別荘旅行の計画を一瞬で決める桜林さんの「段取り力」
本題に入る前に、桜林直子さんは最近の出来事を話します。来週、別荘を持つ友人のもとへ、北海道から来る別の友人と2人で遊びに行く予定があるそうです。
北海道から来る友人は、予定を立てたり計画したりするのがとても苦手です。桜林さんはそれをわかっているので、新幹線の手配から、何時にどこへ来ればいいかまで全部引き受けました。
(3人のLINEで)ほんとAIかっていうぐらいガーって提案して、これはどっちがいい?とかってやったら、その子が何もしなかったけど決まったみたいな。
バスの時刻や周辺の立ち寄り先、お蕎麦屋さんの候補まで並べて選んでもらい、計画はどんどん進みました。桜林さんは「私ってこういうのやっちゃうし得意だよな」と改めて感じたといいます。
一方の中里祐次さんは、時間を決めれば計画を立てられるものの、立て始めるまでに時間がかかる性格だそうです。そのため、計画を立ててもらう友人の気持ちがよくわかり、「その友達ラッキーだね」と反応します。
どうする?どうする?どうする?みたいな時間がやっぱ多分あんま好きじゃなくて。
選択肢、こういうのがある、こういうのがあるよ、どっちがいい?とかって出してって。そしたら言えるじゃん。
ただし桜林さんは、いつも仕切るわけではないと補足します。自分より詳しい人がいればその人に任せるなど、メンバーの組み合わせによって役割は変わるそうです。
間に合わないお菓子を電話一本で間に合わせた話
桜林さんは、別荘へ手土産のお菓子を直接送ろうとしました。ところがオンラインショップでは、自分たちが帰る日より後の日付しか指定できませんでした。
そこで桜林さんはお菓子屋さんに電話をかけ、カートに入れる直前であること、どうしてもこの日に欲しいことを伝えました。お店側は、注文が立て込んでいるとしながらも、商品が1個だけと知ると指定日に送ると応じてくれたそうです。
私ってこういうことするよなって思って。
間に合わないものを間に合わせるみたいなこととか。
中里さんは「僕にない能力」と感心します。中里さんは電話が嫌いなので、電話してみるという打ち手自体がほとんど取れないそうです。
桜林さん自身は、かつてお菓子屋を営んでいたので、お店の事情からどうにかなりそうだとわかっていたと話します。今日送ってほしいわけではなく、指定できる日付がずいぶん先だったので「送れるっしょ」と思えたそうです。
「専業主婦なんだからやって当たり前」に縛られる相談
ここから本題です。今回取り上げるのろいは「専業主婦なんだからやって当たり前」。桜林さんが、ラジオネーム「チョコミント大好き」さんからのお便りを読み上げます。
私は専業主婦なんだからやって当たり前という呪いに縛られています。私は出産前に退職し、現在は専業主婦で11ヶ月の息子を育てている1児の母です。夫は仕事が忙しく、平日は朝から寝かしつけまで育児と家事を一人でこなす日々です。
子育ては概ね楽しくできていますが、最近気分が沈みがちになることが度々あります。休みない息子へのケアに加え、仕事で疲れている夫を気遣い、土日もなるべく休ませてあげたりなど、夫のこともケアしていたら疲れてしまいました。私も誰かにケアしてほしいという気持ちがふつふつと湧いてきます。
でも、あなたは専業主婦なんだから、それぐらいやって当たり前でしょ。辛いという資格はないよと心の中で誰かの声がして、自分の頑張りや疲れを認めてあげることができません。そんな風に思う必要はないと頭では分かっているのですが。この状況についてお二人のお考えを聞かせていただけましたら幸いです。
お便りを読み終えた桜林さんは、「突っ込みどころがたくさんあるよね」と切り出しつつ、まずは「お疲れ様です」と相談者をねぎらいます。
二人がまず確認したのは、11ヶ月の子どもを平日ワンオペで育てていれば疲れて当然だという点です。中里さんも、この年齢の子どもがいれば毎日しっかり睡眠を取れるわけではないだろうと話します。
夫のケアは夫自身がやること
桜林さんが最初に指摘した突っ込みどころは、相談者が夫のケアまで背負っている点です。息子のケアはやるしかないとしても、大人である夫のケアは事情が違うといいます。
仕事で疲れてる夫のケアは自分でやれよと思うんですけど。
中里さんは、夫が企業に勤めているなら、むしろ会社や上司のほうに疑問を感じるといいます。子どもが小さい人に、家庭に負担をかけるほどの仕事量を与えるべきではないという考えです。
桜林さんは、仕事で疲れている夫に「お疲れ」と思うことは自然だとしたうえで、土日を休ませてあげるというケアまで必要なのかには「ビビっ」と笛を吹きたいと話します。夫がそれを望んでいるかもわからず、相談者が「主婦だから夫のケアをすべき」と思い込んでいるだけかもしれないからです。
「誰かにケアしてほしい」より先にセルフケアを
桜林さんは、「私も誰かにケアしてほしい」という気持ちも、夫をケアしなければという思いと連動していると見ています。大人の夫をケアしてあげなきゃと思うことが、そっくりそのまま自分に返ってきて、自分も誰かにケアされたいとなるという見立てです。
中里さんが「与えてる分、私にも来てよ」というギブアンドテイクの感覚かと尋ねると、桜林さんは、それに加えて、ケアを「人にやってもらうこと」と捉えている点が大きいと答えます。
妻だからってやるべきとは思わない。でと同時に、私も誰かにケアしてほしいじゃなくて、自分で自分のケアをするのよっていう。
桜林さんは、人に頭をマッサージしてもらうようなこともセルフケアに含まれるとしつつ、「疲れた、休みをください」と言い出すのは自分だと話します。誰かにやってもらうのを待っていると、叶わないかもしれないからです。
さらに桜林さんは、疲れているかどうかは周りからはわからないとも指摘します。自分の疲れを一番わかっているのは自分なので、まず自分が「今疲れている」と認めたほうがいいといいます。
ケアを他者からもらうものと考える。周りは疲れに気づけず、他者は変えられないので叶わないかもしれない
疲れを自分で認め、休みたいと自分から言い出す。人にマッサージしてもらうことも含め、自分で動かせる
心の中の「意地悪な声」はどこから来るのか
相談者の心の中で響く「専業主婦なんだから当たり前」「辛いなんて言っちゃダメ」という声について、桜林さんは、自分の疲れを自分で認めたりケアしたりできないことから生まれていると考えます。
桜林さんによれば、その声は本当は自分の声なのに、誰かからそう思われる気がするという形を取っています。それは、自分のことなのに人にやってもらおうとすることと連動している気がするそうです。
(頼まれてもないのに)どんどんどんどん人にケアしちゃうから、自分でやるってことに気づけないんだよね、多分ね。
時間や休みをもらうことは夫と相談して決めることだとしつつ、桜林さんは、本当は全部自分でやるものであり、それを練習してわかっていけるといいと話します。
「子ども、夫、私」という優先順位の刷り込み
中里さんは、相談者の中で優先順位が「子ども、夫、私」という順番になっていそうだと見立てます。11ヶ月の子どもが一番なのは当然でも、その次は自分でいいはずだというのが中里さんの考えです。
子ども → 夫 → 私(自分が一番後回し)
子ども → 私(大人の夫は自分でセルフケア)
桜林さんは、相談者が「専業主婦だから自分を後回しにするのが当たり前」と思っているのなら、「当たり前じゃないよ」と伝えます。自分を犠牲にして家族のためにやることは、どこかで刷り込まれた考えではないかと問いかけます。
中里さんが日本の「古き良き風習」にそういう面がありそうだと口にすると、すぐに「よくないです」と言葉の選び方を訂正し、「古い考え」と言い直しました。桜林さんは、最近だと昔のドラマでよく見る価値観だと応じます。
そうやって押さえつけて押さえつけて我慢してやるべきってやつはどっかで潰れるよね。それは多分それこそ望んでないと思う。
無理してきたなら、夫に「実は違いました」と伝える
中里さんは、夫に相談できる関係であれば、自分が疲れていること、休みたいと思っていることを伝えてみてほしいと話します。
桜林さんも、無理をして良い主婦を続けてきたのなら、夫にきちんと打ち明けたほうがいいと考えます。夫が「よくできた素晴らしい妻」と思っているなら、なおさらです。
いや、ちょっとごめんなさい、実は違いましたってことをちゃんと言った方がいいと思うんだよね。
さらに中里さんは、この番組によくある仮説として、相談者の母親が「専業主婦は家庭のことも子どもや夫への気遣いもやって当たり前」という価値観の人だったのではないかと推測します。桜林さんも、ご両親から受け継いだものかもしれないと応じます。
自分をいじめる「鬼コーチ」は、実は自分を守っている
桜林さんは、自分に「当たり前でしょ」「辛いなんて言う資格ない」と意地悪に言う存在を、この番組でもよく出てくる「鬼コーチ」と呼びます。
桜林さんの考えでは、今日よくやったと認めることも、今日はあまりできなかったと認めることも、自分にしかできない自分の仕事です。意地悪な声は、その責任から手を離すために聞こえているのだといいます。
だからそれって自分をいじめてるようで守ってるっていうか。
だからこそ桜林さんは、つらかったらつらい、疲れていたら疲れていると認めることのほうを頑張ってほしいと話します。それができないと、ケアが「やってあげている」「周りにやらされている」という感覚になり、周りにも自分にも良いことがないそうです。
弱みを言い合える親同士のつながりはどこにある?
中里さんは、Branchの保護者コミュニティの例を挙げます。不登校や発達障害の子どもを持つ保護者同士が言い合ううちに、少しずつ「鎧が溶けていく」感覚があるそうです。では一般の親は、そうしたつながりをどこで作るのかと問いかけます。
桜林さんは、地域の子どもを遊ばせる場所なら愚痴くらいは言えるかもしれないと答えます。ただ、そこでもちゃんとやっている自分を見せたくなり、弱みを見せられるかはわからないといいます。
中里さんによれば、Branchのコミュニティには弱みを見せていいという文化があり、保護者たちが「あるある自虐ギャグ」のように自然に話しているそうです。中里さんは、そうした場は不登校や発達障害に関係なく必要だと考えています。
桜林さんは、「専業主婦だからやるべき」「文句を言わないべき」「完璧にやるべき」という思いが強いと、「今日ちょっとサボって寝ちゃって」とは言いづらいと指摘します。
人の失敗談を聞く
「私こんなに適当だよ」「今日こんな失敗しちゃった」という話に触れる
私だけじゃないと知る
みんな意外と適当なんだと気づく
べきが外れる
こうするべきと思っていたけど、そうじゃないのではとわかっていく
桜林さんは、おしゃべり相手でも、テキストだけのやり取りでもいいので、そうしたつながりを持てるといいと話します。
自分を後回しにする癖は、子どもの誕生で表に出る
桜林さんは、まず自分のケアを後回しにしすぎていると気づいてほしいと強調します。全てから手を離すという意味ではなく、完璧にやることより、自分を無視しすぎないことのほうが大事だという考えです。
中里さんは、女性は結婚や出産の前のほうがセルフケアできていたのか、それとももともと他者優先なのかと尋ねます。
やっぱ子供が生まれることで絶対に自分より優先すべきじゃん、それは。
だからそこで癖がつくっていうか、癖が出るみたいなことはあると思う。
中里さんは、ずっと先の話として、子どもが思春期に入って親離れ・子離れが進むと、今度は子ども以上に自分のケアが大事になってくると付け加えます。桜林さんは「自分のケアを後回しにしていいこと一個もない」と応じます。
「もうちょっとわがままでいい」少しずつならしていく
桜林さんは、夫も疲れて休みたい気持ちはあっても、自分を削ってまで俺のケアをしろとは思っていないだろうと話します。相談者が辛さを見せないので、夫が気づけなかったのかもしれないともいいます。
桜林さんは、どうしろと言う手前で「ちょっと疲れた」「一人で寝たい」「一人で出かけたい」と言うだけ言ってみてはと勧めます。本当にできるかはともかく、そうしたいと思っていることは伝わるからです。
中里さんは、それで夫が不機嫌になるなら、それはもはや夫側の問題だとして、わがままを言っていいと後押しします。
桜林さんは、夫がやってもらって当たり前と思っているなら、頼まれる前にケアし続けてきたことがそうさせた面もあると指摘します。急に全部投げ出すと夫も戸惑うので、「今までやりすぎてたけど、ここは自分でやって」と少しずつ調整していくのがいいと話します。
まとめ
専業主婦であることは、自分を後回しにする理由にはなりません。中里さんと桜林さんは、大人の夫のケアは夫自身に返し、自分の疲れを自分で認めてケアすることを勧め、「もうちょっとわがままに」と相談者の背中を押しました。
- 11ヶ月の子どもを平日ワンオペで育てていれば、疲れて当然
- 仕事で疲れた夫のケアは、夫自身がやること
- 誰かにケアしてもらうのを待たず、疲れを自分で認めてセルフケアをする
- 「当たり前でしょ」という意地悪な声は、自分を認めるより楽な道を選んでいる状態
- 疲れた、休みたいと言うだけ言ってみて、夫へのケアは少しずつ調整していく





