週末のダラダラを断ち切る「朝散歩」とは?
この回のテーマは「秋の気配を見つける散歩」です。涼しくなり散歩にいい季節になってきたという話から、伏見さんは今年、友達と朝活を始めたことを明かします。
伏見さんはもともと夜にお酒を飲むことが多いタイプでした。生活を朝寄りにしたいと思いつつ、週末の午前中にダラダラすると、そのダラダラを午後まで引きずってしまうことに悩んでいたといいます。
週末やっぱ午前中ちょっとダラダラしちゃうと、結構そのダラダラを午後も引きずって。
そうだね。一日ダラダラしちゃう。
そこで伏見さんは、何駅か隣に住む友達と、お昼過ぎに予定がある日の午前中に「朝散歩」をすることにしました。朝8時ごろに大きな公園のある駅で待ち合わせ、小一時間歩いてからブランチを食べ、お昼ごろに解散する流れです。
伏見さんによれば、朝から動くのが良いとはわかっていても、一人ではつい先送りしてしまいます。友達と待ち合わせることで実行できるのが、この朝散歩の良さです。
待ち合わせすることでそれ(朝から動くこと)を実行するという散歩を何回かやってるんだけど、まあやっぱいいんだよね、散歩って。
公園ではトンボが飛び、夜には虫の声がセミから変わっていくなど、季節の移り変わりも感じられます。リモートワークで家にいすぎる二人にとって、外を歩くことの良さを改めて感じたことが、今回のテーマにつながりました。
「歩き尽くした」先の遠出、雑司が谷・鬼子母神へ
散歩をしているかと聞かれたイトウさんは、すごく散歩すると答えます。自宅から半径3キロ以内ぐらいはもう歩き尽くしてしまったため、あえて電車で少し遠くまで行って歩くのだそうです。
家から半径3キロ以内ぐらいは、もう歩き尽くしてて、もうちょっと面白みがないから、あえて電車とかでちょっと遠くまで行ってそこを散歩するんだけど。
最近イトウさんが出かけたのは、池袋からすぐの雑司が谷にある鬼子母神 ── 子どもの守り神として信仰される仏教の神。雑司が谷の鬼子母神堂は江戸時代から参詣客を集めてきた寺院の御堂で、重要文化財に指定されていますです。何かのついでに立ち寄る場所ではないため、行こうと思わない限り行かない場所でした。
この日のイトウさんは池袋で降りて雑司が谷まで歩き、七福神のように7つほど集まった周辺の神さまを回りながら鬼子母神にもお参りしました。
鬼子母神の境内に残る「昭和初期」の空気とは?
イトウさんが驚いたのは、鬼子母神の一帯だけが昭和初期のような雰囲気だったことです。境内にはドラマのセットかと思うほど昔ながらの駄菓子屋さんがあったといいます。
私が子供の頃でもこんな昔かたぎなお店はないんじゃないっていうぐらい、本当にそういう、なんかね、昭和の感じ。
収録中に調べた伏見さんは、鬼子母神が「きしもじん」ではなく「きしぼじん」と読むことや、江戸三大鬼子母神が台東区の入谷、雑司ヶ谷、千葉の市川にあることを知ります。
写真とかで見ると、まあ普通のところかなと思うけど、実際行くと本当になんかもうそこだけ時間が止まってるみたいな。
イトウさんは、鬼子母神を「思ってた以上に鬼子母神だった」と表現しました。写真で見る印象と、現地で受ける印象には大きな差があったようです。
ネットで見るのと、自分で歩いて感じるのは何が違う?
イトウさんは、行ってみたいけれどわざわざ行くほどでもない場所に、あえて足を運ぶようにしています。今はネットで写真や情報が手に入り、雰囲気はなんとなくわかるからこそ、現地で感じることを大事にしたいといいます。
やっぱそこに実際行って自分がどういう風に感じるかとか、実際目で見て「こんななんだ」みたいな風に思うことってやっぱ全然違うなと思ってて。
伏見さんは、引っ越したばかりのころに近所を歩き回った経験を重ねます。道のつながり、売り物のいい小さな商店、無人販売所などを見つけるのが楽しかったそうです。
引っ越した直後は、道や商店を知るために近所をめっちゃ回った
一通り知ると欲求が収まり、パタッと散歩に行かなくなった
散歩に行かなくなった伏見さんが再び歩き出したきっかけが、冒頭の朝散歩でした。伏見さんは、散歩をきっかけに行動できることや、散歩の先にいろんなことがくっついてくることに良さがあると話します。
なんかほんと歩いてみないとわかんない、行ってみないとわかんないっていうのはすごい。
4キロの散歩で出会った、平日のお祭り
鬼子母神への散歩は、池袋から鬼子母神を経て目白まで、フラフラ歩いて4キロほどだったそうです。伏見さんは、距離以上の価値を感じたテンションだと受け止めます。
さらにこの日のイトウさんは、偶然お祭りに出会いました。鬼子母神には10月に例大祭がありますが、イトウさんが行った平日にも、境内のお稲荷さんの鳥居の先でお祭りが開かれていたのです。
多分だから、もう日にちが決まってて、必ず毎年その日にお祭りをやるっていう感じだと思うんだけど。
伏見さんが公式サイトを見ると、イベントの日にちが掲載されていました。そのお祭りはかなり変わっていて面白いらしく、伏見さんは「散歩しなかったら知らなかった」と、歩くことで得た出会いに感心します。
Googleマップを封じて歩く、迷子の醍醐味
伏見さんが紹介したのは、Sense of…に寄稿したヤマピーこと山下健太さんの記事「楽しい散歩のメロディ」です。山下さんはライターではなく、花ホームランの森 ── 花ホームランの森。山下健太さんが活動する音楽ユニットとして番組内で紹介されましたという音楽ユニットのミュージシャンで、伏見さんの古い友人でもあります。
山下さんの記事には「Googleマップを使わない東京6時間散歩」という見出しがあります。伏見さんはGoogleマップのおかげで知らない土地を不安なく歩けることを大きな恩恵だと認めつつ、それをあえて封じて歩く楽しさを語ります。
知らない土地でも迷いなく、不安なく歩ける
知らないことを知れる。迷子になることも楽しめる
逆に迷子になるのももうさ、なんていうの?逆にいいぐらいだね。
醍醐味かもしれない。
当てもなくちょっと歩いてみるみたいなのは、やってみると本当に面白いからおすすめですよ。
一人で考える散歩、友達としゃべる散歩
伏見さんは、スマホをポケットにしまって考え事をしながら歩くと、デジタルデトックス ── スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器から一定期間離れ、心身を休めることのように頭が整理されると話します。イトウさんも、家でじっと考えることと動きながら考えることでは、行き着く先が違うと応じます。
家でさ、じっとして考えていることと、動きながら考えることと、多分ね、なんか行き着く先が結構違う。
伏見さん自身は、自転車に乗っているときの考え事がすっきりするそうです。体が動くペースや速度感によって、考えが捗る人もいるのではないかと考えています。
一方、友達とおしゃべりしながら歩く朝散歩には、一人の散歩とは別の良さがあるといいます。伏見さんは、普段気づかなかったことを口がいつの間にか話しているような思いつき方をするのだそうです。
スマホをしまい、考え事をすると頭が整理される
おしゃべりの中で、普段気づかなかったことを思いつく
家でじっと考えるっていうのとはまた違う回路が動く感じはするよね。
若いころは「何が楽しいの」と思っていた散歩
伏見さんは、散歩の良さに気づくのは年齢を重ねたからかもしれないと話します。イトウさんも、若いころは歩くだけなんてつまらないと思っていて、散歩をしたことがなかったと振り返ります。
若い頃なんてそんな、歩くだけなんてつまんないじゃんって思ってたと思うし、したことなかったもん。
伏見さんは、ずっと犬を飼っていたものの、犬の散歩は健康のための速度や粗相の場所に気を配る必要があり、一人の散歩とは別物だったといいます。
中高生のころ、伏見さんの母親はウォーキングに熱心でした。当時は夜にいそいそと出かける理由がわからなかった伏見さんも、今は同じことをしていると笑います。
でも今(母と)同じことしてるからね。
都内には緑地や公園が比較的多く、道もきれいだと伏見さんは話します。夜道に気をつけつつも、歩いているうちに「この道は歩きやすいから好き」という道ができてくるのも心地よいそうです。
歩くための靴を買ったら、季節が近くなった
伏見さんは今年、歩くためにスニーカーを買いました。ジョギングぐらいまでを想定して店員さんに相談し、アウトレットで選んだ靴はとても歩きやすく、多くの人が好む理由がわかったといいます。
夏はキーンのサンダルをずっと履いているという伏見さん。歩きやすさで物を選ぶようになったことも、散歩好きになった変化の一つなのかもしれません。
伏見さんは、季節を感じたくても暑さ寒さに追われがちだが、時間を選べば意外と過ごしやすく、発見があると話します。イトウさんも、暑くなくなってくるこれからの季節を喜びます。
これからはね、暑くなくなってくるから、めちゃくちゃ散歩にいい季節になってきて嬉しいよ。
商店街が好きな伏見さんは、知らない街を訪ねる街歩きも好きです。最後は赤提灯の居酒屋にたどり着くこともあるそうですが、在宅勤務で家にいることが多いからこそ、天気がいいと外に出たくなる気持ちを大切にしています。
考えなくて済むから歩く、という自由
一人で歩いているとき何を考えているかと聞かれても答えられない、と伏見さんは話します。イトウさんも、そんなに考えていないかもしれず、むしろ考えなくて済むから歩いている感じがすると応じます。
考えたくないというか、うん、そうだね。考えなくて済むから歩いてるっていう感じもするし。
鬼子母神へも、イトウさんは「今日行ける」と思い立って出かけたそうです。伏見さんも、10代後半から20代に友達と川まで行った秩父へ、大人になってから思い立って一人で行き、小一時間歩いたことを思い出します。
移動が好きな伏見さんは、そのときも沿線を下って秩父まで行きました。振り返ると、イトウさんと同じく「考えなくて済むから」という気持ちがあったかもしれないといいます。
伏見さんは収録内容を考えた際、「歩いていると考え事がほどけていく」と書いていました。考えても考えなくてもいいという自由度の高さが、感性をテーマにするSense of…らしいと二人は話します。
パリから0円散歩まで、Sense of…の散歩記事
伏見さんは、Sense of…に掲載された散歩記事を紹介します。ライターの小田涼子さんの「パリ散歩。ときどき、メトロ」は、イトウさんいわく、読むとパリを散歩している気分になれる記事です。
お金をかけない散歩を提案するのは、東十志織さんの「できるだけお金をかけないで、散歩を楽しむ方法」です。この記事では骨伝導イヤホンが散歩に向いていることも紹介されています。
伏見さんによれば、最近の車は静かに近づいてくるため、周囲の音が聞こえることは大切です。周囲には散歩中にポッドキャストを聞く人も何人かいて、この番組もそんなときに聞いてほしいと話します。
さらに伏見さんは、美術館や博物館の周りもいい散歩道になると話し、目的地にプラスアルファで散歩する楽しみ方も挙げました。
| 記事 | 筆者 | 番組で語られた内容 |
|---|---|---|
| 楽しい散歩のメロディ | 山下健太さん | Googleマップを使わない東京6時間散歩 |
| パリ散歩。ときどき、メトロ | 小田涼子さん | パリを散歩している気分になれる |
| できるだけお金をかけないで、散歩を楽しむ方法 | 東十志織さん | 骨伝導イヤホンの活用など |
| 昔の通勤路を歩いてみると、「あのころ」の自分を思い出す | 織江奈津葉さん | 同じ道を時期を変えて歩く感情の変化 |
昔の通勤路と季節の違う鬼子母神、もう一度歩く楽しみ
織江奈津葉さんの「昔の通勤路を歩いてみると、『あのころ』の自分を思い出す」も、伏見さんが感情に訴える記事として紹介しました。同じ道でも時期が違えば感じ方が変わり、建物がなくなっていたり、新しいものができていたりします。
うみちゃんもまた季節が違う鬼子母神に行ったら、また違う感情になるのでは?
これからの季節は紅葉を見たり、松ぼっくりを拾ったりする出会いもあるかもしれません。イトウさんは、自分なりの楽しい散歩を見つければ、年を取っても楽しめるのではないかと話します。
自分なりの楽しい散歩をね、見つけると、多分これからさ、どんどん年を取っていっても楽しめるんじゃないかな。
最後に二人は、リスナーのおすすめの散歩道やこだわりの散歩方法を募集しました。第2弾の散歩話に向け、ネタを探す散歩に出ようと話して番組を締めくくります。
まとめ
伏見さんとイトウさんの話からは、散歩が歩くことそのものだけでなく、その先にある出会いや体験、考え事や気分転換までを自由に受け止めてくれる行動であることが見えてきます。
- 友達と待ち合わせる朝散歩は、一人では先送りしがちな朝の行動を実行するきっかけになる
- 鬼子母神への遠出のように、実際に歩いて自分の目で見る体験は、ネットの情報とは違う感じ方をもたらす
- Googleマップを使わない散歩では、迷子になることさえ楽しみの一つになる
- 散歩は、考え事をする時間にも、考えない時間にも自由に使える
- 自分なりの楽しい散歩を見つければ、年を重ねても楽しみ続けられる






