カエルバEQの受講生は3か月でどう変わったのか
廣橋さんは冒頭、この回が9月末の収録で、放送される頃には10月のイベントが続いている時期だと話します。忙しくなるとイライラしたり落ち込んだりしやすいので、未来の自分が感情を整えて乗り切っていてほしい、と近況を語りました。
ゲストの野中絢子さんは、前回に続いての登場です。前回は、Potageが企業に提供していた集合型のEQ ── 感情知能とも呼ばれ、自分や他者の感情を認識し、理解し、うまく扱う力のこと。知能指数IQと対比して語られることが多い概念です開発プログラム「カエルバEQ」の内容や狙いを紹介していました。
カエルバEQでは、受講生がまず「3か月後にどんな姿でありたいか」を書き残します。そこに向けてジャーナリングで自分を観察し、ワークショップやグループリフレクションを挟みながら自分を理解し、行動や意識を選び直していく流れです。
観察する
ジャーナリングで、自分に何が起こり何を感じたかを書き留める
理解する
ワークショップや1on1、対話を通じて、自分の感じ方や個性に気づく
行動を変える
気づいた自分に合う行動を、自分で選び直す
この回で廣橋さんが投げかけたのは、3か月をともに歩んだ受講生たちが実際にどう変化したのか、という問いでした。
(受講生の)3か月の中での変化は、人によって本当にすごく違いました。変化の仕方も違うし、変化のスピードも違いました。
野中さんは、IQ的なスキルと同じように、EQ的なスキルも人によってもともとのスタート地点が違うと説明します。その差が変化の違いにも大きく表れたといいます。
全員が「不安だけど楽しみ」から始まった3か月
変化には個人差があった一方で、スタート時点の受講生の感覚はほぼ全員同じだった、と野中さんは振り返ります。
3か月後、こんな自分になれたらものすごく嬉しいし、この3か月が終わった時を想像するとすごくワクワクする。
(掲げたテーマは)長年思っていたことなので、本当に3か月後に変われているのか、ちょっと不安だけれども、やっぱり楽しみっていう、全員そんな反応でした。
掲げたテーマにたどり着くまでの期間は、最も早い受講生で1か月でした。一方で、3か月経ってもたどり着かなかった受講生もいたといいます。
たどり着かなかった受講生の中には、3か月では足りなかったので次回も受けたい、と「おかわり」を希望する人もいたそうです。
1か月でたどり着いた。もともとジャーナリングの習慣があった
3か月でもたどり着かず、次回の受講を希望する人もいた
ジャーナリングの習慣があるかどうかで何が違ったか
早く変化した受講生には共通点がありました。もともとジャーナリングの習慣があり、自分に何が起こり、何を感じたのかを文字にすることがすでにできていたのです。
世の中ジャーナリングって大事だっていいますけど、実は自分に起こったことを記録したり、感じたことを言葉にするってめちゃくちゃ難しいんですよね。やったことない人にとっては。
ジャーナリングを全くやったことがない受講生は、平たく言えば日記を書くことができず、プログラムの前半はそこで苦戦する時期を過ごすといいます。
苦戦した受講生に対しては、なぜ書けないのか、どう自分の気持ちに気づけばいいのかを、ワークショップや1on1の中で一緒に紐解いていきます。そうしてようやく「自分の気持ちはこうだった」と気づくところからスタートする、と野中さんは説明します。
一方、ジャーナリングの習慣があった受講生は、何年も一人で書き続けていたものの、そこから気づきを得る段階まで進めていませんでした。3ステップでいえば、観察はできていても理解するのステップに上がれていなかったのです。
そうした受講生に対して、プログラムでは観察から理解への橋渡しをしました。日記の内容をもとに、対話の中で受講生自身の感じ方や個性を言葉にして返していきます。
これってこうやって感じてるっていうことなんじゃないですか?とか、これってあなたの個性ですよね、なんじゃないですか?みたいなことを対話の中で(伝える)。
テーマ10個のうち8個はSNSに惑わされていた?
対話を通じて、受講生は目からウロコが落ちたような状態になっていった、と野中さんは話します。「私には確かにそういうところがある」「本当はこういうことを目指していたんだ」と自分で気づいていくのです。
ある受講生は、最初にテーマを10個書いていました。ところが自分を理解していく中で、そのうち8個はインスタなどに流れてくる情報に惑わされて目指そうとしていたものだと気づいたといいます。
(10個のテーマのうち8個は)私そこやっぱりどうでもいいですみたいになって。
でも10個中残り2個は本当にこれ大事だな、自分にとっての核だなと思ったので、そこに近づいていけるようにちょっと行動を変えていこうと思います(と)。
テーマを10個掲げていた
8個はSNSの情報に惑わされたものと気づき、核となる2個に向けて行動を変えることにした
野中さんが強調するのは、こうした受講生からは「こう行動を変えようと思います」という言葉が自分から出てくる、という点です。自分をしっかり理解できると、どちらの行動を選んだほうが自分は幸せかを自分で判断し、「行動を変えるので見守ってください」と自ら動き出すといいます。
人の目を気にしなくていいと腹落ちする瞬間
野中さんによれば、よくいるのが「人の目が気になって、なかなか発言できなかった」という受講生です。そうした受講生も、なぜ自分が人の目を気にしていたのか理由がわかったり、本当の自分の感じ方に気づいたりします。
今まで人の目は気にしなくていいっていくら言われても納得できなかったけど、自分を知ることで、あれ、気にすること本当に意味ないなみたいに気づく。
人に言われても納得できなかったことが、自分を知ることで腹落ちする。その「目からウロコ体験」によって、行動や意識、感情の持ち方が変わっていくと野中さんは話します。
さらに野中さんは、自分を知ると世界の見え方が変わり、他者への接し方も勝手に変わっていく、と受講生たちの変化をまとめました。
廣橋さんも同じ感想を持ったといいます。プログラムの本質は自分を変えることではなく、ジャーナリングで自分を観察して知ることにあったのではないか、と受け止めました。
観察・理解・選び直しのどこが一番効いたのか
廣橋さんは野中さんに、観察する、理解する、選び直すの3ステップのうち、受講生にとって最も本質的だったのはどこかを尋ねます。野中さんは「人による」と前置きしたうえで、まず観察が大事だと答えました。
結構皆さん本当に自分に目を向けてないな。(中略)自分が唯一無二のものを持っているんだっていう前提がないなと思うんですよね。
野中さんは、自分に目を向けるというと「自分に優しく」のように受け取られたり、「もっとストイックになるべきだ」という声があったりするとも認めます。そのうえで大事なのは、自分が何をどう感じているのかに気づくことだと話します。
(目指す先も)上司とか会社とかSNSとかから与えられた目指す未来じゃなくて、自分自身にとって目指したい未来ってどこなんだっていうのをまず気づく力っていうのがすごく大事だと思っていて。
その最初のステップが、自分の心の声を聞くこと、つまり自分を観察することです。ただし野中さんは、観察すること自体が難しいとも付け加えています。
他者と相対化すると自分の唯一無二性が見える
観察ができていても、それだけでは足りない受講生もいる、と野中さんは続けます。ジャーナリングのような観察は内省的な作業なので、自分の感じ方が唯一無二だとはなかなか気づけないからです。
人とそんな深いことを話す時間ってあんまりないじゃないですか。
そこで役立つのが、人の視点を入れることや、人との対話です。他者と相対化することで、観察した自分の唯一無二性を理解できる、と野中さんは説明します。
野中さんの結論は、観察して理解すること、言い換えれば自分自身の唯一無二性に気づくことが何より大事だというものです。気づきさえすれば、行動は自ずと変わるといいます。
廣橋さんは、世間では「人と比べる必要はない」とよく言われることに触れます。人と比べて優劣をつけ、落ち込む必要はない。ただ、人と並べてみることで自分の感じ方や目指すもの、心地よい状態に気づける、と話しました。
人と比べて自分は劣っていると落ち込む。これは必要ない
人と並べることで、自分の感じ方や目指すもの、心地よい状態に気づく材料になる
廣橋さんは、周りの受講生が互いに気づきの材料になっていた点を、集合型プログラムだからこその良さとして挙げています。
自分の道を歩く人が一人ずつ増えていくこと
最後に廣橋さんは、今後もカエルバEQを続けていきたいという話に触れ、野中さんに今後への思いを尋ねます。野中さんは「こうしていきたい」というものは特にないと前置きしつつ、受講生が変わっていく姿を見ることに喜びを感じていると話しました。
その変わるが、その人の本質的な幸せに気づいて、自分の道を歩けるようになっていくじゃないですか。それがすごい見ていて幸せなんですよね、私としても。
与えられた正解の道を歩くんじゃなくて、自分の道を歩ける人っていうのが、(中略)一人でも二人でも増えていくって嬉しいなと思っていて。
野中さんは、そうした姿勢は周りにも伝播していくと考えています。淡々と、一人ずつそういう人が増えていけばいい、という思いを語りました。
廣橋さんも、受講生を見ていると「とにかく幸せになって」と応援したくなると共感します。野中さんは、受講生が苦しんでいる時期も見えるので、ここを超えたら楽になると知っているからこそ見守ってしまう、と話しました。
あと今この苦しい時期みたいなのも見えるじゃないですか、こちら。私は。だから、あ、ここを超えたらなくなるとかあるからね。
廣橋さんは、自分の幸せを自分で選んでいける人が一人でも増えてほしいという思いに共感を示しました。今後のカエルバEQの展開もこのラジオで伝えていくとして、2回にわたる野中さんの出演を締めくくっています。
まとめ
カエルバEQの3か月で受講生に起きたのは、努力して自分を変えることではなく、自分を知ることで行動や感情、他者への接し方が自然に変わっていくという変化でした。ジャーナリングによる観察と、対話による相対化を経て、自分の唯一無二性に気づくことがその鍵だと語られています。
- 変化の仕方やスピードは人それぞれで、早い受講生は1か月でテーマにたどり着き、3か月でたどり着かなかった受講生もいた
- ジャーナリングの習慣がない人は書くこと自体に苦戦し、習慣がある人は観察から理解へ進む橋渡しが必要だった
- 自分を理解すると、SNSなどから与えられた目標ではなく、自分にとって核となる目標が見えてくる
- 人と優劣を比べるのではなく、相対化することで自分の唯一無二性に気づける
- 自分の道を歩ける人が一人ずつ増え、その姿勢が伝播していくことを、野中さんは願っている





