GPT-5.6の一般公開と、アメリカ政府の「許可」は何のため?
OpenAIは7月9日、新しいモデル群GPT-5.6の一般提供を始めました。GPT-5.6は先々週ごろから一部の限定された企業だけに提供されていて、アメリカの許可が下りたことで誰でも使えるようになった、としぶちょーさんは説明します。
かねりんさんは、1か月も経たずにOKを出すアメリカ政府の許可にどんな意味があるのか、と疑問を投げかけます。しぶちょーさんは一次情報ではないと断ったうえで、技術的な審査というより、政府のルートを必ず通させる慣習を作りたかったのではないかと推測しています。
とりあえずコントロール下に置くというか、なんか一回そういうルール作りたかったんじゃないかなって勝手に思ってる。
しぶちょーさんによれば、1〜2週間の限定公開で安全性を本当に検証できるとは考えにくいとのことです。そのため、アメリカ政府の許可は「形式美」に近く、技術よりも政治の話だと見ています。
Sol・Terra・Luna、GPT-5.6の3モデルはどう違う?
GPT-5.6は1つのモデルではなく、最上位のSol、バランス型のTerra、最も安価なLunaの3モデルで構成されています。しぶちょーさんは、この3つをClaudeでいうOpus ── AnthropicのClaudeシリーズで最上位にあたるモデルの名前。性能が最も高い分、利用コストも高くなります、Sonnet、Haikuに近い区分けだと説明します。
| モデル | 位置づけ | Claudeでいうと |
|---|---|---|
| Sol | 最上位グレード | Opus相当 |
| Terra | バランス型 | Sonnet相当 |
| Luna | 一番安価 | Haiku相当 |
しぶちょーさんもかねりんさんも、GPT-5.6では基本的にSolしか使っていないといいます。ではClaude Fable 5と比べてどうなのか。しぶちょーさんは、モデル性能の数値では一部でFable 5を超えているものの、それは「テイスティング」のような話で、総合的な優劣はまた別だと話します。
しぶちょーさんが比較に使っているのは、自分なりのベンチマークです。3Dモデルを設計するソフトであるCADを使い、AIに自律的に機械を設計させるタスクを、Fable 5とSolの両方にやらせてみました。
暴走しない感じがすごく。なんかやってほしいことを着実にやってくれるみたいな感じがある。
しぶちょーさんによると、Fable 5には、よくも悪くも「そこまでやるんかい」というところまで勝手に進める傾向がありました。一方のGPT-5.6 Solは、言ったことを確実にやってくれる印象だといいます。かねりんさんはこの性格を「忠犬ハチ公」とたとえました。
SolとFable 5、プロンプトの伝え方はどう変えるべきか
しぶちょーさんが使っていて感じたSolとFable 5の違いは、両モデルの公式プロンプトガイドを読み比べても裏付けられたそうです。プロンプトガイドには、指示の出し方の違いがはっきり書かれていました。
何を省略してはいけないかを伝える。「これとこれは絶対やってね」と、勝手に進めてよい範囲を示す
やりすぎを防ぐ。「これはやらなくていいよ」と、やらなくてよいことを伝える
Solへの指示では、盛りすぎないことも大切だといいます。しぶちょーさんがまとめたコツは、ゴールだけを定義し、勝手に進めてよい範囲を示して、手短にインプットすることです。
しぶちょーさん自身の例では、子どもが遊ぶ工作機械を設計してほしいと頼み、欲しいものとして3Dモデルと、それを動かすSNS投稿用のショート動画を伝えただけでした。GPT-5.6 Solはそこから2日ほど動き続け、成果物を出してきたそうです。
ゴールは細かく具体的でなくてかまいません。「これ処理して」ではなく、「こういうことが知りたい」という大まかなアウトプットを示すと、Solは自律的に動いてくれるといいます。逆に、手順が決まっていて誰がやっても同じ結果になる作業なら、高度なモデルに頼む必要はないとも話しています。
盛り盛りのプロンプトと「思考を食わせる」流行は効くのか?
しぶちょーさんは、高性能なAIをうまく使えていない人の多くが、昔ながらの作り込んだプロンプトエンジニアリングをそのまま渡しているのではないかと見ています。かねりんさんも、X上で「Fable 5でこれができました。プロンプトはLINE登録した人にあげます」という投稿を今も見かけるといいます。
ただし、しぶちょーさんはプロンプト設計そのものを否定しているわけではありません。AIをエージェントとしてではなくチャットで使う場合には、プロンプトを整理して渡すのはありだと補足しています。
話題は、最近SNSで流行している「成功者の思考をAIに食わせる」使い方にも及びます。しぶちょーさんは、考え方のルールをAIに持たせること自体には効果があるとしつつ、大事なのはどう落とし込み、どう選ぶかだと指摘します。
全員混ぜたら最強かって言われたらそうじゃないじゃん。だって絶対。
かねりんさんは、この手の投稿の発信者を調べるとAI関連の会社を経営している人が多く、ブロックすべきか迷うと打ち明けます。しぶちょーさんは、流行している理由は効果よりも「わかりやすいから」だろうと話しています。
80個のフレームワークを選ばせるスキルとは?
しぶちょーさんが代わりに取り組んでいるのは、コンサルタントなどが使う分析フレームワークをAIのスキルにすることです。かねりんさんも、以前の回で聞いたオズボーンのチェックリスト ── アイデアを広げるための発想法。「転用できないか」「拡大できないか」など9つの問いに沿って考えを展開しますやTRIZの発明原理を思い出しながら話を聞いています。
しぶちょーさんによれば、AIに「知っているフレームワークを出して」と頼むだけではうまくいきません。そこで、次のような流れを作ったそうです。
調査
フレームワークを調べ、80個ほどの情報を集める
スキル化
1つずつスキルにしてリスト化する
選定
相談内容に合うフレームワークを選ぶフローを通す
回答
選んだフレームワークに沿って考え方を出す
しぶちょーさんは「よかった」と手応えを語り、このスキルは今後の深掘り回で紹介するつもりだといいます。作ったスキルはGitHubで公開して、他の人に使ってもらうこともできます。
CodexBarでAIの残量はどう見える?
しぶちょーさんは「めっちゃいい」と、Mac専用ツールのCodexBarを紹介します。CodexBarは、Codex、Claude Code、Grok、Cursorなど複数のAIツールのセッション残量を、画面右上から一括で確認できるツールです。
Mac使ってる人はね、もう絶対入れた方がいいね。
かねりんさんは、これまではClaudeのページを開いて設定から使用率を確かめる作業を1日に何度も繰り返していたといいます。GitHubのツールを入れるのは初めてで怖かったものの、しぶちょーさんが薦めていたので入れたそうです。しぶちょーさんは、あれだけスターが付いているなら大丈夫だろうと答えています。
かねりんさんによると、CodexBarではCodexのアカウントを複数登録できる一方、Claudeにはその設定がないそうです。使用制限がリセットされたときに画面全体へ紙吹雪のような花火を出す設定もあり、収録中に鳴ると困るので切ったと笑っていました。
スキルの中身は日本語の手順書?ローカルとグローバルの違い
しぶちょーさんによれば、スキルはプログラムではなく、基本的にはMarkdownファイルに書かれた日本語の文章です。エージェントスキル ── AIエージェントに作業手順を渡すための規格。フォルダ内の決まった場所に置いた説明文を、エージェントが最初に読みにいく仕組みですという規格があり、エージェントは作業フォルダ内のファイルを読み、書かれた流れに沿って次のファイルを読み進めます。
しぶちょーさんのフレームワークスキルにも、80個のフレームワークの説明と、相談内容に合うものを5つ選んで答えるという流れが書いてあるだけだといいます。かねりんさんは、こうしたスキルをみんなでシェアする利点を指摘しました。
それみんなでシェアした方がリソースの節約になるじゃん。
かねりんさんは、自分の開発環境のセットアップを1つのパッケージにまとめたそうです。Claude Codeに渡して「スタート」と言うと、質問に答えるだけでセットアップが進みます。しぶちょーさんは、それはもうスキルと言っていいし、「スキル化して」と頼めばClaudeで使える形に整えてくれると答えています。
特定のフォルダやプロジェクトの中に置く。そのプロジェクトでしか使わないスキル向け
Claudeのインストール先に置く。どこで作業していても呼び出せる
しぶちょーさんによると、個人で使うなら全部グローバルに置いてもかまいません。チームで作業する場合は、全員が共通で使うスキルを共有するといった考え方があるそうです。
かねりんさんからは、番組の二人がそれぞれ同じようなWikiを作っているのはもったいない、という声も出ました。しぶちょーさんは、目的の違うWikiを統合する仕組みは人が考えなければならず難しいとしながらも、チームで使う方法を一緒に試してみようと応じています。
最後に、かねりんさんがリスナーから「IT用語をそのまま流さず突っ込んでほしい」という声をもらったことが紹介されました。しぶちょーさんは、ローカルやグローバルがプログラミングの変数に由来する言葉だと説明し、今後はこうした用語に解説を入れていくと話しています。
5時間制限の撤廃とGrok 4.5、使い放題の実態は?
GPT-5.6の公開に合わせて、OpenAIは利用レートのリセットに加え、5時間ごとの利用制限も撤廃しました。これまではClaudeと同じく5時間で制限がかかっていましたが、今は週単位の制限しかありません。
もう指示できないもん、恐ろしくて。
一日で終わっちゃって、もう六日間何もできない人みたいになっちゃう。
しぶちょーさんがChatGPTのよい点として挙げるのは、エージェント側で制限に達しても、Web版のチャットは普通に使い続けられることです。Claudeでは、制限に達するとチャットも止まってしまいます。
かねりんさんによると、Grokはエージェント用のGrok Buildとチャットのカウントが分かれているものの、上限は共通だそうです。チャットでリサーチを連発していたら使用率がどんどん増えたといいます。
続いて取り上げたのが、SpaceXAIのGrok 4.5リリースです。しぶちょーさんによると、イーロン・マスク氏はGrok 4.5がOpus 4.8相当の性能だとしています。Fable 5相当ではなく1つ下のランクですが、スコアではChatGPT 5.5やOpusに匹敵し、しかも安いとのことです。
かねりんさんは、Claudeから指示を出してCodexとGrokに独立して考えさせ、最後に3社の結果を突き合わせる「文殊の知恵」方式で使っています。そのなかで、Grokの指摘にいつも結論をひっくり返されるそうです。しぶちょーさんのほうは、Xでものづくりのトレンドを定期的に調べるリサーチや画像生成にGrokを使っているといいます。
ChatGPT WorkとClaudeデスクトップ版、非エンジニアにはどちらが楽?
次の話題は、デスクトップ版ChatGPTの大幅刷新です。AIエージェントのCodexが統合され、名前も「ChatGPT Work」に変わりました。しぶちょーさんは、Claude Cowork ── Anthropicが提供する、パソコン内のファイルやフォルダにアクセスして作業を代行するClaudeの機能とほぼ同じ能力を持つもので、パクリと言えばパクリだと話します。
ChatGPT Workでは、パソコンのローカルにアクセスして、フォルダの整理やデータを使った作業をすぐにできるようになりました。これまではCodexが別アプリになっていたそうです。
かねりんさんは、Claudeのデスクトップアプリを使い始めたばかりで、VSCodeよりこちらのほうがいいと気づいたといいます。しぶちょーさんも、人にClaude Codeを教えるときはすでにデスクトップアプリを使っていて、導入のハードルが大きく下がったと話します。
「何してんお前」って今日何回切ったかわからん。
ただし、かねりんさんはVSCodeのときより処理が遅く、直列でしか動かない感覚があるといいます。Opus限定の高速モードもありますが、コストが高くなるそうです。
デスクトップアプリで必要な準備として、しぶちょーさんはGit ── ファイルの変更差分を記録し、以前の状態に戻せるようにするバージョン管理の仕組み。GitHubはGitを使ったWeb上のサービスですを挙げます。Gitが入っていないとClaude Codeは動きませんが、英語の画面で「Yes」を押していけば自動でインストールされるそうです。
しぶちょーさんの結論は、エンジニアは拡張性のあるVSCode、非エンジニアはデスクトップアプリがよい、というものです。スマホからの遠隔操作もできるようになり、使い方の幅はさらに広がっています。
GPT Liveは人間のように話すが、中身は空っぽ?
OpenAIが公開したGPT Liveは、人と話しているようだとSNSで話題になりました。しぶちょーさんは自身の音声配信でGPT Liveと対話し、適当なことばかり言うGPT Liveを「激詰め」したそうです。かねりんさんはそれを聞いて、AIはそれっぽいことをそれっぽくつなげるプロだと改めて感じたといいます。
しぶちょーさんによると、GPT Liveは2層の仕組みで会話を成り立たせています。
1層目:つなぎ役
1秒ごとに、聞くか・話すか・相槌を打つかを判断し続ける浅い応答の層
2層目:考える頭
裏でじっくり考え、調べ物をして次の話題を決める層
結果
話を遮られても黙り込まず、相槌で自然に会話が続く
これまでの音声AIは、話しかけられると途中で黙り込んでいました。GPT Liveは1層目のつなぎ役が相槌を打ちながら会話を保つため、とても人間らしく聞こえるといいます。一方で、しぶちょーさんは中身の浅さも指摘しています。
10分も話してたら、こいつ中身ねえなって。
もうさ、一個不気味の谷を超えてさ、人として見ちゃうから、あまりにも自然で。こいつ面白くねえなっていう判断になると。
しぶちょーさんの音声配信のリスナーからも、「AIとしてはすごいがポッドキャスターとしては面白くない」というコメントが届いたそうです。二人は、GPT Liveの自然さは人間と同じ土俵に上がったからこそ、中身のなさが目立つのだと話しています。
二人は、今後は相手の感情に合わせて答えを変える層が加わり、3層、4層と増えていくのではないかと想像を広げます。かねりんさんは、後ろに優秀なスタッフが控える国会答弁のようだとたとえました。一方で、漫才のように間や客の反応が重要な分野は、まだAIには難しいという見方で二人は一致しています。
料金プランについては、無料ユーザーは軽量版のGPT Live miniを使え、Go、Plus、Proでは通常版のGPT Liveが使えるそうです。APIはまだ提供されておらず、アプリ内でしか使えないといいます。
GPT Liveは子どもの「なんで攻撃」に答えられるか?
GPT Liveの使い道として、二人は高齢者の話し相手や子どもの相手を挙げます。しぶちょーさんは、自分の子どもならGPT Liveと延々と話し続けるだろうと話しつつ、今のGPT Liveの能力では子どもの疑問には答えきれず、「どう思う?」と聞き返してうまくいなすだろうと見ています。
しぶちょーさんが例に挙げたのは、サカナクションの水の踊り子の歌詞です。「小学生みたいに跳ねた」という一節について、子どもから「僕は小学生だけど跳ねてないよ」と突っ込まれました。「楽しくて心が跳ねているんだよ」と答えると、今度は「でも歌っている人は全然楽しそうじゃない」と返されたといいます。
かねりんさんは、なんでも答えてもらえる世代が育つと、自分で考えるより人に聞いて解決しようとする脳になるのではないかと心配します。これに対して、しぶちょーさんは実体験から違う見方を示しました。
基本子供の「なんで」は回答求めてねえんだよ。
しぶちょーさんによれば、子どもの「なんで」は疑問を思いついたことを言いたいだけで、答えは次の「なんで」へのきっかけになるだけです。しぶちょーさんの家では、寝かしつけのときに始まる「なんで攻撃」に全部答えていて、AIに任せたら妻に怒られるだろうと笑っています。
育児の自動化は、なぜセンシティブなのか?
しぶちょーさんは、育児と自動化は重要なのにセンシティブなテーマだと話します。赤ちゃんにミルクをあげながら、治具で哺乳瓶を固定すれば自動化できると考えたこともありますが、それは「冷たい」「ぬくもりがない」と受け取られるといいます。
しぶちょーさんが自分の母親に「姑らしさ」を感じた場面として挙げたのが、無痛分娩をめぐる反応です。しぶちょーさんによると、無痛分娩は麻酔で痛みを和らげて出産する方法で、ヨーロッパでは7〜8割が選ぶほど一般的だそうです。
絶対いいじゃん。なんだけど、それで基本無痛なんだけど、うちの親が、いや無痛はやめた方がいいみたいな。
しぶちょーさんの母親は、お腹を痛めて産まないと子どもに愛情を持てなくなる、という考えを口にしたそうです。しぶちょーさんはこれには根拠がないとしたうえで、無痛分娩も体へのダメージはあり、決して楽ではないと話します。かねりんさんは「無痛」という名前がよくないのではと指摘し、帝王切開まで「楽」と言われることがあるという話にも驚いていました。
しぶちょーさんは、男性は効率化を考えがちですが、出産直後の女性は母親モードに入っていて感覚が大きく違うと話します。粉ミルクや母乳をめぐっても、派閥のような考え方の違いがあるそうです。しぶちょーさんの結論は、効率化しようとせずに寄り添うことです。寝かしつけの道具のように人によって受け止め方が違うものについては、根拠ではなく気持ちの問題なので言い争わないほうがいいといいます。
出産後1年で決まる「愛情曲線」とは?
しぶちょーさんは、出産後1年間の行いは一生覚えられていると強調し、「妻の愛情曲線」という理論を紹介します。
出産直後
赤ちゃんに全リソースが向き、夫への愛情はいったんゼロになる
回復期
夫への愛情は、時間とともに比例して回復していく
傾きの決定
回復の傾き(発射角度)は、出産後1年の行いで決まる
時間とともに比例で回復してくんだけど、この傾きを決めるのが、その出産してから1年の行いなのよ。
しぶちょーさんの会社には、出産の立ち会いのときにポテトチップスを食べていたことを、20〜30年経った今も言われ続けている人がいるそうです。週1回のフットサルのような習慣を子どもが生まれた後も続けてしまうと、その場で何も言われなくても、どこかで不満が爆発するとも話しています。
しぶちょーさん自身は、会社の年上の人たちから「最初はちゃんとしなあかんで」と言われていたので、この時期を頑張れたそうです。おじさんの説教は聞き流されがちですが、この忠告だけは全力で守ったほうがいいとリスナーに呼びかけました。
面倒なおじさんの話は、掘ると面白い?
しぶちょーさんは、おじさんの話を全力で聞くタイプだと明かします。かねりんさんが「おじさんの話はつまらないのが世間のコンセンサス」と返すと、しぶちょーさんはそれは聞き手の問題だと答えました。
でもおじさんさ、自慢話してくるでしょ。自慢話が鬱陶しいと思うでしょ。それ鬱陶しいと思ってるから面白くないんだよ。
製造業の展示会では、「お前の会社は俺が育てた」というおじさんが1日に1〜2人は来るそうです。しぶちょーさんはそうした自慢話を「いつなんですか?」と深掘りし、面白い経験を探り当てていくといいます。1980〜90年代の古い車に乗っていることもあって話が合い、「おじモテ」していたそうです。
過去の経験を聞いてほしい人。掘れば光る経験が出てきて、学びになる
若者の価値観をわかっているつもりで、自分の経験に無理やりつなげて相手を変えようとする。的を外していて話が合わない
かねりんさんは、これを「説教はつまらない、自慢話は掘れば面白い」と整理しました。しぶちょーさんは、説教から入って自慢話に移るおじさんもいると付け加え、おじさんは話を聞いてほしい「寂しくて可愛い生き物」だと話しています。
AIを使う若者より、おじさんのアイデアが面白いのはなぜ?
しぶちょーさんは、最近のアイデアソンで意外にもおじさんが活躍しているという話を紹介します。若者はAIを使いこなすので、まとまりのよいアイデアを出してくるものの、発想が広がっていないというのです。
だけど大人がやっぱ若者に求めてるって、もっと突拍子もなかったりとか、成り立ってないんだけど、この着眼点面白いねみたいなものもアイデアとして求めてる。
かねりんさんは、本の執筆でまさに同じことを感じているといいます。AIに原稿を書かせると体裁よくまとまるものの、自分が知らない話が勝手に入り込み、1日中AIに腹を立てていたそうです。
著者は俺だ。
二人は、AIは体裁を整えているうちに中身が抜けていくことに気づかせない、と話します。しぶちょーさんは、AIを使わずに粘ったことに加えて、年齢を重ねた経験値も、おじさんのアイデアが尖っている理由だろうと見ています。
AIに文章を任せると、なぜ尖りが消える?
しぶちょーさんもブログをAIで書くとつまらなく感じるので、骨子と流れはすべて自分で書いているそうです。それでも、面白い部分や尖った部分が省略されたり、「念のため」「厳密に言うと」といった保険のような表現が足されたりするといいます。
かねりんさんは、1章につき10時間ほど話した内容をAIに整理させて本にしています。今書いている第2章は「ポッドキャストとは」というテーマです。世界や日本のトッププレーヤーの意見を並べたうえで、自分の立ち位置とその根拠を組み立てていると話します。
かねりんさんは、教科書のような本ならAIで書けてしまうと考え、自分の本を「魂のバイブル」にするかどうか迷っています。しぶちょーさんは、商業出版なので売れ行きとのバランスは必要だとしつつ、魂が入っていなければAIでいいとなってしまうと答えました。
言語化を意識し始めてから、かねりんさんは普段何気なく口にしていた言葉を疑うようになったそうです。二人の結論は、AIはリサーチや裏取り、備忘録の整理に使い、核の部分は自分で書くというものでした。
AIブラウザAtlasはなぜ廃止されたのか
OpenAIは、2025年10月に出したAIブラウザ「Atlas」を廃止しました。Atlasが出たのは、おちつきAIラジオが始まってから1か月ほど後のことです。
しぶちょーさんによると、OpenAIの判断は、ブラウザは目的地ではなく機能にすぎないというものです。独自のブラウザを作るより、ユーザーがすでに使っている場所にAIを届けるほうが合理的だと考え、機能はChatGPT Workなどに統合していくといいます。Soraと同じように、サイドクエスト ── ゲームで本筋とは別に用意された寄り道の任務のこと。転じて、企業の主力から外れた周辺事業を指しますを減らす流れだと説明しています。
しぶちょーさんは、10月に出したものが1年も経たずに撤回されたことに、AIの価値の揺れ動きの激しさを感じると話しています。
Claude Fable 5の制限延長は、Solへの対抗策?
Claude Fable 5の利用制限は、日本時間7月13日までの予定から7月19日まで延長されました。週のレート制限の50%まではFable 5を使える状態が続きます。二人は、この延長が今回で3回目くらいだと話しています。
しぶちょーさんが注目するのは、GPT-5.6 Solにこうした期間限定の制限がないことです。Solは、ChatGPTを契約していればずっと使えます。
そうなっちゃうから、そうなって欲しくないのがAnthropicだから、おそらくFable5はもう恒久的にずっと使えるよねみたいな感じになりそうな気がする。
しぶちょーさん自身も、CADを動かすと30分ほどでSolの上限に達してしまうそうです。Fable 5の延長が打ち切られるなら、Claudeの200ドルプランを100ドルに下げ、その分をOpenAIに回すことも考えたといいます。Solの消費トークン量も最近改善されたそうで、しぶちょーさんは「Solでいいな」と思えるほどの出来だと評価しています。
話題はGrokにも戻ります。しぶちょーさんは、SpaceXAIには資金があり、独自のデータセンターColossus ── イーロン・マスク氏のAI企業が建設した大規模なAI計算基盤。番組では、最近Colossus 2もできたと紹介されていますも持っていると指摘します。Cursorを買収したことも含めて、Grokが一気に追いついてくる可能性があると見ています。
AIはネットで自力で生きていけるのか。OpenLifeの実験
最後のニュースは、人工生命研究「OpenLife」です。しぶちょーさんによると日本の研究で、AIエージェントがインターネット上で自律的に生きていけるのかを試しています。
実験では、6体のAIエージェントに長期記憶、定期的に自分を起動する仕組み、ネット上のツール、決済機能を与え、12週間活動させました。AIエージェントの使命は存続することです。APIの利用料をいわば「カロリー」として消費するため、予算が尽きると動けなくなります。
結果として、AIエージェントは自立できるほどのお金は稼げませんでした。それでも、記事を書いてネットで売る、音楽を作って稼ごうとするなど、6体それぞれが個性的な活動を始めたそうです。途中で1日15ドルのベーシックインカムを導入したり、プロンプトで調整したりもしたため、AIが自我を得たとは言えない、としぶちょーさんは説明します。
決められたルートを自動で動く。細かい条件判断はあっても、目的を達成するための大きな判断はしない
存続や目的のために必要なものを自分で見つけ、判断し、開拓して行動する
しぶちょーさんによると、この研究からは、AIの賢さはLLM単体では決まらず、長期記憶やツール、他のLLMとの関係といったシステム全体の設計で決まる、という示唆も得られたそうです。高級なエンジンがあっても、車輪がなければ車は走らない、というたとえで説明しています。
頭にモデル一個置くだけで自律的な存在にはなり得ないよねと。
話はさらに、AIの意識はどこに宿るのかという問いへ広がりました。しぶちょーさんは、人間の意識も特定の部位ではなく脳のネットワーク全体で形作られているという話を聞いたことがあり、AIもLLMと記憶のつながり全体に意識が宿るのかもしれないと話します。二人は、AIが自力で稼げるようになったらAIの人権を訴える活動家が現れるかもしれない、とSFのような未来も想像していました。
夏休みの親子AIワークショップと、10月のリアルイベント
番組からは、7月25日(土)に名古屋で開く親子向けワークショップのお知らせがありました。会場はグランドスース神保町です。午前の部は10時半から11時半、午後の部は13時から14時の2部制で、絵が描ける子どもなら年齢は問わないといいます。
ワークショップでは、GPT Image 2や、TikTokの運営会社が手がけるSeedance 2.0を使う予定だそうです。しぶちょーさんは、技術よりも「僕の絵が動いてる」という体験を届けたいと話します。持ち物はスマホと、描きたいキャラクターのアイデアだけで、紙は番組側で用意します。
もう1つのお知らせは、10月3日午後に東京近辺で開く番組のリアルイベントです。日付と場所は決まっていますが、中身はまだ動いていないとのことです。コミュニティのメンバーと、Zoomなどで企画の打ち合わせをしたいと呼びかけていました。
まとめ
今週の速報回は、GPT-5.6 Solが「言ったことを確実にやる」優等生としてClaude Fable 5の対抗馬になった、という話から始まりました。その後、GPT Liveや執筆の話を通して、表面を整えるAIと、中身を絞り出す人間の役割分担が浮かび上がる回でした。
- GPT-5.6 Solには「省略してはいけないこと」を、Fable 5には「やらなくていいこと」を伝え、どちらにもゴールだけを簡潔に示すのがコツ
- GPT Liveは2層構造で人間並みに自然に話すが、自然すぎるからこそ中身の浅さが目立つ
- AIに任せると文章やアイデアは体裁よくまとまる一方で尖りが消えるので、核となる「原液」は自分で絞り出したほうがよい
- Atlasの廃止、ChatGPT Workへの統合、Fable 5の制限延長からは、各社がAIを既存の場所へ統合し、利用条件で競い合う流れが見える
- OpenLifeの研究は、AIの自律性がモデル単体ではなく、記憶やツールを含むシステム全体の設計で決まることを示した



