「川上さんが一番」への、川上さん自身の答え
今回の配信では、SPOONから届いたリスナーの質問に川上さんが答えていきます。質問はストレートなものでした。
川上さんは自分より優れた酪農家がいると思いますか?私は川上さんが一番だと思っています。
うれしい言葉ですが、川上さんの受け止めは謙虚でした。全国には酪農家がたくさんいるからこそ、簡単に「一番」とは言えないという立場です。
全国に9600戸ですか、酪農家さんおられますので、全てを一回見ていただいてから一番って言ってもらえると。私は本当に底辺の底辺の底辺。
川上さんは、牛乳やお肉を搾って届ける一般的な酪農家とは少し違い、消費者に魅力を発信することに力を入れています。だからこそ消費者と近く、そこを評価してもらえるのはうれしいと話します。
どの牧場にも必ずある「勝っている部分」
川上さんは酪農ヘルパーとして、たくさんの牧場で働いた経験があります。だからこそ言えることがあるといいます。
鳥取県や島根県のいろんな牧場を回り、視察や見学でも多くの牧場を見てきた川上さん。そのうえでの結論は、はっきりしていました。
たとえ牛舎がボロボロで、牛が汚れていて、乳量が少ない牧場でも、必ず一つは光るところがあるといいます。どの農家さんもいいところを真似して経営しているから、どこが一番とは言えないのだそうです。
だから発表の場で「師匠は誰ですか」「誰を真似ているんですか」と聞かれても、うまく答えられないのだとか。特定の誰かを100%真似ているわけではなく、みんなのいいところを取り入れているからです。
「すごい農家」の物差しは、時代で変わる
一般的に「すごい農家」とされるのは、能力の高い牛を飼い、しっかり利益を上げ、頭数や乳量が多い牧場です。でも川上さんは、その評価はあくまで今の時代の物差しにすぎないと指摘します。
たとえば乳牛の評価軸も、生産寿命の長さが重視された時代があれば、今は乳量や繁殖性、病気の少なさが評価されています。これからは乳成分や飼料効率、メタン排出量の少なさが問われるかもしれません。
時代ごとに評価が変わるからこそ、その物差しに流されて「すごい」「一番」と決めるのは不毛だ、と川上さんは考えています。
家族の幸せも「すごい農家」のかたち
川上さんが挙げるもう一つの評価軸が、家族経営です。家族みんなで仕事ができるのは酪農の素晴らしさだといいます。
「この牛はお父さんが搾ると嫌がるけど、お母さんだと搾らせてくれる」——そんな会話を交わしながら、家族みんなが幸せそうにしている牧場を見ると、これもすごい農家だと感じるそうです。
つまり川上さんが伝えたかったのは、特定の誰かがすごいということではなく、酪農という仕事そのものがすごい、ということでした。
「幅」があるから酪農は面白い
酪農業界は牛舎と家の行き来が多く、一般社会との差が大きい世界だといいます。そのなかで「我が家が一番だ」と盲目的になってしまう人もいるのだとか。
でも、そうなると酪農の産業としての魅力が狭まってしまう、と川上さんは言います。大事なのは、いろんなあり方が共存していることです。
牛一頭で経営を回してる農家さんとか、何百万頭飼ってて経営を回してる農家さんとか、ああいうのがいるから酪農って面白いんですよね。
100%自給飼料で飼う農家もいれば、100%購入飼料でガンガン搾る農家もいる。その幅が面白いというのが、川上さんの伝えたいことでした。
だからリスナーには、SNSで発信している農家をたくさん見て、推しの農家さんを見つけて応援してほしい、と呼びかけていました。
まとめ
「一番の酪農家は誰か」という質問に、川上さんは順位ではなく多様さで答えました。どの牧場にも必ずいいところがあり、評価の物差しは時代で変わる。だからこそ、いろんなあり方が共存する酪農そのものが面白い、というメッセージでした。
- どんな牧場にも、必ず他に勝っている部分が一つはある
- 「すごい農家」の評価軸は時代ごとに変わるので、それに流されるのは不毛
- 大事なのは、自分の目指す酪農に信念を持って取り組むこと
- 牛1頭から何百万頭まで、飼い方の幅の広さこそ酪農の面白さ
- SNSで発信する農家も多いので、推しの農家さんを見つけて応援してほしい

