもしれないけど、食べてみたら美味しいですよ」と勧めています。
Instagramでは、ショート動画「牛の受胎率は何パーセント?」に、初めての方からこんなコメントが届きました。
繁殖に関しては、生産者、消費者でそれぞれの見解があるので、投稿には用心してくださいな。
太田 さんから
川上さんは心配に感謝しつつ、配信ではなるべく科学的根拠をつけ、個人的な感情を入れずに、研究で知られていることを伝えるようにしていると説明します。質問も消費者から寄せられたものに答えていて、ショート動画から音声配信やnote記事へ飛べるようにしているそうです。
こういう配信ね、なんとかしていかないと、その消費者と農家の現場のズレみたいなのがすごい出てきちゃうんですよね。
川上さんが目指すのは、「いらない」と切り捨てられるのではなく、こうやって作ってるんだと思いながら食べてもらう関係です。同じ動画にはTikTokでズーさんから「ほっこり」の絵文字が3つ届き、川上さんは「この動画でほっこりする人がいるんだ」と驚いていました。
現場の困りごとはアプリや記事になる?
Threadsには、地元・旭川でUターン起業したゆきさんからコメントが届きました。川上さんが所属するメタグリ研究所のメディア「農業AI通信」で、和牛交配チェックアプリが紹介された投稿へのものです。
和牛の交配の血統確認という現場の困り事からAIでアプリを開発されたんですね。旭川出身でUターンしてから、現場の小さな困り事こそ、その土地の仕事を続けるヒントになるなと感じることが多いんですよね。
ゆき さんから
まあ自分が困ってたんで、やって、で、皆さんもこれ多分使ったら面白いかなとか、楽になるんじゃないかなと思って作ったアプリなんで。
収益としてはマイナスです、今。
笑いまじりにメンバーシップや有料記事を案内しつつ、川上さんはゆきさんにも「地元の困りごとをお仕事にしていただけたら嬉しい」と返しています。
Substackには、雑誌『現代農業』に掲載された記事の告知へ、農家の方から「おお、読みます」というコメントが届きました。
その記事のテーマは学校給食の牛乳です。アレルギーや乳糖不耐症 ── 牛乳に含まれる乳糖をうまく分解できず、お腹の不調が起きやすい体質。日本人には比較的多いとされていますで牛乳を飲めない子が学校に行きたくなくなり、保護者が給食の牛乳を止めるよう届け出る学校も出てきているといいます。
一方で給食には、1日に必要な栄養の一定割合を満たすという決まりがあり、川上さんは学校給食法 ── 学校給食の目的や実施基準を定めた法律。栄養のバランスがとれた食事の提供などを定めていますに触れています。保護者の気持ちもわかる親の立場から、酪農家としての考えも伝え、考えるきっかけにしてほしいという記事だそうです。
YouTubeでは、切り抜き動画「牛乳1リットル、バターだと何グラム?」に野豚さんから「だから○」という短いコメントが。川上さんは意図をつかみかねつつ、概要欄から本編へ飛べることや、note記事、Podyでも読めることを案内しました。
神社の牛はなぜ祀られているのか
配信「神社になんで牛が祀ってあるの?」には、反響が続きました。
今日の配信を聞いたら、神社の牛がただの石像には見えなくなりますね。昔は牛がトラクターやトラックの代わりだった。家族の暮らしを支える大切な財産だったから、亡くなった時は供養をしたり祀ったりしたんですね。本当に最後の数パーセントは祈るしかないですもんね。判別性別でも雄が生まれる可能性ありますし、無事に女の子が生まれますようにと祈りますよ。
メイプル さんから
川上さんは、見る目が変わったという声をとても喜んでいます。無事に生まれてほしい、雌が生まれてほしいという気持ちは日々のもので、この日も分娩予定日を3日過ぎた牛がいて、お腹の子が大きい黒毛和牛のため祈っている最中だそうです。
どうしたらいいかなって祈ってます、今、本当に。
面白かったです。人間と牛さんとは切っても切れない関係だったんですね。家族として感謝でお守りしてたんですね。
まゆ さんから
牛なんて必要ないじゃんって言ったりしますけども、あなたのおじいちゃんのおじいちゃんの……おばあちゃんもね、めちゃめちゃ牛に生活を支えられて生きてますんで。
川上さんは、忘れそうになったら神社で牛の像に触れてみてほしいと話します。
配信「牛は何時間寝るの?」には、まゆさんから「牛さんはショートスリーパーなんですね。横になってダラダラしてるのは私と一緒です」とのコメント。川上さんは、牛はダラダラして見えても牛乳を作るために働いていると答え、「ダラダラしてるのはまゆさんだけ」と冗談で返しました。
同じ配信にはメイプルさんからも、首を曲げて頭を床につける寝方が牛には楽な体勢らしい、という感想が届きました。川上さんは、変な寝方をする牛は本当にいて、首を伸ばした先が柵に挟まって起きられなくなる牛もいると紹介し、人間目線と牛目線は違うことを知ってほしいと話しています。
「牛乳を飲め」は今なら叩かれる?
stand.fmでは、本来は防疫がテーマの配信に、広告についてのコメントが届きました。
大手海外老舗の香辛料と砂糖がたくさん入った炭酸飲料のCMは、当初スポンサーの意向でドリンキングにしようとしていたようですが、それでは日本人に受けないということでフィーリングにしたそうです。牛乳を飲もうではなく、牛乳を感じろという感じですね。逆にインパクトで考えれば牛乳を飲めでもこのご時世良いのかもしれませんね。
せい さんから
牛乳を飲めって。これ今やったらマジで叩かれるじゃないですか。
ちょっと一回試してみないとわかんないんで、やってみないとね。広告も一回打ってみないとわかんないんで。
川上さんは、翌日の配信の乾杯を「牛乳を飲め」でやってみると宣言し、温かい目で見てほしいと呼びかけています。
締めくくりでは、公式LINEの質問フォームから長文のコメントも送れることを案内。Kindle本『酪農未経験者のために 遺伝改良と飼養設計編』と、その内容を読み込ませた「FarmEcho AI」も紹介されました。和牛交配チェックアプリは近交係数を計算でき、現在87の牧場で使われているそうです。
まとめ
コメント返しの回からは、川上さんがリスナーの質問を配信の土台と考え、農家と消費者のズレを埋めようとしている姿勢が伝わってきます。牛の繁殖をAIで支える工夫や、神社の牛に込められた歴史など、酪農を身近に感じられる話題が詰まった回でした。
- 酪農を選んだ理由は、川上さんもリスナーも「やってみたら面白かった」という偶然から
- 発情発見の精度が受胎率を左右するため、牛歩やみはるAIのような道具が役立つ
- 霜降りやイチゴのように、生産者の努力と消費者の好みがすれ違うことがある
- 学校給食の牛乳は、保護者の気持ちと栄養の基準の両方から考えたいテーマ
- 神社の牛の像は、牛が暮らしを支えてきた長い歴史を思い出させてくれる

