AI回の前に。ポッドキャストの記事化サービスが話題に
ローカル企業経営ラジオのこの回は、月一から二ヶ月に一回のペースで続けている「AI回」です。桺本さんが本題の前に、最近使い始めたポッドキャストの配信・まとめサービスの話を切り出しました。
桺本さんが驚いていたのは、自動生成される記事のクオリティの高さです。文字起こしをChatGPTやClaudeにかけただけの品質ではなく、裏側のプロンプトがかなり作り込まれている印象だと話します。
なんか大事なところが吹き出しでポンと出たりとか、まとめとか、このタイミングで聴いたらいいよとか、あれめちゃくちゃいいですね。
小平さんは、「心理的安全性」のような専門用語に小さな括弧で説明が付いたり、図が入ったりする点を挙げて感心していました。しかもこれらは自動判断で処理されているといいます。
桺本さんによると、クレジットを買っておけばSpotifyなどで公開したあとに記事が自動で作られる仕組みで、配信側は何もしなくてよいそうです。
GPTの新モデルとコンピューターユーズがもたらしたルールチェンジ
ここから本題のAIの話に入ります。収録日は9月8日で、桺本さんはGPTの新モデルが出たことに触れました。
もともとClaude派でGPTは苦手だと話していた小平さんも、新モデルのアウトプットの質の高さに一度触れて手のひらを返したといいます。仕事としてのアウトプットのクオリティが、また一段上がった感覚だと語ります。
Claude大好きっ子でGPT嫌いって言ってたんだけど、これはもう一回触っちゃったらもうアウトプットの質が良すぎて、もう虜ですわ。
桺本さんが特に注目したのはコンピューターユーズ ── AIがマウスやキーボードを操作して、人間が使うのと同じようにパソコンの画面を直接操作する機能。従来のようにコードを書くだけでなく、GUIアプリをそのまま扱えるの精度とスピードの向上です。マウスやキーボードでGUIを触る作業の精度が、えげつなく上がったと表現します。
桺本さんは、CanvaでのデザインやFigmaでのスライド作成を例に挙げました。これまではHTMLを作ってから反映させる形が中心でしたが、いまはAIが人間のようにマウスやキーボードを動かして、一から作っていけるといいます。
しかも、その作業は人間より速いと桺本さんは話します。パソコン上でできるマウスやキーボード作業は、ほとんどの業務がAIでできてしまう状態になったという認識です。
小平さんは、経費精算のレシート入力のような作業も、コンピューターユーズを使えば全部できるようになるだろうと見込みます。桺本さんも、スキャンした書類をフォルダから勝手に見に行って入力まで済ませる流れが実現しつつあると応じました。
本当になんかルールチェンジがまた起こったなっていうのが、業務的なところで。
桺本さんは、これはOpenAIも言うようにAGIの一歩手前だと感じていると話します。
Cloudflareで社内システムが一日で作り直せる
話題は、桺本さんが最近触っているCloudflare ── Webサイトの公開やセキュリティ、データベースなどをまとめて提供するクラウドサービス。ここでは認証機能やデータベースを含めてアプリを完結して作れる基盤として語られていますに移ります。小平さんは社内で勉強会を開き、AIで作った資料をもとにどこで使えるかを共有したそうです。
桺本さんがCloudflareを評価するのは、ホームページを公開するだけならVercelでもできたところに、データベースや認証系の機能まで全部入っている点です。ClaudeやCodexからシームレスに操作できるといいます。
桺本さんは、Codexに指示するだけで認証まで含めたシステムが完成する体験を、すごいものになってきたと語ります。実際に、社内のアクセスで作っていたシステムを全部一日で作り直したそうです。
結局なんか一周しちゃった感が最近ちょっと出てて、もうできるものは思い描けば大体できるようになってしまって、驚かなくて良くなったかな。
小平さんは、次はフィジカルAIやワールドモデルの領域に進み、二度目の驚きの連鎖が始まるだろうと予想します。一方で、いまはWebやPC上でできることは一旦ここまで来たという実感だと話しました。
民主化されたエンジニアリングで、逆に何が重要になるのか
桺本さんは、エンジニアリングの民主化がかなりのところまで来ていると話します。ここから、では人間側に何が残るのかという話に展開しました。
小平さんがエンジニアと話すと、実装が民主化された結果、要件定義やプラットフォーム選定といった基礎的な能力のほうが重要視されるようになったといいます。相手とネゴシエーションする力や、意思決定者と話す力など、代替されない部分が大事になってきたという整理です。
一周回ってやっぱりいるじゃんみたいになってるっていう話。みんな悩んでる。
桺本さんは、結局シニアのエンジニアがAIを使うのが最強だと考えています。過去の経験から「こうするとうまくいかない」「こうするべきだ」という勘所を持っているからです。
桺本さんいわく、AIは中身を勝手に全部作ってしまうからこそ、どこをこうすべきかという勘所を持っている人が強いといいます。
これまで
実装そのものがエンジニアの価値の中心だった
いま
実装はAIで民主化され、誰でも思い描けば作れる
これから
要件定義・プラットフォーム選定・合意形成など、代替されない基礎能力が重要になる
Claudeで社内SEの一次回答を肩代わりする小さな改善
小平さんは、少し前にSlackから使えるClaudeのエージェントを設定した話を紹介します。社内SEへの質問窓口の一次回答を、全部そのエージェントに任せる仕組みです。
大体ログインできませんとか出るんだけど、これとこれとこれの情報をくださいとか、この画面にスクリーンショット貼ってくださいをやるんで、社内SEの子が忙しそうなんで、やってあげたらちょっと好評だった。
小平さんは、こうした小さな改善はちょこちょこあると話します。桺本さんも、そういうちっちゃい改善はもういっぱいできると同意しました。
基幹系システムはAIで作らない方がいい理由
話題は、どこまでAIで作るべきかという線引きに移ります。小平さんは、社長がAIで社内システムを作ってドヤっているのに冷や水をかけるようだが、と前置きしつつ問いを投げました。
小平さんの認識は、複雑な数字を絶対に間違えられない基幹系のシステムは、あまり作らない方がいいというものです。桺本さんも「絶対そう」と同意します。
桺本さんが向いていると考えるのは、Webサイトやちょっとしたサービスサイト、データベースを検索するだけのシステムくらいまでです。会計や在庫管理のように複雑になると、AIで作った後に自分でメンテナンスするのが厳しくなると指摘します。
ただし桺本さんは、小平さんの会社のように社内にエンジニアがいる場合は、その人が基幹系を作るのはありだとも付け加えました。小平さんの会社では、経理担当や営業マンが簡単なSFAのようなものを作ることもあるそうです。
Webサイト、ちょっとしたサービスサイト、データベースを検索するだけのシステム
会計・在庫管理など、数字を絶対に間違えられず、後の自分でのメンテナンスが厳しくなる基幹系
小平さんは以前Manusで色々作っていたものの、サービスが飛んでしまったといいます。桺本さんも、ManusでできることはほぼChatGPTなどでできるようになり、この一年ほどでManusの活躍する場所がだいぶなくなったと振り返りました。
月5〜6回のセミナーと、認知を広げるための今の戦略
小平さんが、桺本さんが最近セミナーを多くやっている点に触れます。桺本さんによると、しくみスタジオの方で月5、6回ほど開催しているそうです。
テーマはClaude Code、AIアバターのHeyGen、Cloudflareのサービス、GASとClaude、Canva AIなどバラバラで、毎回100人ほど集まっているといいます。参加者は法人か個人かで見ると半々くらいの印象だと話しました。
一方で桺本さんは、売り上げ的には大したことないとも語ります。他の会社の仕事やコンサル案件もあってリソースを割ききれないため、いまは認知を広げてリストを貯める時期だという位置づけです。
会社的にはリソース割かずに、その認知を広げる。で、まあちょっとお金も稼ぐっていうところで、ああいうイベントをやっているっていうのがありますね。
AIで答えは出る。でも合意形成の方が難しい
小平さんは、業務改善のニーズは大きいとしつつ、実際に業務を変えるときは人の心の問題になると指摘します。最近、一社の経営支援をコンサルとして個人的に手がけているそうです。
小平さんは、自分の会社ではAI活用をやりまくっているものの、それを他社でやるのは大変だと感じています。ただ、いい経験であり、できそうな手応えもあると話しました。
桺本さんが、小平さんが元々ITコンサルをしていたことに触れると、小平さんは大企業で大きなチームの一員だった頃とやることは基本的に変わらないと答えます。
小平さんの進め方は、あるべき状態を作り、そこへ至るアクションプランを立て、偉い人の承認を取るというものです。ロジックの理解と、個人感情の納得の両方を取って変えていくプロセスで、これはAIでも何でも一緒だといいます。
あるべき状態
目指すべき状態をちゃんと定義する
アクションプラン
そこへ至る具体的な行動計画を作る
承認・合意
ロジックの理解と個人感情の納得の両方を取り、偉い人の承認を得て動かす
CodexとClaude Code。リモート運用とセキュリティの悩み
桺本さんが、小平さんが最近ハマっているAIを尋ねると、いまはCodexとClaude Codeの二つだという答えでした。小平さんはCodexをメインに据えようとしていて、VS CodeのCLIで使うか、アプリに移すかを試しているところだといいます。CLIの方が設定したルールが効きやすい気がするそうです。
リモートアクセスの話になると、小平さんはノートパソコンを会社に置いて開きっぱなしにすることの是非に悩んでいると話します。会社の全情報にアクセスできてしまううえ、自分の席がオープンスペースにあって画面が見えてしまうためです。
解決策として小平さんは、鍵付きの部屋にMac miniを置き、外部からアクセスできない状態でリモート運用する案を挙げます。ただ、帰ったら仕事しないと決めているため、いまのところは急いでいないそうです。
小平さんは、Claude Codeがバックグラウンドで動かせるようになった点も指摘します。オートモードで2、3時間動かして翌朝に仕上がりを見る使い方ができるといいます。
桺本さんは、ChatGPTのアプリはリモートが使いやすいと話します。会社にも家にも同じパソコンを持ち歩き、開きっぱなしにしてリビングからスマホで操作しているそうです。
当分は二強。AIツールをめぐる現状認識とまとめ
話は各社のAIの現状に及びます。小平さんは、収録中に配信ツールが止まったタイミングでChatGPTを高いプランに変えたと明かしました。Claude Codeのプレミア席が翌日で終わる通知が来ていたためです。
二人の見立てでは、当分はOpenAIとAnthropicの二強が続きます。小平さんはGeminiについて「やる気がなさすぎる」と評し、桺本さんも去年末に一瞬良いと思ったが一瞬だけだったと応じました。
あの人たちもサーバーで儲けまくってるからいいんじゃない。その二つが頑張って伸びれば彼らも伸びていくから。
桺本さんは、Claude CodeやCodex周りの最近の様子を、また一、二ヶ月後に取り上げたいと締めくくりました。
まとめ
この回は、AIで「作れる」ことのハードルが一気に下がったからこそ、会社で「使える」状態にするための線引きと合意形成が問われる、という後継ぎ経営者2人の実感が語られた回でした。
- GPTの新モデルとコンピューターユーズにより、パソコン上のマウス・キーボード作業の多くがAIでできる段階に来ている
- Cloudflareは認証やデータベースまで含めてアプリを完結でき、社内システムを一日で作り直せるほどになった
- 実装が民主化された分、要件定義・プラットフォーム選定・合意形成といった代替されない力が重要になる
- 会計や在庫管理など、数字を間違えられずメンテナンスが重い基幹系は、AIで安易に作らない方がよい
- AIで答えは出せても、ロジックの理解と個人感情の納得の両方を取る合意形成の方が、業務改善では難しい






