リスナーからの質問「シマウシが発見された?」
この日の配信は、リスナーから届いた質問に答えるお便りコーナーが中心でした。質問をくれたのは、配信アプリ stand.fm のセイさんstand.fmスタンドエフエム。個人でも手軽に音声配信ができる日本のライブ配信・ポッドキャストアプリ。です。
日本の山形県で島牛が発見され、生物学のノーベル賞を受賞しました。体毛が縞模様で吸血昆虫を寄せ付けないという驚くべき性質を持っています。これは進化というか、順応なのでしょうか?
最近話題になっているニュースを見て、質問をくれたそうです。ただ、川上さんによると、この質問にはいくつか誤解が含まれていました。
実際のニュースは「牛を白黒に塗る」研究だった
川上さんは、概要欄に載せたNHKのWEBニュースを引用しながら、正しい情報を伝えていきます。話題になっているのは、シマウシ「そのもの」が発見されたわけではありませんでした。
受賞したのは、農研機構農研機構農業・食品産業技術総合研究機構。農業や食品分野の研究開発を行う日本の国立研究開発法人。の研究員らのグループ。受賞したのは、生物学のノーベル賞ではなく、ユニークな研究に贈られるイグ・ノーベル賞です。
研究テーマは「シマウマ」ならぬ「シマウシ」。シマウマが縞模様で血を吸うハエの攻撃を防いでいるという研究に注目し、黒毛の牛に白黒の模様を描いて、アブやハエを防ぐ効果があるか調べたものです。
その結果、模様を描いた牛は、何も描かなかった牛に比べて足や胴体についたハエの数が半分以上減ったそうです。首を振ったり足踏みしたりして虫を追い払う動作も減ったといいます。
なぜ縞模様で虫が寄らないの?
では、どうして縞模様だと虫が寄りにくくなるのでしょうか。川上さんは、AIに詳しく調べてもらった内容も紹介しながら解説します。
鍵になるのは「モーションダズル効果」と呼ばれる現象です。縞模様が動くと、昆虫の目には進行方向がわかりにくくなり、着地しづらくなるのだそうです。
質問にあった「進化か順応か」についても触れられました。シマウマの場合は、進化の過程で縞を持つ個体が生き残りやすかったと考えられます。
一方で、牛に縞を塗るのは人工的な順応策。つまり進化の模倣といえる、とまとめられていました。
農家がすでに実践している虫よけの工夫
川上さんによると、この研究のテーマ自体はかなり前からあり、3年ほど前、前の研修生がいた頃にも話したことがあるそうです。
そして実際に、放牧で牛を放す農家さんの中には、すでに実践している人もいるといいます。
本当に白いスプレー買ってきて、牛の体にそのスプレー塗るだけでちょっと忌避効果があるみたいなね。
虫よけの工夫は、縞模様だけではありません。オニヤンマの模様を使った対策もあると紹介されました。
緑と黄色と黒の縞模様をしたオニヤンマの模型やバッジを牛舎に飾っておくだけで、虫が減るというのです。
殺虫剤に頼らない虫対策のメリット
牛舎での虫対策には、殺虫剤を噴霧する方法もあります。ただ、牛舎は食品である牛乳を扱う場所なので、頻繁に殺虫剤を撒くのは難しいと川上さんは話します。
認可されているものがほとんどとはいえ、残留の可能性なども考えると、食品を扱う場所ではできるだけ使わないほうがいい。そういう観点でも、この縞模様の技術はいいのではないか、というわけです。
ただし注意点もあります。ホルスタインホルスタイン白と黒のまだら模様が特徴的な、乳牛として広く飼育されている牛の品種。のような白黒模様なら何でもいいわけではないそうです。
ホルスタインは効果ないそうです。シマウマの縞模様ですね。ストライプの形だけじゃないと、虫の忌避効果はないそうです。
縞模様に描くには技術も必要で、ちょっとした芸術作品のようになるとのこと。だからこそ、黒毛和牛だからこそできるところがあるという点も、川上さんならではの視点でした。
まとめ
リスナーの「シマウシが発見された」という質問をきっかけに、イグ・ノーベル賞を受賞した「牛を白黒に塗る」研究をやさしく解説した回でした。誤解をていねいに正しながら、酪農の現場での実践や虫対策の工夫まで話が広がっていきます。
- 話題の正体は、黒毛の牛に白黒の模様を描いてアブやハエを防ぐ「シマウシ」の研究で、イグ・ノーベル賞を受賞した
- 模様を描いた牛は、何もしなかった牛よりハエの数が半分以上減った
- 縞模様で虫が寄りにくくなるのは「モーションダズル効果」という錯覚によるもの
- 白いスプレーやオニヤンマの模型など、農家が実践する虫よけの工夫もある
- 食品を扱う牛舎では殺虫剤を控えたいため、牛にもやさしいこの技術が注目される

