歯の不調で訪れた、かかりつけの歯医者での気づき
たいぞーさんは、薬局の薬剤師として在宅医療や外来患者の対応に取り組みながら、社内の新人育成や研修の講師、勉強会やセミナーの開催、オンラインサロンの運営も手がけています。
今回たいぞーさんが語るのは、最近歯に不具合を感じて歯医者にかかったときの体験です。近所にあるかかりつけの歯医者に、定期検診も含めて通っていたといいます。
奥歯が痛むことがあり、ちょうど検診の時期だったため相談したところ、被せ物をして処置したほうがいいかもしれないと言われ、治療を受けることになりました。
受診をした時の対応っていうのがちょっと気になったというか、こういう風に歯医者さんって動いてるんだなということがちょっと気づきとしてあったんです。
たいぞーさんにとって、この治療の日の歯医者の動き方そのものが、薬剤師の仕事を考え直すきっかけになりました。
診察台の上で見えた、歯科医と歯科衛生士の動き
たいぞーさんが診察台に呼ばれると、まず歯科衛生士が歯の状態をチェックし、処置に必要な器具の袋を破りながら準備を進める音が後ろから聞こえてきたといいます。
しばらくして歯科医が来て、麻酔の注射をしました。麻酔が効くまで待つ間、歯科医はまた別の場所へ移っていきます。
麻酔を待つ時間に、歯科衛生士は被せ物を作るために必要な、患部周囲の歯の型取りを進めていました。処置の準備は、麻酔が効くのを待ちながら少しずつ整えられていったそうです。
麻酔が効いた頃に歯科医が再び来て、ドリルで歯を削る処置を行い、最後に被せ物のための患部の型を取りました。型取りが終わると、歯科医はまた去っていきます。
その後の治療計画や、仮の詰め物をしている間の食べ物などの注意点は、歯科衛生士から説明を受けたといいます。
たいぞーさんが受けた一連の対応を順に並べると、歯科医と歯科衛生士の出番がはっきり分かれていたことがわかります。
歯科医と接したのは、ごくわずかな時間だった
たいぞーさんが振り返ると、歯科医と接点を持ったのは30分、40分ほどの処置時間のうち、本当にごくわずかな時間だったといいます。
ここはやっぱり歯科医の先生じゃないとできひんとこよなっていう、クリティカルな部分というか、歯科医だからこそできる仕事に本当に注力する部分でサッと出てきて。
たいぞーさんが注目したのは、歯科医が歯科医にしかできない仕事に注力できるように、歯科衛生士がすべての段取りを整えていた点です。
歯科衛生士は処置前の準備から処置後のフォローアップまで担い、患者の受診体験全体がうまくいくようにコーディネートする役割を果たしていた、とたいぞーさんは感じています。
この体験を自分の仕事に重ねたとき、たいぞーさんは、薬局の薬剤師は患者との接点が多いのではないかと考えました。
薬局の薬剤師は、薬の手配、服用中の薬の状態確認、新しく出た薬を適切に飲んでもらえるかの確認、処方内容の事務的な確認から薬学的な確認までを担っています。直接的なものも間接的なものも含め、患者に関わる場面が多くあるとたいぞーさんは話します。
薬剤師にしかできない仕事とは何か?
たいぞーさんは、歯科医のように「薬剤師にしかできないところは何か」を改めて考えると、薬剤師の仕事の関わりどころはもう少し整理できるかもしれない、と語ります。
整理が進めば、今回の歯科医のように、ここぞという場面に薬剤師が的確に介入することも、より可能になるのではないかという考えです。
たいぞーさんは、来年の調剤報酬改定 ── 薬局の調剤業務などに対して支払われる報酬の点数を見直す制度改定。原則2年ごとに行われ、薬局や薬剤師に求められる役割の方向性が示されますで、薬剤師に求められる役割や期待される仕事が見えてくると話します。そうした業務に注力するためにも、薬局内での業務のあり方を改めて考える必要があるのかもしれない、としています。
そのとき、いきなり新しいものを生み出す必要はない、というのがたいぞーさんの見方です。クリニックでの医師の診察や、歯科医院での歯科医と歯科衛生士の関係など、他業種・多職種の業務のやり方から学べることがあるといいます。
健康という価値を届けるための専門性の活かし方ということを考えてみると、何か一つこう見えてくる答えというのもあるのかもしれないなということを感じた、そんな体験のお話でした。
たいぞーさんは放送の締めくくりに、薬剤師が自分たちのやるべき仕事は何かを、さまざまな職種の働きから気づいていくきっかけにしてほしいと呼びかけています。
まとめ
たいぞーさんは歯科治療の体験から、歯科医が専門性の核心に集中できるよう歯科衛生士が段取りとフォローを担う連携に気づき、薬局でも薬剤師にしかできない仕事を整理し直す必要があるのではないかと考えました。
- 歯科医が関わったのは処置時間のうちごくわずかで、歯科医にしかできない部分に集中していた
- 歯科衛生士は準備から処置後の説明まで担い、受診体験全体をコーディネートしていた
- 薬局の薬剤師は患者との接点が多く、関わりどころを整理する余地があるかもしれない
- 調剤報酬改定を前に、他職種の業務のやり方から薬局内の分担を考えるヒントが得られる



